1頭6億円、畜産界の“セレブ”が生まれたブラジル
この日紹介されたのは、ブラジル日報の「ブラジルスーパー牛が世界を席巻、6億円、畜産界のセレブ扱い」という記事です。
舞台はブラジル南東部ミナスジェライス州ウベラバ。4月26日から5月4日にかけて、世界最大規模のゼブ牛(コブ牛)の展示会エクスポゼブが開かれ、世界中から牧畜業関係者やバイヤーが集まりました。
展示されたのは、肉質や体型、遺伝的特性の観点から選び抜かれた「スーパー牛」と呼ばれる改良種たち。その存在はもはや単なる畜産の枠を超えて、国家の食料戦略や国際貿易の動きを左右する象徴になっている、と記事は伝えています。
そのなかで話題をさらったのが、1頭で約6億円の値がついた牛。川上さんも驚きを隠しません。
一頭がなんと440万ドル、約6億円という値がついた。一頭で6億円ですよ。
この牛の名前は「ビアチナ19号」。肉の付き方や筋肉、骨格、体型、そして遺伝的特性が優れていると評価されたそうです。
“美しい牛コンテスト”ではない審査の中身
エクスポゼブは毎年開かれている、世界最大級の畜産見本市です。審査では、乳房の発達や筋肉の張り、骨格、皮膚の質感まで、細かくチェックされていきます。
川上さんは、その審査の様子をフィギュアスケートにたとえます。審査員がまるで外観の特徴を読み解くように、その牛が次の世代に何を残せるのか、未来の畜産をどう変えるのかを見極めているというのです。
だからこれは、ただの見た目を競うコンテストではありません。国際的な種畜・遺伝資源の評価会という意味合いが強いものだと説明されます。
ビアチナ19号も、見た目だけでなく繁殖力や、肉質改良の遺伝資源としての価値まで含めて評価されているとのことでした。
外観を細かく審査
乳房・筋肉・骨格・皮膚の質感まで見る
遺伝資源として評価
次世代に何を残せるかを判断する
国家戦略とつながる
食料戦略や国際貿易を左右する存在になる
牛1頭の価値が、国の食料戦略を左右する時代
このニュースが示しているのは、牛1頭の価値がその国の食料戦略や経済にまで影響を与える時代が来ている、ということです。
つまり農業や畜産は「弱い産業」ではなく、世界の競争力や外交カードになっているという見方です。そしてその裏には、地道な育種改良や研究、技術革新の積み重ねがあります。
同じように、日本の酪農や和牛の改良にも、世界のなかで未来を作る力があるはずだ、とAIがまとめた記事は締めくくっています。川上さんも、国家戦略としてやっていくという指摘には共感していました。
“ローマ字の和牛”が黒毛和牛を脅かす
ここで川上さんが強い危機感を口にしたのが、日本の和牛の話です。日本には昔から黒毛和牛という伝統の牛がいますが、その和牛が「ローマ字の和牛」として世界に出てしまった、というのです。
これはもう本当に失敗ですよね、日本のね。
スーパーなどで、ローマ字で「WAGYU」と書かれたお肉を見たことがある人もいるかもしれません。川上さんいわく、あれと黒毛和牛は全く別物なのだそうです。
海外では和牛の品種改良がとても進んでいて、肉質のシェアを半分ほど取ってきているというニュースも出ているとのこと。放っておけば、日本の和牛が食べられなくなってしまうかもしれない、と警鐘を鳴らします。
一方で、日本の和牛のおいしさは、飼養管理技術も相まって保たれている部分がある、とも話されています。だからこそ、品種改良も含めて国家戦略として取り組む必要があるのでは、というわけです。
温暖化に強いゼブ牛が、ホルスタインを追い抜く?
もう一つの注目点が、地球温暖化との関係です。ゼブ牛は暑さに強く、粗末な餌でも肉質が良くなり、いろいろな地域で飼えるのが特徴だといいます。だからこそ、世界でぐんぐんシェアを伸ばしているのです。
温暖化で、これまでのようにホルスタインを飼えない地域が増えてきています。日本も例外ではありません。
最高気温、夏とかで(平均気温が)35度になりましたみたいなところになってくると、ホルスタインだと死んでしまうみたいな感じになっちゃってる。
その点、ゼブ牛はランピースキンや口蹄疫といった病気への耐病性も強いとのこと。こうした強みから、いずれホルスタインを追い抜いて国際シェアのトップになるのでは、というほどの勢いだと語られました。
川上さんは、ブラジルの農業政策そのものにも驚いています。水を張らない稲作(乾田直播)の大本になる技術や、OPU-IVFと呼ばれる受精卵移植の技術でも、ブラジルは世界の最前線を走っているそうです。
日本でも飼いたい、でも経営に余裕が…
最後はリスナーのコメントを拾いながら、日本でゼブ牛を飼えるのか、という話に。貿易の関係で牛そのものは使えず、受精卵を入れる形になりそうだといいます。
ただ、牛乳の量ではまだホルスタインが多いことや、日本の冬の寒さも気がかりです。出雲はそこまで雪が多い地域ではないので、川上さんは受精卵を買って試してみたい気持ちものぞかせます。
もしあれだったら受精卵とかね、買ってみたいですね、僕ね。
とはいえ、そこには現実的な壁もあります。
まあでも経営が良くならないよね。そういう余裕もできないんで。
夢のある“スーパー牛”の話も、最後は等身大の酪農経営の話に着地しました。川上牧場では新規就農の相談やアドバイスも受け付けているそうで、興味のある人はメンバーシップをのぞいてみてほしいと案内されています。
まとめ
ブラジルの1頭6億円の“スーパー牛”は、畜産がもはや国家戦略や外交カードになる時代を映す出来事でした。温暖化に強いゼブ牛の勢いと、和牛が抱える危機感を通して、日本の畜産のこれからを考えさせられる回です。
- ブラジルの展示会エクスポゼブで、ゼブ牛「ビアチナ19号」に約6億円の値がついた
- 審査は見た目だけでなく、遺伝資源としての価値まで含めた国際的な評価会になっている
- 牛1頭の価値が国の食料戦略や経済を左右する時代になりつつある
- 「ローマ字の和牛」の品種改良が進み、日本の黒毛和牛にとって危機感がある
- 温暖化や耐病性の強みから、ゼブ牛がホルスタインを追い抜く勢いで世界にシェアを広げている


