若者の35%が「結婚するつもりはない」と答えた理由とは?
こども家庭庁が15歳から39歳の若者10万人を対象に行ったアンケートで、未婚者のうち「結婚するつもりはない」と答えた人が35%を超えました。CEOセオさんはこの結果を、少子化に直結する深刻な問題として取り上げています。
調査の対象となった未婚者は約4万4000人です。そのうち「いずれ結婚したい」は37.5%、「結婚するつもりはない」は35.1%と、ほぼ拮抗する結果になりました。
さらにこの調査では、30代の未婚者は生活の満足度が低く、孤独や孤立感が高い傾向も出ていました。セオさんは「寂しいですよね」と受け止めています。
結婚のハードルの1位は収入への不安で、次いで自由な時間がなくなること、結婚したいと思える相手がいないことが挙がりました。セオさんは、理想と現実の差は年齢を重ねるほど大きくなり、何も知らない20代前半だからこそ結婚に踏み切れる面もあると話します。
逆を言えば、若いのに結婚をする気がないというふうに答えているというのはですね、かなり深刻だと思いますね。
セオさんが気にしているのは、結婚より余暇や趣味を優先したい人が半数を超えている点です。「自分の容姿が気に入らない」「恋愛関係になるのが難しい」「人を信頼するのが難しい」という回答も50%を超えていました。
セオさんはこれらの回答から、自己肯定感が低く、対人関係がうまくいかない若者が増えていると読み取ります。その背景にデジタルの問題があるのではないか、というのがこの回の問題意識です。
子どもが減ったのではなく、結婚が減った
日本の少子化の構造について、セオさんは「結婚しないと子どもは増えない」と説明します。根拠として挙げるのが、結婚後15〜19年の初婚夫婦が持つ子どもの平均数です。
夫婦が持つ子どもの平均数は、1970年代から2000年まで2.2人でほぼ変わりませんでした。その後は2005年に2.09人、2010年に1.96人、2015年に1.94人、2021年に1.9人と緩やかに下がっています。
セオさんによると、夫婦の子どもの平均数は50年間で約14%しか減っていません。結婚した夫婦は、今でもほぼ2人の子どもを持っていることになります。
一方で、婚姻数は大きく減りました。1970年に102万件だった婚姻数は、2021年には50万件と半分になっています。出生数も1970年の193万人から、2019年には70万人まで落ち込みました。
1970年: 婚姻数102万件、出生数193万人
2021年の婚姻数は50万件、2019年の出生数は70万人
日本では、結婚せずに子どもを産む婚外子 ── 法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものこと。欧米では事実婚の広がりとともに比率が高い国が多くありますの比率がわずか2%です。そのためセオさんは、政府がやるべきなのは出産への給付ではなく、結婚への支援だと主張します。
子供を産んだらいくらあげるよとかそういうことではなくて、結婚したらいくらあげるよですね。これの方が正しいです。
50歳時の未婚率のデータも、結婚離れを示しています。男性は1980年の2.6%から2020年には28%と約10倍に、女性は4.45%から17%に増えました。
SNSでの他者比較が自己肯定感を下げている?
なぜ結婚しなくなったのかについて、セオさんはスマートフォンやSNSが一因ではないかという仮説を示します。他人と比較すると自己肯定感が下がることは、すでにデータとしても出ていると話します。
セオさんは、学術的な裏付けも積み上がってきていると紹介します。米国の15〜24歳の対面での社交時間は、2003年の1日48分から2024年には1日23分へと半減しました。
さらに、韓国の14〜19歳を対象にした研究では、SNSで他者と比較する傾向が自己肯定感を低下させることが確認されたといいます。セオさんは、冒頭の調査で挙がった「容姿が気に入らない」「恋愛関係になるのが難しい」という回答とも因果があると見ています。
セオさんは、恋愛リアリティ番組のような刺激的なコンテンツの影響にも触れます。劇的な恋愛ばかりを見ていると、刺激的な恋愛や出会い以外は恋愛ではないと感じてしまう、という見方です。
昔はドラマで、まああくまでもフィクションとして見てて、自分と木村拓哉はそんなに比較はしない、真似はしても比較はしないっていうとこだったと思うんですけど。
今って一般人がYouTuberとかで出てきちゃうから、その比較しちゃうんですよね、やっぱ自分とね。
セオさんによれば、フィクションの登場人物と違って、身近な一般人とは自分を比べてしまいます。その結果、出会いが減ったり、結婚を考えられなくなったりするのではないかと話しています。
婚姻数が減り続けたら日本とアフリカはどうなる?
セオさんによると、携帯電話の4Gネットワークが始まってから、10代の妊娠率や出生率の低下が加速した地域もあるそうです。セオさんは、すべてがスマートフォンのせいとは言い切れないとしています。
セオさんは、婚姻数が今のペースで減り続けた場合の荒い試算も紹介しています。2013年から2023年に婚姻数は66万件から47万件へ減っており、年平均3%の減少が続くと、2050年には約20万件、現在の4割ほどの水準になるといいます。
この試算では、子どもの数は約37万人と現在の半分ほどになります。15〜49歳の女性人口も減るため、実際には30万人程度まで下振れする可能性もあるとセオさんは見ています。平均年齢48歳の日本は、高齢社会が当たり前になるという見通しです。
対照的なのがサブサハラ ── アフリカ大陸のサハラ砂漠より南に位置する地域の総称。多くの国で出生率が高く、世界でも若年人口の比率が特に高い地域ですです。アフリカの世界人口シェアは現在の16%から2100年には40%になるとされ、年齢の中央値は19.4歳と日本の48歳とは大きな差があります。
ただし、若い人口が多いサブサハラでも、デジタル化と少子化の関係は見られるといいます。サブサハラ29カ国311地域のFacebook利用と出生率を分析すると、SNS利用率が高い地域ほど出生率が低い傾向が出たそうです。セオさんは、こうしたエビデンスの測り方は難しいとも添えています。
産業革命は結婚を増やし、デジタル革命は減らした
婚外子の比率は日本と韓国が約2%なのに対し、欧米では40〜50%あり、事実婚やパートナー関係が当たり前になっています。セオさんは、日本で子どもを増やす道は、結婚を増やすか婚外子を認めるかの2つしかないと話します。
セオさんはもう1つの選択肢として、子どもがいなくてもいい国だと割り切り、成熟した国として生きていく道も挙げています。
セオさんは歴史的な背景にも目を向けます。1950〜60年代にテレビが普及すると、家庭で夜を過ごす時間が増え、地域コミュニティが縮小したといわれています。そして今は、スマートフォンによってつながりが個人レベルまで分解されているといいます。
地域コミュニティ
江戸時代などは夜に地域で集まり、人と出会っていた
家族コミュニティ
テレビの普及で、家庭で過ごす時間が増えた
個のコミュニティ
スマートフォンでつながりが個人単位に分解された
セオさんは、産業革命とデジタル革命の働きが正反対だった点を「面白い」と語ります。
都市化で若い男女が出会う機会が増え、結婚が増えた
暇つぶしできるコンテンツが増え、出会いや結婚を減らす方向に働く
セオさんは、スマートフォンやSNSの普及は人口爆発の予想すら下方修正させるといわれていると紹介します。便利さの裏で、人のつながりが希薄化しているというのが、この回の問題意識の着地点です。
人を減らすために作られた装置じゃないかという陰謀論みたいな話になっちゃいますけど、もしそういう目的だったとしたら天才ですね。
セオさんは最後に、子どもが増えるのは美しいことであり、もう少し増えてほしいという思いから、やはり結婚は必要なのではないかと締めくくっています。
まとめ
この回では、若者の35%が結婚願望なしという調査をきっかけに、日本の少子化は「子どもを産まなくなった」のではなく「結婚しなくなった」ことによるものだと整理されました。その背景として、SNSによる他者比較やつながりの個人化が、結婚を遠ざけているのではないかという仮説が語られています。
- こども家庭庁の調査では、未婚者の35.1%が「結婚するつもりはない」と答えた
- 夫婦が持つ子どもの数は50年でほぼ2人のまま。一方で婚姻数は半減した
- 日本の婚外子比率は2%しかないため、出産への給付より結婚への支援が重要だとセオさんは主張する
- SNSでの他者比較が自己肯定感を下げ、対面での交流も半減しているというデータがある
- 産業革命は出会いを増やしたが、デジタル革命はつながりを個人単位に分解しているという見方が示された



