インターン恒例のライフプランシミュレーションとは
今回の配信には、地元の農業高校の高校生が職場体験のインターンシップに来ています。川上牧場では毎年恒例の「ライフプランシミュレーション」、つまり人生設計を紙に書きながらやっていくのだそうです。
きっかけは、高校生が今まさに進路を決める時期にいること。将来への不安を、少しでも解消できたらという思いから始まる企画です。
将来いろんな悩みみたいなのあるでしょ?今、進路とか決める時期じゃないですか。で、不安とかないですか?
聞いてみると、家事が一人でできるか、勉強のほうが不安、といった素直な声が返ってきます。まずは紙を用意して、今の年齢からスタートです。
最初に17歳のスタート地点を書き、線を伸ばして端に「自分が死ぬ年齢」を置きます。2人とも90歳、長生きの設定にしました。
就職して一人暮らし、まず衣食住の固定費を引いていく
大学に進む前提で、働き始める年齢を書き込みます。ストレートで進むと22歳。そこで初めてのお給料、初任給を決めます。
2人とも初任給は25万円に設定。ここから一人暮らしを選び、家賃を決めていきます。
家賃は6万円と10万円。次は食費です。今日のお昼にコンビニやスーパーで1食買ったらいくらか、という具体的な問いから計算していきます。
1食1000円なら1日3000円、月30日で9万円。1食800円でも月7万2000円。これを給料からどんどん引いていきます。
続いて服。普段は服にお金をかけない生徒たちですが、大人になると革靴や冠婚葬祭の服も必要になる、という話をしつつ、月3000円で計上します。
さらに車も欠かせません。出雲で暮らすなら免許も車も必要です。新車の普通車なら約500万円、中古の軽自動車なら約100万円という話が出ます。
貯金がゼロの設定なので、一括で買うお金はありません。選択肢はローンか、親に頼むか。2人とも「親に頼む」を選びました。
結婚と子育てで見えてくる「詰みポイント」
電気・ガス・水道、通信費、車代まで引いていくと、手元に残るのはわずか。娯楽費も差し引くと、月に貯金できる額は数千円〜2万円ほどになりました。
ここから人生が本格スタート。就職して一人暮らし、彼女ができて、結婚したい年齢を決めます。生徒は25歳、川上さんは23歳で結婚したそうです。
問題はここからです。月5000円しか貯金できない設定だと、150万円を貯めるのに250年かかる計算に。結婚までの期間ではとても間に合いません。
じゃあ結婚するまでに6年あります?ない?じゃあ結婚できなかったです。残念でした。すでにここで君のシミュレーションはゲームオーバーになってしまいました。
この結果は、決してゲームの中だけの話ではありません。川上さんは、いま結婚が遅くなっている社会の背景にも触れます。
結婚したい気持ちはあっても、費用が出せなかったり、将来への不安があったりする人が多い。だから結婚年齢が上がってきている、という現実です。
ただし、これはあくまで平均費用の話。写真だけ撮る夫婦や、友達に祝福してもらう人前式など、人生設計は何でもあると、川上さんは悲観しなくていいと伝えます。
結婚のあとは子育てです。子どもの人数と生まれる年齢を書き、出産費用、そして子どもが18歳になったときの大学費用を積み上げていきます。
最後の子どもが大学に入る頃、自分は45〜47歳。かつて「親に車を買ってもらう」と言っていた生徒たちに、川上さんは静かに現実を突きつけます。
親の介護、定年後、そして老後資金の壁
さらに、親の老後も考えます。介護するか、老人ホームか。生徒は「介護されるくらいなら老人ホームに入る」と答えますが、その費用は誰が出すのか、という問いが続きます。
子どもができたら住まいも必要です。アパートか一軒家か。一軒家なら建築費やローンがかかってきます。
そして定年退職の年齢を決めます。生徒は75歳を選択。すると、そこから90歳まで15年間は給料ゼロで暮らすことになります。
家賃も食費も光熱費もかかり続けるので、月23万〜24万円として計算すると、老後に必要なお金は4000万〜5760万円ほど。準備がないと住む家すら失うという、厳しい試算です。
ここで川上さんは、子育ての姿勢についても語ります。親にやってもらったこと、やってもらえなかったことは、いずれ自分に返ってくる、という視点です。
親にやってもらったこと、親にやってなかったことっていうのは自分に返ってくると思いながら、子育てした方がいいよ。
収入を上げ、支出を減らし、投資の力を借りる
詰みそうな場所を振り返ると、やはり結婚のあたり。ではどうすればいいのか。川上さんはまず「収入を上げる」「支出を減らす」の2つを挙げます。
生徒は家賃を削ってプラス4万円を捻出。それでも老後資金には届きません。しかも、このシミュレーションには大きな前提があります。
でもこのシミュレーションの一番大事なのは、全く病気や怪我をしてないっていう計算方法なんですよ。そんな人生あると思いますか?
だからこそ、睡眠をとって体調を管理し、しっかり休むことが大事だと川上さんは強調します。健康もまた、人生の土台なのです。
収入を上げる方法としては、資格を取る、給料が上がる環境に身を置く、いろんな人と知り合って情報を得る、といった「自分への投資」が挙がります。
さらに、貯金だけでは増えないお金を育てる手段として、投資の話へと進みます。
例として、月2万円を年利3%の複利で53年間運用した場合をAIで計算。すると、およそ3900万円という結果が出ました。
たった月2万円でも、長期で複利を効かせるとここまで育つ。これが投資の力だと川上さんは説明します。
一方で、投資には必ずリスクがあることも忘れずに。「儲かる」という過激な話や、インフルエンサーの勧誘は信じないほうがいい、と釘を刺します。
不安を可能性に変えるために
一通り書き終えた生徒の感想は、「人生って難しいな」「不安しかない」。書けば解決すると思っていたのに、と川上さんも苦笑いです。
さらに、このシミュレーションにはまだ税金が入っていないと明かします。ただし税金も、NISAやiDeCo、ふるさと納税などをうまく活用すれば節税できると付け加えます。
川上さんは、いまはAIに相談すれば、得意なことや目標を伝えるだけで、お金の回収方法までシミュレーションしてくれる時代だと語ります。
最後に川上さんは、いま親が自分たちの子育てにこれだけの費用をかけていることを知りながら生活してみると、見え方が少し変わるはず、と伝えて締めくくりました。
まとめ
紙1枚で人生の収支を書き出すこのシミュレーションは、就職から老後までのお金の流れを一気に体感できる企画でした。厳しい現実が見えつつも、収入を上げ、支出を減らし、投資の力を借りることで、不安を可能性に変えていけるという前向きなメッセージで終わっています。
- 17歳から90歳までを1枚の紙に書き、就職・結婚・子育て・老後の費用を順に引いていく
- 月の貯金額が数千円だと結婚資金すら貯まらず、早い段階で「詰みポイント」が見えてくる
- 老後資金は病気や怪我を想定していない前提のため、健康管理と休息も人生の土台になる
- 収入を上げるには資格取得や人脈づくりなど「自分への投資」が欠かせない
- 月2万円を長期で複利運用すると大きく育つが、投資にはリスクがあることも忘れない




