毎年恒例の年末回、今年は旅のダイジェストつき
サイエントークの2025年最後の配信は、毎年恒例の1年の振り返り回です。レンさんとエマさんがポッドキャストを続けて5年目になり、収録はクリスマス前に行われました。
レンさんによると、2025年の後半は人生史シリーズの配信が少なかったそうです。この1年で2人はいろいろな国を旅行したため、今回は振り返りに加えて、訪れた国を人生史ダイジェストとして紹介する構成になりました。
2人は冒頭で、ポッドキャストアワードへの投票も呼びかけました。締め切りは1月4日で、配信時点で残り1週間を切っていたといいます。
だし、その去年のアワードのおかげでいろいろ今年広がったっていうのもね、前言ったんですけど、それ本当にあるなと思ってて。
レンさんは、去年のアワードをきっかけに『ねるねるねるね』で知られるクラシエと話す機会が生まれたことを例に挙げています。エマさんは、去年はノミネートで終わったので今年こそ受賞して活動の幅を広げたいと話しました。
1年前の年末回で掲げた目標はどこまで叶った?
振り返りは、1年前の年末回を聞き直すところから始まりました。エマさんは去年の年末回の内容をまったく覚えておらず、今年1年の記憶もあまりないと笑います。
レンさんが聞き直したところ、去年の年末回でレンさんは、北海道に帰省した際に親の車で事故に遭い、体調を崩した話をしていました。最近iPhoneが「1年前の今日」として出してきた写真が、まさにその時に高速道路の真ん中で撮った一枚だったそうです。
パッて出てきた写真が、親の車で事故って高速道路のど真ん中で撮った写真をiPhone、俺のiPhoneはウキウキで表示してきて。嫌なこと思い出したなと思って。
1年前のエマさんは「スマホをなくしていないから成長している」と話していたといいます。レンさんは、この発言の行方は後で話すと予告しました。
1年前に口にしていた番組の目標は、2025年にかなり達成できています。レンさんの記憶では、科学史シリーズでシュレディンガー ── 量子力学の基礎を築いたオーストリアの物理学者。「シュレディンガーの猫」という思考実験でも知られますまでたどり着くこと、「犬猫論」の回を出すこと、量子の話をすることが、いずれも実現しました。
量子の回ではKEKの橋本先生とも話せたと、エマさんは付け加えています。一方で、薬の歴史の回は年明けに配信する予定です。
2025年の個人目標は、レンさんが「健康」、エマさんが「自分の時間がこんなにあるのは人生でもうないかもしれないから楽しみたい」でした。
| 目標 | 誰の目標 | 結果 |
|---|---|---|
| シュレディンガーまで科学史を進める | レンさん | 達成 |
| 犬猫論の回を出す | 番組 | 1年かかって達成 |
| 量子の話をする | 番組 | 達成(KEKの橋本先生とも対話) |
| 薬の歴史の回 | 番組 | 年明けに配信予定 |
| 健康 | レンさん | 40度の熱は1度も出ず達成 |
| 自分の時間を楽しむ | エマさん | 楽しめたが、時間を持て余し気味 |
レンさんの健康目標について、エマさんは、今年は病院に行くほどの体調不良がなかったと認めています。イギリスでは基本的な診療は無料でも予約が大変なので、行かずに済んだのは2人にとって幸運でした。
エマさんは自分の目標について、楽しめてはいるものの、時間を持て余してダラダラしていると打ち明けました。ただ、今年の初めはレンさんがイギリスにいなかったので、今は楽しさがまったく違うといいます。
あとやっぱり、今年の初めは連くんがイギリスにいなかったけど、今はいるじゃん。それでね、楽しさはね、もう全然違いますね。
日照時間の短いイギリスの冬は心にこたえる?
エマさんにとって、2025年の1月から2月は精神的にも身体的にもつらい時期でした。初めて過ごすヨーロッパの冬で、イギリスでは午後3時ごろには日が暮れていたそうです。
やっぱずっとそうだと精神的に参ってくるっていろんな人が言ってたけど、実際そうで。
エマさんは、当時は1人だったが、今回は2人なので乗り切れると考えています。レンさんは今のところ何も感じていないと答えました。
エマさんによると、クリスマス前から1月上旬まではライトアップがあるのでまだよく、その後は日が短く雨が降るだけの道を歩くことになります。それでも、イギリスのクリスマス飾りは、26日ごろに外す日本より長く残ります。
レンさんは、日本ではすぐ正月の準備に切り替わるからだと推測しました。イギリスではクリスマスが日本の正月のような家族行事にあたる、と2人は話しています。
つらかった冬に、ポッドキャストアワードの一次選考を通過したという連絡が届き、エマさんは少し元気になったそうです。レンさんはこの話に感動しています。
え、だって君絶対変わったでしょ。ポッドキャストのこう見方というかさ。
レンさんによると、エマさんは最初の2年ほどはポッドキャストにまったくハマっていませんでした。それが今年は、エマさんのほうから「収録しなくて大丈夫?」とストックを気にするようになったといいます。
最初の2年ほどはあまり興味がなく、ハマっていなかった
ストックを心配して自分から収録を提案し、アワードの吉報に励まされるようになった
2025年も一度も間を空けずに毎週更新を続けたと、レンさんは振り返っています。
Spotifyまとめで、今年一番聴かれた回は?
番組の数字についてレンさんが紹介したのは、Spotifyまとめでした。Spotifyだけで7年分ほどの時間が再生され、去年よりもかなり増えたそうです。
エマさんの予想は見事に当たり、Spotifyで1位だったのは第199回「光はなぜ速いのか 法則に挑んだ研究の歴史」でした。
全アプリの累計で1位だったのは、第198回「アインシュタインはどうすごいのか 相対性理論と濃い大きい人生」です。8月ごろの配信で、レンさんはコラボ回が上位に来ると予想していたので意外だったといいます。
八幡先生もアイドルって言ってたけど、アインシュタインが。マジアイドルなんだわ、きっと。
難しい物理回が続いても、リスナーは離れなかった
2025年は物理の話が多く、レンさんもエマさんも難しかったと認めています。それでもレンさんが物理回を続けたのは、今だからこそできることだと考えたからです。
難しいやつ連続で出したりすんのって今できることかなと思って。なんかもっともし番組が広がった時にやりにくくなっちゃうかなと思って。
レンさんは、不確定性原理やシュレディンガーの猫のようなわかりにくい話が続くことで、リスナーが離れるのではないかと心配していました。実際にはリスナーは変わらず聴き続けてくれたといいます。
エマさんは、ポッドキャストのリスナーは好奇心が強く、難しくても最後まで聴く忍耐力があるのかもしれないと話します。ショート動画ばかり見ている人より、という比較には「まあ私だけどさ」と自分でツッコミを入れていました。
レンさんによると、難しい回ほど再生完了率が上がるというジンクスがあり、それは2025年も同じでした。途中でやめられそうだと思いながら出した回の完了率が、105%になることもあったそうです。
案外再生完了率105パーとかになってたりするのよ。だから、多分2回とか聞いてくれてる人いるんよ。
レンさんは、2周目まで聴かれるとは想定していなかったと喜び、こうした反応からやる気をもらったと話しました。エマさんが印象に残った回として挙げたのは、チカモトさんとのコラボ、ねるねるねるねとのコラボ、そしてKEKとのヒッグス粒子 ── 素粒子に質量を与える仕組みにかかわる粒子。2012年に欧州のCERNで発見が報告され、提唱者のヒッグスらはノーベル物理学賞を受賞しましたの回です。
このKEKの回について、レンさんは、エマさんがずっと「フィックス粒子」と言い間違えていたことに編集中に気づいたと明かしました。概要欄には注釈を入れたそうです。
研究から離れたレンさんの1年は何を変えた?
エマさんは、レンさんにとって今年一番大きかった出来事はイギリスに来たことではないかと尋ねます。レンさんは、生活は年初とはまったく変わったものの、あっという間だった気もすると答えました。
レンさんによると、価値観の変化はイギリス行きが決まった時点で始まっていたのかもしれません。今のレンさんが取り組んでいるのは研究ではないからです。
今までそれなかったからさ。大学2年生ぶりぐらいにさ、研究してないよね。
エマさんは、レンさんがこれまで留年も浪人もなく、修士、博士、就職とスムーズに進んできたことに触れました。レンさんも、1年空いたことは一度もなかったと振り返ります。
そのうえでレンさんは、このタイミングで良かったと話しています。会社や研究の場にずっといると、そのことしか考えなくなり、凝り固まってしまう面があったからです。
研究漬けの日々
会社に入っても研究のことばかり考え、凝り固まりつつあった
イギリスでの1年
研究から離れ、学生に戻ったように別の勉強に取り組む
帰国後の確認
日本に戻ってから、学んだことの成果や変化を実感できるはず
エマさんはこの変化を、凝り固まって動けなくなる手前で、いったん柔らかくなっておけたようなものだと表現しました。
レンさんはこの場で、イギリスでMBA ── 経営学修士の学位。経営戦略、財務、組織などビジネス全般を体系的に学ぶ大学院課程ですを学んでいることにも触れました。研究とはまったく違う文系寄りの内容で、帰国までに論文を書く必要があり、すでに書き始めているそうです。
英語学校で出会った、日本では会えない人たち
レンさんは、第2言語として英語を学ぶ人が集まるロンドンの学校にも通い始めました。そこではカルチャーショックが多いといいます。
もうね、積極性が尋常じゃない、やっぱ。
先生が困るぐらいみんななんか言ってる。ずっとなんかみんな言ってる。
レンさんのクラスには日本人がおらず、アジアからは香港の人が1人だけです。ロシアやウクライナなど東欧の人、南米、アフリカ系、中東の人など、出身はばらばらだといいます。
レンさんが面白がっていたのは、シリアから来たクラスメイトです。この人はシリアで危ない地域にいたものの、ビットコインで利益を出してロンドンへ脱出し、今では周囲にビットコインの良さを熱心に語っているそうです。
「クリプト資産絶対みんなやった方がいいよ」みたいな感じのテンションでさ、言ってきて。
レンさんは学校以外のコミュニティの集まりにも参加し、メタで働くエンジニアと話したり、ロンドンにいる日本人の飲み会で趣味でポッドキャストを配信している人に出会ったりしました。ねるねるねるねとのコラボ回を出した頃だったので、相手はとても驚いていたそうです。
日本では同じようなキャリアの人ばかりが集まり、知らないうちに似た者同士になっていくとレンさんは考えています。ロンドンでは、勢いで移住して靴職人をしている人のように、日本では出会わない人と会えるのが面白いといいます。
いや、ありがたいっすよ。もう全部君のおかげだからね、これ。
1年で10カ国、旅を重ねて見えた日本の良さ
ここから話題は旅行の記録に移ります。8月ごろまでに人生史回で紹介したのはオランダとノルウェーで、YouTubeにはVlogも上がっています。
2人はVlogについて、撮り方はまだ下手だと認めつつ、ポッドキャストのリスナーなら楽しめるノリで作っていると話しました。科学好きの人には、オランダで訪れた世界一古いプラネタリウムや、プラハでアインシュタインが通ったカフェの映像がおすすめだそうです。
2025年の旅は、日本への一時帰国の帰りに立ち寄った上海から始まります。エマさんは初めての上海で、清潔さは日本と同じくらいのレベルだと感じたといいます。
エマさんの見方では、ロンドンをはじめヨーロッパの大都市は、ゴミや落書き、ホームレスなどの面で汚いところが多いそうです。上海はそれに比べて整っていたと、レンさんも同意しました。
より客観的に見て、あ、日本いいなって思えるポイントが多くなったから、私はなんかこう自分の国により誇りを持てるようになった。
エマさんはカナダ留学などの経験もありますが、今年は多くの国を訪れて「自分の中でのサンプル数」が増えたことで、より比較できるようになったといいます。
上海の印象をまとめると、エマさんにとっては都会的な良さと小籠包のおいしさだったそうです。
ストーンヘンジとコーンウォールで出会った、ピーターラビットの世界
次の旅は、車でロンドンから西、やや南西へ向かうイギリス国内旅行でした。途中で立ち寄ったのは、レンさんがずっと行きたかったストーンヘンジ ── イングランド南部にある先史時代の環状列石。紀元前3000年〜前2000年ごろに造られたとされ、世界遺産に登録されていますです。
エマさんはストーンヘンジを名前しか知らなかったため、レンさんから「どんなものだと思う?」とクイズを出され、現地に着いてからも予想しながら歩いたそうです。
さらに西のコーンウォールは、イギリス人が国内旅行先としてよく勧める海辺の地域です。エマさんはイギリス人から、フィッシュアンドチップスは海の近くで食べるのが一番おいしいと聞いていました。
実際にビーチで食べたフィッシュアンドチップスは、衣がサクサクで魚も新鮮だったといいます。ロンドンのものはまずくはないが大きくて飽きる、という話には、レンさんも「でかい天ぷらで飽きている」と同意しました。
運転したレンさんにとって大変だったのは、車1台分しかない田舎の細い道です。一方でエマさんは、その道沿いの景色に心を奪われました。
コーンウォールとか、あのコーンウォールに行くまでの道とかは、ピーターラビットの世界観みたいなのを感じた。
エマさんの言うピーターラビットの世界とは、緑の丘やガーデン、カゴバッグを持ったウサギが出てくるような雰囲気のことです。レンさんも、日本の田舎にはないメルヘンな建物が当たり前に並び、おもちゃの家のように見えたと話しています。
細い道は、エマさんの目には木のトンネルの中を走っているように映り、家やガーデンの雰囲気とよく合っていたそうです。
600年動く天文時計と、中世が残るプラハの街並み
続いて訪れたのはチェコの首都プラハです。ヨーロッパの中では物価も航空券も安く、街がとても美しいと勧められていたことが、行き先に選んだ理由でした。
プラハには中世の街並みが残り、石畳の道を馬車が走っていたといいます。2人は、600年前から動いている天文時計 ── プラハ旧市庁舎の壁にある機械式時計。1410年ごろに造られたとされ、時刻のほか太陽や月の位置を示し、仕掛け人形も動きますも見ました。
やっぱ地震ないってすごいんだなって思った。
エマさんにとって忘れられないのは、空港から地下鉄で街に出て、地上に上がった瞬間です。ヨーロッパの建物はどこも似ていると思っていたものの、プラハはイギリスとも違う中世の雰囲気だったといいます。
レンさんは、同じような色の建物が並ぶロンドンに比べて、プラハは色づかいや彫刻が凝っていると感じました。いろいろな国を回った後でも、街並みの美しさはプラハが一番だったと振り返っています。
287段の塔で消えたスマホ、プラハ城での大事件
プラハで最大の事件は、プラハ城の敷地内にある塔で起きました。2人は287段の狭いらせん階段を登り、赤い屋根が続くプラハの景色を写真に収めてから下りました。
下りきったところで、エマさんは首から下げていたはずのスマホがないことに気づきます。レンさんが名言だと感じたのは、その時のエマさんの第一声でした。
「重みがない」って言って。何?何が?みたいな。スマホないみたいな。「君取った?」とか言ってさ、俺がなんか疑われて。
エマさんはこれまでにもスマホをなくしており、今回が3回目でした。1回目は香川、2回目はハワイです。対策として、首から下げるストラップ付きのケースを使っていました。
常に首から吊り下げるタイプのケースで、いつもあの重みを感じながら歩いてたんだけど、もうなんか気づいたら重みないわってなって。
スマホがないと気づいた瞬間の気持ちを、エマさんは「心臓が下に落ちるみたい」と表現しました。そうした中でも、楽天モバイルへの連絡、Googleへのログイン、イギリスでの新しいスマホの値段など、明日からのことを必死に考えていたそうです。
日本なら楽天モバイルがSIMを止め、新しいSIMを自宅に届けてくれますが、海外ではそうはいきません。エマさんは、塔の上で写真を撮った記憶を頼りに、287段をもう一度登ると決めました。
レンさんは、ハワイの時の記憶がフラッシュバックし、笑いに変えるしかないと動画を回し始めます。後ろから「もう一回登るの?」と話しかけても、エマさんには完全に無視されたそうです。
エマさんは暗い階段を一段ずつ確認しながら登りました。1回目はきつかった287段が、2回目はまったくきつくなかったといいます。
なんかほんと生存本能みたいな感じで、火事場の馬鹿力じゃないけど、マジでやばい状態に立たされた時になんか身体的なキャパシティ超えるっていうのかな。
一方のレンさんは、しっかりきつかったと証言しています。1人で登って見つからなかったら発狂するのではないかと思い、一緒に登ったそうです。
結末は奇跡的でした。塔の最上部にある屋根付きのベンチで、たまたま居合わせた日本人の女性がスマホを預かってくれていたのです。
登頂
287段のらせん階段を登り、赤い屋根の景色を撮影
異変
下りきってから「重みがない」と気づく
再挑戦
階段を一段ずつ確認しながら、もう一度287段を登る
発見
最上部のベンチで、日本人の女性がスマホを預かってくれていた
ストラップが付いたスマホがなぜベンチに置かれていたのか、エマさん本人にもわからず、無意識だったようです。レンさんは、ストラップでも防げないならもう打つ手がないと頭を抱えていました。
スマホが見つかったエマさんは、地獄から天国に移ったような気分になり、レンさんがご飯を食べたいと言っても「お腹減ってない」と答えるほど興奮していたそうです。
プラハではほかに、カレル橋や教会などの主な観光地を回りました。レンさんの話では、チェコはビールの消費量が世界一で、日本人の4倍ほどといいます。2人は丸っこいチェコのジョッキでビールを楽しみ、ピルスナーウルケルの醸造所も訪れました。
パルテノン神殿の美しさと、荒れたアテネの街
次に訪れたギリシャは、前半がアテネ、後半がサントリーニ島という行程でした。レンさんは、古代ギリシャ好きにとってアテネはたまらないと話します。
特に良かったのは、アクロポリスとアクロポリス博物館です。エマさんは、紀元前にこれほど精巧な美術品が作られていたことに驚きました。
なんか紀元前のものあったら「おお」みたいな。「お、ちょっとすごいな」みたいな感じでさ、注目されるみたいなエリアにさ、ずっと置いてたりするけど。
アクロポリス博物館では、すべてが紀元前のもので、レンさんの記憶では紀元前300〜400年ごろのものが多かったそうです。壺の絵や彫刻は、千数百年後の他の国の作品よりもリアルに見えたといいます。
レンさんが感動したのは、パルテノン神殿のペディメント ── 古代ギリシャ建築で、屋根の下にある三角形の切妻部分。神話の場面などを描いた彫刻で飾られることが多いです。大英博物館にもパルテノン神殿の一部がありますが、本物はやはり違ったと話しています。
ただ、アテネの街は2人が訪れた中で一番荒れていたそうです。レンさんによると、経済破綻の時に市民が暴れた結果、落書きだらけになったといいます。エマさんは、プラカという小道の多い地区はきれいだったと補足しました。
アクロポリスやパルテノン神殿、紀元前の精巧な美術品に圧倒された
落書きが多く、訪れた中で一番荒れていて少し怖かった
何もしない贅沢、サントリーニ島のカルデラビュー
サントリーニ島は、2人とも「めっちゃ良かった」と口をそろえるリゾート地です。日本人も多く、ハネムーンで訪れる人もいるのではないかとレンさんは推測していました。
エマさんの言葉では、サントリーニ島は昼も夜もどこを撮っても絵になる場所です。青い海と白い建物の組み合わせは、レンさんにとって理想のリゾートそのものでした。
ホテルの多くには、それぞれ専用のカルデラ ── 火山の噴火などで地面が陥没してできた、大きな円形のくぼ地。サントリーニ島では、海に沈んだカルデラの崖沿いに町が広がっていますビューが付いていたそうです。2人は、丸い地形の斜面に白い建物が並ぶ景色に魅せられ、世界一美しいといわれる夕日も見ました。
他の旅ではアクティビティを詰め込みがちでしたが、サントリーニ島では唯一、何もせずホテルでのんびり過ごしました。プール付きのホテルで部屋で食事をとり、エマさんはそれを「極楽ラグジュアリー」と表現しています。
ガウディ建築とスペイン料理のバルセロナ
スペインとポルトガルは1つの旅として回りました。バルセロナでは、カサ・ミラ、カサ・バトリョ、サグラダ・ファミリアといったガウディ ── スペインの建築家アントニ・ガウディ。自然の形を取り入れた曲線的な建築で知られ、サグラダ・ファミリアは今も建設が続いています建築を中心に見て回り、ピカソ美術館にも足を運びました。
エマさんは、丸みのあるガウディ建築を「可愛い」と感じ、歩道のタイルまで丸っこい絵柄だったことに気づいています。レンさんは、街そのものを美術的に装飾しようとする意識を感じたといいます。
ただし清潔さについては、日本と比べてしまうとエマさんは話します。それでも、パエリア、トルティーヤ、タパス、イベリコ豚などのスペイン料理はとてもおいしかったそうです。
リスボン行きが消えた夜と、忘れられない海鮮スープ
バルセロナからリスボンへ向かう飛行機は、出発直前にキャンセルされました。エマさんの理解では、天候が悪く、乗る予定の機体が来なかったためです。
2人が欠航を知ったのは、保安検査を通って搭乗口まで来た後でした。アナウンスはなく、待っていた人が少しずつ減っていき、電光掲示板を見て初めて「キャンセル」の表示に気づいたといいます。
搭乗口で待機
アナウンスもないまま、周りの乗客が減っていく
掲示板で発覚
キャンセルの表示を見つけるが、メールは届かない
30分後に通知
ようやくメールが届くが、振替便は1週間後
自力で再手配
夜11時ごろ空港で、別の航空会社の高額な翌日便とホテルを確保
振替便は1週間後で、その頃にはロンドンで仕事に戻らなければならないため、キャンセルするしかありませんでした。返金手続きはしたものの、収録時点ではまだお金が戻っていないそうです。
出発が1日延びたことで、2人はヨーロッパ最大級といわれるバルセロナの科学館を訪れました。展示はとても良かったものの、飛行機のトラブルで喧嘩中だったため、ほとんど話さずに回ったといいます。
粛々と回ってしまったな。
リスボンでは、1日目に予定していたチケットやホテル1泊分が無駄になりました。それでも、坂と海と大西洋の景色、走る黄色いトラムなど、南国のような街並みが印象に残ったそうです。
エマさんがリスボンで食べた海鮮トマトスープは、ここ数年で一番おいしかったといいます。
でもなんか「マジでこれは突き抜けてる」みたいな、「本当に心を動かされた」みたいな、そういうのってあんまないじゃん。それが感じられて、ポルトガルで。
レンさんは、家で作る親子丼にもいつも感動していると反論していました。リスボンには結局2日しか滞在できず、2人はもう一度ちゃんと見に行きたいと話しています。
航空会社の倒産を越えて、アイスランドで見たオーロラ
アイスランドへの旅でも、思わぬ飛行機トラブルが起きました。出発前日にチェックインしようとしたところ、予約していた航空会社が潰れていたのです。
飛行機のチケットをチェックインしようとしたら、その航空会社が潰れてた。いや、ありえなくない?
倒産やキャンセルの連絡はなく、ホームページも閉鎖されていたそうです。2人は別の航空会社で同じ日の便を買い直し、2人で20万円ほどかかりました。その夜、怒りが収まらないエマさんの提案で、アイスを食べながら収録した音源は来年配信する予定です。
トラブルを忘れるほど、アイスランドは良かったといいます。2人とも、今年訪れた国の中で一番好きなのはアイスランドでした。
レンさんは、人工的なリゾートとしてはサントリーニ島も良かったが、ギリシャ全体ではアテネが足を引っ張ったと説明します。絶景好きのエマさんは、氷河や迫力のある滝、温泉のブルーラグーンを挙げ、ブルーラグーンからオーロラが見えたのは最高だったと話しました。
こんな感じかなと思ってたけど、やっぱ直接見たらね、こんな動いてんだよオーロラみたいな。
レンさんは、動画で見られるからと正直オーロラをなめていたそうです。実際には秒単位で動き、2人は運よく緑と赤の強いオーロラを1晩だけ見ることができました。
黒い砂のビーチでは、シンバルを叩いて響かせたような、聞いたことのない音がしたとエマさんは振り返っています。
サンタクロース村で叶った、子どもの頃の夢
フィンランドには、サンタクロース村に行きたくて訪れました。予約していたトナカイのソリや犬ぞりのアクティビティも楽しめたそうです。
気温はマイナス15度ほどでしたが、風が弱く日も出ていたので、北海道出身のレンさんには思ったより平気だったといいます。
エマさんはこれまでホワイトクリスマスを体験したことがありませんでした。カナダ留学中も、1月には雪が降ったもののクリスマスには降らなかったそうです。
だからよく絵本とかで見るクリスマスの景色そのままみたいな感じ。
雪をかぶった針葉樹、トナカイ、犬、サンタクロース、世界中から届く手紙。エマさんは、こんなにクリスマスらしいクリスマスは初めてだと感じました。レンさんは、イギリスや日本が「作る」クリスマスなのに対し、村ごとナチュラルなクリスマスだったと表現しています。
イギリスや日本では、雪のない中でクリスマスらしさを頑張って演出している
サンタクロース村では、本物の雪の上に飾りやトナカイ、サンタがそろっていた
2人が予約したのは8月ごろで、その時点でクリスマスの時期はもう埋まっており、行けたのは11月中旬でした。エマさんは、雪がないとソリもできないので、クリスマスに近い時期に行くなら早めの予約を勧めています。
レンさんにとっては、子どもの頃の夢が叶った旅でもありました。さらに、ロンドンのグリニッジ天文台で、地理の資料集を見て憧れていた本初子午線 ── 経度0度を定める基準の線。イギリスのグリニッジ天文台を通り、ここを境に東経と西経が分かれますをまたいで行き来することもできたそうです。エマさんにとっては、アイスランドでオーロラを見られたことが夢の実現でした。
ベルサイユ宮殿とルーヴル、そしてパリのディズニー
最後の旅先はフランスです。エマさんは、パリの建物はイギリスに似ていると感じた一方で、ベルサイユ宮殿がとても良かったと話します。
エマさんは、マリー・アントワネットが過ごした場所を見て、おとぎ話のような人物が実際にそこで暮らしていたと実感しました。豪華な暮らしをしていた人がフランス革命に巻き込まれて処刑されたと思うと、少しかわいそうになったといいます。
2人は、日本の城とは規模がまったく違う宮殿の大きさや、巨大なベッド、装飾だらけの寝室、飾られすぎた肖像画にも驚いています。
ルーヴル美術館では、モナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ ── 翼を広げた勝利の女神ニケの大理石像。紀元前2世紀ごろの作とされ、スポーツブランド「ナイキ」の名前の由来になった女神ですを見ました。レンさんは教科書で見たものに出会う感動を味わい、エマさんはもう少し勉強してから行けばよかったと後悔しています。
パリでは2日間かけて、ディズニーランドとディズニースタジオも回りました。人生史シリーズの第1回はディズニーでのプロポーズの回で、その記念日に近い時期に合わせて訪れたそうです。
パリのディズニーは日本に比べて空いていて、名前が同じでも内容が違うアトラクションが多かったといいます。例えばインディ・ジョーンズは、日本では室内のバギー型ですが、パリでは普通のジェットコースターでした。
城は、日本のシンデレラ城ではなく眠れる森の美女の城でした。前日に本物の宮殿を見ていたエマさんは、ディズニーの城がいかにも作り物に見えたそうです。
レンさんによると、これは意図的な設計です。パリの城の考え方と、東京やアメリカの城の考え方は異なるといいます。
本物の城が多いヨーロッパでは、あえてメルヘンな「作り物」の城にしている
実在の城をモデルにして、リアルさを追求している
ディズニースタジオでは、アベンジャーズやトイ・ストーリーのエリア、カーズの乗り物など、日本にないアトラクションを楽しめたといいます。
いい1年の締めくくりと、来年への約束
1年を振り返り、エマさんは、いろいろな国に行けていろいろな人と知り合えた年だったと話します。レンさんも、いい1年だったと応じました。
いや、私もね、君が来てからね、楽しかった。
レンさんは、リスナーのおかげでトリビアアワードなどの楽しい企画もできたと感謝しています。来年の目標について、レンさんは引き続き健康をキープしたいとし、エマさんは2026年の回で発表すると話しました。
あけおめ回も休まず配信すると約束し、2人は最後にあらためてポッドキャストアワードへの投票を呼びかけました。締めの挨拶は、疲れ気味の「よいおとフォー」です。
まとめ
2025年のサイエントークは、毎週更新を守りながら難しい物理回にも挑み、リスナーの再生データという形で手応えを得た1年でした。ロンドンで再会した2人は、10カ国の旅で絶景やトラブルを重ね、比べる経験が増えたことで日本の良さを再発見しています。
- 1年前に掲げたシュレディンガー到達や犬猫論の回など、番組の目標の多くを達成した
- 難しい物理回でも完了率が105%に達する回があり、リスナーが離れなかったことが励みになった
- 研究から離れたイギリス生活は、レンさんにとって凝り固まる前に視野を広げる機会になっている
- プラハ城の塔ではスマホを紛失したが、287段を登り直し、日本人の女性に助けられて取り戻した
- 2人が一番好きだった国はアイスランドで、オーロラの迫力は動画とはまったく違ったという






