シーズン2初回のゲストは「喋るのが苦手」なAGM
ドルフィンズ ポッドキャストのシーズン2がスタートし、初回ゲストに梶山信吾アシスタントGMが登場しました。番組にはスポンサーとしてカプセルトイ専門店を運営するドリームカプセルがつき、さらにヘッドコーチの人脈を生かした新番組「ダイヤモンドポッド」も同じチャンネルで配信されることが告知されています。
昨シーズンも一度出演していますが、単独ゲストとして呼ばれるのは今回が初めてです。普段は話しやすい人柄の梶山さんですが、意外にも人前で喋ることには苦手意識があると打ち明けました。
(試合後に)前に出て話さなきゃいけなかったんですけど、それがすごく嫌でした。
カメラと人前で喋るっていうのがすごく苦手なので、たまに飛んじゃったりするんで。
ヘッドコーチ時代に試合後の会見が苦手だったという話からも、選手・コーチ・フロントと立場を変えてきた人物ならではの視点がにじみます。
新体制の練習は「27年で初めて」のエナジー
インタビュー収録は8月半ば、練習が始まったばかりの時期でした。梶山さんは新体制の練習について「期待しかない」と語り、昨シーズンとの違いを強調します。
何でしょう、もう期待しかない。(練習が)去年と明らかに違うところがたくさんあるので。
何が一番違うのかを問われると、梶山さんはパッション、エナジー、声、やる気を挙げました。ロイ・ラナヘッドコーチやアシスタントコーチの影響に選手がしっかり乗っていることが、見て聞いてわかるといいます。
昨シーズンはアーロン・ヘンリーとアーロン・ラーズが声を出している印象だったのに対し、今年はチーム全体が声を出しているといいます。コーチ陣がまず声を出し始め、そこにラナさんが身振り手振りで指導する==という変化が、練習の空気を大きく変えたようです。
梶山さんはラナヘッドコーチの伝え方についても、ミーティングがシンプルで短く、聞きやすいと評価しました。練習を止めて選手の注意を引くのもうまいと話しています。
(ラナさんは話すのが)すごくシンプルだし、短いし。引き込む力を持ってるなって。
「いいものを残す」ラナHCの入り方とドルフィンズの色
梶山さんは長年、選手・ヘッドコーチ・フロントとしてドルフィンズを見てきました。新体制で引き継がれるものと進化するものについて、まずラナヘッドコーチとのコミュニケーション量に触れます。ラナヘッドコーチがアメリカにいる頃から、メッセージアプリで英語をやり取りし、何度も対話を重ねてきたといいます。
ラナヘッドコーチはドルフィンズの昨季の試合を数多く見たうえで、いいところは残すという姿勢からチーム作りに入っているそうです。
ドルフィンズのいいところはビーイージーだって、ネクストプレイメンタリティだって、トランジションバスケットだって、そういった部分は引き継いでいこうって。
一方で昨シーズンの課題も明確です。3ポイントの成功率は32%ほどで、これを37%くらいまで上げたいこと、スペーシングの問題があることが挙げられました。アランが抜けたことによるリバウンドの課題も、チーム全体で意識高く取り組む必要があると話しています。
梶山さんがラナヘッドコーチに最も期待しているのは、昨季ごちゃごちゃしていたスペーシングを整理する力です。彼はこれを「オーガナイズカオス」という言葉で表現しました。
(ラナさんは)オーガナイズされた状態を作るのが上手なんじゃないかなと思ってて、そこも期待している一つですね。
選手時代から一貫する「日本人を生かすバスケット」
玲央さんが梶山さんのヘッドコーチ時代のインタビュー記事を読み返したところ、当時からトランジションと3ポイントを大切にしていたことが伝わってきたといいます。梶山さんは、この軸はブレたくないと語ります。
(軸は)ブレたくないというか。ただ、柔軟にバスケットは変化していくんで、柔軟にやらなきゃいけないっていう思いもある。
最もブレたくないのは、日本人を生かすシステムや、外国籍選手に依存しないバスケットだといいます。これは代表もそうあるべきで、ドルフィンズの色でもあると強調しました。
この考えは選手時代の実感から生まれています。当時はインサイドを外国籍選手に任せるバスケットが多く、世界に目を向けると違うのではないかと感じていたそうです。実際にヘッドコーチとしてトランジションを打ち出した当時は、Bリーグでも突出した取り組みだったと玲央さんは振り返ります。
(当時は)Bリーグ1チームだけ、変なチームみたいなぐらい結構突出したことをやってて、今ようやくみんな追いついてきた。
ラナHCとの出会いと、練習場を彩った「装飾」の裏側
ラナヘッドコーチとの接触は、社長の東野さんが元々の知り合いだったことがきっかけです。ヘッドコーチに決まった頃から改めて話すようになり、梶山さんは人柄とバスケットの細かさに惹かれたといいます。
(ラナさんは)数字だったり、いろんな部分ですごく細かいんで、それは今までドルフィンズに足りない部分でもあった。
ラナヘッドコーチは梶山さん自身のこともリスペクトしつつ、「ここはダメだ」とはっきり言ってくれるそうで、その率直さが新鮮で勉強になると話しました。
話は、ラナヘッドコーチ来日までに間に合わせた練習場の「装飾」の裏側にも及びます。短期間での準備は大変で、知り合いの職人に「この期間でできるか」と尋ねると、最初は絶対に無理だと言われたといいます。
(職人さんが)なんとかこの日までにやりますって言ってくれて。あれが出来上がったっていう。
練習場が大きな幕などで綺麗に装飾され、久しぶりに入った玲央さんも驚いたほどのインパクトがあったといいます。装飾には意味が込められていますが、その解説はラナヘッドコーチ本人がSNSで語る予定として、この場では明かされませんでした。
前田健滋朗・間宮誠「激アツ」なコーチ陣の顔ぶれ
スタッフはラナヘッドコーチ以外にも大きく入れ替わりました。梶山さんは、アシスタントコーチとして加わった前田健滋朗さんと間宮誠さんの起用を「激アツ」と表現します。
(新アシスタントコーチの起用は)正直激アツですね。
間宮さんは明治大学時代から、前田さんは長崎時代からよく知る間柄で、いい後輩・いいバスケットをすると感じていたそうです。まさか来てくれると思っていなかったものの、誘い続けてよかったと振り返ります。前田さんが率いていた滋賀には、ドルフィンズが1勝3敗と負け越していたことも起用の背景にあります。
彼(前田健滋朗)のバスケットはまず速い。そのトランジション、あと規律がいい。
ラナヘッドコーチは今シーズン、前田さんにオフェンス、間宮さんにディフェンスという役割を明確に渡しているといいます。梶山さんは、それぞれの良さを見て引き出す采配を「さすが」と評価しました。
ロスター継続の理由と、Q・ライアンに求める役割
今回のロスターは継続が多く、新加入はライアン・ルーサー選手とクエンティン・ミロラ・ブラウン選手(Q)です。継続の理由について、梶山さんはまず「変える必要がなかった」と語ります。長くドルフィンズのユニフォームを着てほしいという思いも背景にあります。
優勝するための編成を社長やラナヘッドコーチと何度も話し合った結果、カイルが抜けた穴にキュー選手を、スペーシングや3ポイントなどの課題を踏まえてライアン選手を迎えたといいます。継続を選んだのは、昨季への評価が高いことの裏返しでもあります。
(昨季は)怪我人、スコットが出てない中で、宇都宮アウェーで2連勝できた。あともう一歩のところで、もう一つ上に行けた。
玲央さんが、ロスターが変わらない中でヘッドコーチが替わるバランスをどう取るか尋ねると、梶山さんは継続選手がドルフィンズのバスケットを知っていることがヘッドコーチのやりやすさにつながると答えました。他クラブの候補もリストアップしたうえで、来てほしいと思う選手があまりいなかったともいいます。
新加入2選手への期待は具体的です。Q選手にはアランが抜けたリバウンドを、ライアン選手にはスペーシングと3ポイントを期待しています。
アランが抜けたリバウンドの穴を埋める。5番ポジションで疲れがちなスコットの負担軽減も期待。
スペーシングと3ポイントの改善。IQの高さとヨーロッパでの経験を生かし、味方のアタックを生かす。
ライアン選手の3ポイント成功率は35%ほどで、ワールドカップでも高い決定力を見せていたといいます。彼が出ることでスペーシングが広がり、昨季タフなシュートに追い込まれていたエイジ選手のアタックも生きてくると梶山さんは説明します。
我々のバスケットはまず100点取りに行くんだっていうぐらいの、あとは3ポイントを確率よく決めていく。
最も変わるのは「Hの活躍」という視点
昨季と今季で一番変わりそうな点を問われ、梶山さんはアーロン・ヘンリー(H)が変わるのではないかと予想します。まだ若く精神的な波もあるものの、ラナヘッドコーチの規律の良さと厳しさから学べることが多いといいます。
さらに、ライアン選手の加入が精神面で大きいと梶山さんは見ています。スコット選手、ライアン選手、おとなしいキュー選手と周りから固めることで、ヘンリー選手が羽ばたきすぎないようにする狙いです。
これはヘンリー選手を否定する話ではありません。彼で勝った試合も負けた試合も多く、チームとして一緒に乗り越えるべき課題だったと梶山さんは丁寧に補足しました。次のステップとして、ここを良くすれば優勝に近づくという考えです。
好調が期待される選手として、今村佳太の名前も挙がります。昨季は宇都宮とのCS前に玲央さんと梶山さんが「そろそろケイタが来る」と話していたところ、実際に活躍したエピソードが語られました。
あれはもう僕ら信じるのみでしたけどね。本人が一番苦しい思いしてたと思うんで、もうほんと泣きそうになりましたね。
整理された速さ、そして声の出るディフェンス
テンポの速さと整理されたオフェンスの両立は難しいテーマですが、梶山さんはそこで前田健二郎さんの存在が強みになると力を込めます。オーガナイズされた状態でも速さを落とさず、むしろより速くを意識しているといいます。
今までやってないことをやってるわけじゃなくて、今までやってきたことを健二郎がより(整理して)やってるだけなんで。
ディフェンス面では間宮誠さんが常に声を出し、周りのコーチも引きずられるように全員が声を出しているそうです。梶山さんは早速、広報にその声を届けるよう伝えたと語りました。
スタッフが大きく変わったことで心配するファンも多いだろうと前置きしつつ、梶山さんははっきりと言い切ります。
(スタッフが大きく変わって心配な方に)はっきり言いますね。絶対心配いらないっていうのが。
リクルートの武器は「顔と性格」という信念
GMとして選手やスタッフをリクルートする際、ドルフィンズの一番の武器は何かと問われ、梶山さんは環境の良さはどのクラブも高まっていると前置きしたうえで、「人」だと答えました。ラナヘッドコーチや斎藤拓実選手がいること、そしてチームプレーの魅力を挙げます。
選手選びで重視するのは「顔と性格」だと梶山さんは断言します。冗談だと受け取られがちですが、本人は本気です。
話しているうちに目をそらす人はあまりリクルートしたくないというか。
性格については本人と直接話すだけでなく、知り合いのコーチなどからも幅広くリサーチするといいます。さらに、選手として見られやすいイケメンであることは興行としても大事だと、フロントらしい視点も加えました。
選手目線を残すGMの葛藤とサジ加減
選手経験のある梶山さんは、その視点を今も意識して残しているといいます。理由は、選手のことを分かってあげたいから。辛いことがあれば早く気づき、爆発して手遅れになる前に何とかしたいと考えているそうです。
一人一人をできるだけ長い時間見るようにはしてて。やっぱ顔を見てたら、しんどそうだなっていうふうには(わかる)。
一方で、選手が嫌がることをフロントとして頼まねばならない葛藤もあります。ヘッドコーチがやりやすいように立ち回りつつ、自分が中に入りすぎてもいけない。そのサジ加減の難しさを、両方の立場を経験したからこそ担えると梶山さんは語ります。
「GMが天職」ドルフィンズで骨を埋める覚悟
玲央さんが、梶山という存在はチームにとってスペシャルだと伝えると、梶山さんは何よりドルフィンズが誰よりも好きだと返しました。辛いことも一晩寝れば忘れ、どうすればチームが良くなるかをずっと考えているといいます。
ヘッドコーチを4年務めた後、GMのオファーを受けた時に、二度とヘッドコーチはやらないと決めたそうです。S級ライセンスも更新せず失効させました。自分が更新し続けることが、ヘッドコーチを務める人に失礼だと感じたからだといいます。
ヘッドコーチは向いていないと語る一方で、GMは天職だと梶山さんは言います。選手とスタッフ、両方の辛さを知る人は少なく、そこにやりがいを感じるそうです。
両方の辛さも知ってるんで、選手、スタッフの。そこってなかなか両方経験してる方って少ないじゃないですか。
過去に一度だけ三河への移籍を考えたことがあったものの、それを断った時に決意を固めたといいます。
プレミア元年、ファンと共に「悔しさ」も分かち合う
最後に、一人のドルフィンズファンとして今シーズン楽しみにしていることを問われ、梶山さんは大きくは変わらないという前提を置きつつ、継続の中でも大きく進化する年だと語りました。その変化と進化を、ファンと一緒に作り上げていきたいといいます。
そこをどう変わっていくのか、進化しているのかっていうのを、ファンの人たちと一緒に作り上げていきたい。
注目したいのは、楽しさや感動と並んで「悔しさ」という言葉が入っていた点です。60試合すべてに勝てるわけではなく、苦しい時間があるからこそチームはステップアップできるという考えが込められています。
新しいフィールドとなるBリーグ プレミアの元年、まだ優勝経験のないドルフィンズが初のタイトルを目指します。
まとめ
シーズン2初回は、梶山信吾アシスタントGMがラナ新体制の狙いを語りました。ロスターを大きく変えなかったのは昨季への高い評価の裏返しであり、そのうえでスタッフ刷新と新加入2選手により「継続と進化」を両立させようとしていることが伝わる回でした。
- ラナ新体制は「いいところは残す」姿勢から入り、ドルフィンズのトランジションや日本人を生かす色を継続する
- 新加入のQ選手にはリバウンド、ライアン選手にはスペーシングと3ポイントを期待している
- 梶山AGMは今季最も変わる存在としてアーロン・ヘンリーを挙げ、周囲を固めることでの成長を見込む
- リクルートの軸は「顔と性格」で、内面は顔に出るという信念のもと性格を重視している
- 選手・ヘッドコーチ・GMを一つのチームで経験した梶山AGMは、GMを天職と語り、ドルフィンズで骨を埋める覚悟を示した





