リスナーの質問「腰痛や五十肩を回避する働き方は?」
今回の配信は、前日の放送に来た質問に答える回です。テーマは、体を使う酪農の仕事で出てくる肩こりや腰痛への対処法です。
質問をくれたのは、スプーンネームのレイニンさん。腰痛や五十肩を回避する酪農家の働き方はありますか、非酪農家にも活かせるエッセンスがあれば知りたい、という内容でした。
腰痛や五十肩を回避する酪農家の働き方はありますか?非酪農家も活かせるエッセンスがあれば知りたいです
川上さんは、酪農家は家と牛舎の往復ばかりで一般の人と話す機会が少なく、自分のやっていることが世の中とどう違うのかがわかりにくい、と前置きします。
(酪農家は)家と牛舎の往復しかしないので、一般の方と話すこともなかなかなく、肩こり、腰痛どうしてんですか?みたいなことも全然わかんないんですよ
そこで今回は、AIとやりとりしながらまとめた内容も参考にしつつ話していく、という進め方になっています。
酪農ヘルパー時代に痛感した「体って本当に大事」
川上さんは、結婚して川上牧場に来る前、酪農ヘルパーの仕事をしていました。
新人だった川上さんは、1つの牧場に1〜2ヶ月続けて入るような働き方が多く、入院した酪農家さんや、心の病で入院した酪農家さんのところにも行っていたそうです。
そこで川上さんが見たのは、体が壊れたあとの牧場の姿でした。体が動かなくなると心も弱っていき、それが牛たちにも表れていったと話します。
体が動かなくなると心の方も弱っていってしまう。そうなると牛舎の牛たちが顕著に体調が悪くなったり、廃用牛が出たりとか、だんだん牧場の牛たちが減っていく
この経験があって、川上さんは20代の頃から体のケアにとても気をつけるようになり、今も毎週整体に通っているそうです。
なぜ酪農は腰・肩・膝を痛めやすいのか
川上さんはもともとスポーツが大好きで、学生時代は筋トレもしていて体には自信があったそうです。ところが牧草を運んでいるときに、背中に電流のような痛みが走った経験があると話します。
調子に乗って牧草を運んでる時に、背中にこうビビッっていう電流みたいなのが走ったことがあって
それ以来、腰を痛めがちになったものの、38歳の今まで一度もぎっくり腰にはなっていないそうです。20代から整体でケアを続けてきたことが大きかったのでは、と振り返ります。
酪農の仕事で痛くなりやすいのは、腰・肩・膝。理由は、前かがみの動きがとにかく多いからです。
川上さんの牧場はつなぎ牛舎なので、搾乳は立ったり座ったりの繰り返し。ベッド掃除の「ふんかき」もあり、餌やりでは1つ20キロほどある牧草を運びます。器具や資材も重たいものばかりです。
だからどんなに健康に気をつけている酪農家でも、30〜60代になると体が曲がったり、首や肩が痛くなったりしがちで、これはもう職業病みたいなものだと川上さんは話します。
借金を返すまで動ける体でいたい、だから整体と筋トレ
川上さんには借金もあり、それを返すまでは体を壊せない、という思いがあります。60歳くらいまで動ける体でいたいと考え、毎週の整体と筋トレを続けています。
同じ整体に長く通っているので、体の構造も生活習慣も把握してもらえていて、今日はここを鍛えよう、ここのコリを直そう、と相談できる場所になっているそうです。
そのうえで川上さんが強調したのが、整体との付き合い方です。痛くなってから行くのではなく、痛くなる前に軽い症状のうちに行くのがいい、と話します。
肩が動かなくなってから行くんじゃなくて、(肩が)動かなくなるんだろうなって思いながら行く。動かなくなる前に行ってもらいたい
痛みが小さいうちに、定期点検のつもりで行くのがおすすめだそうです。
肩が動かなくなるなど、症状が出てから駆け込む。川上さんは「ダメ」と話す
軽い症状のうちに定期点検のつもりで通う。川上さんのおすすめ
インナーマッスルと柔軟性、20代から続けてきた鍛え方
川上さんが20代から続けているのは、インナーマッスルを鍛える方法です。整体にあるトレーニング器具で30分ほど、腹筋や骨盤まわり、お尻、太ももなどの下半身を鍛えているそうです。
ねらいは、立ったり座ったりしても体幹が崩れない体をつくること。日々のトレーニングとして続けています。
あわせて柔軟性も大事だと話し、股関節の可動域を広げるストレッチもよくやっているそうです。
「たった5分」の短縮が数十年で効いてくる
川上さんは同業者へのアドバイスとして、毎日やる作業を「どうやったら5分短縮できるか」を常に意識しよう、と話します。
道具を1つ増やすだけで5分、10分、あるいは1分でも短くなれば、それが365日、しかもあと20年続くと考えると、ものすごい効率になる、という考え方です。
道具一個増えるだけで5分、それが365日、それから60歳だとしたら、僕があと20年働くとしたら、その20年って考えると、ものすごい効率になる
短縮の工夫は道具だけでなく、動きの動線や体の使い方にも及びます。川上さんは古武術や武術が好きで、もともと少林寺を習っていたそうです。
その体の使い方として挙げたのが、立ち座りや方向転換のときに、腰をかがめたり屈伸したりするのではなく、膝の力を抜くという動き方でした。
小さいことでも、365日、何十年も重ねれば労力の差はとても大きくなり、体の負担もまったく変わってくる、と川上さんは話します。
非農家にも効く「体の観察」と肩甲骨・股関節のケア
ここからは、質問にあった「非農家でも活かせる点」の話です。川上さんが挙げたのは、まず自分の体を自分の手で触って観察することでした。
お風呂に入りながら肩や足を揉むついでに、筋肉の付き方や疲労感をチェックして、どこを鍛えたらいいかを確認するのがいい、と話します。
たとえば乳搾りで起きる腱鞘炎も、たどっていくと原因が見えてくると言います。腱鞘炎は肩につながり、肩は背中に、背中の悪さは腰痛に、そして腰痛は姿勢から来ている、という流れです。
腱鞘炎
乳搾りなどで手や腕に出る
肩
腱鞘炎は肩につながっている
背中
肩から背中へつながる
腰痛
背中の悪さが腰に出る
姿勢
もとをたどると姿勢から来ている
そのうえで川上さんが毎日欠かさないのが、肩甲骨と股関節のストレッチです。これはAIがまとめた内容とも一致していて、本当に毎日やっていると話します。
参考にしているのは古武術で、肩甲骨を回すとパンチ力が上がる、腕だけでなく肩甲骨を動かして打つ、といった体の動かし方だそうです。肩甲骨がよく動くようにしているとのこと。
非農家の人でも肩甲骨を大事にしてほしい、というのが川上さんからのメッセージです。
リスナーからの反応と「姿勢は何にでも通じる」
質問に答えたあと、川上さんは配信に来たコメントを拾っていきます。
「ちゃんとした農家さんは靴を履き替えるくらいこだわっていて、農機具の共有もしない」というコメントには、慣れた道具の大切さで応じました。
鎌や斧、牛の餌を運ぶ鉤手、噴霧棒など、自分の体に合わせて高さを切ったりグリップを変えたりするだけで全然違う、と話します。川上さん自身も、地元の鍛冶屋さんに作ってもらった鉤手を使っていたそうです。
「将来的な痛みを予測して問題発生前に先回りする考え方は、腰痛以外にもたくさんのことにつながる」というコメントもありました。川上さんは、姿勢は何にでも通じると受けています。
最後に川上さんは、酪農家に向けてあらためて体の大切さを語りました。
自分が健康じゃないといい牛できないと思いますんで。酪農家の皆さん、まず自分の体大事にしてもらってね、そこからだと思います
まとめ
体を酷使する酪農だからこそ、川上さんは20代から早めのケアを続けてきました。整体は痛くなる前に、作業は日々少しずつ短縮を、体は自分で観察を。非農家でも真似できる「体の守り方」がぎゅっと詰まった回でした。
- 体が動かなくなると心も弱り、牛にも表れる。だから体のケアは酪農の土台になる
- 整体は痛くなってから行くのではなく、痛くなる前に定期点検として通う
- インナーマッスルと股関節・肩甲骨のケアで、体幹が崩れず可動域のある体をつくる
- たった5分の作業短縮も、365日×数十年で見れば大きな差になる
- 自分の手で体を観察し、姿勢から見直すことは、腰痛以外の多くのことにも通じる




