シャトルランを何回走れば音速に届く?
収録は、富山でのセミナーを終えたスタジオで行われました。仙福さんとhayateさんは、この日も朝から収録をしていたそうで、2人は自分たちの「ラジオの優先順位の高さ」を笑い合っています。
本題の前に、hayateさんがXで見つけたシャトルランの話題を持ち込みます。シャトルランは回数が進むほどテンポが速くなるため、何回目で音速に達するのかを計算した投稿があったといいます。
仙福さんは、自身の記録が160回ほどだったことを踏まえて「2000回くらいかな」と予想しました。hayateさんの答えは125万回で、仙福さんは「全然ちゃうやん」と返しています。
(シャトルランは)練習として普通にいい練習にもなりそう。
そこから、シャトルランをセミナーの練習メニューに取り入れようという話になります。中学生でも120回ほど走れることを引き合いに、2人は次のセミナーで試そうと盛り上がりました。
調整に「これをやれば正解」はあるのか
今回のテーマは、仙福さんが以前から疑問に思っていたレース前の調整です。収録日は10月10日で、これからマラソン大会が続く時期にあたります。
仙福さんは、自己ベストを狙うなら当日を最高のコンディションで迎えたいのに、調整法には誰もが同じようにやる確固たるものがない、と問題を提起しました。hayateさんは「これ荒れるぞ」と言いつつ、言葉を選んで話すことにします。
hayateさんにとって調整とは、当日に少しでも良いパフォーマンスを出すための期間です。生活スタイルも体の状態も人によって違うため、調整も人それぞれだと考えています。
絶対的なこれやれっていうのはないと思ってるんで。たまにYouTubeで調整はこれやれって言ってるのは嘘つきだと思ってます。
仙福さんは調整法を、走る量と質のコントロール、食事、その他の3つに分けて順に掘り下げることを提案しました。
走る量はどう落とす?体の声で決めるルーティン
走る量の調整について、hayateさんは一般的なやり方を説明します。多いのは1週間前ごろから少しずつ量を減らし、2〜3日前にはほぼ走らない状態に近づける方法だといいます。
hayateさんが一番避けたいのは、疲労を増やしてしまうことです。一方で、走る量や質を細かく決める必要はないとも話します。同じ本人でも、富山マラソンと翌年の大阪マラソンでは体の状態がまったく違うからです。
毎回僕(にとって)調整って違うものだと思って取り組んでます。
ただし、hayateさんにも大まかなルーティンはあります。レースの7日前と3〜4日前に、マラソンペースから少し上げていくペース走を入れ、そのときの疲労状態を確かめるというものです。
仙福さんはこのやり方を、体の声を聞きながら負荷と回復のバランスを調整していくものだと整理しました。量は減らしても質はあまり落とさない、というhayateさんの日頃の指導とも重なります。
自分のベストコンディションをどう見極めるか
仙福さんは、体の声を聞くやり方には難しさがあると指摘します。練習を積んでいると万全の状態は年に何度もないため、そもそもベストな状態がわかっている人は少ないのではないか、という疑問です。
hayateさんは自分の体を、ポケモンのHPのようなイメージで捉えています。「今は残り65くらい」と把握し、7日後には80〜90%台に持っていきたい、と逆算するそうです。
hayateさんがこの感覚を持てるのは、食生活や寝る時間をなるべく一定にしているからです。土日も平日も同じように過ごしているので、何かを変えるとすぐに違いがわかるといいます。
(前夜に)麦酒をいただいたんで、僕の今朝の状態は明らかに悪いと。
仙福さんが具体的な指標を尋ねると、hayateさんはランニングウォッチを挙げました。マラソンペースで走ったときに心拍数が大きく上がれば疲れのサイン、上がりにくければ調子が良いと判断できます。
ウォッチのデータ。マラソンペースでの心拍数の上がり方などを見る
脚の軽さや走ったときの感覚。客観データと照らし合わせて判断する
hayateさんは、常に体の声を聞いてコンディションを整える意識がなければ、急に調整しようとしても無理だと話します。良いときだけ整えようとするのではなく、普段からやるべきだという考えです。
走っていない人に調整は必要か
仙福さんが次に挙げたのは、十分に走っていないのに調整ばかり気にする人が多いのではないか、という疑問です。hayateさんはHPの例えを続け、「ライフ100なのにポケモンセンターに行くようなもの」と表現しました。
仙福さんは、休むことで心肺機能が落ち、HPの総量そのものが減ってしまう点を心配しています。練習を積んだ人が疲労を抜いて伸びるのとは違い、積んでいない人が休んでも「ただ走っていない人」になるだけだというのです。
hayateさんの意見はさらに厳しく、10月10日の時点で走れていないなら計画性の甘さを反省してほしいと話します。マラソンは何か一つの練習で劇的に速くなるものではないからです。
夏ちょっと暑くてさ、走れませんでした。よし、9月からちょっと走ろう。いやでも9月まだちょっと暑いな。
それは怠慢よ。雨降ってても走ってる人いるし、暑くてもみんな走ってるし。
そのうえで2人は、11月1日の富山マラソンまでならまだ20日ほど走れると前向きに捉えます。hayateさんは、全然走っていない人なら常識の範囲で2〜3日前までしっかり練習してもいいと話しました。
仙福さんはこの話を受けて、ギリギリまでちゃんと走ることも調整だと整理しています。調整といえば量を落とすことだと思い込んでいたものの、考え直してみると走ること自体が調整になる、という気づきです。
毎日30kmを走った師匠と「2週間前のロング走」
hayateさんは、師匠である間の敏夫さんの例を紹介します。師匠はほぼ毎日30kmを走り、レース5日前の月曜や火曜ごろまでしっかり30kmを走っていたそうです。そうしないと仕上がりきらない、という考えでした。
仙福さんは、1週間も休むと心肺機能が大きく落ちる実感を語ります。上げすぎて困る人はトップ選手くらいで、落としすぎることの弊害のほうが大きいのではないか、という見立てです。
hayateさんは、一般的によく言われる「2週間前に最後のロング走を終える」という考え方に疑問を投げかけます。仙福さんも、それまでに距離を積んでいれば1週間前のロング走の疲労は数日で抜けると応じました。
2週間前に最後のロング走を終え、そこから少しずつ調整する
事前に距離を積んでいれば1週間前でも疲労は数日で抜ける。ロング走で疲れるのは距離不足のサイン
師匠は東京マラソンの前身である東京国際マラソンで日本人1位になったといいます。ただ、毎日30kmはさすがにきつく、25kmで終わった翌日は足りない5kmを足して35〜40km走っていたそうです。
そんな師匠が疲労の限界で頼っていたのが、アミノバイタル ── 味の素が販売するアミノ酸を配合したサプリメント。顆粒タイプやゼリータイプなどがあり、ランナーの間でも広く使われていますの青い顆粒タイプでした。「あれ飲めば回復する」と話していたと聞き、仙福さんは「毎日飲んどきゃいいんちゃう?」と笑っています。
カーボローディングと世界記録の高糖質補給
hayateさんが「最悪」と言うのは、走っていないのに調整を始め、3日前からカーボローディングで食べ込み、体重を増やしてスタートラインに立つパターンです。仙福さんも、心肺は弱いうえに体も重い状態になると同意しました。
hayateさんによると、カーボローディング ── レース前に糖質を多めに摂り、筋肉や肝臓にエネルギー源のグリコーゲンを蓄える食事法。持久系競技で広く知られていますは一時期に比べると、あまり言われなくなっていました。ところが今年、また変化が起きたといいます。
hayateさんは、サウェ選手が2時間切りの1時間59分で世界記録を出し、レース中の高糖質補給が話題になったと紹介します。1時間あたり60gほどの糖質をドリンクで摂っていたそうです。
hayateさんが心配しているのは、それを当日だけ真似するランナーです。サウェ選手は普段から高糖質を消化できるよう腸の環境を整え、練習から取り組んでいるからこそ可能なのだと強調しました。
仙福さんも、消化できるなら糖質を摂るのは理にかなっていると認めます。ロング走の後半で失速する原因がペース設定なのか、VO2MAXなのか、エネルギーなのかを、日々の練習で確かめることが大切だとまとめました。
日々の練習は自分の体での実験
仙福さんの「正解はない」という言葉に、hayateさんは「今のめっちゃ大事」と反応します。hayateさんは日々の練習や生活を実験だと考えて取り組んでいるからです。
過去に毎日LT走をやってみたとか、あとロング走なしでフルマラソン出たりとか、ジェル何も持たずに出てるみたいな。あれ全部自分の体で実験してるんですよ。
仙福さんは、hayateさんがパンツを履かずインナー付きショートパンツで暮らすようになったのも実験の結果だとからかい、hayateさんも「徐々に移行した結果」と乗っています。
最後に2人は、調整の結論を「日々の生活」と「たくさん走ること」に置きました。走れていなかった人はギリギリまで走り、11月後半のレースならまだ1カ月以上あるので、調整を気にせず走り込めばいいといいます。
どう走ればいいかわからない人には、2人のセミナーが案内されました。11月のセミナーの日程はLINEなどで告知される予定で、番組では概要欄のフォームから話してほしいテーマも募集しています。
まとめ
レース前の調整に万能の正解はなく、普段から体の状態を把握し、十分に走り込んでいることが前提になる、というのがこの回の結論です。
- 調整は人によっても、同じ人でもレースごとにも違い、決まったやり方はない
- 生活を一定に保ち、ウォッチのデータと主観を照らし合わせると、自分の疲労状態がわかりやすくなる
- 走り込めていない人は、量を落とすよりもギリギリまで走るほうが調整になる
- カーボローディングやレース中の高糖質補給は、日頃から体を慣らしていてこそ効果が出る
- 日々の練習を自分の体での実験と捉え、何が合うかを確かめていくことが大切




