今後の永瀬さん、それとも永瀬の今後?
冒頭は「今後の永瀬さん」というテーマ設定から始まります。中さんが「永瀬の今後なのか、今後の永瀬なのか」と言葉遊びのように問い直し、次回予告のような雰囲気で場が温まっていきます。
このままこう点検員としてさらにグレードアップしていくのか。
吉田さんは、永瀬さんが今の点検員としてさらに専門性を高めていくのか、それとも会社で任されている別の要素のある仕事へ進むのか、その方向性を確かめようとします。
どうしたらいいですか?
中さんは、ちょうど今年が永瀬さんにとって「次のステージへ」という時期に差しかかっていると説明します。ずっと実務で頑張ってきたところから外れられるのかどうか、という局面だと話します。
ちょっと今年、長瀬次のステージへっていう、今ちょうど時期には来てる感じはしてて。
ずっと実務で頑張ってきたところからちょっと外れれるのかどうかみたいな感じ。
ラーメン屋と手相、脱線から見える永瀬さん像
ここで話は大きく脱線します。中さんが持ち出したのは「念願のラーメン屋」という話題でした。
そんなこと一言も言ってないですよ。一言も言ってない。
もともとの発端は、永瀬さんの手相にあったといいます。中さんによれば、永瀬さんには珍しい「水商売線」があり、水商売をやったらすごいことになるのでは、という話から、ラーメン好きと結びついてラーメン屋の案が出たのだそうです。
水商売線って言われてるのが(永瀬さんの)手相が超珍しいので、水商売やったらすごいことになるんじゃないかっていう話。
もっとも永瀬さん本人は、ラーメンは食べるのが好きなだけで、自炊はほぼしないと打ち明けます。炊飯器を戸棚の下にしまっていた、というエピソードまで飛び出し、樋上さんが「次のステージがラーメン屋」に驚いたところで、中さんが「戻しましょう」と本筋に引き戻します。
移譲したい、でも本当にできるのか
本題に戻ると、永瀬さんは今後について「正直まだ何も考えていない」と率直に語ります。ただ、点検の仕事を少しずつ若手に託しながら、自分は少し離れた位置にいたい、という漠然とした思いはあると話します。
今のこの点検の仕事のを少しずつこう未来を託していきながら、僕は少しちょっと離れた位置でっていうのはなんとなく思ってます。
一方で、それが本当に実現できるのかどうかは、ずっとモヤモヤしていると認めます。会社は新しい体制へと移り、これまで永瀬さんや現社長の健太郎さんだけでやっていた仕事を、みんなでタッグを組んでいきたいという方針になっているといいます。
今年から少しずつ移譲を始めてはいるものの、うまくいく未来はまだ見えていない、と永瀬さんは言います。人に教えたり仕事をそのまま任せたりするのが得意ではない、という自覚もあるようです。
僕もあんまり人に教えたりするのがそんなに得意じゃなかったりで、こう仕事をそのままポンとよろしくどうぞっていうのがやりにくい人なんで。
丸投げして壊れる部分も、今年は試す1年
それでも永瀬さんは、いずれ手放さなければいけないから、自分なりに少しずつ進めようとしていると話します。うまくいくかは分からないが、丸投げしてでもやるしかない、という覚悟もにじみます。
そうすると壊れる部分も出てくるだろうから、まずはこの1年そのやり方で進めてみて、来年のことは来年考えよう、と永瀬さんは締めくくります。5年後、10年後の自分を考えるのがとても苦手だとも打ち明けます。
めちゃくちゃ苦手で、5年後、10年後の自分を考えるっていうのがなかなかしづらい人なので、今今が僕の中では一番大事。
吉田さんは、遠い目標までの階段が見えないと、最初の一歩に何をすればいいか分からない状態なのでは、と言い換えます。永瀬さんは、こうなっていきそうだという漠然とした感覚はあるものの、そこに行動が伴わない、と返します。
仕事を手放したら「やることない」にならないか
吉田さんは、仕事を移譲すれば自分の業務時間は空いてくるはずだと指摘します。中さんがすぐに新しいやりたいことを見つけてくるタイプなのに対し、永瀬さんは空いた時間で何をしたいのかを尋ねます。
自分の仕事を移譲すると(業務が)減るじゃない。やることないやんってならへん、なる気持ちも生まれるのかなっていう。
これに永瀬さんは、まさに今その状態になってみたいと思っている、と応じます。本当にやることがなくなったとき、自分がどうなるのかがまだ想像できていない、というのです。
ほんまにやることがなくなった時に、俺どうなるんかなっていうのは。そこの想像がまだあんまりついてない。
中さんが「チームでやりたいことをやろうとなったら何がしたいか」と重ねて聞いても、永瀬さんの答えは一貫して「ないんですよ」でした。何かこれをやりたい、という強い対象がないと語ります。
働く理由は「最低限生きるお金」だけ
永瀬さんは、自分が働く理由を明かします。最低限生きていけるだけのお金を稼ぐこと、それ以上はない、というのが昔から変わらない考えだといいます。
吉田さんは、それ以上の動機がない中でこれだけ働けているのはすごい、と驚きます。永瀬さんは、周囲に迷惑をかけたくないから、やれることはやりたいと答えますが、それも自分が勝手にそう思っているだけだと付け加えます。
あんま迷惑かけたくないから、やれることはやりたいし。迷惑って勝手に思ってるだけなんですけど。
趣味についても、今はもうないと永瀬さんは言います。昔はいろいろあったが、この業界に忙殺されるうちにやらなくなり、一度失ったやる気がもう戻らない、という感覚を語ります。
一回失ったこのやる気がもうなくなっちゃったのをもう一回なんかやろうという気にならなくて。
橋梁点検が好きな理由は「いろんな作業があること」
現場からの距離については、また現場をバリバリやりたいという気持ちは全くない、と永瀬さんははっきり言います。ただし橋梁点検の仕事そのものが嫌いというわけではない、とも補足します。
バリバリでも好きじゃないわけでもないです。
永瀬さんが好きなのは、橋梁点検という仕事に決まった答えがなく、いろんな作業があることだといいます。現場も、ECや帳簿の作成、計画づくり、現場さんとの見積もり作成まで、多様な仕事があることが自分には合っている、と語ります。
一つのことだけをひたすらやるのは絶対にできない、とも永瀬さんは言います。中さんは、システム開発を現場で試している姿を見て「こっちの仕事が好きなのでは」と感じた、と観察を共有します。
暇になるために頑張る、その先の余白
話は「何もしない時間」へと向かいます。永瀬さんは、暇になるために頑張っている、と表現します。何もすることがない時間を実感するために働いている、というのです。
吉田さんは、この感覚が自分にもよく分かると共感します。プロセスは違うが、大きな山を登り切ってしまえば何もすることがなくなり、電波も来ず、ただ幸せに何もしないでいられる、という体験を挙げます。
でかい山で上登ったらもう何もすることなくなるんですよ。もう何もせんでいいわって、もう幸せ。
キャンプも同じで、大変な設営を終えてしまえば、あとは寝たい時に寝ればいい、という状態が幸せだと吉田さんは続けます。街にいるとそれができないから、あえて何もない場所へ行くのだといいます。
中さんは、時間を無駄にしたくないから予定を詰めるのに、その先に求めているのは何もしない時間だという構図を、皮肉で面白いと指摘します。
時間を無駄にしたらあかんからとにかく予定を詰めるけど、その先には何もしない時間を求めてるんで、なんかすげえ皮肉というか、おもろいですよね。
2つの軸と「余白」を求める働き方
樋上さんは、自分の中には仕事の軸と自分の軸の2つがあると語ります。仕事は会社に来れば勝手に進むが、自分の軸は自分で予定を組んで作っていくしかない、という感覚です。
自分の軸は自分で作っていくしかないから、予定を組み立てるけど、最後余白が欲しいなと思って、余白を求めにそういう動きで最後読む。
永瀬さんの場合は電波が届く場所でも1年ぐらいは何もせずにいられそうだ、という見立ても出ます。樋上さんは、仕事を手放し、プライベートでも今だなという状況になって初めて、永瀬さんに新しい何かが生まれるのでは、と話します。
永瀬さんも、先のことを考えるのは難しいが、その状況になれば何かはするだろう、という感覚を共有します。ただ、それが何かは今は決めていない、と言います。
今なんてその時考える。どうにかなると思ってしまう。
委譲の先に「何もしない日」は来るのか
中さんは、永瀬さんが1年休めるくらいまで権限移譲できればいい、と話をまとめにかかります。樋上さんは、その時に新たな永瀬さんが生まれるかもしれない、と期待を寄せます。
一方で中さんは、仕事はやろうと思えばできてしまうものだから、本当に何もない状態まで到達できるかは難しい、とも見ています。永瀬さんは、もしラーメン屋のようなまったく別のことをやれば、少なくとも今の仕事のことは考えなくなるかもしれない、と応じます。
ほんまにラーメン屋やったら、ちょっとそっちは考えられなくなるかもしれないですね。
結局のところ、ただ委譲していって何もしなくなる日はあまり来なさそうだから、何か違うものを取り込んだ方がいいのでは、という方向で話は落ち着きます。永瀬さんもその見立てには納得しつつ、それでも「やりたいことは」と言葉に詰まる場面で、永瀬さんゲスト回は締めくくられます。
まとめ
ベテランへの依存を減らすには、まず本人が実務を手放す覚悟と、若手への権限委譲を試す1年が必要になります。永瀬さんの回は、その過程で生まれる迷いと、働く理由や「余白」への向き合い方を率直に映し出しました。
- 権限委譲は「うまくいく未来が見えない」中でも、まず今年試してみるしかないと永瀬さんは語る
- 永瀬さんが働く理由は「最低限生きるお金」だけで、それ以上の動機や強いやりたいことはないという
- 橋梁点検を続けられるのは「いろんな作業があること」が好きだからで、一つの作業の反復は苦手
- 吉田さんも樋上さんも「何もしない余白」を求めており、そのために予定や環境を整えるという共通点があった
- ただ委譲して暇になる日は来にくいため、別の何かを取り込む方がよいのでは、という方向で話は落ち着いた




