今日の牧場と、この回のきっかけ
配信は8月20日の水曜日。晴れが続き、最高気温は32度ながら、朝夕は少し涼しくなってきたころの放送です。
この時期の川上牧場には、東京と名古屋から中学生の親子が牧場体験に来ていて、堆肥の配達や子牛へのミルクやりを一緒にやっていると話されています。
この日の本題は、スタンドFMのレター機能に届いた質問。吉岡里帆さんのラジオ番組で酪農が取り上げられた回を聞いたリスナーからの、飼料についての問い合わせです。
リスナーから届いた「AjiPro-L」の質問
質問をくれたのは、スタンドFMネームのせいさん。以前配信した「牛も顔が大事」という回を聞いてレターを送ってくれたそうです。
吉岡里帆さんがパーソナリティをしているラジオで、味の素が明治を通じて牛さんたちにAjiPro-Lを食べさせようとしている話を聞きました。アミノ酸のリジンの摂取と温室効果ガスの削減につながってWin-Winだそうです。川上牧場でも食べさせていますか?
AjiPro-Lは餌の名前です。味の素が提供する番組で紹介されていた、しっかりした内容だったと川上さんは受け止めています。
なぜ「バイパス処理」が必要なのか
川上さんはまず、牛の胃の仕組みから説明します。人間の食べる味の素と同じ技術を応用して、牛用の餌を作っているのがこの商品です。
牛のお腹には胃袋が4つあり、一番大きい第一胃(ルーメン)で、入ってきた餌を微生物が先に吸収してしまうのだそうです。
だからものすごいこのリジンというものが入ってしまっても、その虫さん(ルーメン微生物)が食べちゃって、牛さんの栄養にならないっていうのが悩みなので、これをバイパスコーティングして、小腸とか大腸で吸収できるような形にした商品がAjiPro-Lという商品になるんです。
このルーメンを通り抜けて腸まで届ける処理を「バイパス」と呼びます。そのバイパス率が世界でも一番なのが味の素だと川上さんは話します。
牛にも環境にもうれしい理由
AjiPro-Lを与えると、どんな良いことがあるのか。川上さんは複数の効果を挙げています。
リジンが腸まで届く
ルーメンで分解されず、小腸・大腸で吸収される
メタン(げっぷ)が減る
温室効果ガスの排出削減につながる
餌の効率が上がる
飼料効率が改善し、乳量も増える
牛が健康になる
栄養バランスが整い、牛の状態が良くなる
今話題のメタンガス、つまり牛のげっぷが減り、なおかつ餌の効率が上がって乳量も増える。牛も健康になる、というのがこの餌の特徴だと語られています。
川上さんがここまで詳しいのには理由があります。AjiPro-Lの発売1か月前に、味の素社の人を出雲に呼んでセミナーを開いてもらった経験があるそうです。
そのときに学んだことは、川上牧場のXでも過去にツイートしているとのこと。10年以上前のことだと振り返っています。
Win-Winのはずが…J-クレジットの壁
質問にあった「Win-Win」の話にもつながる仕組みが、味の素と明治が一緒に取り組むJ-クレジットです。
温室効果ガスを減らすと、その量に応じてクレジットが加算され、CO2を減らしたい企業に売却して利益を生めるという制度です。うまくいけば酪農家の収益も上がります。
ところが、この仕組みには壁があります。川上さんによると、これをやっているのは北海道だけ。ある程度の頭数が必要で、加入のシステムもかなり細かいのだそうです。
もうこのニュースが出てからすぐ、1年か2年ぐらい前に問い合わせしたんですけど、まだちょっと当県の方ではやってませんという回答がありまして。
そのため、川上牧場ではまだJ-クレジットで収益にはなっていません。それでもAjiPro-Lを使い続け、CO2削減に無料で貢献していることを、消費者に伝えたいと話しています。
そもそもCO2削減や温室効果ガスを抜きにしても、本当に素晴らしい餌だと川上さんは考えていて、分娩前の乾乳牛にもずっと与えているそうです。
飼料設計を変えた餌と、吉岡里帆さんへの思い
質問のもう一つ、「吉岡里帆さんは好きですか?」にも川上さんが答えます。
どちらかというと本当に好きです。
吉岡里帆さんがスピルリナのCMをしていることに触れ、「スピルリナも餌に変えられたらいいな」とも話しています。
最後に川上さんは、AjiPro-Lが飼料設計そのものを楽にしてくれたと語ります。これまでは乳牛にタンパク質を与えるのが主流でしたが、肝臓への負担やバランス調整の難しさがあったといいます。
一緒に何かやりたいという味の素さんや吉岡里帆さんへの呼びかけも交えつつ、質問への回答を締めくくりました。
まとめ
話題の牛用飼料AjiPro-Lを入り口に、牛の胃の仕組みから環境への貢献、そして現場ならではの制度の壁まで、川上牧場の実際が語られた回でした。牛にも人にも環境にもうれしい、その理由が伝わってきますね。
- AjiPro-Lは味の素の技術を応用した乳牛用飼料で、リジンを腸まで届ける「バイパス処理」が世界トップクラス
- 与えるとげっぷ(メタン)が減り、餌の効率が上がって乳量も増え、牛も健康になる
- 温室効果ガス削減をJ-クレジットで収益化する仕組みは頭数などの条件が厳しく、今は北海道だけで、川上牧場では収益化に至っていない
- 川上牧場は発売当初からAjiPro-Lを使い続け、無料でCO2削減に貢献。飼料設計も格段に楽になったと評価している




