専門性を極めると「できること」は本当に増えるのか
薬剤師として専門性を高めると聞くと、自分の能力をどんどん高め、できることを増やしていくイメージを持たれることが多いと、たいぞーさんは話します。
実際、専門性を突き詰めていくと、自分にできることは確かに増えていきます。
患者さんへのアプローチも、さまざまな視点から専門性を活かして見極められるようになり、より良い介入として活かせる場面も増えていきます。
そのため、専門性を高めることが「できることを増やす」ことだというイメージは、間違いではないと整理されています。
専門性を極めるからこそ見える「限界点」
ただ、もう一つ大事な点があると、たいぞーさんは続けます。それは、専門性を極めるからこそ、自分の役割はどこまでかという限界点を見極められるようになる、という視点です。
特に医療の領域では、薬剤師、看護師、医師と、それぞれに専門領域があります。
そしてこれらの領域は、きっちり区分けされているというよりは、少しずつオーバーラップして重なっている部分があるのが実際のところだと説明されています。
だからこそ、境目をきちんと見極めておかないと、自分では判断や対応ができない領域に踏み込み、患者さんに不利益をもたらす危険があります。
医療が、資格を持った専門家が介入する領域として定められているのには、誰もが安易に踏み込んではいけないという、こうした理由もあるのではないかと語られています。
限界を見極められないと、患者さんはどう不利益を被るか
この限界点を正確に把握することは、専門性が低いとできないと、たいぞーさんは指摘します。
知識が浅いと、本来は医師につなぐべきケースを見逃してしまうことがあります。逆に、薬剤師が対応できるケースまで丸投げにしてしまうこともあります。
そのどちらに偏っても、患者さんは不利益を被ってしまいます。
一方で、薬学的にきちんと評価する力があれば、ここまでは薬剤師として判断・対応できる領域だとやりきったうえで、その先を他の専門職につなぐという選択肢が選べるようになります。
たとえば診断や処方、治療戦略を立てる判断が必要になれば、自分たちが行った対応や評価を医師に共有したうえでつなぐ、という関わり方です。
「パスの出し方」がチーム医療の質を変える
ここで重要なのは、ただ「医師に相談してください」と伝えるだけではない、とたいぞーさんは強調します。パスを出せばいいというものではない、という指摘です。
自分たちがきちんと考え、行ったことを引き継ぐことで、医師はそこまでの部分を改めて考え直す必要がなくなります。
その結果、医師はより自分の専門領域でやるべき仕事に集中でき、患者さんにとってより良い薬物治療をチームで一緒に作り上げられるようになると説明されています。
つまり、上手にパスを出す力は、チーム医療の質の向上につながるという捉え方です。
自分の限界を見極める
薬学的な評価で、対応できる領域とその先を切り分ける
やりきってから渡す
薬剤師としての対応・評価をきちんと行う
考えた内容ごと引き継ぐ
行ったことを共有してから医師につなぐ
相手が本業に集中できる
医師は診断・処方・治療戦略に専念できる
患者さんに良い治療が届く
チームでより良い薬物治療を作り上げる
連携の相手は医師だけではない
医師と薬剤師は、特に連携を図るうえで重要な役割を担い、つなぎ目となる立場にあります。
ただし連携の相手は医師だけではありません。薬剤師と看護師、薬剤師と理学療法士、薬剤師と介護専門職など、さまざまな職種との関わりが挙げられています。
それぞれが専門家としての仕事を果たしながら、患者さんへの最大限の関わりを実現していく。そのためにも、自分たちの専門性を見極めることが大切だと語られています。
やるべきことをきちんとやり、つなぐべきところをつなぐ。その関わりが、患者さんにとって最適な治療を届けることにつながっていくとまとめられています。
まとめ
専門性を極めることは、できることを増やすだけでなく、自分の限界点を見極め、上手にバトンを渡す力を育てることでもある。それがチーム医療の質を高め、患者さんへの最適な治療につながると語られた回でした。
- 専門性を高めると、対応できることは確かに増える
- 同時に、自分の役割の限界点も見極められるようになる
- 限界を見誤ると、見逃しや丸投げで患者さんが不利益を被る
- 「パスの出し方」次第で、チーム医療の質が変わる
- 連携の相手は医師に限らず、看護師や理学療法士、介護職にも広がる


