子どもに乳飲料を飲ませてる、が気になる理由
この回のきっかけは、stand.fmに届いた1通のお便りでした。牛乳が高くなってきたので、お子さんに乳飲料を飲ませているという声です。
質問はシンプルで、牛乳と乳飲料の違いを教えてほしいというもの。牛乳は牛乳でいいんじゃないの? よくわからない、という素朴なモヤモヤです。
子供たちは牛乳をガバガバ飲むため、親は乳飲料でお得で安い1リットル100円のものを飲ませてるって聞いたりします。牛乳と乳製品の差別化、牛乳は牛乳でよくないですか?よくわかりません。
川上さんによると、この「わかりにくさ」は決して気のせいではないそうです。先日Xで、ある乳飲料の売上に関する投稿がバズったことも紹介されました。
森永乳業の味わい便りという乳飲料が4億本を突破したみたいで、そのうちの半分は牛乳と間違えて買った消費者だろうみたいなのがバズって、13万いいねくらいついてたんですよ。
つまり、間違えて買っている人がそれだけ多いということ。表示も裏の成分表も、パッと見では区別しづらいのが実情です。
結論、1リットル100円は牛乳じゃない可能性が高い
まず川上さんが出した結論はハッキリしていました。1リットル100円で「牛乳だと思って」買われているもの、これは牛乳じゃない可能性の方が高いそうです。
スーパーのチラシの品で「お一人様1本」などと書かれたものは牛乳かもしれませんが、それ以外の格安のものは牛乳ではないことが多い、と話されています。
そもそも「牛乳(成分無調整牛乳)」とは何か。生乳100%を加熱殺菌してパックに詰めたものだけが、この名前を名乗れます。
水や他の材料を混ぜるのはNGで、牛乳だけが入ったものが牛乳です。これ以外は牛乳ではない、と覚えておくとわかりやすいですね。
牛乳パックの「くぼみ」で見分けられる
見分け方はとても簡単です。牛乳パックの上に窪み(切り込み)がついているものが牛乳、という目印があります。
逆に言えば、パックの上に窪みがついていない場合は乳飲料。おうちに牛乳パックがあれば、ぜひ上の部分をチェックしてみてくださいね。
この2つのポイントさえ押さえておけば、お店で迷ったときもすぐに判断できます。
牛乳・加工乳・乳飲料、飲用乳7種類を整理する
ここからは、飲用乳のバリエーションを7種類に整理してくれました。同じ「ミルク系」でも、中身のルールがけっこう違います。
1つ目は先ほどの牛乳。2つ目の特別牛乳は、許可を受けた施設で作られ、より厳しい衛生管理と高めの栄養価が魅力です。無脂固形分8.5%以上、乳脂肪分3.3%以上とされています。
3つ目の成分調整牛乳は、生乳から脂肪分などを一部除いたもの。一般的に「低脂肪牛乳」として売られているのがこれで、無脂固形分8.0%以上、乳脂肪分の制限はなしです。
4つ目の低脂肪牛乳は乳脂肪を0.5〜1.5%程度まで落としたもので、カロリーが気になる人向け。5つ目の無脂肪牛乳は脂肪がほぼゼロ(0.5%未満)ですが、無脂乳固形分は8.0%以上をキープしています。
ここまでが生乳から脂肪などを調整したタイプ。6つ目の加工乳からは、生乳に脱脂粉乳やバターなどを加えた「再構成されたミルク」になります。
加工乳は無脂固形分8.0%以上で、乳脂肪分は自由。「脂肪分特濃」と書かれたものがこれで、濃い牛乳が欲しい人にはこちらがおすすめだそうです。
7つ目の乳飲料は「牛乳っぽい飲み物」
そして7つ目が、種類がいちばん多い乳飲料です。これこそが、1リットル100円で牛乳と間違えられがちなものだと話されています。
原料は脱脂粉乳と水、植物性油脂、ビタミン、カルシウムなどを混ぜたもの。乳固形分3.0%以上あればOKで、それ以外の取り決めは特にありません。
見分けにくいのは、まさにここ。安いからと牛乳のつもりで買っている人が、たくさんいるのではないかと川上さんは見ています。
実用的な注意点も紹介されました。フルーチェやプリンなど「牛乳で固まる」お菓子を乳飲料で作っても、固まらないそうです。
フルーチェがシャバシャバで失敗しちゃった、なんで固まらないの、冷たくしないからかなって思うかもしれないですが、これは牛乳で作られてないからですね。
バター・チーズ・ヨーグルト・アイスの「ミルク感」
飲み物だけでなく、知っておきたい乳製品もまとめてくれました。同じ名前でも、中身に差があるものが多いんです。
乳脂肪80%以上・水分17%以下。植物性油脂を使ったバター風味のマーガリンもある
製法と熟成で多様。プロセスチーズとナチュラルチーズ、凝固剤の有無などで種類が分かれる
生乳や乳製品を乳酸菌で発酵。脱脂粉乳で作られたものもあり、生乳100%使用を選ぶと美味しい
乳固形分15%以上・うち乳脂肪8%以上。ラクトアイスは乳固形分3%以上でミルク感は少なめ
たとえばラクトアイスには、牛乳が使われていないものも多いとのこと。ただ最近は品質が上がってきているとも話されています。
ヨーグルトなら「生乳100%使用」「生乳使用」と書かれたものを選ぶと美味しい、という選び方のヒントも教えてくれました。
子どもには成分無調整牛乳を、の理由
最後に、お便りの本題「子どもにどう飲ませるか」への答えです。川上さんは、子どもにはぜひ成分無調整牛乳を、とすすめています。
理由は成長期の栄養です。牛乳には成長期に必要な栄養が含まれていて、この時期に骨をしっかり作っておくことが将来にもつながる、という話でした。
子どものうちに骨密度を高めておくと、年を取ってから骨がもろくなったり、骨折で歩けなくなったりするリスクが減っていくと説明されています。
とはいえ、食費が気になるときに乳飲料を選ぶのも悪いことではない、という現実的な視点も。その場合は、鉄分など子どもに必要な成分が加えられたものを選ぶといいそうです。
酪農家として「牛乳を飲んでほしい」本音
コメントに答える中で、川上さんは「ここだけの話」として、生産者側の事情もぽろりと語っています。
牛乳と加工向けの乳では、酪農家からメーカーへの販売単価が違うのだそう。加工向けは安く仕入れられるため、メーカーは加工乳が売れるほど売上が上がりやすい構造があると話されています。
加工向けを安く仕入れられるため、加工乳・乳飲料が売れるほど売上が上がりやすい
牛乳(成分無調整牛乳)が売れると利益が上がる
だからといって、メーカーを責める話ではありません。牛乳が手元にないときに乳飲料があると助かる人もいますし、選択肢が増えることで食が豊かになる面もあります。
さらに流通の事情もあります。冬に余った牛乳をバターや脱脂粉乳にして保存し、夏の需要が増える時期に乳飲料として加工することで、1年間の需要と供給のバランスを取っているのだそうです。
だからこそ川上さんの願いは、どれか1つではなく全部。牛乳も乳飲料も加工乳も飲んで、乳製品も食べてくれるのが一番うれしい、と締めくくっています。
まとめ
今回は、酪農家の川上さんが牛乳と乳飲料の違いをやさしく整理してくれました。ポイントは「表示」と「くぼみ」、そして目的に合わせた使い分けです。
- 「牛乳」「成分無調整牛乳」の表示とパック上部のくぼみがあるものだけが牛乳
- 1リットル100円などの安いものは、脱脂粉乳や植物性油脂を混ぜた乳飲料の可能性が高い
- フルーチェなどが固まらないのは、牛乳ではなく乳飲料で作っているから
- 子どもの成長期には、骨をつくる意味でも成分無調整牛乳がおすすめ
- 牛乳・加工乳・乳飲料・乳製品を上手に使い分けつつ、全部を楽しむのが一番ハッピー




