早めに動き出したオフ、今年のテーマは?
張本天傑選手の出演は昨シーズンに続いて2回目です。前回はほぼ趣味の話だったと大西さんが振り返ると、張本選手も「それ喋ったら止まらない」と笑い、今回もバスケ以外の話題から始まりました。
張本選手にとってオフシーズンは「一瞬」だったといいます。今年も始動が早く、5月末ごろにはもう体を動かし始めていました。
年齢重なるごとに、みんなと同じタイミングでスタートしちゃうと、その分遅れちゃうっていうか。体も動かなくなっちゃうんで。
張本選手は、周りより少し早めに動き出すことで、シーズン開幕時に同じようなコンディションを作ることを狙っています。この取り組みは1〜2年前から始めたものです。
ただ、昨年は早い始動でやりすぎて肉離れを起こしてしまいました。そのため今年の張本選手は「ほどほど」を意識し、ウエイトトレーニングを中心に取り組んだといいます。
メニューはトレーナーの石川準さんが毎日選手に合わせて作っていて、今年はジャンプ系など瞬発系の強化がメインでした。張本選手は手応えを「悪くない」としつつ、シーズン入りまでにもう少しベストへ近づけたいと話しています。
韓国旅行で見た「何でもあるホテル」と韓国のホーム
オフの旅行について、張本選手は今年は海外にあまり行かなかったとしながら、韓国には5日間ほど足を運んだと明かしました。目的は、ワールドカップ予選のウィンドウで行われた韓国対日本のアウェイゲームの観戦で、旅行はそのついでです。
遠征でもう大学からもうアホほど(韓国に)行ってるんで、もう韓国いいわって。奥さんは好きで、韓国が。
張本選手にとって、旅行として韓国を訪れたのは今回が初めてでした。印象に残ったのは、仁川空港から10分ほどの場所に最近できた「インスパイア」というホテルです。
インスパイアには、スライダー付きの大きな室内プール、室内遊園地、子ども向けの大きなアスレチック、十数軒の飲食店、カジノ、ショッピングまでそろっていたそうです。張本選手は「一泊で遊びきれない」「本当にモール」と表現し、子連れにとてもいい場所だと感じたといいます。
その後ソウル市内に移動し、最終日の夜に観戦した試合は、韓国にとって負けたら終わりの一戦でした。張本選手は現役時代に何度も韓国でのアウェイを経験していて、韓国のホームゲームを「一番やりにくい」と振り返ります。
中国のサイトから見る、日本代表の評価
張本選手は今も中国語をかなり読めるため、中国のニュースや中国代表の情報を中国のサイトから日常的に見ているといいます。大西さんは「そっち側から見れるって面白い」と反応しました。
今回のウィンドウで日本が中国とアウェイで戦った会場は、張本選手の生まれ故郷でした。十数年暮らした土地で、地元チームにも親しみがあるだけに、日本代表がそこへ来ることに「すごいな」という不思議な感覚を覚えたそうです。
中国のメディアやSNSで日本代表がどう書かれているかを大西さんが尋ねると、張本選手は、日本がライバル国として一目置かれている様子を伝えました。
(八村)塁と河村がいなくても中国が負けちゃうみたいな。じゃあもう帰ってきたらやばいじゃんみたいな。
張本選手によると、スタイルの面では3ポイントの決定率の差が大きく語られていて、前回の試合では日本が40%超、中国は20%未満ほどだったため、「こんなんじゃ全然勝てない」という論調だったといいます。
一方で張本選手自身は、中国代表について「ヘッドコーチが変わりすぎなのでは」と見ています。現在の中国代表のヘッドコーチは、張本選手が幼いころ地元チームを率いていた人物で、父親とも縁があり、かつて中国代表のポイントガードも務めた「めっちゃいい人」だそうです。
張本選手の話では、中国は中国人をヘッドコーチに据えがちで、外国人指揮官はうまくいかなかった例が多いといいます。大西さんが韓国は現在セルビア人がヘッドコーチだと触れると、張本選手は韓国について、速い展開と激しいディフェンスのいいバスケットをしていると評価しました。
日本代表は「過去最強」、その土台を作ったのは?
長く代表でプレーしてきた張本選手に、大西さんが今の日本代表の見え方を尋ねると、答えは明快でした。
張本選手は、一人ひとりの役割が明確になっている点を挙げ、そのスタイルを確立できたのはトム・ホーバス ── 日本代表男子のヘッドコーチ。女子代表を東京五輪銀メダルに導いたのち男子代表を率い、明確な役割分担と3ポイントを軸にしたスタイルで知られますさんの存在が大きいと話します。
同時に張本選手は、今の代表の土台は過去の代表で戦ってきた先輩たちが築いてきたものだとも強調しました。現在の強さを、1人の指揮官だけの成果ではなく、積み重ねの結果として捉えています。
収録日はちょうどカタール戦の日でした。八村塁選手と河村勇輝選手が代表に戻ったことで注目度が一気に高まり、これまでテレビであまり放送されなかった代表戦がゴールデンタイムに民放で流れ、会場のチケットも売り切れる状況です。張本選手は、こうした盛り上がりに「本当に感謝」と話しています。
沖縄の古宇利島と、ハマり始めたゴルフ
オフには韓国のほかに沖縄にも行き、張本選手は古宇利島を初めて訪れました。ただ、沖縄は行き慣れていて特別感がないため、家族で子どもをプールや海に入れる過ごし方だったといいます。
張本選手のオフのもう1つの柱がゴルフです。大西さんも前年11月ごろにゴルフを始めたばかりで、話が弾みました。
張本選手の初ゴルフは、自身とタイト ── ドルフィンズの選手として話題に出る人物。張本選手と同じくハワイで結婚式を挙げ、ゴルフにも一緒に参加していますの結婚式でした。2人ともハワイで挙式し、当時のドルフィンズのメンバー全員をハワイに呼んで、打ちっぱなしの経験もないままラウンドを回ったそうです。
ハワイから戻ったあとは教えてくれる人がおらず、5〜6年ほどゴルフから離れていました。再開のきっかけは、シーズン後に開かれた30人ほどの「ドルフィンズコンペ」で、スポンサーや三菱の社長も一緒に回ったといいます。
楽しかったと同時に、やっぱ悔しいってのがあって。なんかみんなやっぱり100近くで100切る方も結構多いし。
張本選手は、年齢を重ねればこうした付き合いが増えること、Bリーガーにもゴルフをする人が多いことから、今のうちに始めておこうと考えました。大西さんも「全く同じ理由で始めました」と共感しています。
そこからの張本選手は、真夏に毎日のように打ちっぱなしへ通い、1時間で最高250球ほど打って手の皮がめくれるほどでした。スコアの変化を並べると、上達の過程と目標がわかります。
2回目のラウンドでは一緒に回った2人には勝ったものの、緩いルールでの122だったため、張本選手はやはり悔しかったといいます。最近は室内シミュレーションでのレッスンに1カ月ほど通い、握り方ひとつでも全然違うと実感しているそうです。
バスケ界のゴルフ人気と、竹内兄弟の「事務的な連絡」
ゴルフの情報収集について、大西さんはYouTubeやInstagramのおすすめがゴルフばかりになったと話します。張本選手は、ショート動画の情報が多すぎて、レッスンで「それがダメ」と言われたため、最近は見ないようにしているといいます。
スライスをいかに直すかっていう動画ばっかり見てたら、みんな違うこと言ってるから、全部取り入れてみて、ラウンドしてみたら何もよく(ならなかった)。
大西さんが、NBAも含めてバスケ選手にゴルフをする人が増えたと話すと、張本選手は、辻さんの動画に竹内兄弟が登場した回を挙げ、「めちゃめちゃ笑った」と振り返りました。
張本選手によると、あの動画の笑いは、代表で竹内兄弟と関わってきた自分の世代までがぎりぎりわかるもので、下の世代にはわからないかもしれないといいます。2人が同じ画面に入ること自体が珍しいからです。
張本選手は、八村塁選手のブラックサムライのイベントで解説をした際、竹内公輔さんと会って新幹線まで車で送った出来事を話しました。車中でゴルフ動画の話を振ると、公輔さんは弟の譲次さんが来ることを知らなかったといいます。
マジでびっくりしたわって。そんな(譲次さんが)来るって分かってたら俺絶対断ってたわって。
仲が悪いわけではないはずだと張本選手が言うと、公輔さんは自分のLINEを見返したそうです。すると、譲次さんと最後に連絡を取ったのは2022年で、内容も「チケット何枚お願いします」という事務的なものでした。
さらに、譲次さんがチケットを頼むときは公輔さんの奥さんや比江島選手に連絡することが多く、比江島選手が公輔さんに伝えても「知らんわ」と返されたこともあるといいます。
距離を置く双子と、「どちらが先に辞めるか」
竹内兄弟は、高校まではとても仲が良く、毎日のように1対1をしていたそうです。兄の公輔さんはもともと卓球部で、譲次さんはずっとバスケを続けていました。
大学で慶應と東海に分かれ、そろって代表に入るようになってから、バスで前後に座ると先輩たちにいじられるようになったといいます。張本選手は、関西人でもある2人がそのいじりを嫌い、だんだん距離が離れたのではないかと見ています。
張本選手が面白いと感じているのは、2人が同じことをあまりしない点です。公輔さんがTwitterをしていると譲次さんはやらず、譲次さんはInstagram派だといいます。
その一方で、片方が風邪をひくともう片方も風邪をひき、片方が捻挫するともう片方も捻挫する、ということが不思議と多いそうです。大西さんは「そこはちゃんと双子っぽい」と笑いました。
張本選手は譲次さんと仲が良く、週に1回ほど電話する関係です。引退について聞くと、譲次さんは「わからない」と濁しつつ、シーズン後には公輔さんの奥さんに「康介どう?もう1年やりそう?」と探りを入れているといいます。
片方が先に辞めたくないんだろうな。
張本選手は、2人とも今も主力としてプレーできていることを「すごい」と評価し、今の代表を作ってきた功労者として、引退時には勲章や功労賞を贈るべきだと話しました。大西さんも、表彰式には2人そろって出てきてほしいと応じています。
ブラックサムライの解説で驚いた高校生のレベル
八村塁選手が主催するブラックサムライのイベントで解説を務めた張本選手は、今どきの高校生のうまさに驚いたといいます。フィジカルが強く、シュートがうまく、テクニックもあると感じたそうです。
張本選手は、U18でインターハイを制した「ロイくん」とジャックが、インターハイ前にたまたまワークアウトに来ていた日の話をしました。選手主体で対人練習をするオープンジムの日で、ハーフコートの3対3に高校生を交ぜて行ったといいます。
その日はチームメイトのヒューが絶好調で、5分で30点近くを取り、ロイくんが泣きそうな顔になっていたそうです。ヒューからは「インターハイ前にこんなに自信をなくさせていいんですか」という声も出たといいます。
それでも張本選手は、ロイくんの実力を高く評価しています。トレーナーの石川さんがパワー測定をした際には「こんな数字見たことない」と驚いたほどで、ロイくんはその後、見事にインターハイで優勝しました。
ほかにも佐藤兄弟の弟や、ケイマン選手、ベネディクト選手らのビッグマンなど、ポテンシャルの高い選手が多いと張本選手は話します。松岡修造さんがコートサイドで解説し、テレビ取材も入り、演出も豪華だったこのイベントを、高校生にとって「めちゃめちゃレアな体験」だったと振り返りました。
高校から直接Bリーグか、大学を経るべきか
若い世代がぐんぐん伸びている流れから、話題は進路に移りました。張本選手の周りでも、高校からそのままBリーグに入るのか、大学を経験してから入るのかは「究極の選択」として話題になるといいます。
正解はわかんないですけど、僕自身は、少なくとも大学は2、3年は経験した方がいいんじゃないかなって。
張本選手が重視しているのは、体の根本的な作り方です。いいトレーナーと施設がそろった高校なら別ですが、そうした環境の高校はなかなかないため、大学で体を作ってからのほうが怪我のリスクや将来を考えるとよいと話します。張本選手自身も、大学の4年間に今も助けられている部分が多いそうです。
一方で大西さんは、大学のバスケがBリーグと違いすぎる点を指摘しました。張本選手もそこが難しいと認め、特にポジションによる差を挙げています。
高校から直接でもやれる選手が多い
線が細く、Bリーグのゴール下では通用しにくい。大学で体を作り3番・4番を目指すほうがプラスと張本選手は考える
張本選手は、オンザコート4などのルール変更でスイッチが増え、パワーに加えて横の動きにもついていくディフェンスが求められることにも触れました。だからこそ、体作りをしながらウイングとして起用してくれる大学がよいと考えています。
育成の方針について、張本選手はオフェンス能力を徹底的に伸ばす東山高校のようなスタイルが好きだと話します。明治大学の金丸さんも高校まではビッグマンで、大学で1試合50〜60点取る点取り屋になった例として挙げられました。
張本選手自身は大学3年ごろからオールラウンダーとしてプレーし、代表と大学の監督だった長谷川さんから「日の丸で3番・4番を背負える選手に」と言われ続けていたそうです。張本選手は、自分が経験した高校と大学は日本でもトップクラスにきつかったと振り返っています。
ロイ・ラナHCの新スタイルと「シューター」という役割
今シーズンの話が出ないまま進んできたと大西さんが笑い、ここからは新ヘッドコーチのロイ・ラナさんについての話です。張本選手の第一印象は「すげー喋りやすい」で、選手の気持ちを汲んで話してくれるためコミュニケーションが取りやすいといいます。
ロイ・ラナさんのバスケットは、ふたを開けてみると昨季までと真逆の部分が多く、張本選手は「面白い」と話しています。
フリーランスで比較的自由にプレーするバスケット
一人ひとりに役割を与え、それを遂行するバスケット
張本選手は、この変化が特にタケやシュウといった若手にとって、今後のバスケ人生で大きなプラスになると考えています。前任のションさんのスタイルと、カチッとした今のスタイルの両方を経験できるからです。
張本選手自身に与えられた役割は、はっきりしています。
大西さんが、どの選手が伸びそうかを尋ねると、張本選手はケイタとアーロンの名前を挙げました。昨季は2人にとって苦しい時間が長く、その大きな原因はスペーシングの悪さだったといいます。
4アウト1イン
中にアタックできるスペースを作る配置を基本にする
外で打てるインサイド陣
ライアンや張本選手がスペーシングを広げる
ヘルプが減る
相手の5番がタグに行きにくくなる
アタックしやすくなる
ケイタとアーロンのドライブが生きる
張本選手は、スペーシングさえできれば2人は「何でもできちゃう」と話します。ピックアンドロールから次のアクションが自動的に生まれる形も整いつつあるそうです。
継続メンバーが多いなかでのコーチ交代について、張本選手は、タグアップなどいい部分は残しつつ、ディフェンスなど弱点を数字で示して改善していると説明しました。昨季のファーストブレイクのPPVや、26チーム中9位といった順位、ベースラインサイドスルーの確率などが示され、悪いところから直していく方針だといいます。
ベテランとして磨きたいのは技術より「メンタル」
今でも上手くなりたいものは何かと問われた張本選手は、技術面では今持っているもので勝負したいとしたうえで、精神面を上達させたいと答えました。
張本選手が挙げた昨季の課題は、成績の波の激しさです。60試合という長いシーズンのなかで、その原因はバスケの内容に加えてメンタルが一番大きいと見ています。
もちろんコーチもそこはケアしていくべきだろうけど、選手からもやっぱりそういう人間出ていかなきゃいけないと思うんで。
張本選手は、チームが危機に陥ったときにどう支えるか、みんなのモチベーションとメンタルをどう維持するかを、ベテランとして自ら担っていきたいと話します。特に若い選手へのケアを意識しているといいます。大西さんも、昨季から張本選手のようなベテランがいることをチームの強みと感じていたと伝えました。
B.PREMIER初年度、変わるスケジュールとファンへの約束
今季はB.PREMIER初年度で、張本選手にとっても初めてのスケジュールになります。土日と水曜日という従来のルーティンが崩れることについて、張本選手は「いまいち理解できてない」と正直に話しつつも、決まったことなのでアジャストするしかないと受け止めています。
張本選手は、探り探りのなかでコンディション維持や怪我の予防が大事になると見ています。大西さんも、ストレングス系のスタッフの重要性が増しそうだと応じました。
さらに今季は、アジア競技大会の影響でホーム開幕が開幕から約1カ月後になり、アウェイが続きます。帰ってはくるが試合ができない状況にも、張本選手は「しょうがない」と話しています。
今季の抱負として、張本選手はチームを正しい方向に導ける選手になること、求められている3ポイントの確率を達成することを挙げました。そのうえで、ロイ・ラナさんのスタイルに一人ひとりがアジャストし、見ている人に好きになってもらえるチームを目指したいといいます。
このチーム楽しいなって、この人このチームめっちゃ好きだって思わせるようなチームになっていきたいなっていうのは思いますけどね。
ファンに注目してほしい点として、張本選手は、オフェンスが昨季からガラッと変わる一方で、ディフェンスの激しさは維持していくと話しました。激しいディフェンスは、ファンにも選手にも楽しめるポイントの1つになるはずだといいます。
まとめ
張本天傑選手は、年齢に合わせたオフの調整やゴルフへの挑戦、代表と竹内兄弟への敬意、若手の進路への考えを語ったうえで、ロイ・ラナ体制では「シューター」とチームを支える精神的支柱の2つの役割を担う決意を示しました。B.PREMIER初年度の手探りのスケジュールにも、アジャストして臨む姿勢です。
- 早めの始動は続けつつ、昨季の肉離れを踏まえて今年はウエイトと瞬発系を中心に「ほどほど」に調整した
- 日本代表を「過去最強」と評し、ホーバスHCと歴代の先輩たちが土台を作ったと語った
- 高校生の進路については、体作りのため大学を2〜3年経験するほうがよいというのが張本選手の考え
- 新体制では役割が明確になり、張本選手は3ポイント40%を目指すシューターとして4アウト1インのスペーシングを担う
- 技術よりメンタル面での成長を掲げ、長いシーズンで波をなくすためにベテランとして若手を支えたいと話した



