ポッドキャストシンポジウム2025は何が「大成功」だったのか
サイエントークのレンさんは、4月12日に「ポッドキャストシンポジウム2025」というポッドキャストのイベントを開催しました。この回は、そのイベントの振り返りと、すでに計画している次のイベントの告知を、レンさんがひとりで話す構成です。
レンさんはまず、来場者、配信の視聴者、宣伝に協力した人たちへ感謝を伝えています。お客さんも多く入り、イベントとして成立させられたうえで、トークや交流の時間に現地の熱狂を感じたといいます。
(イベントを)やるって言ってよかったなというか、なんかすごいいい思い出に僕自身なったなと思ってます。
ポッドキャストシンポジウム2025は、4月26日いっぱいごろまで有料のアーカイブ配信で見られると案内されています。有料版なのでレンさんは顔出しで話しており、「見て損はないんじゃないか」と勧めています。
当日は開演の1時間前ほどに出演者が集まりました。夜の農家の山本さん・伊藤さん・りょうやん、工業高校農業部の牛若さんとマスボウさん、ママが自分を取り戻すラジオの杉部さん、ものづくりのラジオの支部長さんという顔ぶれです。
会場の梅田ラテラルは、ミラーボールや客席、机、スライドを映すプロジェクターがそろったトークライブハウスでした。トークライブハウスにあまり行ったことがなかったレンさんは、思ったより広々していたことに驚いたといいます。
ビールジョッキで入場、パンフレットは「君の名は」状態に
梅田ラテラルは飲食ができる会場で、準備の段階からビールを飲みながら進められたそうです。レンさんは始まる前にビールを2杯飲み、ジョッキを持ったまま入場したと話しています。
というかビールジョッキ持ちながらあの入場しましたからね。そういうすごいライトなイベントで。
開演前には楽屋の声が観客席に漏れ聞こえていて、それを指摘する声もあったそうです。本番は出演者全員の自己紹介から始まり、配信の視聴者も最初からコメントで盛り上げてくれたことを、会場のコメント表示用のiPadで感じていたといいます。
今回のシンポジウムでは、ロゴを制作したイラストレーターの白川みのりさんの協力で、立派なパンフレットも用意されました。シンポジウムの説明や出演者紹介が載った、レンさん好みのおしゃれなデザインだったそうです。
ところが開催の1週間ほど前、パンフレットに重大な誤植が見つかります。出演者の名前がみんな入れ替わっていたのです。最終チェックした画像では正しかったものの、制作ソフトのエラーのようなもので印刷直前に入れ替わり、そのまま刷られてしまったといいます。
あの出演者の名前が、あのみんな入れ替わってるみたいな、あのすごい君の名は状態のパンフレットになってる。
パンフレットの誤植をDNAのコラムで救った方法
パンフレットを印刷し直す時間はなく、費用も倍かかってしまいます。そこでレンさんは、お詫びの紙を挟むだけでなく、その紙にコラムを書いて差し込めばごまかせるのではないか、と考えました。
レンさんが書いたのは、DNAの誤植にまつわる短い小話です。前日に、そのコラムをパンフレットの間に差し込む作業をしていたといいます。
コラムの趣旨は、人間のDNAは1日に何万箇所も誤植を起こし、それを修正して生きているのだから、パンフレットの誤植なんて細かいことでしょう、だから許してね、というものでした。来場者からは「気が利いていますね」と意外に好評だったそうです。
発覚
開催1週間ほど前、出演者の名前が入れ替わった状態で印刷されていたと判明
制約
刷り直す時間がなく、費用も倍かかる
対策
お詫びの紙にDNAの誤植小話のコラムを書き、前日に差し込む
結果
「気が利いている」と好評で、本番中の誤植ツッコミも笑いに
この流れもあって、本番中にスライドの誤植が見つかったときにも指摘が入る場面があり、レンさんはそれも面白かったと振り返っています。
観客がステージにビールを奢る「差し入れシステム」
梅田ラテラルには、会場側の仕組みとして「差し入れシステム」がありました。話している最中に、観客がステージ上の出演者へビール1杯などを奢れる仕組みで、レンさんは始まるまで知らなかったそうです。
本番が始まると、次から次へとビールが差し入れられ、唐揚げやポテトなどの食べ物も届いたといいます。結局レンさんはトータルでビールを6杯ほど、さらにチューハイも飲んだと話しています。
夕方からのイベントで、レンさんは3分の2のセッションに出演していたため、食事をとる余裕がありませんでした。準備前にサンドイッチを1つ食べれば足りると思っていたものの全然だめで、差し入れでお腹を満たして回復できたそうです。
僕その辺何も考えないで、あの、こう準備の前にサンドイッチ一個食っときゃいけるだろうと思ってたんですけど、全然ダメでしたね。
3つのセッションはどう組み立てられていたのか
ポッドキャストシンポジウム2025のトークは3つのセッションで構成されていました。第1セッションはレンさんと工業高校農業部によるもので、ドラえもんの秘密道具を科学っぽい目線で見るとどうなるか、という話を交えたトークです。
第2セッションは杉部さん、支部長さん、レンさんの3人で、ポッドキャストや好きなことを話す活動がどんな原体験から来ているのか、という話をしたそうです。
最後は夜の農家のセッションで、農薬のチラシクイズが行われました。その農薬が抗菌用か、殺虫用か、雑草用かを、来場者がグーチョキパーで答える形式です。
来場者がいっせいに手を挙げる様子は、フェスのような写真になり、SNSでも「フェスみたい」というコメントがついたといいます。
レンさんは、この順番がとても良かったと自画自賛しています。秘密道具で場を温め、原体験のトークを挟み、最後にクイズで盛り上がって終わる流れだったからです。
レンさんが一番大切にした交流の時間
ここまでは普通のトークイベントに近い内容でしたが、レンさんがシンポジウムでいちばん大切にしたかったのは交流の部分でした。会場の後方が空いていて、夜11時ごろまで使えたため、交流の時間はできるだけ長く取ったといいます。
交流の前には、配信と現地の両方から質問を受けるQ&Aセッションを20〜30分ほど行い、配信はそこで終了しました。その後の交流時間は、2時間弱ほどあったそうです。
交流時間には、グッズを持ってきた人がグッズを見て回ったり、買ったり、サインを求めたりしていました。レンさん自身は途中からずっと、来てくれた人と直接話していたといいます。
僕海外行く前から若干もうホームシックじゃないですけど、ああなんかこう、ちょっとみんなとは離れちゃうなみたいな気持ちもあって。
海外へ行く前のさみしさを満たしてくれる、わいわいした空間になっていたことが、レンさんにとってうれしかったようです。
アーカイブ配信は、Q&Aセッションの終わりまでで2時間半ちょっとの大ボリュームだと案内されています。またレンさんは、イベントでもらったものはイベントで返したいと考えており、次のイベントの資金に使うつもりだと話しています。
手作りキーホルダーとシンポジウムのその後
レンさんは今回、個人のグッズとして手作りのキーホルダーを用意しました。「忘れてみたい夜だから」という番組の内海あささんが、ポッドキャストや好きなアーティストのキーホルダーを作れると紹介していた動画から着想を得たものです。
このキーホルダーにはNFCタグ ── 近距離無線通信の規格NFCに対応した小さなICタグ。スマートフォンをかざすだけで、登録したURLを開くなどの動作ができますが入っていて、スマホを近づけるとホームページやポッドキャストを開けます。10個ほど用意したところ、すべて売り切れたそうです。
レンさんは、ポッドキャストシンポジウムをこれで終わりにはしたくないと話しています。ただし日本を離れるため、次の開催は近い未来ではないとも付け加えています。
まあ、そんな近い未来ではないです。あの僕がね、日本から離れちゃうんで。
イベント後は一部のメンバーで打ち上げをし、そのままカラオケへ行って、気づけば朝6時ごろになっていたといいます。翌日は昼ごろまで寝て、そこから引っ越しの準備をしていたそうです。
5月9日開催のPodcastAcademy2025とは?
この回の収録は4月15日の夜10時過ぎです。次のイベントはしばらく先だと多くの人が思っていたところで、レンさんは5月9日に新しいイベント「PodcastAcademy2025」を開くと発表しました。
PodcastAcademy2025は、ひとことで言えば、もう少し科学系に寄せたイベントです。レンさんは自分で書いたイベント説明文を読み上げています。
説明文では、PodcastAcademyは「科学系ポッドキャスターが主催するリアルトークイベント」で、「ポッドキャストを通して実現する人に伝える方法を参加者と共に考えます」とされています。出演は、研究者のレンさん、宇宙話の佐々木良さん、サイエンスコミックライターのあやねさんの3人です。
会場は、東京都文京区の出版社サンクチュアリ出版のイベントスペースです。サンクチュアリ出版側から「よければイベントをやりませんか」と連絡があり、昨年のポッドキャストシンポジウムを見てくれていたのかもしれない、とレンさんは推測しています。
レンさんは5月中旬にはロンドンへ旅立っており、その直前に東京へ寄る用事がありました。その前日なら空いていると、ダメ元でピンポイントの日程を送ったところ、その日で大丈夫だと返事が来たそうです。
うーん、まあ最後だし、あと今年の後半はきっとイベントとか難しいだろうし、やるかと思ってイベントやることにしました。
PodcastAcademy2025の日時・チケット・配信
PodcastAcademy2025の開催は5月9日金曜日、19時半から21時までの90分間です。開場はその30分前の19時です。
サンクチュアリ出版のイベントスペースは最大30人まで入れる会場で、会場観覧チケットは先着順です。エピソード配信時点ですでに発売が始まっていると案内されています。
| 項目 | ポッドキャストシンポジウム2025 | PodcastAcademy2025 |
|---|---|---|
| 日程 | 4月12日 | 5月9日金曜日19時半〜21時 |
| 会場 | 梅田ラテラル | サンクチュアリ出版のイベントスペース(最大30人) |
| 重点 | 交流、わいわいやること | トーク、科学寄りの内容 |
| 配信 | 生配信とアーカイブ(4月26日ごろまで) | 生放送なし、期限はおそらくないアーカイブ |
PodcastAcademy2025では生放送はできないため、会場観覧のあとにアーカイブ配信がある形です。アーカイブの視聴期限は、おそらくないだろうとレンさんは話しています。
なぜシンポジウムの次に「アカデミー」なのか
レンさんには以前から、ポッドキャストのイベントについての構想がいくつかありました。そのうちの1つがシンポジウム、もう1つがトークに集中させたアカデミーのようなイベントです。
交流をメインにしたシンポジウムは実現できたので、次はトークに焦点を当て、サイエンス系に寄せたイベントをやってみたい、と考えたといいます。その経験を通して、自分の発信のやり方を見直し、レンさん自身も成長できるかもしれないという期待もありました。
今回ポッドキャストアカデミーっていうやつ、まあできるチャンスがあるならもうやるべきだろうと思って、あの、えいやでやることを決めました。
もう1つの理由は、リアルイベントで直接話せる面白さを、リスナーに提供したいという思いです。
出演者・佐々木良さんとアヤネさんの紹介
PodcastAcademy2025に出演する佐々木良さんは、宇宙話のパーソナリティです。レンさんとはイベントで話すのが4回目か5回目になるそうです。
宇宙話は科学系ポッドキャストのなかでも有名な番組だとレンさんは紹介しています。佐々木さんは本業でAI関連の仕事をしており、宇宙やAIの話を中心に、人にうまく伝える方法を聞きたいといいます。
もう1人のアヤネさんは、サイエンスコミックライターです。VTuberのような活動をしたり、科学系の企業とコラボして漫画でわかりやすく伝えたりしているほか、ラジオ「RPNP個生物ラジオ」もやっているそうです。
アヤネさんは、科学系の発信をする人たちのユニットを作って活動しています。サイエントーク公式ホームページのプロフィール欄にある漫画もアヤネさんが描いたもので、2年前ほどからの知り合いだといいます。
ただしアヤネさんとは、ポッドキャスト上ではまだ話したことがないそうです。話がとても面白い人なので、いつか話してコンテンツにしたいと思っていたところ、東京にいると聞いてオファーし、快く引き受けてもらえたといいます。
「アカデミー」という名前でも硬くない、誰に来てほしいのか
レンさんは、PodcastAcademyという名前からポッドキャストについて叩き込まれるイベントのような印象を持たれるかもしれないが、全然そんなことはないと話しています。
来てほしいのは、声で何かを発信することに興味がある人、直接話せる機会を求めるポッドキャストのリスナー、アカデミックな話やサイエンスコミュニケーションに興味がある人たちです。
会場のサンクチュアリ出版は、南北線の東大前駅から徒歩5分です。レンさんは、このイベント以降は1年ほど直接会う機会を作れないだろうと話し、来場を呼びかけています。
来場が難しい人向けには、アーカイブ動画のチケットも販売されています。副タイトルは、レンさんがつけた「科学視点で話す人、描く人」です。レンさんは、科学寄りのイベントはこれまであまりやっておらず、自分にとってもチャレンジングな部分があると話しています。
アマチュアのポッドキャストに光が当たる場所が増えている
レンさんは最近、アマチュアのポッドキャストやポッドキャスト自体の注目度が上がってきていると感じているそうです。
例として挙げたのが、アマチュア主体のポッドキャストのアワード「ポッドキャストスターアワード」を立ち上げた人の存在です。レンさんは、試みとしてとても面白いと評価しています。
一番大きなアワードとしては、ニッポン放送が開催しているポッドキャストアワードがあります。レンさんは今年それに参加し、「開催してくれて本当にありがとう、悔しいけど」と思っていたそうです。
そのうえでレンさんは、いろいろなポッドキャストにスポットライトが当たる場所が増えるのはいいことだと話しています。面白いからイベントをやりたいという気持ちから始めつつ、経験を積んでやり方にも慣れてきたので、つながりや輪が広がっていけばいいと純粋に思っているそうです。
研究者が渡英直前にポッドキャストを続ける理由
レンさんには、ポッドキャストでできることの限界がどれくらいなのかという、単純な興味もあるといいます。本業は研究者で、芸能人でもないレンさんが、ポッドキャスターとして認知度を広げていく面白さを感じているのです。
それと重なるのが、ポッドキャストを始めたそもそものモチベーションである「科学面白いよね」を広めていきたいという思いです。この2つが重なって、時間を捻出していろいろ取り組んでいるといいます。
「お前はこうイギリス行くのにそんなことやってる場合なのか」とか言われそうなんですけど、まあなんとかね、あの、一応やれてますんで。
バタバタしながらも、ネタ集めもできていて、本業の研究も全力でやれているので、意外となんとかなっているのが現在の状況だそうです。そのなかでレンさんは、結局ポッドキャストが好きなのだと話しています。
最後にレンさんは、急いで収録したことを詫びつつ、ポッドキャストシンポジウムへの感謝をあらためて伝えました。そして、5月9日のPodcastAcademy2025への来場を呼びかけて、この回を締めくくっています。
まとめ
サイエントークのレンさんは、ポッドキャストシンポジウム2025を交流の熱気あふれる成功として振り返り、その経験をもとに、トークと科学に重心を置いたPodcastAcademy2025を渡英直前に開くことを決めました。根っこにあるのは、自分のままでポッドキャストを楽しみ続けたいという思いです。
- ポッドキャストシンポジウム2025は、3つのセッション、Q&A、2時間弱の交流時間で構成され、交流をいちばん大切にしたイベントだった
- パンフレットの誤植は、DNAの誤植になぞらえたコラムを差し込むことで、かえって好評につながった
- PodcastAcademy2025は、5月9日にサンクチュアリ出版で、佐々木良さん・アヤネさんと開く科学寄りのトークイベント
- アマチュアのポッドキャストに光が当たる場所が増えていることを、レンさんは歓迎している
- 研究と渡英準備に追われながらも、レンさんは「科学面白いよね」を広めるためにポッドキャストを続けている


