いま格闘ゲームがめちゃくちゃ熱い
私はストリートファイター6、通称スト6のブームに完全に飲まれています。
スト2を知っている方もいるかもしれませんが、その最新の6番目のタイトルですね。
自分でもプレイするんですけど、それ以上に見るのが楽しみで、毎回のように配信を追いかけています。
特に夢中なのが「SFL」、ストリートファイターリーグの略です。
これはプロチームに分かれて選手が戦うチーム戦のリーグで、ちょうど今シーズンが始まったばかりなんですけど、もう毎回名試合ばっかりで面白いんです。
試合前のインタビューで勝負が決まってる
リーグを見ていて感じたのは、対戦そのものよりも、試合前のインタビューで勝負が決まってるんじゃないかということでした。
スト6が出た当初からずっとこのシーンを追いかけていて、その上で思うんです。
いまトップレベルの攻略って、本当に徹底されてるんですよね。
キャラクターごとの性能差、コンボを磨く練習量、相手のキャラや癖への対策。プロはこれをみんな徹底的にやり込んでいます。
もちろん選手ごとの差はあるんですけど、その差が結果に出にくいくらい、全体のレベルが上がりきってるんです。
上は40代から、リーグの最年少は15歳。それでもみんなレベルが高い。
じゃあ何で勝敗が分かれるのか。これがずばりメンタルの差なんですよね。
メナRD選手の強さはどこにあるのか
これを一番感じさせてくれたのが、通称「メナち」と呼ばれる、ドミニカ共和国出身のメナRD選手です。
今シーズンから日本に来てZETA DIVISIONというチームに所属することになったんですが、いろんな大会で圧倒的な強さで結果を出し続けています。
彼の強さって何なんだろうな、とよく考えるんです。
反射神経やプレー自体もすごいんですけど、でもそれ以上に感じるのがメンタルの強さなんですよ。
そしてその差がどこで一番出るかというと、これが試合前のインタビューなんですよね。
格闘ゲームには昔からの文化として「煽り」というのがあります。
ゲームセンター時代の名残で、試合前に相手を挑発する、プロレスのマイクパフォーマンスみたいなものですね。
これはこれでエンタメとしてはめちゃくちゃ面白いんです。ただ、ちょっと時代と合わなくなってきている感じがある。
いまはeスポーツと呼ばれて、プロスポーツ選手としての質が求められる時代です。そういう空気の中で煽ると、それがそのまま自分に返ってきちゃう。
見ているとはっきりわかるんですけど、煽った選手の方が明らかに動きが硬くなるんですよね。
自分で吐いた言葉に、自分の心が引っ張られている。
しかも今の大会形式だと、煽りは相手にリアルタイムには届いていなくて、観ている我々には聞こえるけど、相手選手には届いていない。だから相手にも効かず、自分だけが聞いているんです。
一方でメナRD選手をはじめ、安定して結果を出している選手たちは煽らないんですよ。煽られても感情で反応しない。
じゃあ何を言っているかというと、それが感謝なんですよね。
対戦相手へのリスペクト、相手のプレーへの賞賛、舞台を用意してくれた環境への感謝、ファンへの感謝。とにかく感謝に重心が置かれる。
その上で「自分が勝つ」ということを、すごく静かに謙虚に言う。これが徹底されているんです。
しかもアドリブでこういう言葉は出てこないんですよね。普段から相当訓練されているんだなと感じます。
準備していないと、やっぱり感情的になっちゃう。改めて、エンターテイナーじゃなくてプロなんだな、アスリートなんだなと思わされました。
心を、口から整えるということ
ここから仏教の話です。
仏教でも心が大事ということは本当によく言われます。行いには3つあるという考え方があるんですね。
体でする行い、口でする行い、心でする行い。身と口と心。これで「三業」といいます。
このうち一番コントロールが難しいのは、心の行いなんです。
体の行いはやめると決めたら一応やめられる。口もある程度は止められる。でも心は勝手に動くんですよね。
腹が立つ、羨む、見下す。やめようと思っても湧いてきます。
面白いなと思うのは、この順番なんです。一番重視しているのは心なのに、その心を直接どうにかしようとせず、まず口から整えたんですよ。
さっきのメナRD選手たちがやっていることって、まさにこれだと思うんです。
感謝の言葉、相手を敬う言葉を意識して口に出し続ける。そうやって言葉で外堀を埋めることで、内側の心の形が整っていく。
逆に迂闊に愚痴や怒りを口にすると、言葉に心が引っ張られてブレる。いつもの練習でやったことが出せなくなる。
煽った選手の動きが硬くなるのも、多分同じことが起きてるわけですよね。
大事な場面で、何を口にするか
これはスポーツ選手だけの話じゃないと思うんです。
試合前のインタビューみたいなハードな場面はなくても、大事な発表やプレゼンで、ここで何を言うかが問われる瞬間ってありますよね。
そういう時、つい、うまくいかない理由を並べたり、誰かのせいにしたくなったりする。よくわかります。
でも愚痴を言えば愚痴の心になるし、逆に感謝を言えば、少しだけでもそっちに寄るんですよね。
普段からどういう言動を心がけるかで、大事な場面で口にする言葉も変わってくる。これは意識する価値があるなと思ったわけです。
その気づきがeスポーツから出てきたというのが、私としてはめちゃくちゃ面白くて。
試合もそうですけど、選手の言葉に注目しながら見ると、一層深く楽しめます。これはSFLに限らず、他のスポーツでも言えることだと思うんです。
まとめ
心は一番動かしにくい。だからこそ直接ねじ伏せようとせず、言葉の方から整えていく。大事な場面で何を口にするかは、相手のためである前に、自分の心のためなんだと、いまは思っています。
- 攻略が出尽くした世界で最後に差がつくのは心。そしてその差は言葉に出る。
- 煽りは相手より先に自分に効く。吐いた言葉に、自分の心が引っ張られる。
- 動かしにくい心を、動かしやすい口から整える。感謝や敬いの言葉を先に出す。







