義実家に帰りたい人は半分だけ?調査が示した「決め方」の差
コネヒトラジオの第3回は、やぎちゃんの進行で、ママリのプロダクト担当のいとしょさんと、広告部門を担当するえみまるさんの3人で届けられます。
えみまるさんは子どもがすでに成人していて子育てが一段落しており、2年前に卒婚 ── 離婚はせずに、夫婦がそれぞれの生き方を尊重して、結婚生活の形から「卒業」するという考え方。同居をやめるなど、形は夫婦によってさまざまですもしています。えみまるさんは、子育てをしていた「二昔前」の自分の気持ちを振り返りながら話したいと語ります。
今回のテーマは夏の帰省です。ママリのアプリでは、子育て中のユーザー543名に「夏の帰省に関する本音調査」を行いました。
調査では、実家への帰省を「したい」と答えた人が9割にのぼりました。一方で、義実家への帰省を「したい」側に選んだ人は56.1%で、やぎちゃんは意外と半々なのだと受け止めています。
やぎちゃんによると、義実家への帰省を前向きに捉えるかどうかには、帰省の決め方が大きく関わっていました。夫婦でしっかり相談して決めた人では70.2%が帰省したいと答えています。これに対し、配偶者が決めた、実家の意向、特に決めていないという人では40%ほどでした。
調査で見えたもう1つの変数は、日頃の家事育児の分担です。子連れの移動や荷造り、義実家での気疲れといった負荷があっても、パートナーと協力して乗り越えられるという前提がある家庭ほど、帰省に前向きになれるとやぎちゃんは読み解きます。
ある種日常の延長線上に帰省っていうものもあるから、そこをタッグ組んで乗り越えられると思ってる人たちは前向きになれるんだなって。
やぎちゃん自身は、本音を言えば義実家への帰省にあまり前向きではないと明かします。だからこそ、前向きな人が半数以上いることに驚いたといいます。えみまるさんも「意外とみんなそんなにネガティブじゃないんだ」と同じ感想を口にしました。
2年に1回と、車で7時間。帰省の頻度と距離のリアル
やぎちゃんが2人に実際の帰省事情を尋ねると、まずいとしょさんが答えます。いとしょさんは結婚前や子どもが生まれるまでは4、5年に1回帰る程度でした。子どもができてからは「孫の顔を見せるか」という感覚で、今は2年に1回ほど、お盆や正月のハイシーズンをずらして帰っています。
いとしょさんと実家とのコミュニケーションはかなり希薄だといいます。子どもの写真をたまに送る程度で、親から「もっと帰ってきなさい」と直接言われることもありません。
もちろん、親としては(僕に)帰ってきてほしいんだろうなっていうのは、なんとなく感じるんですけど。
いとしょさんの実家は三重、奥さんの実家は福島です。結婚した最初の年の正月に両方へ帰ったところ、とても大変だったそうです。その後しばらくは交互に帰っていましたが、いとしょさんがもともと実家に帰るタイプではないこともあり、頻度はだんだん緩くなっています。
えみまるさんは関東首都圏の出身で、卒婚前は北陸出身の夫の実家へ帰省していました。今回のアンケートを見ながら当時を振り返り、えみまるさんは距離がとても重要だと感じたといいます。
二昔前には北陸新幹線がなく、えみまるさんの家族の帰省手段はどれも大変でした。
| 手段 | かかった時間・手間 | 大変だった点 |
|---|---|---|
| 飛行機 | 羽田まで乗り換えながら1時間ほど | 子どもが小さいと荷物が多い |
| 電車 | 新潟回りか名古屋回りで5時間ほど | 在来線の特急などに乗り換える |
| 車 | ドアツードアで7時間ほど | 子どもを休憩させながら進み、渋滞を避けて変な時間に出発する |
えみまるさんの家族は、確実に座れて、好きなタイミングで寝られて、靴も脱げる車を選びました。それでも、もう乗りたくないという子どもを乗せて目的地にたどり着くのは大変で、帰省は「一大イベント」だったと振り返ります。
「帰る」は話し合って決めた?交渉できたのは日程と日数だけ
いとしょさんに「どんなテンションで帰っていたのか」と聞かれ、えみまるさんは当時の気持ちを語ります。夫は独身時代にあまり帰っていなかったぶん、親孝行として年に1〜2回は顔を見せたがりました。えみまるさんも嫌ではなく、田舎を持たない首都圏出身だったこともあり、最初の数回は楽しめたといいます。
帰省して義理の実家に帰ると、休みであって休みじゃないから。
えみまるさんは、義理の両親との関係が悪いわけでも、嫌な思いをするわけでもありませんでした。それでも、有給や夏休みを使っているのに休めない帰省が、だんだん大変になっていったそうです。
やぎちゃんは、帰省の頻度をどう決めているのかを2人に尋ねます。いとしょさんの家では、結婚当初は「正月に毎年交互に帰ろう」というゆるい取り決めがありました。ただ、いとしょさんも奥さんも、自分の実家へ帰りたい欲がお互いにあまりないといいます。
僕からすると奥さんに「え、なんか自分の実家帰んなくていいの?」って聞くし、奥さんも僕に(同じように)聞くんですよね。
いとしょさんの家では、お互いへのこうした問いかけから「じゃあそろそろ帰るか」と自然に決まっていくそうです。
一方、えみまるさんは、当時の自分の家庭では帰省することが前提になっていたと振り返ります。
だから私が(帰省について)交渉できるところとしたら、日程と日数だけだったなって。
えみまるさんの家では、夫と息子だけで帰るという選択肢もありませんでした。時間と労力をかけて帰る以上1泊では済まず、多いときは5泊、日数を交渉して減らしても、お正月は最低4泊していたといいます。いとしょさんは「自分の実家でも5泊は長い」と驚いていました。
妻が同行しない選択肢はなぜないのか?自分でかける「見えない鎖」
やぎちゃんによると、今回の調査では母親と子どもだけで帰省する割合も一定数ありました。けれど、夫側の実家に帰るときに妻が同行しないという選択肢は、データ上ほとんど見られなかったといいます。
やぎちゃん自身も、パートナーは妻が同行しない帰省を許してくれるタイプだと思っています。それでも、やぎちゃんは自分がその決断をできないと話します。えみまるさんは、日帰りや1泊ならともかく、2泊以上で自分が介在しないのは気持ちが落ち着かないと共感しました。
嫁の務めを果たしてない感がすごくあって。
いや、義理の実家のご両親も許してくれるタイプなんですよ。
いとしょさんが「こうあるべきという規範があるんですね」と受けると、やぎちゃんは、その規範から逸脱する自分を許せないのだろうと応じます。えみまるさんはそれを「勝手に自分でかけている見えない鎖」と表現しました。
えみまるさんは、もう1つの経験も明かします。仕事の都合で、自分だけ1日早く飛行機で帰ってきたことがありました。
家族となんかいい時間過ごすために仕事頑張ってるのに。
真っ暗な家に一人で帰ってきた時に、何やってんだろうってちょっと思った。
えみまるさんは、今でもこのときの気持ちを咀嚼しきれていないといいます。子どもがちゃんと寝られたかという心配、自分はなぜ仕事をしているのかという問い、家族にとっての最後の夜をどう過ごしているのかという思いが混ざっていました。
その当時の旦那さんとお子さんが(自分とは)別の世界にいるみたいな。
義理の実家からどう思われるかは気にならなかったそうです。やぎちゃんは、本来一体のはずの家族が分離している状況が落ち着かなかったのかもしれない、と受け止めました。
子どもが大きくなると「いってらっしゃい」に。義理の両親との関係はどう変わる?
ここで、奥さんの休みと自分の仕事がずれたゴールデンウィークの経験が語られます。奥さんが子どもを連れて、奥さんの実家へ日帰りで帰ったのは初めてでした。
送られてきた写真や帰宅後の話から、子どもが自分とは違う場所で楽しんできたことを、いい経験だと感じたといいます。自分と共有している物語とは別の物語を歩んで、祖父母に会って楽しそうに帰ってきたことが嬉しかったそうです。
妻と子どもだけで妻の実家に帰るパターンはよく聞く一方で、逆はあまりないという話になります。やぎちゃんは任せれば大丈夫だと思いつつ、子どもが小さいうちは「寝られているかな、ご飯を食べられたかな」と気になり、自分も一緒に行こうとなってしまうと話します。
いや、これが不思議なことにね、ほんと大きくなってきたら全然気にならないのよ。
えみまるさんの息子が高校生になり北陸新幹線もできた頃には、夫と息子の2人で帰省したこともありました。そのときは「いってらっしゃい」という感覚だったそうです。
えみまるさんはその理由として、子どもが自分の味方になっていたこと、義理の両親との信頼関係ができて誤解を恐れなくなったことを挙げます。さらに、帰省から少し派生して、義理の両親との関係は時間とともに変わるとも話します。
義理の両親の老いと自分たちが大人として成熟してくる、これが逆転するタイミングってあって。
義理の両親がイニシアチブを取り、その意向に従う。義実家には気を遣い、家のルールや価値観に自分を合わせる
40代に入り自分たちに経済力や判断力がつき、義理の両親は老いていく。立場が逆転し、帰省がネガティブでなくなる
やぎちゃんは、関係が対等になるにつれて自分で決められることが増え、帰省への納得度も高まるのではないかと考えます。歴の浅い義実家は家族とは形容しがたい存在でも、時間を重ねて付き合い方がわかるうちに、気遣いが減って自分の居場所ができていくのかもしれない、と話しました。
正解を決めつけない夫婦は何が違う?納得して決めることの意味
いとしょさんは、自分があまり帰らないことで、奥さんと自分の母親の関係が育まれていないと感じています。2年に1回、しかも日帰りが多いため、会う時間は1日7、8時間ほどしかありません。
2年に1回しか会わない人って、その1日7、8時間ぐらいしか会わない人だから、仲良くなっていくことがやっぱり難しいと思うんですよね。
いとしょさん自身も、三重の保守的な家庭で育ち、東京に出てきて価値観が大きく変わったといいます。実の親も家族だとは思っているものの、子どもの頃の感覚とは全然違うそうです。
2人の話を聞いたやぎちゃんは、「こうあるべき」という確固たる価値観を相手に当てると相手がしんどくなり、それが自分にも跳ね返ってくるのだろうと話します。いとしょさん夫婦のいい塩梅は、正解を決めつけていないから作れているのではないか、というのがやぎちゃんの見立てです。
えみまるさんも、いとしょさん夫婦がどちらかの一方的な決定ではなく、話し合って「2年に1回くらいでいいよね」と互いに思えている点が大事だと応じます。やぎちゃんは、本当の意味でお互いが納得できているからストレスがないのだろうとまとめました。
えみまるさんは、当時の自分の家庭では「今年はどうする?」から始めて、帰るか帰らないか、いつから何日かを話し合ったことはなかったと振り返ります。お盆が近づくと、えみまるさんは日数を減らしたい、夫は親孝行を頑張ろうと交渉してくる、という駆け引きで決まっていたそうです。
そこ(帰省の決め方)をちゃんともっと相談し合えばよかったのかもしれないなって思うし、別に決して拒絶をしたいわけじゃないから。
えみまるさんは、パートナーのために頑張る、子どもを見せて両親が喜ぶならいつもと違うモードで頑張る、というのもそれはそれで正義だと付け加えます。そのうえで、非日常のイベントである帰省には頑張りきれる日数の限界があり、1泊か2泊かといった折り合いをつけないと関係が壊れてしまうのではないかと話しました。
帰り道の「お疲れさま」はなぜ必要?試合後の握手のように労い合う
えみまるさんは、帰省をめぐって大喧嘩になった経験を明かします。長い帰省を終え、見送られて車のドアを閉め、発車したタイミングで、えみまるさんは「ふー」と力が抜けたといいます。
その時に、なんか(夫から)一言欲しかったわけ。
えみまるさんが「お疲れさまとか、そういうのないの?」と言ったところ、当時の夫は帰省を当然のことだという立場でした。息子が将来家族を連れて帰ってきて、疲れた、これで帰れるという態度だったら悲しくないか、とも言われたそうです。
やぎちゃんは、その言い分もわかるとしつつ、パートナーとしては「私を主語に考えて」という違和感でカチンとくるかもしれないと話します。えみまるさんは、頑張ったのは事実だから、「お疲れさま、ありがとね」の一言が欲しかったのだと振り返ります。
えみまるさんは、立場が逆で、夫が自分の実家への帰省に付き合ってくれた場合にも必要な一言だと考えています。そこで、この夏に帰省する夫婦へ提案をしました。
やぎちゃんもこの提案を心に留めて帰省に挑むと話し、夏や年末年始の帰省について、家庭で自分たちの決断を捉え直すきっかけになればと締めくくりました。
まとめ
ママリの調査では、義実家への帰省を前向きに捉えられるかどうかに、夫婦で相談して決めたか、日頃から協力できているかが関わっていました。3人の話からは、自分で自分を縛る規範や、年月による関係の変化、そして帰省を終えたあとの一言の重みが浮かび上がります。
- 義実家への帰省を「したい」人は56.1%で、夫婦で相談して決めた人では70.2%に上がる
- 妻が同行しない選択肢がないのは、「嫁の務め」という自分でかける見えない鎖も一因かもしれない
- 子どもの成長や義理の両親の老いによって、帰省への感じ方は変わっていく
- 帰るか、誰が行くか、何泊するかを、お互いが本当に納得できる形で話し合うことが大切
- 帰省の帰り道には、試合後の握手のように「ありがとう」「お疲れ」と労い合う





