リスナーからの質問「ブレベミルクってご存知ですか?」
今回の配信は、リスナーさんからの質問にこたえる回です。取り上げるのは、TikTokの「ブレベミルク」に関する疑問です。
ブレベミルクってご存知ですか?普通の牛乳よりクリーミーでしたが、何が違うのかなと気になりました。
川上さんも「どこかで聞いたことはあるけど何だったっけ」という程度で、中身まで調べたことはなかったそうです。だからこそ、いい質問だと受け止めています。
ブレベミルクってことは、ブレベっていう牛からできた牛乳なんじゃないか、そう思われる方もいるかもしれません。
ジャージーミルクやA2ミルクのように、牛の品種名がつく牛乳もあります。ただ「ブレベ」はそういう牛の名前ではありません。
結論:ブレベミルクは「脂肪を高くした牛乳+クリーム系」の飲み物
まず結論からです。ブレベミルクとは、普通の牛乳より乳脂肪を高くした牛乳プラスクリーム系の飲み物です。
ブレベミルクとは、普通の牛乳より乳脂肪を高くした牛乳プラスクリーム系の飲み物ということですね。
ただし、ここに大事な注意点が1つあります。ブレベミルクの中身は、国やお店によって全く同じではないということです。
アメリカの「ハーフアンドハーフ」と日本のスタバの違い
アメリカでコーヒーの「ブレベ」というと、一般的にハーフアンドハーフを使ったものを指します。
アメリカの食品規格では、ハーフアンドハーフは牛乳とクリームを混ぜた食品で、乳脂肪分は10.5パーセント以上18パーセント未満と決められています。普通の全乳が3.25パーセント以上なので、かなり脂肪分が高いことになります。
一方、日本でよく目にするスターバックスのブレベは、公式情報ではミルクとホイップ用クリームをブレンドしたものです。しかもこのホイップ用クリームには、乳脂肪だけでなく植物性脂肪も含まれています。
アメリカの食品規格上のハーフアンドハーフと、日本のスターバックスのブレベを、全く同じものと考えない方が正解だということですね。ここが今日一番大事なところです。
ハーフアンドハーフ(牛乳+クリーム、乳脂肪分10.5〜18パーセント未満)を使う考え方
ミルク+ホイップ用クリームをブレンド。クリームには乳脂肪と植物性脂肪が含まれる
そもそも普通の牛乳とは何が違うのか
そもそも普通の牛乳とは何が違うのか、というところも整理していきます。日本では「牛乳」と表示できるものに規格があります。
厚生労働省の規格では、牛乳は乳脂肪分3.0パーセント以上、無脂肪分が8.0パーセント以上とされています。生乳は絞ったままの牛の乳、牛乳は飲用などのために販売される牛の乳、と定義されています。
普通の牛乳は、牛から搾った乳を殺菌して飲むというのが基本です。
それに対してブレベは、そこへクリームを加えて脂肪分をぐっと上げます。だから飲んだ瞬間に「めちゃめちゃ濃い」「クリーミーだな」「舌触りが全然違う」という感想になるわけです。
なぜ脂肪が増えるとクリーミーになるのか
ここからは、なぜ脂肪が増えるとクリーミーになるのか、というお話です。牛乳好きの方に聞いてもらいたい、面白いところです。
牛乳には水分、乳糖、タンパク質、ミネラル、そして乳脂肪分があります。このうち乳脂肪は、コクや口当たりに大きく関わっています。
そこにクリームを加えると、液体の中の脂肪分が増えます。すると口の中で厚みや滑らかさが出たり、コクが増したりと、そういうものを感じやすくなります。
だから、同じエスプレッソを使っても、普通のミルクで作るラテとブレベで作るものではかなり印象が変わってきます。スターバックスのアメリカでも、2025年の公式メニューでブレベを、ハーフアンドハーフを使ったよりリッチでクリーミーなものとして説明しているそうです。
「牛乳と生クリーム半々」と単純に言い切れない理由
では、牛乳と生クリームを半分ずつ混ぜればブレベになるのか。ここも少し注意が必要です。
「ハーフアンドハーフ」という名前を見ると、牛乳50パーセント、生クリーム50パーセントだと思いますよね。でも食品として重要なのは、名前そのものより最終的な乳脂肪分だと川上さんは話します。
アメリカの規格では、ハーフアンドハーフは乳脂肪分10.5パーセント以上18パーセント未満と決まっています。使う牛乳やクリームの脂肪分によって変わるので、家庭で適当に50対50で混ぜたものが必ずこの範囲に収まるとは限りません。
ブレベイコール必ず牛乳と生クリームが1対1、と断言するのは避けた方がいいかなというところですね。
さらに日本のスターバックスのブレベは、少し事情が違います。リスナーさんが飲んだものがスタバなら、これは重要な情報です。
スターバックスコーヒージャパンの公式情報には、ブレベはミルクとホイップ用のクリーム(乳脂肪と植物性脂肪を含むクリーム)をブレンドしていると明記されています。つまり、乳脂肪だけを増やしたものと説明するのは、厳密には少し違うということです。
酪農家目線で見ると、脂肪の価値がよく分かる
酪農家目線で見ると、牛乳の脂肪の価値が分かりやすい、というお話です。酪農家は毎月、乳脂肪率や乳タンパク質、乳糖、MUNなど、いろいろな数字を見ています。
牛乳を普通に飲んでいるだけだと、乳脂肪が3パーセント台からちょっと変わったところで、何がそんなに違うの?と思うかもしれません。
ブレベミルクを飲むと、脂肪という成分が飲み物の口当たりをどれだけ変えるのかが、かなり分かりやすいです。
だから、牛乳の成分を理解する教材としては、このブレベミルクは面白いのではないかと川上さんは話しています。
「濃厚=栄養が全部増える」ではないという注意点
ただし、濃厚だからといって牛乳の栄養が全部増えるわけではない、という注意点もあります。ここは誤解しやすいところです。
クリームを加えることで特に大きく増えるのは脂肪分です。ブレベの方が高タンパクだったり、カルシウムも脂肪と同じように何倍にもなる、とは言い切れません。
ブレベミルクは普通の牛乳の上位互換ではなく、目的が違う牛乳系飲料と考える方が分かりやすいです。
普通の牛乳は、そのまま飲む、ラテにも使う、料理にも使う。ブレベミルクは、コーヒーをより濃厚でデザート的な飲み物にする。そんな違いだと整理されています。
そのまま飲む、ラテに使う、料理に使う。用途が広い
クリームを加えて脂肪分を高くし、コーヒーを濃厚でデザート的にする
「牛乳が薄いからクリームを足す」わけではない
「牛乳が薄いからクリームを足しているのでは」と思う方もいるかもしれません。ここは酪農家として言っておきたいところだそうです。
ブレベが濃厚だからといって、普通の牛乳が薄いという話ではありません。そもそも用途が違います。
牛乳の乳脂肪は、日本では3.0パーセント以上という規格があります。一方、アメリカのハーフアンドハーフは10.5パーセント以上。最初から食品としての設計が違うというわけです。
牛乳と生クリームを比べて、生クリームの方が濃いから牛乳は劣っている、とは言わないですよね。それと同じです。
そもそもクリームって何?牛乳との関係
ここまで来ると、そもそもクリームは牛乳と何が違うのか、というところも気になります。
日本の規格では、クリームは生乳や牛乳などから乳脂肪分以外の成分を除去して脂肪分を高めたものと定義されていて、乳脂肪分18パーセント以上という成分規格があります。
牛乳を静かに置いておいた昔の時代なら、脂肪の多い部分が上に集まってきます。そこを分離して取り出したものがクリームのイメージです。今は遠心分離などで効率的に乳脂肪を分けています。
牛乳とクリームは全く別の原料ではなく、元をたどれば同じ生乳です。これも知ると面白いですね。
牛によって違う乳脂肪率と、牛乳が食品に変わる面白さ
さらに酪農の話をすると、搾った生乳の乳脂肪率そのものも牛によって違ってきます。品種や泌乳ステージ、餌、季節、健康状態などで変わります。
だから牧場では、乳脂肪の濃い牛乳が出たりもします。乳脂肪という成分は、毎日一定ではないのです。
その生乳を集めて製品として規格を満たし、皆さんのところへ牛乳として届けています。そこからさらにクリームを分離したり、逆に組み合わせたりすることで、いろんな乳製品ができています。
牛乳はそのまま飲むだけじゃなくて、脂肪を分けたり戻したり、濃くしたり、発酵させたり、これだけで全然違う食品になるということですね。
今回の答えと、酪農家としての本音
今回の質問への答えを一言でまとめると、普通の牛乳よりクリームを加えて脂肪分を高くし、濃厚な口当たりにしたものがブレベミルクです。
ただし、アメリカのブレベは通常ハーフアンドハーフを使う考え方、日本のスタバはミルクとホイップ用クリームで、そのクリームには乳脂肪と植物性脂肪が含まれます。名前だけで世界中同じ中身だと思わないのが今回のポイントです。
最後に、川上さんの酪農家としての本音も出てきます。牛乳にホイップ用の植物性脂肪を加えて濃厚にしている点について、率直な感想を述べています。
つまり牛乳で薄めてるわけですからね、植物性の安い脂肪分を加えて。商売がお上手だなと。
またカフェで出される牛乳そのものも、成分無調整牛乳ではなく加工乳の可能性が高い、とも話しています。コストを抑える工夫でもあり、美味しさにつながっているかどうかは自分には分からない、と正直な立場です。
スターバックスに行ったら裏で作ってくださるじゃないですか。あの時に牛乳パックを凝視して、あ、成分無調整牛乳だ、加工乳だ、みたいなところまで見ていただくと、より牛乳が美味しくなるんじゃないかなと。
次にカフェでブレベミルクを見つけたら、高級な牛から出た特別な牛乳、ではなく、牛乳の脂肪をどう使うかでこんなに味が変わるんだと思って飲んでみてほしい、と締めくくっています。
まとめ
ブレベミルクは、普通の牛乳にクリームを加えて脂肪分を高くした、濃厚な口当たりの飲み物です。ただしその中身は国やお店で違い、酪農家が毎日見ている「乳脂肪」という数字が、カフェではクリーミーさとして体験できる点が面白いところでした。
- ブレベミルクは、普通の牛乳より乳脂肪を高くした牛乳+クリーム系の飲み物
- アメリカのブレベはハーフアンドハーフ、日本のスタバはミルク+ホイップ用クリームで中身が違う
- 日本のスタバのクリームには乳脂肪だけでなく植物性脂肪も含まれる
- 濃厚でも栄養が全部増えるわけではなく、特に増えるのは脂肪分。上位互換ではなく用途違い
- 牛乳とクリームは元をたどれば同じ生乳で、脂肪を分けたり戻したりで違う食品になる

