1万円もらったら何に使う?お金のトレーニング
最初に川上さんが出したのは、お金の使い方をシミュレーションする簡単なトレーニングです。
じゃあ最初にトレーニング、お金のトレーニングとして、今100円川上さんからもらったら何に使いますか?
中学生の答えは「貯金」。1000円なら半分は貯金して、半分は欲しいものを買う。1万円でも、今すぐ欲しいものがなければ結局は貯金する、という反応でした。
川上さんはここで、そもそもなぜ貯金するのかを問いかけます。中学生の答えは「将来困った時に」。多くの人が当たり前に思っているこの前提を、この回では一度ゆさぶっていきます。
インフレって知ってる?貯金するとお金が減る仕組み
次に川上さんが持ち出したのが、インフレとデフレの話です。まずは「物価」という言葉から確認していきます。
今日おにぎりが200円で買えたとして、来年はどうなるか。中学生からは「変わらない」という答えも出ましたが、川上さんは実際には物価がじわじわ上がっていることを説明します。
おにぎりが200円から220円になれば、手元の1万円はそのままでも、買えるものは減っている。貯金して時間が経つほど、持っているお金の価値は減っていくという話です。
一方で、川上さんはこれまでの時代との違いにも触れます。おじいちゃんやお父さんが暮らしてきた時代はデフレで、今年200円のおにぎりが来年も200円という感覚だったといいます。
世の中世界中の情勢とかが変わって、物価が上がるようになってきました。なので貯金をすると減っていきます。
給料をもらったらどうする?投資という選択肢
前日までの回で決めた設定をふまえ、川上さんは「初任給30万円をもらったら貯金する?」と問い直します。貯金すると価値が減るなら、どうすればお金が増えるのか。
ここで出てくるキーワードが「投資」です。中学生の投資のイメージは「お金をかける」。株のような投資もあれば、自分自身への投資もあると川上さんは続けます。
自分に投資するって意味がわかる?例えばお仕事就きます。もっと給料がもらえるために資格を取ろうと思います。それに対して勉強をするのは自分に投資したっていうことになります。
たとえば勉強に10万円かけて給料が月1〜2万円増えれば、5〜10か月で回収でき、その後はずっと増えたまま。これを何度も重ねると、増えたお金がさらにお金を生んでいきます。
川上さんは、この雪だるま式に膨らむ仕組みを「複利」という言葉で紹介しました。難しいけれど、この言葉を覚えておくとお金の貯め方が見えてくる、と話しています。
掃除ロボットもAIも「投資」?お金・時間・技術のバランス
投資は自分への勉強だけではありません。川上さんは、身近な例として掃除ロボットを挙げます。
1時間の部屋の掃除は、時給1000円で考えると自分を1000円分働かせているのと同じ。10万円のロボット掃除機なら掃除100回分で、それ以降はずっと得になる、という考え方です。
さらに、AIに宿題や作業をまかせて空いた時間を自分の勉強にあてれば、それもまた自分への投資になる、と話が広がります。
投資やコストを考える時は、お金、時間、技術のバランスを考えるといいですよっていう話ですね。
そのうえで川上さんがすすめるのが、もらった額にかかわらず「何パーセントを貯金・投資に回すか」をあらかじめ決めておくやり方です。
たとえば収入の20%を貯金や投資に回すと決めておけば、お金が増えても、その割合の額は自動的に増えていくというわけです。
掃除ロボットやAIに任せ、空いた時間を自分に投資する
自分の時間を使って作業し、その分お金を出さずに済ませる
若い時の1万円と38歳の1万円は価値が違う
話は「時間の価値」に移ります。子どものうちは時間が無限にあるように感じますが、大人になると時間こそが何より価値のあるものになる、と川上さんは言います。
そして、若い時に使う1万円と、38歳になってから使う1万円では価値が違うと語ります。例に出したのは海外旅行です。
15歳で韓国に行けば、思い出も経験も残りの人生ずっと使える。でも自分は韓国に行ったことがなく、23年分の知識や経験を得られないまま生きていることになる、と川上さんは自分を例にします。
好きなゲームも同じで、若い時は友達と遊んで純粋に楽しめるのに、38歳になると「この時間で牛が飼えたのに」などと考えてしまい、同じように楽しめないと本音をこぼしていました。
今は積みゲー崩さないって気持ちしかない。趣味がその業務になっちゃうんですよね。
投資にはリスクもある。それでも自分への投資が一番強い
トレーニングをもう一度やると、中学生の答えは「半分使って、半分は投資」に変わりました。20分ほどで手ごたえのある変化です。
ただし川上さんは、投資にはリスクがあることも忘れず伝えます。資格の勉強をしても、転職や引っ越し、結婚で仕事が変われば、その勉強が無駄になってしまうこともあります。
友達にお店の開業資金を貸しても、コロナや病気で店を畳めば、貸したお金が返ってこないこともある。投資には必ずこうしたリスクがつきまとう、という話です。
そのうえで川上さんが最後に強調したのが、一番リスクが少なく、返ってくるものも多いのは自分への投資だという点でした。
自分に投資するのが一番お金かかるよ。1億円稼げるかもしれないから、自分に投資したら。
若いうちに英語や韓国語を覚えたり好きなことに没頭したりすれば、10代でそこまでやる人はほとんどいないので希少価値が高くなる、と背中を押します。
給料を上げてもらう人はどんな人?社長目線の働き方
後半は、川上さん自身が牧場の社長として、どんな人の給料を上げたくなるかという視点の話になります。この日、中学生は牛舎の掃除を体験していました。
たとえば掃除を頼んだとき、社長がイメージする以上にピカピカにしてくれたり、頼んでいない汚れた場所まで綺麗にしてくれたりすると、給料を上げたくなる、と語ります。
さらに、社長や上司が困っていることを進んでやってくれる人、挨拶や礼儀、服装がきちんとしている人も、給料を上げたいと思わせる要因だといいます。
結局社長さんも人間なので、頑張ってる人は応援したいなって思うのが普通なので。
そして、所属している会社やお店の売り上げをどう上げるかを考えて働くことも大切だと話します。ラーメン屋さんなら、どうすればもう一杯売れるかを考えながら働くイメージです。
好きな料理なら、どうすればもっと多くの人に食べてもらえるかを考えながら働く。そうやって自分の価値を上げていくと、給料は勝手に上がっていく、というのが川上さんの結論でした。
まとめ
貯金だけではお金の価値が目減りしていく時代に、自分への投資と時間の使い方をどう考えるか。牧場の社長ならではの視点で、中学生に将来のヒントを手渡した3日目でした。
- 物価が上がる時代は、貯金しているだけでもお金の価値は少しずつ減っていく
- 勉強や資格取得など「自分への投資」は、リスクが少なく返ってくるものも多い
- 増えた利益がさらに利益を生む複利や、お金・時間・技術のバランスを意識するとよい
- 若い時に使う1万円と大人になってからの1万円は、経験の価値が大きく違う
- 社長目線では、期待以上に動く人や挨拶・礼儀を大切にする人の給料を上げたくなる





