僕が「フリーランス」という言葉を使わない理由
僕はいつも番組の最初に「個人事業主のWebディレクター」と名乗っています。
つまり、「フリーランス」という言葉はあえて使わないようにしているんです。
客観的に見れば、僕をフリーランスだと見ている方もいると思います。それはその人の自由なので、どう見てもらってもかまいません。
ただ、僕自身は「事業主」「個人事業主」という意識で取り組んでいます。
実はこのフリーランスという言葉に、僕はずっとモヤモヤしていました。正直、この言葉は消滅してくれと思っていたくらいなんです。
フリーランスと事業主が同列に扱われて、自分も一緒くたにされるのが嫌でした。でも、うまく説明できずにいたんです。
それがようやく、言語化できるようになりました。
フリーランスは働き方、事業主は意識の持ち方
たどり着いた答えはこうです。フリーランスは働き方であり、事業主は意識の持ち方なんです。
フリーランスは、時間や場所にとらわれずに自由にできる働き方です。
電車に乗らなくていい、家でできる、カフェでできる。綺麗な海の砂浜にパラソルを立てて、ゆっくりしながらMacBookを開くみたいな。
そういう働き方に憧れている人は多いですよね。もちろん、憧れること自体は自由です。
一方で事業主は、クリエイティブをやっている人に限らず、商売をやっている方すべてに当てはまります。
自分が責任者として、決裁者として、自分の事業を育て、発展させ、守っていく。それが事業主です。
時にはお客様にご迷惑をおかけして頭を下げることもあるでしょう。事業が大きくなれば、誰かに力を借りることもある。
この違いがはっきりしてから、僕は気持ちがスッキリしました。僕は事業主なんだと。
フリーランスに憧れる人が、本当に欲しいもの
フリーランスという働き方に憧れている人には、事業主としての覚悟がないことが多いと感じています。全員ではないと思いますが。
究極を言えば、フリーランスのように自由に働ける正社員になりたい人が多いんじゃないかと思うんです。
毎月ある程度安定した報酬が入ってきて、でも束縛されずに、家で自由にやりたい。人間関係にギクシャクすることもなく、やりたいようにやりたい。
それをフリーランスとごっちゃにしている人がいるなと。
少し前に、フリーランスから正社員に「出戻り」するという話が話題になりましたよね。なんだその言い方はと思いましたけど。
でも、その人はそもそも事業主になりたかったのか、と僕は問いたいです。目指していたのは働き方だったんじゃないですか、と。
もちろん、その人の人生なのでいいんです。それで仕事ができているなら、いいじゃないですか。
時間の制約があるフリーランスと、覚悟のないフリーランス
誤解してほしくないのですが、僕はフリーランスという働き方すべてを否定しているわけではありません。
僕自身、たくさんのクリエイターさんの力を借りてホームページ屋さんが成り立っています。
中には、小さいお子さんを育てながらデザインやコーディングをやっている仲間もたくさんいます。
時間が限られているだけで、やる気がないわけではないんです。皆さん素晴らしいものを作る力を持っています。
時間や環境の制約があるからこそ、正社員にはなれず、今はフリーランスという形でできる範囲を全力でやる。そういう方は本当に応援したいし、実際に力をお借りしています。
ただ、事業主としてやっていくとなると、話は別なんです。
ホームページ屋さんは、事業主の生き方
ホームページ屋さんという生き方は、僕は事業主の生き方だと思っています。
クライアントワークですからね。直接受ける相手も事業主で、人生をかけて事業をやっておられるわけです。
自分もホームページ屋さんと名乗っておきながら、心のどこかで「子供が大きくなって時間ができたら会社員になろう」と思っているとしたら。それは相手に失礼ですよ。
だってクライアントは、事業を長く育てて、その先のお客様のために尽くしているわけですから。それを支えるのがホームページ屋さんの役割なのに。
作って終わりの単発の制作なら、まだいいんです。でも、その後の運用や管理までやる、伴走者としてやっていくとなると話が違います。
作ってからが本当のスタートで、その人と共に事業を手伝いたいと本気で思っているなら、いつか就職したいという気持ちを抱えたままではダメなんです。
山塾から辞めてもらった人の話
なぜこの話をしているかというと、最近、山塾を辞めてもらった人がいるんです。正直に話しますね。
一番の理由は、自分の安定が第一だったこと。就職をしたい、でも今は時間的な都合でできないから、実績や経験を積むためにフリーランスをやっている、という人でした。
そのステップとして山塾に入っていたんです。だから僕は、辞めてもらいました。
もちろん、それを見極められなかったのは僕の反省点です。まだまだ目利きが足りないという課題にも気づけました。
就職のために経験を積む、という戦略そのものは否定しません。むしろ、考えて行動できる人は賢いと思います。
実際、僕がやっている「タスケ部」という新米クリエイター育成の取り組みでは、そこで積んだ経験をもとに制作会社や事業会社へ就職された方もいて、それは全力で応援しています。
ただ、ホームページ屋さんになりたい、事業主の伴走者になりたいという方は、話が別なんです。
自分自身が一生やる覚悟でいないと、相手に失礼です。いつか辞めようと思っている、なんて相手に言えますか。言えないと思うんです。
まとめ
僕が定義するホームページ屋さんは、事業主であること、そしてクライアントの一番の理解者であり伴走者であることです。就職とフリーランスを天秤にかけている時点で、その天秤のかけ方がそもそも違う。今の僕はそう考えています。フリーランスという働き方に憧れているなら、就職した方がいいです。でも、クライアントの未来を背負う覚悟があるなら、ホームページ屋さんという生き方には、それだけの感動があります。
- フリーランスは働き方、事業主は意識の持ち方であり、この2つは別物である
- フリーランスに憧れる人の多くは、自由に働ける正社員を求めているだけかもしれない
- 時間の制約でフリーランスをしている仲間は応援するが、事業主の覚悟がない人はホームページ屋さんに向かない
- ホームページ屋さんは、クライアントが倒れるまで伴走する覚悟を持つ事業主である






