35歳転職限界説はもう過去の話?
今回のエピソードのきっかけは、40代の転職が増えているというニュースです。日本では長く「35歳転職限界説」が囁かれてきましたが、どうやら状況が変わってきているという内容です。
CEOセオさんはまず、年齢そのもののイメージが変わってきていると話します。少子高齢化が進むなかで、今は60代でも若く、70代でも海外旅行に行く人は珍しくないといいます。
食べ物や環境の変化もあって、全体的に人が若くなっているとは言えるかもしれない。ではビジネスの場ではどうなのか、というのがこの回の問いです。
今60代でもね、若いですよね。なんなら70代でも若い。
年収が下がっても40代が転職する理由
ニュースの要約として、CEOセオさんは3つのポイントを挙げます。40代の転職が非常に増えていること、40代が即戦力として企業から求められていること、そして転職後の年収は前職を下回るケースが多いことです。
年収が下がっても40代の転職は増えている。つまり40代の転職理由は、お金ではない別のところにある人が増えていると説明されています。
年収を最大化するという意味では、40代前半が節目だと言われています。CEOセオさんは、50代に入ると定年を意識し始める一方で、65歳や70歳まで働く人もいることから、それでもまだ10年あると話します。
ワークライフバランスの考え方も広がるなかで、何歳でどう働くか、何で働くかが問われるようになってきている。CEOセオさんは、ビジネスライフの設計の仕方そのものが変わりつつあると見ています。
企業が「育てるより買う」に傾く背景
企業側がミドル層を求める理由について、CEOセオさんはまず転職エージェントのビジネスモデルに触れます。転職エージェント ── 求職者と企業を仲介する人材紹介サービス。採用が決まると、企業から成功報酬として紹介手数料を受け取る仕組みが一般的ですは、採用が決まった人の年収の30〜35%ほどを企業から受け取るといいます。
40代・50代は相対的に20代より年収が高いため、エージェントにとっては紹介したほうが得になる構造があります。ただCEOセオさんは、それ以上に高齢化で若手そのものが枯渇していることが大きいと話します。
もう1つの理由は、企業の採用コストと育成コストです。年功序列や終身雇用の会社が減り、転職が当たり前になったことで、時間をかけて育てても別の会社に移ってしまうことがあります。
数年から10年かけて育てた人材に転職されては意味がない。そのため、企業のあいだでは育てるより買うという考え方で、40代の即戦力を採用する動きが見られるといいます。
若手の枯渇
高齢化が進み、採用できる若手が減っている
転職の一般化
年功序列・終身雇用が減り、育てても辞められるリスクがある
育成コストの回収難
数年〜10年かけた育成が無駄になりかねない
育てるより買う
結果を出している40代を即戦力として採用する
CEOセオさんは、今の転職市場をプロリーグにたとえています。新卒で入って社内で昇進していく時代から、結果を出している人を外から買いに行く時代へ移り、年齢はあまり関係なくなってきているという見方です。
プロリーグみたいな感じで、結果を出してる人を買いに行くと。なので年齢はあんまり関係ないんだよということです。
転職市場の数字は何を示しているか
40代以上の転職が一部の人だけの話ではないことを、CEOセオさんは数字で確かめていきます。まず転職市場全体では、2024年の転職者数が331万人で前年比3万人増、3年連続の増加でした。
一方、2025年の転職者数は330万人で、4年ぶりに1万人減っています。ただ2025年の転職希望者数は1023万人で、2013年以降で過去最多です。転職を希望する人は増え、実際に転職するのはそのうち約3割という状況です。
注目はリクルートエージェントのデータです。40〜59歳の転職決定者数は2014年比で約6倍に拡大し、なかでも40代は5.23倍、50代は12倍と、50代が最も伸びているといいます。
CEOセオさん自身もこの数字には驚いたと話し、最近はシニア向けの転職サービスも出てきていると触れています。
転職に成功した人のうち40歳以上の割合も、2022年から2025年にかけて継続的に上がっています。スタートアップへの40歳以上の転職者数も、2015年比で約7倍です。20〜39歳の2.7倍と比べると、伸びの差がはっきりわかります。
こうした数字から、CEOセオさんは、40代・50代での転職成功は一部の人の事例ではなく、かなり多くの人に広がっている状況だとまとめています。
年収は下がるのに、なぜ40代は動くのか
では転職後の年収はどうなるのか。CEOセオさんによると、20代と30代は転職でだいたい年収が上がる一方、40代は6万円ほど下がるようなケースがあるといいます。
それでも40代の転職決定者数はプラス17%と、全世代で最も伸びています。年収は横ばいから下がっても転職する、というのが今の40代の姿だと説明されています。
転職によって年収はだいたいアップする
年収は横ばいから下がる(マイナス6万円程度の例)が、転職決定者数は全世代で最も伸びている
CEOセオさんはその理由を、年齢の感覚の変化に見ています。日本の年齢の中央値は48.4歳で、48歳のCEOセオさん自身が「やっと平均になった」と話すほどです。
ちなみに私48歳なので、今平均なんですよね。
2025年1月時点の人口ピラミッドでは、40〜44歳が740万人、45〜49歳が860万人、50〜54歳が最大のボリュームである980万人です。人口のピークは50歳以上にあり、労働人口として40代・50代を無視することはもはやできないといいます。
さらに60歳や70歳まで働くと考えれば、40代は「あと20年働ける人」という感覚になってきている。CEOセオさんは、年収が下がっても転職を決める背景にはこの感覚の変化があると話します。
もちろん(40代は)おっさんなんだけど、感覚値的に言ったらそんなにおじさんでもないという状況になってきていて。
『サザエさん』の波平さんは何歳だったか
年齢の常識がひっくり返っていることを示す一番わかりやすい例として、CEOセオさんは『サザエさん』の登場人物を挙げます。頭がはげて髭を生やし、眼鏡をかけたおじいちゃんのような波平さんは、作中で54歳として描かれています。
さらにサザエさんは24歳、マスオさんは27歳という設定です。CEOセオさんは、昔と今とでは年齢の感覚がまったく違い、今は60歳でも若く、毎日お酒を飲んでいる人もいると話します。
波平さんは54歳ということで描かれてるんですよね、当時ね。だから54歳であれですからね。
年齢がもたらすものは、フィジカル面でもメンタル面でも変わってきている。リクルート、パーソルキャリア、マイナビなどの各社も、40代・50代の伸びを最大のトピックとして掲げているといいます。
こうした状況から、ニュースの論調としては「35歳転職限界説はもうそうでもなく、今の40代は非常に若くてまだまだいける」ということになります。
それでも「35歳限界説」は挑戦には残る
ここでCEOセオさんは、ニュースの論調を事実だと認めたうえで、自分の考えを付け加えます。35歳転職限界説は、「挑戦」については今もあると考えているそうです。
今あるスキルを確実にこなしていく仕事なら、40代でも50代でも十分にできる。けれど、新しいことや大きな挑戦をするという点では、40代・50代は非常に不利だというのがCEOセオさんの見方です。
そのため、40代の転職では転職の仕方が重要になります。「新しいことをやるために来ました」という形で40代が転職するのは、おそらく難しいといいます。
40代以降でも新しいことに挑戦できるのは、CEOセオさん自身のような連続起業家として新しいことをやり続けてきた人か、もうケツに火がついている人だと話します。
例として挙がるのが、レイ・クロック ── マクドナルドをフランチャイズとして世界的チェーンに育てた実業家。50代でマクドナルド兄弟の店に出会い、事業を拡大させましたと、ケンタッキーの創業者カーネル・サンダース ── ケンタッキーフライドチキンの創業者。60代でフランチャイズ展開を本格化させたことで知られていますです。高齢からの成功例として語られる2人ですが、うまくいかなければ破産するという待ったなしの状況で起業していたといいます。
本当に火事場のクソ力じゃないけど、ケツに火がついてないと、やっぱ年齢上に行くとキツいです。
CEOセオさんによると、結局はメンタリティーの問題です。フィジカルは今の40代・50代も十分に働けるほど若い一方で、メンタルがついてこない。だから命をかけるくらいの勝負をしないと、40代から新しいことをするのは厳しいといいます。
フィジカルは今、最近みんな若いですよ。だけど、やっぱメンタルがついてこないんですよね。
40代・50代は何を武器に転職するのか
では新しい挑戦が厳しい40代・50代は何をすればいいのか。CEOセオさんの答えは、今自分がやれることを延長線として確実にこなし、それを10年、20年裏切らずに続けることです。
そこさえあれば転職はできる。ただし年収を上げるのは難しくなっているという現実も、正しく理解する必要があるといいます。
CEOセオさんは、年収には今の実績だけでなくポテンシャルも反映されると説明します。未来の売り上げや利益を作ってくれると期待されるから高い年収がオファーされるので、ポテンシャルで採用されにくい40代・50代はどうしても年収面で不利になります。
挑戦する立場なら、35歳までに動いたほうがいい
既存のスキルを延長線で確実にこなせば、40代・50代でも転職は十分可能
ただし多くの人は、新しいことを立ち上げたり改革をリードしたりする立場ではなく、今あるものを伸ばし成長させる仕事を担っています。そのため、40代・50代の転職を否定する必要はないとCEOセオさんは話します。
なので、まあ、ちょっとだから立場によって違うってことですね。
AIの恩恵を一番受けるのは40代・50代?
最後にCEOセオさんが挙げるのがAIです。AIの恩恵を最も受けているのは40代・50代だといいます。
40代・50代はWord、Excel、PowerPointで資料を作り、計算やプレゼンにも時間がかかった時代を知っている世代です。あらゆるビジネスのタスクに手間がかかった経験があるからこそ、AIによる効率化のすごさがわかるという見方です。
Word、Excel、PowerPointで資料作り・計算・プレゼンに時間がかかった
AIを使えば、あらゆるタスクが効率化される
一方、20代はAIを仕事で使うのが当たり前になっているため、何がすごいのかわからないかもしれないとCEOセオさんは話します。
「え、資料ってポン出しでできるもんじゃないの?」みたいな、っていう人と、やっぱり「資料ってあんなに時間かかったのに」っていう人は、やっぱりちょっとね、価値観違いますから。
だからこそ40代・50代はAIを使い、今までできなかったことを効率的にこなして、自分の能力をスケールさせるべきだといいます。CEOセオさんは、そうすれば余裕で転職できると話しています。
締めくくりとしてCEOセオさんは、35歳限界説はあるが、40歳以上でもやれることはあると述べます。そこを見極めながら、自分が結果を出せることを選んでいくのがいいのではないか、と語ってエピソードを終えています。
まとめ
40代・50代の転職は数字のうえでも大きく伸びており、年齢の感覚の変化や若手不足、育成コストの問題が背景にあります。一方でCEOセオさんは、挑戦という意味での35歳限界説は残ると指摘し、今あるスキルの延長線とAI活用こそがミドル層の武器になると語っています。
- 40〜59歳の転職決定者数は2014年比で約6倍、50代は12倍と最も伸びている
- 企業は若手不足と育成コストの回収難から「育てるより買う」に傾いている
- 40代は年収が横ばいから下がっても転職しており、背景には年齢の感覚の変化がある
- 新しい挑戦は35歳までが有利で、40代以降は今あるスキルの延長線で勝負するのが現実的
- 手間のかかる仕事を知る40代・50代こそ、AIで能力を拡張すれば転職の武器になる


