ストレスに「疎い」人は、何を感じているのか
収録の冒頭、中さんは「パソコンを忘れて落ち着かない」と話し、少し疲れた様子を見せます。そのまま中さんから、他の2人へ「日々のストレスはたまりませんか」という問いが投げかけられました。
山根さんは、ストレスは「別にあんまりはない」と答えます。ただ、会社が忙しくなり、スケジュール通りに進まない場面では、引っかかりを感じることがあるといいます。
スケジュール通りに進めたいのに進まんぞってなると、ん?ってなる。ちょっと鼻から息が抜ける時あるかなっていう。
中さんは、仕事は基本的に思ったより進まないものなのに、どこかで思い通りに進むと楽観してしまう、とストレスの正体を言い表します。山根さんも、登場人物が多いほど進まなくなると共感しました。
疎いかも。ストレスに。
山根さんによれば、嫌だと感じる瞬間はあっても、それをため込むことはあまりないそうです。「楽しくない状態が続くのが嫌」なので、嫌だと感じたら早めに火消しをするといいます。
山根さんは、苦しさにも種類があると話します。スキルアップのための苦しさと「ただ苦しい」だけの状態を分け、後者は早く取り除いたほうがいいという考え方です。
話を聞いてもらう相手は、内容ごとに選ぶ
「これをすればスッキリする」という方法はあるのか、と中さんが尋ねると、樋上さんは「誰かに話す」ことを挙げました。もう一つは、湯船につかってYouTubeやドラマを見るなど、一人で好きなことをする時間です。
樋上さんの話す方法で特徴的なのは、相手の選び方です。話の内容によって「この話はこの人に」と、聞いてほしい相手を決めているといいます。
こんな風に返してくれそうやなっていうのがなんとなくあって。
ただし、樋上さんは相手に期待通りの言葉を求めているわけではありません。違う返事が来ても自分が発散できればよく、スッキリするところまで順番に何人かに話していくそうです。
相手を選ぶ
話の内容に合わせ、こう返してくれそうな人を思い浮かべる
まず話してみる
最初にその人に話を聞いてもらう
次の人へ
スッキリしなければ、別の人に話す
スッキリしたら終了
返事の中身より、自分が発散できたかで判断する
中さんはこのやり方を「聞き上手を揃えるっていう技」とまとめました。樋上さんの周りには、話を聞いてくれる人が何人もいるそうです。
本の並びが「1・3・5・7」でも怒らない理由
山根さんの考え方は、樋上さんとは違う方向からストレスに向き合うものです。山根さんは、自分のキャパシティが広くなれば、大体のことには対応できると考えています。
山根さんが例に出したのは、『ハリー・ポッター』のように巻数の多い本の並び方です。普通は1巻から順に並べるのに、1・3・5・7と変な並び方をされているだけで、ひどく怒る人もいます。
なんでやねんって思うけど、別になんていうのかな、そのイラつきの度合いとしてもなんでやねんと思うけど、
山根さんによれば、もっとハードなことを経験していれば、本の並びぐらいは大したことではなくなります。むしろ「なんでこの並びにしたんやろう」と面白くなり、人に話したくなるほどだといいます。
年齢を重ねるほど、山根さんはイライラしてリセットしなければと思うこと自体が減ったそうです。リセットするほど、ストレスがたまらないからです。
「あの時こう言えた」と反芻してしまう悩み
中さんのストレスは、気持ちを切り替えたいのに、ついそっちに引っ張られてしまう点にあります。よくあるのは、会話が終わったあとに「あの時もっとこう言えた」と考え続けてしまうことです。
結果あんまり言わずにオブラートに包んで終わらせた後に、やっぱり言ったらよかったなとか、こういう風に言えたなとかって考えちゃうんですよ。
中さんは、その反芻が始まると本を読んでも文字が頭に入らず、他のことができなくなるといいます。こういう時にどうすればスッキリするのか、というのが中さんの相談でした。
山根さんの答えは、これがその時の自分のベストだったと捉えることです。中さんはその場でいろいろ考え、そのうえで「ここだ」と選んだのだから、それは当時の自分にできた最善だったという考え方です。
だから次に行かせることがあるって思って、ラッキーと思えばいいじゃないですか。まだ俺は成長できることあった、ラッキーと思えば。
山根さんは、過去の場面には戻れない点を強調します。どうしても言い足りないなら、もう一度話す機会を自分で作ればよく、それをしないなら、やはりそこが今のところのベストだったということになります。
その時のベストと捉える
考えたうえで選んだのだから、当時の自分の最善だったと認める
次に活かす
まだ成長できることがあったと前向きに受け止める
機会を作り直す
どうしても後悔するなら、もう一度話す場を自分で設ける
中さんは「もう一回って言えばいいだけの話」だと納得しつつ、自分の中ではそれをしないことになっていた、と思い込みに気づいた様子でした。
本音と配慮は、ゼロか百かではない
山根さんは、中さんには本音を言いにくい場面が多いのではないかと尋ねます。中さんによれば、社内でもスタッフに対して、普通のノリで話すと圧が強く受け取られることがあり、常に言い方を考えているそうです。
山根さんは、思ったままを出す人より、相手への配慮があるほうがいいと話します。本音を伝えることは大事でも、配慮はそれとは別に必要だという考え方です。
中さんは、自分は「言うなら言い切らねば」とゼロか百かで考えがちで、その間を取れたらいいと話しました。山根さんは、言い方や話のトーンを工夫することを勧めます。
言い方をなんか考えてみるとか、愉快なやつで言ってみるみたいな。
多分言わなあかんと思ったら急にクッと力むんじゃないですか。
山根さんによれば、言う側が力むと相手もそれを感じ取り、身構えてしまいます。「この人と話す時は楽しい話になる」というトーンでいれば、相手にも声が届きやすくなるのではないか、という見立てです。
仕事の割合が大きいと、悩みの「声」も大きくなる
山根さんは、中さんの生活で仕事の割合が大きいことも、反芻が強くなる理由ではないかと指摘します。気になることが自分の中で占める割合が大きいほど、その声が大きく聞こえてしまうという考え方です。
山根さんは、好きなことがあれば悩みの声はかき消されると話します。たとえば推しのアイドルに会いに行く時は、気になることがあっても推しのほうへ向かうはずだ、という例えです。
中さんは「推しに会いに行くまでの道のりは反芻しながら行ってまう」と返し、山根さんは「その時は推しのこと考えてください」と笑いました。
中さんは、この反芻を癖のようなものだと話します。山根さんはそれを内省 ── 自分の考えや行動を振り返って見つめ直すこと。ストレングスファインダーの資質の一つの名前でもありますと呼び、強みでもあるのではないかと返しました。
一方で中さんは、過去には戻れないのだから考えても仕方ないと気づいたからこそ、反芻がよりストレスになっていると打ち明けます。今まで当たり前にしていたことを、もうやめたいと感じているそうです。
今ホットなことがあった時は、しばらくそれを考えちゃうんです。寝たら忘れるんですけどね。
中さんの反芻は、出来事の直後から寝るまでや、数日の間に起こるものです。昔のことはほとんど忘れてしまうので、ストレスがたまるのはその短い期間だといいます。
知らない人と飲むという、山根さん流の気分転換
山根さんは、自分の計画が環境要因でうまくいかない時に疲れを感じるといいます。そういう時の対処法は「一杯だけビールを飲んで帰る」こと、それも知らない人と話すことです。
山根さんによれば、知り合いと話すと、相手は自分のことを知っているので、返ってくる言葉もある程度わかってしまいます。樋上さんの「この話はこの人に」とは逆で、何を返してくるかわからない相手の球を受けに行くという発想です。
だから一回自分っていうキャラをどっか置いていくんですよ。全く無の人で。
山根さんは、失敗して反芻している状態をマイナス1点に例えます。事情を知る人と食事に行けば「今日はマイナス1の中さん」として扱われますが、隣に座っただけの人は中さんを0の状態だと思って接してくれます。
失敗を知っているので、マイナス1の状態として励まされる。急に関係ない話もしにくい
事情を知らないので0から話せる。今興味のあることを話して、悪いことを忘れられる
ただ、中さんと樋上さんにとって、知らない人との会話は「一番しんどいやつ」です。中さんは、自分は基本的に質問して話を聞くスタイルなので、初対面の相手とは特に疲れると話しました。
切り替えの得意・不得意は、強みの違いから来ている
中さんは、ストレングスファインダー ── 米国ギャラップ社による才能診断ツール。34の資質のうち、その人が強く持つものを順位で示しますでいう社交性が自分は最下位ぐらいだと話します。それを受けて樋上さんは、自分には適応性があるので切り替えが得意なのだろうと分析しました。
樋上さんは職場を出た瞬間に、帰ってから何をするかに頭が切り替わるそうです。ドラマを見て泣いた次の瞬間には、もう笑って話せるほどだといいます。
もう視野になんか視界に自分が今これやって思う何かがあったら、もうそっちに話。
樋上さん自身も、あとで振り返って「こわ」と思う時があり、周りの人はついていけないだろうと感じることがあるそうです。
中さんの資質で上位にあるのは収集心です。中さんは、内省のために情報を収集しているのかもしれない、と自分を見つめ直します。一方、山根さんの1位は着想、2位は戦略的思考で、中さんは「面白くなったらええやん」という先ほどの助言を着想らしいと評しました。
| メンバー | ストレスへの向き合い方 | 話に出た資質 |
|---|---|---|
| 樋上さん | 内容ごとに相手を選んで話す。一人で好きなことをする | 適応性 |
| 山根さん | キャパシティを広げる。その時のベストと捉える。知らない人と話す | 着想、戦略的思考 |
| 中さん | 会話のあとに反芻してしまい、切り替えに悩む | 収集心、内省。社交性は下位 |
最後に中さんは「だいぶすっきりしました」と話し、やっぱ話すって大事だと実感した様子でした。山根さんは、疲労がたまったら周りの人に話してみてほしい、とリスナーに呼びかけて回を締めくくりました。
まとめ
会話のあとに反芻してしまう中さんの悩みに対して、樋上さんと山根さんはそれぞれの性格や強みに根ざした向き合い方を語りました。どの方法が合うかは人によって違いますが、話すこと自体が中さんを軽くしたことが印象に残る回です。
- 樋上さんは、話の内容ごとに聞いてもらう相手を選び、スッキリするまで何人かに話す
- 山根さんは、後悔した会話を「その時の自分のベストだった」と捉え、必要ならもう一度話す機会を自分で作ることを勧める
- 本音は言い方やトーンを工夫すれば、ゼロか百かにしなくても伝えられる
- 知らない人と話すと、失敗した自分としてではなく0から会話できるという視点も示された
- 切り替えの得意・不得意は、適応性や収集心といった強みの違いとして語られた







