なぜポッドキャストの方向性を変えるのか
この回は、1ヶ月ほど配信を休んでいたマスコットさんが、今後の方針を切り替える宣言から始まります。
番組タイトルは変えず、ポッドキャストではマーケティングや経営、ブランディングといった知識を扱っていくと話されています。
ただ知識をそのまま紹介するのではなく、建築の業界でそれを使うとしたらどうなるかという視点で語るのがこの番組の狙いです。
マーケティングとか、経営とかブランディングとか、そういった知識を、建築の業界でそれを使うとしたらこうなんじゃないかな、みたいな話をしていきたい。
マスコットさん自身も実験的な試みだと前置きし、「これが正解だ」と言えるわけではないと繰り返し断っています。
聞いてほしい相手として想定されているのは、建築家や建築学生です。集客や採用で困っている人の役に立てばいい、という姿勢で話が進みます。
マーケティングとは「ズレを正すこと」という軸
今回の中心になるのが、マスコットさんが以前から自分の中で言い続けてきたという考え方です。
この「ズレ」とは、伝える側が出したい情報と、受け取る側が知りたい情報のあいだにある食い違いを指します。
マスコットさんは、建築の業界に限らず、基本的に何もかもがずれていると考えていると話しています。
設計事務所のホームページが完成写真中心になる理由
ズレの具体例として挙げられるのが、建築家のホームページです。
多くの場合、完成した作品写真を中心に、プロフィールや経歴、手がけたプロジェクトの事例が並びます。
そこに載る文章も、建築家向けの言葉で書かれていることが多いとマスコットさんは指摘します。
ではなぜ、そうしたホームページが多くなるのか。理由はシンプルで、多くの建築家が同じ形式で作っているからだと話されています。
いわば暗黙の了解のように、ビジュアルでセンスを示す形が広がっている、という見立てです。
そもそもホームページって何のために作ったの、っていう話をするときに、集客のためが多いんじゃないかな。
マスコットさんは、建築の業界におけるマーケティングは集客か採用のどちらかだと整理しています。
将来クライアントになる人に、どう情報を届けて依頼してもらうか
これから働くスタッフになる人に、どう情報を届けて働きたいと思ってもらうか
集客の視点。施主が本当に知りたい情報とは
まず集客の視点から見ていきます。将来クライアントになる人がホームページを見たとき、何を感じるかを考えるべきだとマスコットさんは言います。
写真から「おしゃれ」「かっこいい」といった印象は伝わります。そのセンスが自分の求めるものと合致すれば、依頼につながるかもしれません。
ただし、それ以上の情報が伝わらないという問題があります。差別化も難しく、多くの人にとってセンスの言語化は専門家でない限り難しいためです。
一方で、住宅にせよ店舗にせよ、建築家との関係は長い付き合いになります。家であれば一生住み続ける場所を任せることになります。
要はビジュアルがいいから全てがいいっていう風になるわけじゃないと思うんですよね。
だからこそ、どういう人に作ってもらいたいかという人柄や価値観が判断材料になります。しかし、そうした情報は完成写真中心のホームページからは伝わりにくいのです。
採用の視点。学生が知りたいのは職場の雰囲気
次に採用の視点です。建築を学んだ学生や新卒であれば、専門的な知識があるぶん、集客の場合よりホームページから読み取れる情報は多くなります。
コンセプトや作品の意図など、言語化された部分をある程度理解できるからです。
一方で、事務所の雰囲気や仕事の流れといった情報は、やはりホームページからは伝わりません。
オープンデスクやインターンで直接行けばいい、という考え方もあります。ただ、そこへ行くには覚悟が必要で、まず調べる段階での情報として物足りないとマスコットさんは話します。
さらに、作品情報は雑誌やネットメディアでも見られます。新建築や住宅特集、アーキテクチャーフォトなどです。
そうすると、コンセプトや作品はそちらでも確認できてしまい、ホームページから得られる情報がほとんどないという状況にもなりかねません。
ズレを正すために、まず何を考えるか
こうした視点から見えてくるのは、まず「誰に見てほしいか」というターゲットを決めることの重要性です。それが集客なのか採用なのかで、載せるべき情報は変わります。
集客に重点を置くなら、将来のお客さんがどんな情報を見れば依頼したいと思うかを考える必要があります。
採用に比重を置くなら、どんな事務所で、どんな雰囲気で、どんな流れで仕事を進めるのかを具体的に示すことが大切だと話されています。
ここでマスコットさんは、冒頭で挙げた「ズレ」を改めて言葉にします。
事務所が伝えたい情報
作品の完成度やセンスを見せたい
施主が知りたい情報
人柄や価値観、長く付き合える相手かどうか
求職者が知りたい情報
職場の雰囲気や仕事の進め方
この3つの視点ができるだけズレないように情報を出すことが重要だ、というのが結論です。
なぜ「ズレを正す」ことが難しいのか
どんな状況でも、ズレを正すことが集客や採用につながるとマスコットさんは考えています。なぜなら、そもそもずれているからです。
ズレを正すのは簡単だと思うかもしれません。しかし、そのズレに気づいていない人が多く、マスコットさん自身もなかなか気づけなかったと振り返ります。
いい作品を作れば新規のお客さんがつくんだ、っていう考え方じゃなくて、相手の方の視点で考えることが、かなり重要。
自分の側の目線ではなく、見てもらいたい相手の視点で考える。それが、集客や採用で求めているものにつながるのではないか、というのがこの回の核心です。
最後にマスコットさんは、これが正解だという確証はないと改めて断りつつ、集客や採用で困っている設計事務所のヒントになればと締めくくっています。
まとめ
この回は、設計事務所のホームページを題材に、マーケティングを「ズレを正すこと」として捉え直す内容でした。伝える側の見せたい情報と、施主や求職者が知りたい情報の食い違いに目を向けることが出発点になります。
- 番組は今後、マーケティングや経営の知識を建築で使うとどうなるかを扱う方針に変わる
- マスコットさんは、建築のマーケティングを「集客」と「採用」の2つで捉えている
- 完成写真中心のホームページは、施主が知りたい人柄や、求職者が知りたい職場の雰囲気を伝えにくい
- まずターゲットを決め、その相手が知りたい情報を出すことがズレを正す第一歩になる
- 自分の側ではなく、見てもらいたい相手の視点で考えることが集客や採用につながる





