2024年はなぜ「激動の年」だったのか
サイエントークの2024年最後の配信は、毎年恒例になりつつある忘年会回です。エマさんは、2024年が和歌山での正月旅行から始まったことを振り返ります。
レンさんは、気づけばエマさんがイギリスへ行き、いろいろなことがあった1年だったと話します。ただ、2023年の忘年会を聞き返すと、結婚やハネムーン、結婚式があり、そのときも「激動だった」と言っていたそうです。
エマさんは、結婚は多くの人が経験することだと区別します。一方で2024年は、エマさんのイギリス行きやレンさんが3回死にかけたことなど、周りの人があまりしない出来事が重なった年だったといいます。
だけど2024年は私がイギリス行ったりだとか、君が3回死にかけたりとか、周りの人があんまりやらないようなことをしたという年、激動だった。
周りの人があんまりやらないようなことってさ、あたかも(死にかけるのを)やりたかったかのように言わないでくんない?
レンさんも、2024年が異常な1年だったことは認めます。この回では、近況報告をしたあと、ポッドキャストのデータも見ながら1年を振り返っていきます。
3回死にかけた1年、始まりは祖父との別れ
レンさんが2024年に「死にかけた」出来事の1回目は、トルコ旅行から帰ったあとの高熱です。40度ぐらいの熱が出て、自分で救急車を呼んで搬送されたといいます。
2回目は、鳥刺しを食べてカンピロバクター ── 鶏肉などを介して感染することが多い食中毒菌。加熱不十分な鶏肉が主な原因とされ、発熱や下痢、腹痛などを起こしますに感染したことでした。熱は39.8度ほどまで上がり、1週間ほど寝込んだそうです。
3回目の高熱は11月末です。そのきっかけは、レンさんの大好きだった祖父が亡くなったことでした。
レンさんは祖父にとって初めての孫で、とても可愛がられ、毎年誕生日に電話をしていたといいます。祖父の家がある北海道へ急いで帰り、お通夜とお葬式に参列しました。
レンさんの家のお通夜は、本当に夜通し行うものです。葬儀会場に泊まり、一晩中飲み会のように過ごします。
中学生や高校生のいとこたちに混ざって、大人もスマブラやワードウルフ ── 参加者のうち少数だけが違うお題を渡され、会話から少数派を探し当てる会話型ゲーム。人狼ゲームの一種ですで盛り上がり、朝4時か5時まで騒いだといいます。お酒好きだった祖父のお葬式ということで、大人たちはひたすら飲んでいたそうです。
うちのおじいちゃん、自分で作った梅酒を焼酎で割るっていう人だったんだけど、割れてないんだけどね。
エマさんは、天国から祖父が見て笑っていそうだと受け止めます。レンさんも、寂しさはあるものの、久しぶりに親戚と会えた時間だったと話します。
真冬の北海道の高速道路で起きた事故
レンさんにとって問題が起きたのは、葬儀を終えて帰る道中でした。お葬式の翌日にもう1泊し、その次の日の昼ごろ、父親の運転する車で4時間ほどの帰路に出ます。
走り始めて1時間ほどで、雪もあるなか、車がガードレールに接触しました。レンさんは後部座席で寝ていたそうです。
ボーンってぶつかって、その後コントロールを失って、ちょっとしばらく走ったんですけど。ガタガタガタガタつって、多分ね、タイヤがもうひん曲がっちゃって。
車は動かなくなり、車内には爆発しそうな匂いがしたため、家族はすぐに外へ出ました。真冬の北海道で、高速道路のど真ん中に放り出された形です。
事故現場はサービスエリアから遠い区間で、警察が来るまでに30分ほどかかりました。その間、レンさんは追突事故を防ぐため、スマホのライトで後続車を誘導していたといいます。
さらにレッカー車は出払っていて、最初は来る見込みがないと言われました。歩いて高速道路を降りるわけにもいかず、帰る手段が見えない状態が続きます。
寒さと限界のなかで起きた、トイレの家族会議
事故から3時間ほど経ったころ、レンさんはトイレを我慢していて、限界が近づいていました。この出来事が、事故の中で唯一面白かったエピソードだといいます。
レンさんは警察にトイレへ連れて行ってもらえないか頼みましたが、確認の末に難しいと断られます。「なんとかしてください」と言い残して警察は去っていきました。
「すいません、ちょっとなんか何とかしてもらって」って言われて、そのまま警察いなくなってったんだけど。「なんとかってなんだよ」って。
レッカー車も少なくとも1〜2時間は来ない見込みでした。家族会議が開かれ、その最中に父親もお腹が痛くなり、車内はパニック状態になったそうです。
最終的にレンさんは、警察や警備会社の人の目を盗み、追い越し車線側の中央分離帯のほうで用を足すことにします。車の影に隠れ、前に母親、後ろに弟を立たせて見張ってもらったといいます。
長くない?みたいな。いつまで出してんの?みたいな。のを母親(が)後ろ向きながらずっと言って。
レンさんは用を足したことで、すっかり元気になりました。母親と弟は爆笑し、父親だけがまだお腹が痛い状態だったそうです。
その後に来たレッカー車は、最初は運べない種類の車でした。いったん戻るそのレッカー車の助手席に父親が乗せてもらい、無事にトイレへたどり着けたといいます。
帰宅後の高熱と、エマさんが心配する体の弱さ
レンさんたちはサービスエリアの事務所まで運ばれたあと、自力で帰ることになりました。タクシーで近くの駅へ向かい、1時間に1本ほどの電車に1〜2時間乗って、帰宅は夜10時ごろだったそうです。
事故
昼ごろ、雪のある高速道路で車がガードレールに接触
救助待ち
警察の到着まで30分ほど。2〜3時間ほど現場で待つ
移動
レッカー車でサービスエリアの事務所へ。そこからタクシーで駅へ
帰宅
1時間に1本ほどの電車を乗り継ぎ、夜10時ごろに到着
翌日、ほかの家族も体調を崩しましたが、39度以上の熱を出したのはレンさんだけでした。会社に連絡し、飛行機の予定を2日ほどずらして、実家で寝込んだといいます。
エマさんは、3回の高熱すべてに共通する点を指摘します。同じ状況にいた人がほかにもいたのに、39度台の熱を出したのはいつもレンさんだけだったということです。
だからなんか全部かわいそうっちゃかわいそうだけど、君の体が弱いっていうことでもあるんじゃないかと思うんだよね。
エマさんや母親から生活習慣を見直すよう何度も言われているレンさんは、変な生活はしていないと反論します。それでも最後の件については、熱よりも交通事故で無事だったことが一番だったと振り返ります。
イギリス生活はもう「日常」になったのか
エマさんにとっての2024年最大の出来事は、イギリスへ移ったことです。いまはもう慣れて、日常という感覚になっているといいます。
大変だったのは、生活の立ち上げでした。銀行口座がなかなか作れない、スマホがなかなか手に入らない、水道・ガス・電気の支払いがうまくいかないといった問題があったそうです。
エマさんは周りの人に助けてもらいながらそれらをクリアし、いまは会社の人たちと遊びながら平和に過ごしています。スマホもなくしていないと聞き、レンさんは「成長してる」と感心していました。
レンさんは年末年始にロンドンへ遊びに行く予定で、この回が配信される頃にはロンドンにいるかもしれないと話します。
Spotifyのデータで見るサイエントークのリスナー
2023年に続き、2人はSpotifyがまとめた2024年のポッドキャストのデータを紹介します。レンさんによると、Spotifyで聴いている人は全体の5分の1ほどなので、あくまで参考程度の数字です。
それでも、Spotifyでの再生数やフォロワーは前年の倍になっていました。エマさんは、自身の渡英でリモート収録になり、番組が面白くなくなっているのではという説を気にしていたため、意外そうに受け止めます。
確かに私の反応も良くなくなってるかもなって思ってたけど、もうどうしようもないからさ。
リスナーの年齢層は、かなり満遍なく分かれていました。レンさんが読み上げた割合は次のとおりです。
| 年齢 | 割合 |
|---|---|
| 18〜24歳 | 17% |
| 25〜29歳 | 15% |
| 30〜34歳 | 12% |
| 35〜44歳 | 24% |
| 45〜54歳 | 18% |
| 55歳以上 | 14% |
レンさんは、18〜24歳の割合が少し増えた一方で、ボリュームゾーンは20代後半から30代ぐらいだと見ています。最も増えたのは25〜29歳だそうです。エマさんは、2024年の初めにYouTubeやショート動画に力を入れた影響かもしれないと推測していました。
2024年に一番聴かれたエピソードは?
レンさんは、2024年に一番再生されたエピソードをエマさんに当てさせます。エマさんは、人生史より科学史のほうが聴かれているので、科学史の回だろうと予想しました。
1位の時計の回について、エマさんは9月ごろに出したイメージだったと驚きます。レンさんは、早く出した回のほうが再生数が伸びやすいのかもしれないと話します。
2位のニュートンのコラボ回は4月ごろの配信です。レンさんにとっても思い入れの強い回でした。
なんかもう直接聞きたいこと聞けるっていうのも良かったし、まあリスナーさんからもね、質問いっぱい送ってくれて、それを代理で聞いたりもできたんで、すごい良かったなと思って。
3位は、科学雑誌ではないほうのアイザック・ニュートンの人生を何回かに分けて語ったシリーズの第1回です。エマさんは、3つともタイトルが気になる回だったと振り返ります。
終わらない科学史の次に、医学をやるのか
2024年の科学史シリーズは、化学から始まり、途中から物理、さらに数学へ進みました。数学は途中までで、ノーベル賞の回などで脱線もしています。
エマさんは、毎年「もう科学史が終わる」と言いながら終わっていないことを指摘します。レンさんも、さすがに終わりに近づくはずだと言いつつ、自信がなくなってきたと笑います。
エマさんが今後やってほしいのは医学です。メッセンジャーRNAワクチン ── 遺伝情報の一部であるmRNAを使い、体内でウイルスのたんぱく質を作らせて免疫をつけるワクチン。新型コロナウイルス対策で広く使われましたの話は以前にしたものの、ワクチンそのもの、薬、手術、解剖学の歴史などはまだ扱っていません。
あと何か昔の、ちょっと倫理的にやばい医学研究とかあったら知りたいかも。
レンさんは薬の歴史をやりたいと話しつつ、刺激が強すぎる内容は避けたいと答えます。科学史は素粒子がわかるぐらいのレベルを一度のゴールにし、そのあとで医学を別シリーズにする案を出しました。
2023年の忘年会で話した犬か猫か論争の回も、まだ実現していません。犬の歴史と猫の歴史の本はそれぞれ買ってあり、猫の本はエマさんがロンドンに持っているそうです。
一気聴きしたリスナーの「情報渋滞」
サイエントークのファンには、科学史より人生史が好きな人も多いといいます。イベントで直接会ったリスナーからは「人生史が面白い」とよく言われるそうです。
2024年の人生史で一番反響が大きかったのは、2人が離れ離れになる話の回でした。レンさんには、いまだにコメントや「お前もロンドンに行け」という声が届いています。
レンさんが面白いと感じているのは、200本以上あるエピソードを一気に聴いた人の反応です。交際、結婚、別々の生活という出来事が一度に押し寄せるため、お便りの中で情報が渋滞しているといいます。
エマさんは、いまも一から番組を見つけて聴いてくれる人がいることを喜びます。ロンドンにいるのは2年だけなので、別々の場所にいる期間は長くないとしつつ、記録として残すことに意味があると話しました。
朝日新聞ポッドキャストの神田さんに言われた「羨ましい」
レンさんは最近、大阪に出張で来た朝日新聞ポッドキャストの神田さんに誘われ、2人で飲みに行きました。神田さんは、サイエントークの1年目に出演したゲストです。
その席で神田さんは、サイエントークが羨ましいと熱弁したそうです。人生のいい時を音声で残しているから、という理由でした。
人生のいい時だし、もう子供とかできたらもう子供の動画ずっと見てるからねっていう。昔のやつとかを。
神田さんは、結婚式の準備の様子まで残っていることも価値があると話していたそうです。普通の夫婦なら過ぎて忘れてしまうことだからです。
レンさんは、そこまで話さなくてもいいかと思っていた身近な話にも価値があるのかもしれないと考え直します。2人は、科学の話の合間に、ときどき自分たちの出来事も話していきたいと確認し合いました。
お便りとポッドキャストアワードへの感謝
2024年も、サイエントークには多くのお便りが届きました。レンさんは、お便り会をあまり開けていないことを謝りつつ、またやると約束します。
ぜひやっぱ感想とかもらったら嬉しいからね。もうそれがないと続かないですから。
2人はポッドキャストアワードへの投票も呼びかけます。概要欄のリンクを開くか「ポッドキャストアワード」で検索して、サイエントークに投票してほしいという内容です。
レンさんは、投票しましたと伝えてくれる人がこんなにいるのかと感じ、すでに満足しているといいます。結果がどうであれ、その声がとても嬉しいと話していました。
リモート収録の難しさと、2025年の抱負
1年を通してレンさんが感じたのは、リモート収録の難しさです。2人はビデオをつけず、音声だけで収録してきました。
エマさんは、ビデオをつければ収録の質が上がるかもしれないとしつつ、顔の準備が面倒で抵抗があると話します。レンさんは、キャラクターになれるフィルターを使い、自分が豚でエマさんが馬といった形で試す案を出しました。
準備が要らず気軽。ただしレンさんは収録の難しさを感じている
収録の質が上がるかもしれない。ただし準備が面倒で、フィルター利用の案も出た
2025年の抱負を聞かれたエマさんは、まだ考えたいとしつつ、1月から12月まで丸々イギリスで過ごす最後の年を無駄にしたくないと答えます。
レンさんは、渡英前にエマさんから「これがラストチャンスだ」という資料付きのプレゼンを受けたことを思い出します。レンさん自身は人生を頑張ることと健康を抱負に挙げ、エマさんは39度台の熱をゼロにしてほしいと念を押しました。
ポッドキャストイベントのアーカイブ配信
最後のお知らせは、11月2日にAmazon Music Studio Tokyoで開いた、初めてのポッドキャストイベントについてです。そのアーカイブ音源が、ようやくnoteで公開されました。
アーカイブには、レンさん以外のポッドキャスター同士の対談も含めて全編が入っています。YouTubeアプリで見られ、音源のダウンロードもできるそうです。
| パート | テーマ | 登壇者 |
|---|---|---|
| セッション1 | 企業と大学の若手研究者対談、化学と生物学の境界を越えて | レンさん、ヒヨッコ研究者のサバイバル日記のはちさん |
| セッション2 | 現実と空想の境界線を彷徨うオリジナル地球外生命体の探求 | 宇宙話のりょうさん、ぶつざくのトヨさん |
| セッション3 | 人は歴史の中で食べるものと食べないものの境界をどう変えてきたか | そんない理科の時間のよしやすさん、道草和ハムの道草さん |
イベントのアーカイブは、オープニングトークとエンディングを合わせて3時間分ほどの大ボリュームです。レンさんは、観客との質疑があるライブ感が良かったと話します。当日の資料や写真も見られます。
有料イベントだったため、アーカイブも有料です。通常価格は1000円ですが、1月14日までは半額の500円で購入できます。
第2回を望む声もあるものの、予定はまだありません。レンさんは、オンラインで手軽にできたらいいかもしれないと話し、1年間の感謝を伝えて2024年最後の配信を締めくくりました。
まとめ
2024年のサイエントーク忘年会では、レンさんの事故と3度の高熱、エマさんのイギリス生活という激動の近況から、データで見る番組の成長、来年の抱負までが語られました。
- レンさんは祖父の葬儀の帰りに真冬の北海道で交通事故に遭い、無事だったものの、その後また39度以上の熱を出した
- エマさんのイギリス生活は、立ち上げの苦労を乗り越えていまは日常になっている
- Spotifyでは再生数とフォロワーが前年の倍になり、リスナーの年齢層は満遍なく分かれていた
- 人気1位は時計の回で、今後は科学史を素粒子まで進めたあとに医学シリーズを検討している
- イベントのアーカイブ音源はnoteで公開中で、1月14日までは500円で購入できる


