Seiya企画で「ナイキに何が起きたのか」
第2回はSeiyaさんの企画で、Xで流れてきたニュースをテーマに選んだところから始まります。取り上げるのはグローバル企業のNIKEです。
Xで流れてきてて、あ、いいかもなテーマとしていいかもなというふうに思ったニュースで。
Seiyaさんが驚いたのは、確立されているように見えるブランドの株価が大きく下がっていたことでした。
俺あんまり知らんかったよ。そんな落ちてるんだっていう。
株価とかそもそもあんま見ないですからね。投資とかやってないとね。
株価75%下落、時価総額が一日で消えた日
Seiyaさんが示したのは、NIKEの株価が2021年のピークから大きく下落したという数字です。
Seiyaさんによれば、2024年6月には時価総額が大きく消えた日があり、市場最悪の一日と言われているとのことです。
下落の背景には、中国で売れづらくなっていることや、人種差別問題での広告炎上などがあると紹介されました。ただし、それらは一要素にすぎないと話されています。
一要素としてあるけど、実際にはマーケティングの失敗だみたいなことを言われています。
一方で、日本国内では抽選や転売が起きるほどNIKEが盛り上がっていた時期もあり、上り調子のイメージが強かったとYujiさんは振り返ります。
オンやホカの台頭と、D2Cへの戦略転換
話題は、最近見かけるようになった新しいスニーカーブランドへ移ります。SeiyaさんはオンやHOKAの名前を挙げ、インフルエンサーが使う場面が増えていると指摘します。
(オンやホカは)2021年とか2年ぐらいにニューヨークの知り合いの人がすごい今これ流行ってるみたいな言ってて。えーって思ってたら、その半年後ぐらいになんか日本でもすごい流行ってた。
Seiyaさんは、2020年に就任したCEOのもとで、店舗販売より自社のWEBやNIKEショップで直接売っていくD2Cへ戦略を転換したことを、大きな判断の変更として紹介します。
その結果、NIKEは知名度こそ約94%とほぼ誰もが知る状態でありながら、欲しいと思われにくい状況になっていると説明されました。
寝具やギターを、Yujiはどう選んだか
ここから話は、物の選び方という身近なテーマへ広がります。Seiyaさんは、最近Yujiさんが買ったものを起点に掘り下げようとします。
引っ越しで家具や家電を買ったYujiさんは、その選び方を合理的だったと振り返ります。
機能性、デザイン、色、予算で、なんかその中間、中間のものを選んでましたかね。
ハイブランドすぎると予算が上がり、下げすぎると機能性が落ちる。その間の値ごろ感を狙ったという説明です。
一方、少し前に買ったギターについては、渋谷の楽器屋まで行って試奏し、デザインとブランドを見て決めたと話します。ヤマハやフェンダーといった有名ブランドが選択の軸にありました。
「持っている自分」が価値を決めるという視点
Seiyaさんは、NIKEには一つメッセージの失敗があったと言われている点を紹介します。戦争や人種差別を想起させる広告によって、かつてのクールなイメージが揺らいだという見方です。
Seiyaさんは、機能性とブランドとしての感情的な価値が両立していたときに、NIKEは買われていたのではないかと整理します。
この問いにYujiさんは、外で使うものほど「それを持っている自分」というアイデンティティが選択に影響すると答えます。
ギターとかだったら、そのなんかこのブランドを持ってる私、素敵とか。このブランドだったらこう見える、外からこう見えるみたいな。
だからこそ、NIKEを持つ自分がどう思われるかという感覚が、選ばれ方に影響したのではないかとYujiさんは推測します。
Yujiさんは、これは芸能人や政治家を「推す」かどうかにも似ていると続けます。推している対象が自分の思想と反する行動をとると、推している自分の価値が落ちるから離れていく、という構図です。
最大公約数を目指すと、なぜ選ばれなくなるのか
Yujiさんは、スティーブ・ジョブズが好きでMacを使っていた人が多かった例を挙げ、ブランドの世界観を自分に取り込む感覚を語ります。
スティーブジョブズが好きで、ジョブズの思想が好きでMac使ってる人とかいっぱいいましたもんね。初期は。
Seiyaさんは、NIKEについて記事にあった「最大公約数を目指すことになってしまった」という指摘を紹介します。
ブランドが大きくなり売上を求めると、特定の誰かのためではなく、いろいろな人に受けるものを出さざるを得なくなる。その隙に、小回りの利く小さなブランドが先進的な商品で市場のパイを取っていった、という流れです。
Yujiさんは、多種多様な価値観が語られ、個別最適が求められる現代で、全員に受けるものを維持し続けるのは相当難しいのではないかと応じます。
全員に受けるものっていうのを維持し続けるって、やっぱ相当難しいのかな。
ユニクロの細分化と、NIKEのコラボ戦略
Seiyaさんは、ブランドの規模が大きくなると、売上を担保するしがらみのなかで「誰のために何を作り売るのか」が難しくなると整理します。
Yujiさんは、ここでユニクロを例に挙げます。ユニクロは一般に受ける商品を作り続けつつ、GUへの分割や、UやCといったラインで細分化しているという指摘です。
ユニクロっていうブランドの中で、なんか一定の方針はありながら、その下にぶら下がるブランドもその方針に則って増やしている。
一定の品質と価格を保ちながら、部分ごとにコラボやラインで顧客層を広げるやり方を、Seiyaさんは上手だと評価します。
一方で、Yujiさんは、NIKEもTIFFANYなど多くのブランドとコラボしていたと指摘します。同じ手法でも、そのやり方次第で結果が変わる難しさが浮かび上がります。
結局、どこが問題だったのか
Yujiさんが「結局どこが問題だったのか」と尋ねると、Seiyaさんは複合的な問題だと答えます。
Seiyaさんによれば、広告の炎上、販売戦略の失敗、インフルエンサーマーケティングによる競合の台頭などが重なり、全体的にダメになったと見られているとのことです。
戦略転換
店舗販売からWEB中心のD2Cへ変更し、露出が減少
広告の炎上
戦争や人種差別を想起させる広告でイメージが揺らぐ
競合の台頭
オンやHOKAがインフルエンサー経由で選ばれ方を変える
結果
一つ一つは正しそうな選択が、全体としてうまくいかず
Yujiさんは、店舗の削減についても、人件費や家賃を減らしたい経営の判断としては理解できると話します。ただし店舗には、試着や体感、広報PRといった見えない役割もあると指摘します。
お店の中に入ってナイキってこういう雰囲気って体感できる場所でもあるんで。単になんか売る場所って考えるとコストは難しいかなと思いますね。
Seiyaさんは、それぞれが良かれと思って選んだ結果うまくいかなかった点に、マーケティングの正解のなさがあると受け止めます。
個人の「ブランド作り」と見せ方
話題は、個人としての見せ方へ移ります。Seiyaさんは、店の運営や採用も含めて、個人自体がブランドではないかと問いかけます。
Yujiさんは、経営者がFacebookやXでの発信を気にかけている例を挙げ、無意識にはやっていると答えます。
こういうことをやりましたとか、こういうことできますとか、こういう思想でやってますとか。っていうのをすごい考えてみんなやってるなっていうイメージ。
Yujiさん自身も、前職では対企業向けのビジネスだったため硬めの写真を撮っていたが、後半は髪を染め、そのほうが自分らしいと感じたと振り返ります。
どういう人が近寄ってきてほしいなみたいなのはなんとなく思いながら。
さらにYujiさんは、関わる相手のビジュ、つまり顔面ではなく清潔感や服装を大事にしていると話します。外から見られている意識の高さが、信頼や関わりやすさにつながるという見方です。
スーツはルールか、見せ方か
Seiyaさんは、自分は見られ方をそこまで意識していないかもしれないと言いつつ、TPOに合わせてスーツを着ることはあると気づきます。
でもそれなんだろう、あんまり見られ方っていうよりは、なんかルールみたいなテンションで言ってんな。
そこでSeiyaさんは、20代の頃にデートへ夏場のシャツで行こうとして、職場の先輩から言われた小話を紹介します。
「ダメだよ、ダメだよ、ジャケットは手に持っていかないと」みたいなことを言われて。
ルールのつもりでも、そこには自然と見られ方を意識する感覚があった、という気づきです。
Yujiさんは、他者からどう見られたいかと、自分がどうありたいかのバランスで、身につけるものや振る舞いが決まると整理します。
他者からどう見られたいかと、自分がどう見せたいか、自分のアイデンティティをどうしたいか。そのなんかこう、バランスで何を着るかとか、何身につけるか、どう振る舞うかがやっぱ決まるんでしょうね。
スティーブ・ジョブズが変えた「強者の見せ方」
Yujiさんは、Appleを例に、見せ方の文化が変わった転機を挙げます。かつてはスーツやきちんとした身なりこそが強者の証だったところに、ジョブズが逆の価値観を持ち込んだという見立てです。
スティーブジョブズ、全く逆、ちょっとユニクロ的な、そのシンプルな服装。強者だからこそシンプルなものを身につけるみたいな。
高級スーツではなくカジュアルな服、ロレックスではなくApple Watchといった選び方が広がった転機として、Yujiさんはこの時代のインパクトが大きかったと話します。
「自分の株価」は下がっているかもしれない
Seiyaさんは、NIKEの話が日常にも通じると受け止めます。一見正しそうな選択を重ねているのに、気づけば数年で大きく評価が下がるということは、個人にも起こりうるのではないかという問いです。
一見自分がいいと思ってることをしているにも関わらず、なんか気づけば約5、6年で株価が75パー下がるっていう結果に繋がってる。
Yujiさんは、個人にとっての「株価」は日頃の発言と振る舞い、つまり信用だと言い換えます。言ったことをやれているか、一貫できているかが問われるという整理です。
Seiyaさんは、自分は本当にできているのだろうかと胸に来るものがあると漏らします。自覚があれば直せるが、気づかないうちにできていないこともある、という怖さです。
結局はアイデンティティと見せ方の一致
一方でYujiさんは、極論として、評価が落ちても本人がいいと思うなら構わないと補足します。嫌われていても本人が納得しているならそれもアイデンティティだ、という立場です。
Seiyaさんも、自分がどうありたいかと、実際の行動に大きな差がなければいいのだろうと応じます。
最後にYujiさんは、どう見せたいか・どうありたいかと、ブランドが紐付く量が多ければ売上が上がるとまとめます。スタバでMacを触る自分のように、ブランドと自分の像がちゃんと紐付いているかが問われるという整理です。
Seiyaさんは、この視点は事業戦略を考えるうえで大切だとし、今回の話を踏まえて自分の行動やブランド作り、店の在り方を改めて考えたいと締めくくりました。
まとめ
NIKEの株価下落を入り口に、ブランド価値が機能性だけでなく「それを持っている自分がどう見られるか」で決まること、そしてその感覚が個人の見せ方や信用にも通じることを掘り下げた回でした。
- NIKEの株価は2021年のピークから2026年4月で約75%下落し、知名度は高いが欲しいと思われにくい状況になっている
- 下落は戦略のD2C転換、広告の炎上、オンやHOKAなど競合の台頭が重なった複合的な結果と見られている
- ブランドは機能性と、それを持つ自分のアイデンティティが両立したときに選ばれやすい
- 規模が大きくなり最大公約数を目指すほど、個別最適を求める現代では選ばれにくくなる
- 個人にとっての「株価」は信用であり、言ったことをやれているか、見せ方とありたい姿が一致しているかが問われる


