人間関係は「仕事しろ」で全部解決する
転職して入社した直後、多くの人が気にするのは、人間関係と評価、それから成果の出し方の3つだと思うんですよね。
まず人間関係。これはもう、すごく分かりやすいんです。仕事しろ、と。
だってすでにその会社の中では人間関係ができあがっているわけです。1年、2年、3年一緒にいる人たちの中に、たった一人で入っていくわけですよね。
そこにどうやって溶け込むんだろうって迷う人は多いと思うんです。でも無理にランチに誘ったりする必要はないんですよ。
なぜかというと、続かないから。会社は仕事する場所なので、ちゃんと仕事してさえいれば、必ず会話するタイミングが出てきます。
そこで話すうちに、そのうち仲良くなるんですよね。ちゃんと仕事する人だなと思われれば、そんなに嫌われたりしないんです。
学校だったら話は違うと思います。勉強は基本一人でするものだから、友達を作りに行く必要もあるでしょう。でも職場は一人で完結する仕事なんてほぼないんですよ。
最初の5日間の印象より、毎日の自分が残る
入社してすぐは、周りから「どういう人なんだろう」ってずっと観察されています。だから、変なイメージがついたらどうしようと怖くなる気持ちも分かるんです。
真っ白なキャンバスの状態で入っていくから、たった一点、何かこぼしただけでも一気にそのイメージになっちゃう。それは確かに怖いですよね。
でも思い出してほしいんです。1ヶ月は20営業日、10ヶ月なら200日。毎日8時間、同じ空間で自分の印象がダダ漏れになっているんですよ。
その中で、たった最初の5日間の印象が残ると思いますか。残る方が珍しいんですよね。
最終的には、普段通りのあなたの印象にちゃんと落ち着くんです。だって毎日一緒にいるんだから。当たり前ですよね。
だから逆に言うと、毎日続けられないことはやらない方がいいんです。最初だけ頑張ってランチに誘って、半年後には誰とも行かなくなると、「あの人最初だけだったね」って思われちゃう。
もし持たれたい印象があるなら、一発何かを見せるんじゃなくて、毎日続けられる癖をつけるしかないんですよね。
早く結果を出そうとする人が、最初にコケる
次に評価の話です。入社してすぐ「早く結果を出さなきゃ」って焦る。もう、それがダメなんですよ。
焦って出した結果なんて続かないし、そもそも自分の実力で自分のバットを振ったら、その打率しか出ないんです。過去にやったことしかできないんだから、焦ってもしょうがない。
よくあるのが、「自分はこういうことができます」「前職ではこうやってきました」って、転職してすぐアピールに走る人。私はいろんな会社でそういう人を見てきましたけど、大体最初にコケているんですよね。
自分の居場所がなくて不安だから、アピールすることが目的化しちゃうんです。でもそれじゃダメで、この会社に貢献するためにこの部分を知ってもらった方がいい、だったらどう出せばいいか、という逆算で考えないといけないんですよね。
たとえば他部署がマーケティングリサーチをやっているとして、入ったばかりの人が「その辺の知見あるので結果を聞いてみてもいいですか」と言ったら、上司に「放っておけば出てくるから今は手を出さなくていいよ」と優しく言われる。要するに「お前が動くな」ってことなんです。
仕事は、あなたのためにあるわけじゃないんですよ。売上を上げる、会社がうまく経営するために、それぞれのタスクがあるだけなんです。
「前職ではこうでした」が通用しない理由
キャリアがあると、つい「前職ではこうだったんですけど、こうすべきです」と自分の成功体験ばかり言ってしまう人がいます。私も前職の話をすることはありますけど、言い方が違うんですよね。
同じ課題を抱えた組織なんて2つとないんです。大枠ではどこも似たような課題を抱えていても、詳細に倍率を上げていくと、実態は全然違う。
前職でできていたことがこの会社でできないのには、絶対に理由があるんですよ。優秀な人が揃っていないのかもしれないし、業界特性やトップの考え方もある。理由なくそうなっている会社なんてないんです。
だからそれがいいとか悪いとかじゃなくて、なぜこの会社はこうなっているのか、そしてそれは変えるべきなのかを考えないといけない。問題解決は、原因を把握してからじゃないとできないんですよね。
たとえば今の会社に入って、「このサイト、無課金ユーザーだな」って思ったんです。何のツールも入っていない。それを代表にそのまま言ったら、ゲラゲラ笑って「そうなの」って。
でもそれもいいか悪いかじゃなくて、入れてこなかった理由があるんですよ。なぜ入れられなかったのかこそが大事で、前職の正解をそのまま当て込むのはアホのすることなんですよね。
今日・明日、自分が何を期待されているか
いきなり大きな成果を出す必要なんてないんです。人間関係の話と同じで、毎日仕事するんだから、まずは期待されたことをやればいい。
入社1日目に期待されているのは、入社対応を静かにそつなくこなすことだけ。2日目は業務マニュアルを読むことだけ。それを一生懸命やればいいんですよ。
なのに「私はデザイナーだから早くデザインしなきゃ」と、求められてもいないことに焦るのは、期待されていることと違うんですよね。
仮に3日目に「これデザインしてみて」と言われたら、会社のことも分からない中でやるわけだから、すごいものはできなくて当たり前。高い期待をされたら「こういう情報を聞いた方がいいと思いますが、それでもいいですか」と下げておけばいいんです。
だから、大きなゴールまでに、今日・明日・来週、自分は何を期待されているのかを常に感じながら仕事をして、その期待に応えればいい。その場は多くの場合、現場なんですよね。
よく「中途入社にお手並み拝見はよくない」と言いますけど、受け入れる側はサポートした方がいいのは確かです。ただ、入社する側からすると、お手並み拝見されるなら、それはそれで別にいいんですよ。
丸投げされて分からないなら、「まず段取りを組みますね」と自分でロードマップを作って、どこに聞けばいいか聞けばいい。誰にも相談せずに「これが精一杯でしょ」と出しちゃうから、うまくいかないんですよね。
サッカーは、ボールを持った時だけが大事じゃない
焦って居場所を作ろうとするのは、毎回バッターボックスに立って、そこでどう振る舞うかしか考えていない発想なんですよね。でも職場の仕事は、野球よりサッカーやバスケに近いんです。
ボールを持った時だけが仕事じゃない。ボールが来ない時間に、ちゃんとサイドを駆け上がっているか、守備を見ているか、それがずっと見られているんですよ。
成果を焦って、求められてもいないのに味方のパスをカットして一人でドリブルし始めて、「俺はドリブラーなんです」とチームを破壊する。ドリブラーだとしても、今じゃないんですよね。
そもそも成果を出したくても、それを発揮できる場がないと出せないんです。だからまず、その場をもらうための仕事をしないといけない。
「この件、この人に相談したいな」「この会議に入ってほしいな」と思わせるんです。私自身、この半年でいろんな会議に出ていますが、「この会議に出てもいいですか」と一度も言ったことがないんですよね。
必要なら必ず声がかかるはずだから、むしろ声をかけろよと思っている。そう思わせるために、日々の仕事で少しずつ、自然に自分の知見を出していくんです。
押し付けずに、自然なタイミングで小出しにする
たとえば、うちの会社のメンバーはGoogleアナリティクスがそんなに得意じゃない。私はサイトリニューアルなどでアクセス解析をやってきたので、その子たちより見られるんですよ。
だから機能をリリースした後、言われなくても自分でGA4を見ておく。そして押し付けるんじゃなくて、話の流れで「そういえばこの前の機能、ちょっと見たんですけど」とポロッと出すんです。
そうすると「あの人は自分のアピールじゃなくて、私たちの役に立つために言ってくれてるんだな」と思われる。これを押し付けたら、ただの邪魔なんですよね。
それを繰り返していくと、今度は分析を依頼する場そのものに「一緒にいてほしい」と言われるようになる。そこで初めて「効果測定はリリース前に考えるんですよ」と教えるんです。
この機能は誰をハッピーにして、どういう行動をしてほしいのか。じゃあその行動をしているかどうかの数字を取ればいいですよね、と。そうやって話すと、「この人は戦略を立てられる人だ」と思われて、今度は事業戦略の話が入ってくるんですよね。
だから、自分ができることをアピールするより、今この会社で何が起きていて、この子はどんな仕事をして、何に困っていそうかを観察する方がよっぽど大事なんです。
大事なのは転職した後じゃなくて「今」
結局、大事なのは実は今なんですよ。転職した後じゃないんです。なぜなら、できることしかできないから。
今まで見たことがないのに、いきなりGoogleアナリティクスを見て「はい、こうですね」なんて言えないですよね。私は今までやってきたから言えるだけなんです。
ということは、転職してから焦ってももう遅い。急いては事を仕損じるので、そのタイミングで焦っても無駄なんですよね。
だから、特にウェブディレクターたるもの、「私の仕事はこれだから」と幅を狭めちゃダメなんです。システムのことはエンジニアに任せればいい、じゃなくて、そこを学んでおく。
私も昔はシステム開発が全く分からなかったけど、ディレクターとして入って、邪魔にならない程度にエンジニアに聞きながら少しずつ学んだんです。AWSのEC2やS3が何なのか、そうやって覚えていった。
だから今の会社でも、S3やEC2の違いが分かる。勉強してきたからです。入社してすぐの時点で焦っても、もう遅いんですよね。
入社直後はどしっと構えて、自分に何ができるか周囲を見渡して、着実に仕事をすればいい。その中で、自分の能力を見せられる場所をどう作るかを考えるんです。
まとめ
10回以上転職してきて私がたどり着いたのは、入社直後に焦って結果を出そうとしても無駄だ、ということなんですよね。できることしかできないんだから、勝負は転職する前、つまり今なんです。とはいえこれはあくまで私の場合の話なので、働き方や個性によって、また違う答えもあるとは思っています。
- 入社直後の人間関係は、無理に近づかなくてもちゃんと仕事をしていれば必ず仲良くなる
- 最初の数日の印象より、毎日続く普段通りの自分の印象が最後には残る
- 早く結果を出そうと焦るより、今日・明日に期待されていることに応える方が大事
- 能力を発揮する場は強引に作るのではなく、日々の仕事で自然に知見を出して「任せたい」と思わせて得る
- できることしかできないから、勝負は転職後ではなく、学び続けている「今」にある



