赤ちゃんは「社会の財産」?街ですれ違う人との距離感
この回はまず、最近の雑談から始まります。夫のYuさんが持ち出したのは、街中で赤ちゃんに声をかけられる機会が減ってきたという話でした。
昔はさ、赤ちゃんを覗き込まれたりとか「可愛いですね」って声をかけられたのが少しずつ減ってきていて。
すれ違いざまにベビーカーを覗き込んだ人がいたんだけど、何も言わずにそのまま去っていかれて。
妻のNagiさんは、今は「話しかけるな、触れるな」という風潮もあるよね、と応じます。けれど夫のスタンスはむしろ逆でした。
俺、むしろめっちゃ触ってほしいんだけど。だって(赤ちゃんは)社会の財産じゃない。
この可愛い、この時期にしかないこの子を、みんなで味わっていこうぜみたいな、そういう感覚です。
妻のNagiさんも、その考えには一理あると受け止めます。守ろうと必死に自分だけで囲うより、オープンにするほうが結果的にその子を守ることにつながるのでは、という見方でした。
初めてのお便り回、フォームに送るハードルの高さ
雑談のあと、この日の本題であるお便り回に入ります。妻のNagiさんは、番組にとって初めてのお便り回だと切り出しました。
お便りフォームって結構ハードル高くて、なかなか書く人少ないと思うんだよね。
二人とも、リスナーとしてラジオやポッドキャストにお便りを送った経験はほとんどないと打ち明けます。夫はXのDMを一度した程度、妻も感想は送ったものの、質問やネタ提供として送ったことはないそうです。
送りたい送りたいってずっと思ってるけど、なんかハードル高いんだよね。憧れてるぐらいの感じかな。
そんな二人だからこそ、届いたお便りへの感謝もひとしおでした。ここから、東京都在住のこじろうさんからのお便りが読み上げられます。
「どうやって合意して名付けた?」小次郎さんからの質問
妻のNagiさんが読み上げたのは、グラスやお酒を注ぐ音が綺麗で度々聞いているというこじろうさんからのメッセージでした。結婚してもうすぐ2年目、子供のことをそろそろ考えているという状況です。
お二人はお子様のお名前はどのような過程を経て合意を形成し名付けましたか?
お便りには、雑談で名前を考える時間は尊く楽しい一方で、本当に二人で納得して名前を付けられるのかという一抹の不安も綴られていました。
東京の電車でぎゅうぎゅう詰めになっている一人一人には名前があり、両親たちが思いを込めて一つの決断をしているのだと思うと、どうやって、どのようにと思ってしまいます。
二人はこのお便りの視点や人柄に感心します。妻のNagiさんは、自身も産休育休中に散歩しながら、他の家庭に思いを馳せていたと共感していました。
ちゃんと自分の疑問とその背景をここまで丁寧に説明できる、いい人柄がにじみ出てる。俺もそんな人間になりたい。
夫のYuさんは、名付けの過程を思い出す機会はこれまでなかったと話し、いつか子供に聞いてもらえるかもしれない、残しておきたいテーマだと受け止めていました。
中性的・漢字一文字・二音、名付けの3つの条件
ここから、五十嵐家がどう名前を決めたかの具体的な話に入ります。夫のYuさんは、まず名付けの前提として3つの条件があったと振り返ります。
この3条件でまず候補を絞ったといいます。ただ、条件に当てはまる名前は多くなく、さらに夫の兄の子供もほぼ同じ条件で名付けられていたため、そことも被れないという制約が重なりました。
最初に5、6ぐらいは挙げてたけども、そもそもその条件に当てはまりやすい名前がそう多くない。
結果として候補はさらに絞られ、今の名前が早い段階でポンと出てきて、妊娠中もその名前で仮に呼び続けていた、と夫は記憶しています。途中で一度別の名前に変わったものの、最終的には元の名前に戻って決定したそうです。
胎児ネームがそのまま本名に、愛着の生まれ方
妻のNagiさんは、その名前の案がそもそも挙がった背景として「胎児ネーム」の存在を挙げます。お腹の赤ちゃんへの呼びかけ方のことです。
二人は特に意識していたわけではないものの、「赤ちゃん」とそのまま呼ぶのはしっくりこず、そこを少しもじった別の呼び名で呼んでいたといいます。
その名前で愛着が湧いてしまったがために、別の名前を考えても、なんとなくしっくりこない。
結局、何週間も候補を出し合った末に、その胎児ネームがそのまま本名になりました。胎児ネームで生まれた愛着が、そのまま名前の決め手になったという流れです。
「誰でも読める簡単な漢字」に落ち着くまでの迷走
読み方は早く決まった一方で、漢字は最後のギリギリまで迷ったといいます。二人とも個性を出したい性格で、誰とも被りたくないという思いが強すぎたためでした。
被りたくない被りたくないで漢字を迷走した結果、直感的に誰でも間違いなく読める漢字じゃないと嫌だって言ってて。
被りたくないという思いと、誰でも読める漢字がいいという思い。この2つの間で何周も迷った末、たどり着いたのは一番簡単で誰でも書ける漢字でした。
最後に背中を押したのは、夫婦が二人とも通う美容師さんの一言でした。生まれる直前、簡単な漢字にすることに踏み切れずにいたところ、その話をしたら思わぬ反応が返ってきたそうです。
「え、めっちゃかっこいいじゃん」みたいな。シンプルこそかっこいいみたいな。もはや侍みたいな感じで、背中を押してもらった。
夫のYuさんによれば、名付けの過程で夫婦の意見が割れることはほぼありませんでした。最初の条件から「キラキラネームっぽいのはちょっとね」という感覚まで、二人の間に大きな乖離がなかったといいます。
画数も大安も気にしない、精神科医が語る名前と改名
ここから話は少し脱線し、日本人がよく気にする画数や大安といった慣習の話になります。妻のNagiさんは、そうしたものに人生を委ねる感覚があまりないと語ります。
入籍日についても、決めた後に「仏滅では」と言われたものの、自分たちがいいと思って決めた日だからと流したそうです。名前の画数も気にしていませんでした。
生まれる直前ぐらいに暇だったから一応調べたんだけど、最凶みたいな。でもそれを見たからといって別に何も思わない。
夫のYuさんも、画数占いには複数の流派があること自体が引っかかると話します。血液型占いや厄年なども含め、そうしたもので運命が決まるとは思っていないという立場でした。
一方、妻のNagiさんが画数を気にしない理由は、迷信を否定するというより、精神科医としての経験に根ざしていました。名前に縛られて改名する人を数多く見てきたのです。
女の子らしい名前を付けられたけど、どうしても嫌で、"なおこ"っていう名前を"なお"に変えたりとか、名前って本人の意思があれば結構簡単に変えられちゃう。
下の名前は成人していれば本人の意思で変えられること、夫婦別姓や婿入りなど苗字も変わりうること。そう考えると、名前は必ずしも永遠のものではない、と妻のNagiさんは受け止めています。
名付けの主導権は「六四」、夫婦それぞれのスタンス
名付けの主導権について、夫のYuさんは、家のことの中でそれぞれどちらが主導するかという感覚があると明かします。名前については妻に主導権を持たせていたそうです。
名前はどっちかっていうと、Nagiちゃんの方に主導権を六四ぐらいで持たせてたの。気持ち的には。
理由を問われた夫は、どこかで「子供を産むのは女性だし」という思いがあるかもしれないと答えます。意見はしっかり伝えるけれど、最後は妻が決める、という六四の感覚でした。
妻のNagiさんは、世の中には「パパに決めてほしい」という家庭もあることを、自身の上司の例を挙げて紹介します。妻さんに委ねられ、生まれてから1週間で顔を見て名前を絞ったという話でした。
(上司は)候補だけ決めといて、生まれてから1週間で頑張って考えて、顔見てから絞って決めたみたいなこと言ってて。
妻のNagiさんは、自分はそういうやり方はしたくないと感じたと話します。夫のYuさんは、まさにそこを妻に委ねたくないキャラだと薄々感じ取っていたと応じました。
省略されたくない、「二音の名前」に込めた理由
名付けの条件について、妻のNagiさんが後から思い出した理由がもう一つありました。それは自身の名前が三文字で、普段はほとんど省略形やあだ名で呼ばれてきた経験に関わります。
妻のNagiさんは、自分の名前を気に入っていると話します。同じ名前の人に人生でほとんど出会ったことがないほど珍しく、患者さんやそのご家族からもよく読み方を尋ねられるそうです。
2回目に来た時に「最後に聞きたいんですけど、先生のお名前はなんと読むんですか」って、これ何回聞かれたかわかんない。
だからこそ、子供には気に入ってもらえて、かつ省略されずにその名前で呼んでもらいたい、という思いがありました。素敵な名前ほど省略するのはもったいない、という感覚です。
自分の子供につけるならば、その名前でみんなにも呼んでもらいたい。省略されたくないなみたいな。
二音の名前がいいというのは、省略しようがないからという意味合いでした。二音であれば、さすがに省略のしようがない、という理屈です。
名前への愛着はどう育つ?夫が最近しっくりきた理由
同じ問いを夫に向けると、答えは対照的でした。夫のYuさんは、人生の8、9割を苗字「五十嵐」で呼ばれて生きてきたため、下の名前にあまりこだわりがなかったといいます。
小学校まではニックネームだけど、ほとんど苗字で呼ばれてきてるから。だからあんまり(名前に)こだわりがない。
ところが、その夫のYuさんが、下の名前を最近になって気に入り始めたと打ち明けます。妻のNagiさんはその変化に驚きました。
なぎちゃんに「いい名前だね」って言われ始めたのが結構あるかな。
ここから二人は、名前への愛着がどう育つのかを一緒に考え始めます。妻のNagiさんは、周りがどれだけその名前を褒めたり大事にしてくれるかが関係しているのでは、と推測します。
妻のNagiさん自身も、自分で気づいたというより言われて気づいたクチでした。あるデザイナーに名前を「キラキラネーム」と言われてムッとした直後、別の言葉をかけられたといいます。
「小説に出てきそうな名前ですね」ってさらっと言われた時に、久しぶりにめっちゃ嬉しくなって。この名前で良かったって思った。
名前への愛着は自己肯定感とセットで育つ
夫のYuさんは、自分がフルネームより「五十嵐です」と名乗ることが多かった背景を、もう一歩踏み込んで振り返ります。それは名前そのものより、自分への自信の問題だったといいます。
名前っていうよりも、自信がなかったっていうのはあるかも。自信がつき始めたことと、名前へのポジティブな捉え方は結構セットだったかもしれない。
妻のNagiさんは、この気づきを新しい視点だと受け止めます。名前への愛着は、自己理解や自分への捉え方、周りとの付き合いによって変わってくるのかもしれない、というものでした。
夫のYuさんは、講演やシンポジウムで自分の名前が大きな垂れ幕や机に掲げられる機会がちょこちょこ増えてきたことも挙げます。それを見て「意外といいかも、俺の名前」と思えるようになってきたそうです。
好きな食べ物で締める、お便りへのアンサー
最後は、お便りの「回答が難しければ好きな食べ物を教えてください」というリクエストに答えて締めくくります。夫のYuさんは即答でした。
最近ナスの天ぷらが好きです。ズッキーニの天ぷらもいいね。
妻のNagiさんの答えは、タルトでした。誕生日にも夫が買ってきてくれたという、一番好きな食べ物です。
タルト一番好き。以上です。
二人は改めて、雑談系でも人生系でも、お便りをいつでも待っていると呼びかけて回を終えました。
まとめ
初めてのお便り回として、五十嵐家の名付けの過程と、名前への愛着の育ち方を語った回でした。名付けの合意そのものより、名前をどう受け止めていくかにこそ、それぞれの価値観がにじんでいます。
- 名付けは「中性的・漢字一文字・二音読み」の3条件から絞り、大きな意見の対立はなかった
- 胎児ネームで生まれた愛着がそのまま本名の決め手になり、漢字は誰でも読める簡単なものに落ち着いた
- 画数や大安は気にせず、妻は精神科医の経験から「本人が大事にできる名前かどうか」を重視している
- 名前の主導権は妻に六四で、夫婦それぞれ名前へのこだわりの強さが異なる
- 名前への愛着は、周りに褒められることや自分への自信とセットで後から育つ場合がある






