リスナーからの質問「季節で牛乳の味は変わる?」
今回のお便りコーナーには、スプーンのリスナー「みずみずしい」さんから質問が届きました。
牛乳は時期によって味が変わったりしますか?変わる場合は、この時期はこの成分が多めに分泌されるのでコクが出る、というところまで教えてほしいです。
川上さんの答えはシンプルで、季節で牛乳の味は変わります。牛乳パックの裏にも季節ごとの乳成分の変化が書かれていることがありますが、この放送ではもう少しくわしく掘り下げていきます。
味が変わる3つの理由とは?
川上さんは、季節で味が変わる理由を大きく3つに整理して説明します。
餌の内容
牧草が多め、水分が多め、トウモロコシなどの穀類が多めなど、餌によって味が変わる
牛の環境
外気温など。暑いと餌を食べる量が減って牛乳が薄くなり、環境がよいとモリモリ食べて濃くなる
泌乳ステージ
出産後の時期による変化。最初は濃く、だんだん薄く、後半でまた濃くなっていく
つまり、餌・環境・牛自身の状態という3つが重なって、季節ごとの味の違いが生まれるというわけですね。
夏と冬で牛乳の味はどう違う?
餌の内容は、季節によって大きく変わります。放牧や自給飼料を使う牧場では、夏場は青草(生草)が中心になります。
一方で冬場は牛舎の中で飼う「舎飼い」になり、夏から秋に収穫してためておいた牧草を食べます。ラップサイレージやサイロで発酵させた、いわば牧草の漬物のようなものです。
この餌の違いが、そのまま味の違いにつながります。
青草が中心で、牧草のさっぱりした匂い。すっきりした味わいになりやすい
発酵飼料や繊維質が多く、コクのある味わいになりやすい
ただし川上牧場は、自給飼料にあまり左右されない牧場なので、1年を通して牛の餌はほとんど変わらないそうです。それでも季節変動と泌乳ステージによって、味は変化していくとのことです。
コクや甘さを左右する乳成分のしくみ
ここからは、みずみずしいさんの質問の核心である「どの成分がどう変わるのか」という話です。牛乳パックの裏に書かれている成分にも触れながら説明されます。
コクのもと。「3.5牛乳」「3.8牛乳」などパックに書かれる数値。寒い時期や乾牧草の多い牧場で上がりやすい
だいたい3〜3.5%ほど。餌のバランスや泌乳後期で高くなり、高いとヨーグルトやチーズなどの加工に向く
牛乳の甘さのもと。多いとコクや甘さが出て、少ないとさっぱりする。夏の暑さで牛が疲れると少し下がることがある
冬の牛乳が濃く感じられるのは、乳脂肪・タンパク質・乳糖がそろって高めになるからなんですね。
なぜスーパーの牛乳はいつも同じ味なの?
ここまで聞くと、季節で味が変わるなら「毎日飲んでいる牛乳の味が変わらないのはなぜ?」という疑問が出てきますよね。
その答えが、工場での均質化です。いろんな牧場のいろんな牛の牛乳を混ぜ、ホモジェナイズすることで、365日24時間どこでも安定した味の牛乳が飲めるようになっているそうです。
一方で、6次産業化している個人の牧場では、夏の牛乳と冬の牛乳の味の違いをあえて売りにして販売している酪農家さんもいるそうです。味の変化を楽しみたい人は、そうした牛乳を試してみるのも面白そうですね。
遺伝改良でおいしくなる牛乳の未来
最後に、川上さん個人からもう一歩踏み込んだ話が加わります。それが牛群の遺伝改良です。
牛にはもともと、乳量が多い、乳脂肪が多い、乳タンパクが多いといった遺伝的な違いがあります。さらに「泌乳持続性」という改良項目もあり、産んでから次の出産まで乳量や濃さの変動が少ない牛も出てきているそうです。
変動が少ない牛は、餌を変えなくても飼いやすいというメリットもあります。実際に川上牧場では、そうした牛づくりを目指してきた結果、夏場でも乳脂肪4%を超える牛乳を搾れているとのことです。
うちの牧場は安めの餌でも、しっかり乳脂肪や乳タンパクの成分が濃いような牛を目指して作ってきたので、夏場でも4%ぐらいの牛乳をずっと搾れています。
遺伝改良が進めば、値段は同じでも知らないうちにもっとおいしい牛乳が飲めるようになる。そんな未来も見えてくる話でしたね。
まとめ
季節で牛乳の味が変わるのは、餌・環境・牛の泌乳ステージという3つの要因が重なるから。乳脂肪や乳糖などの成分がコクや甘さを左右し、工場での均質化によって私たちはいつでも安定した味を楽しめています。
- 牛乳の味は餌・環境・泌乳ステージの3つで季節変動する
- 夏はさっぱり、冬は乳脂肪などが高まりコクが出やすい
- コクは乳脂肪、加工向きはタンパク質、甘さは乳糖が左右する
- スーパーの牛乳は均質化で1年中安定した味に保たれている
- 遺伝改良で、値段そのままでもおいしい牛乳が増えていく




