今の年齢から「何歳で死ぬか」まで書いてみる
職場体験2日目は、牛舎の掃除や堆肥の配達を手伝ってもらったあと、昨日の続きに入りました。テーマは、生活にどれくらいお金がかかるかをふまえた「ライフプランシミュレーション」です。
やり方はシンプルで、まず今の年齢を左端に書いて、線をビーッと引いて、右端に「何歳まで生きるか」を書きます。中学生2人は80歳、90歳と回答。川上さんは「いいね、長生き」と受け止めます。
書いた?何歳にしましたか?
90歳。
90歳まで生きる。いいね、長生き、長生き。女性の今の平均年齢がでも80後半ぐらいでしょうね。だからまあ平均ぐらいだよっていうことですね。
この線の上に、これから人生の出来事を1つずつ書き込んでいきます。
就職・結婚・出産・マイホームを線の上に置く
最初に書き込むのは、働き始める年齢です。高校を出てすぐなら18歳、専門学校や大学を経ると20〜22歳あたり。川上さんは、今どきは大学に通いながら企業に所属する学生も多いと補足します。
続いて、結婚する年齢、第一子が生まれる年齢、子どもが何人ほしいか、家を持つと決める年齢を、それぞれ線の上に書いていきます。中学生は25歳で結婚、といった具合に自分の希望を置いていきました。
さらに、子どもが全員二十歳になるタイミングや、仕事を完全に辞める定年の年齢も書き込みます。定年は自分で決めてよく、80歳や90歳まで働いてやろうという意思もありです。
これで、人生の大きな出来事が1本の線の上にそろいました。ここからは、それぞれの出来事に「いくらかかるか」を乗せていきます。
出来事ごとに「かかるお金」を乗せていく
働き始めたところから、一人暮らしの費用が発生します。アパートの家賃、電気代、スマホ、車など、昨日話していた項目をもとに金額を考えます。
初期費用は、決めた家賃に6を掛けて計算しました。結婚費用は昨日の相場が450万円ほど、子どもが生まれるたびに40万円、家を建てる費用も自分で金額を決めて書き込みます。
さらに、自分の子どもが二十歳になって一人暮らしを始めるときの費用も、親が払う前提で人数分乗せていきます。こうして、線の上に金額がずらりと並びました。
「毎月いくら貯めれば夢が叶うか」を割り算する
ここからが計算の本番です。ある出来事までにいくら必要かを、そこまでの年数で割って、1年あたり・1か月あたりの貯金額を出していきます。
たとえば結婚費用が100万円で、働き始めてから結婚まで5年あるなら、1年で20万円。それを12か月で割ると、月に約1万6000円です。
結婚費用を200万円、期間を3年にすると、月5万5000円が必要になり、ぐっと厳しくなります。金額と年数を変えるだけで、必要な毎月の貯金がまるで変わることが、割り算で見えてきます。
子どもの出産費用40万円を3年で準備するなら、月に約1万円。家の2000万円は住宅ローンで借りて30〜35年かけて払うので、働き始めるまでに全額をためなくても大丈夫、という現実的な話も出てきます。
定年後30年をどう生きるか、年金と生活費で計算する
最後は、定年してから死ぬまでの期間です。中学生2人とも、この期間は30年ほど。仕事を辞めたあとの収入は、ほぼ年金だけになります。
1か月の生活費を10万円にすると、年間120万円。それを30年続けると3600万円が必要になります。持ち家なら家賃はかからないので、食費や光熱費で10万円あればいいところ、という見立てです。
家賃のことはまあ今までで払ったので大丈夫です。食費とあとはそういった諸々。電気光熱費いろいろ、10万で生活で。
年金がサラリーマンで月8万円ずつ、夫婦2人分もらえるとすると、30年で2880万円ほど。必要な3600万円との差は720万円で、月にならすと約2万円です。
どこでお金がかかって、どこが大変になるのか。自分の人生を線に書いて割り算するだけで、ぼんやりした将来がぐっと具体的になります。
最初の給料と、足りないときの選び方
将来のお金の全体像が見えたところで、次は仕事の話です。最初の給料は、手元に月いくら残ってほしいかで考えます。中学生は30万円、川上さんの例では10万円を書き込みました。
もしお金が足りないと感じたときは、給料が上がる行動が必要になります。転職して給料の高いところに移る、副業で働く場所を増やす、といった選択肢です。
収入を増やす方法。ま、支出を減らす方が簡単なんだけどね。出費を減らす方が簡単ですけど、そういうのが出てきますよっていう。
収入を増やすより支出を減らすほうが簡単、という現実的な感覚も、ここで一緒に伝えられていました。
大谷翔平もやった「マンダラチャート」で夢を細分化する
ライフプランの次は、夢をもっと細かく分ける練習です。ここで登場するのが、メジャーリーグで活躍する大谷翔平さんも学生時代にやっていたというマンダラチャートでした。
練習として、中央に置いたのは「お昼ご飯」。川上さんはハンバーガーを選び、その周りに、800円くらいかかる、マックに行く、シェイクもほしい、といった必要なことを書き込んでいきます。
8マスを全部は埋められないこともあります。川上さんは、それを失敗ではなく大事なサインとしてとらえます。
いろんなことを知って経験を積むほど、中央のテーマに対して思い浮かぶことが増えていく。たったお昼ご飯でも、自分がどれくらい考えていたかがよくわかる、というわけです。
さらに、外側の8マスの1つを新しい中央に置いて、その実現方法を広げていくと、小さな行動を順番にこなすことで大きな目標に届く仕組みになっています。図で見せるのは難しいので、アプリを使うのもおすすめです。
お金の不安は「10年で用意する」に分ければ小さくなる
やりたいことがあっても、お金の問題は必ずついてきます。いきなり100万円出せと言われると大変ですが、考え方しだいで不安は小さくできます。
たとえば「10年で100万円ためてください」なら、なんとかやれそうに思えてきます。夢の実現も、期間で割って小さくすれば、手が届く目標に変わっていきます。
3日目の職場体験を締めくくるあいさつで、川上さんは中学生に感想をたずねます。「頑張ったら行けそう」「全然余裕っぽい」という反応が返ってきました。
そうやって思っていただけたら大成功です。皆さんもぜひやってみてもらえたらと思います。
まとめ
職場体験2日目は、ライフプランとマンダラチャートを使って、夢とお金の関係を手を動かしながら学ぶ内容でした。将来を線に書いて割り算するだけで、ぼんやりした不安が具体的な目標に変わっていく回です。
- 今の年齢から死ぬ年齢まで線を引き、就職・結婚・出産・マイホーム・定年を書き込んでいく
- 各出来事の必要額を残り年数で割ると、月いくら貯めればいいかが見えてくる
- 定年後30年は年金だけが頼りで、生活費と年金の差額をどう埋めるかがカギになる
- マンダラチャートは中央に目標、周りに必要なことを書き、埋まらないマスは知識や経験不足のサインになる
- 大きなお金も「10年で用意する」と期間で割れば、手の届く目標に変わる





