貫抜の目的は1つではない
緊縛をしていると、「貫抜」という技術やパーツを作る場面が多くあります。貫抜(かんぬき) ── 縄をある箇所に半周ほど巻きつけて留めるパーツ。縛りの構造を固定・補強する役割を持つ。
たかせさんによると、貫抜の役割、つまり何のためにかけるのかという目的には、いくつかのパターンがあると言います。
同じような場所に貫抜をかけていても、緊縛の構造によって求められる役割は変わります。流派によっても、その考え方はさまざまだと話されています。
そして、その目的によってテンションのかけ方が変わるという点が重要です。最適なかけ方をするためにも、まず貫抜が何のためにあるのかを認識する必要があります。
「抜けないため」の中身をどこまで深掘りできるか
貫抜については、しばしば「縄が抜けないため」「ずれないため」といった説明がされます。ただ、たかせさんはそこで止まらず、どういう理屈で抜けないのかまで深掘りする必要があると話します。
なぜなら、抜けないために貫抜がどう機能しているのかには、実はいくつかの考え方があるからです。
この理解が曖昧だと、形だけ貫抜をかけてテンションがまったく効いていない、ゆるゆるで機能していない、という状態になりがちだと指摘します。
なんとなく貫抜形だけかけて、全然テンション効いてないとか、ゆるゆるで機能してないみたいなことがすごく多い。
たとえ「抜けないため」だとしても、本当に抜けないのかどうかを検証したほうがいい、というのがたかせさんの立場です。
貫抜が本当に機能しているかを確認したうえで、目的に適した位置やテンションのかけ方を考えていきます。
場所ごとに役割が違う貫抜
貫抜をかける箇所は多岐にわたり、それぞれ役割が違うとたかせさんは説明します。
たとえば手縛りでは、下縄(二縄)にかける貫抜もあれば、上縄(一縄)にかける貫抜もあります。足を折りたたんで縛る屈脚のときに入れる貫抜もあります。屈脚(くっきゃく) ── 膝を曲げ、足を折りたたんだ状態で縛る形。
一例として挙げられたのが「伸腕」です。両腕を伸ばした状態で同時に縛っていく形を指します。
この形は構造的に逆三角形になりやすく、縄が滑り落ちやすいと言います。その滑り落ちを防ぎ、縄をその場に留めるために貫抜をかける、というわけです。
作業としてはただ縄をくるっと半周巻きつけるだけで、非常に地味です。しかし担う役割は大きいことが多いと強調されます。
なぜ貫抜はテンションをかけづらいのか
貫抜は繊細な力加減を求められることが多く、たかせさんは「繊細な箇所に貫抜をかけることが多い」と話します。
ずれてしまったら困る、状態が変わってしまったら困る。そうした箇所を補強し、その場に留めるためにかけるからです。だからテンションが効いていなければ意味がありません。
ところが、貫抜はテンションをかけづらい位置にあることが多いと言います。何かの間を通して縄を半周かけて戻ってくる構造のため、そもそも縄が通りづらい場所を通ることが多いからです。
何も考えずに通しやすいところから通してかけただけだと、テンションが効かず、貫抜が仕事をしていない状態になりがちです。
だからこそ、どういうかけ方が適切か、どういうルートを取るのがいいのか、一箇所一箇所に最適な方法論があるはずだと話されています。
「あえてかける」意味を理解して取り組む
たかせさんは、貫抜を「ただ縄を半周かければいい」というものではないと繰り返します。
実際、貫抜をかけなくても、緊縛はそれなりに成立させようと思えば成立します。それでもあえてかけているからには、そこに理由があるはずだ、というのが要点です。
その理解の有無は、安全性でも、受け手に与える体感的な意味でも、まったく変わってくると話されています。貫抜はそういうものだと認識して取り組んでほしい、という締めくくりでした。
まとめ
貫抜は地味なパーツですが、その役割を理解しているかどうかで、位置取りもテンションのかけ方も、安全性や体感まで変わってくるという回でした。「抜けないため」という説明を鵜呑みにせず、なぜそこにかけるのかを掘り下げる姿勢が語られています。
- 貫抜の役割は1つではなく、緊縛の構造や流派によって求められるものが変わる
- 「抜けないため」で止めず、どういう理屈で機能しているのかまで深掘りする
- 伸腕のように縄が滑り落ちやすい形では、その場に留めるために貫抜をかける
- 貫抜はテンションをかけづらい位置にあり、通すルートによって効き方が変わる
- あえてかける理由を理解して取り組むことで、安全性も受け手の体感も変わる

