共進会に出品する土曜の朝から
配信はいつものあいさつから始まります。今日は3月22日の土曜日、天気は晴れで気温は19度。半袖でもいけそうなほどポカポカした陽気だと話されています。
この日の川上さんの仕事は、島根県のホルスタインの共進会共進会 ── 家畜の体型や資質を競い合う品評会。酪農・畜産の技術向上や交流の場として各地で開かれます。への出品です。
出品するのは久しぶりで、コロナがあって出していなかったため、およそ5年ぶりだといいます。今回は子牛のちいさいサイズを連れて行き、一日そこで仕事をする予定とのことです。
地上波でまた流れる「牛乳で乾杯」
本題の前にお知らせがあります。配信のオープニングで流れている「牛乳で乾杯」という曲が、また地上波で流れることになったそうです。
3月25日の16時からTBSラジオで流れるということなんで、ぜひ皆さん聞いてみていただけたら嬉しいかなと思います。
もし聞いたらXやInstagramでハッシュタグを付けて投稿してほしい、喜んでリツイートします、と呼びかけています。
もうひとつのお知らせは、Instagramで進めている「#未来の牛乳」の取り組みです。「こんな牛乳あったらいいな」というアイデアをAIアートでNFTNFT ── デジタルデータに固有の証明を付けて売買できる仕組み。ここではAIで作ったアート作品を販売する形で使われています。にして販売しています。
その売り上げは、子ども食堂への牛乳支援や、小中高の食育活動の活動費にあてられるとのこと。皆さんのご支援が子どもたちの未来の牛乳を作っていく、そんな特別なNFTだと紹介されています。
気温が上がってくるとどんどん美味しくなってくるぞ、牛乳が。今日も牛乳を飲んでいただいてありがとうございます。
そしてこの時期ならではのお願いも。学校給食が止まると、この地域では牛乳の消費が大きく落ち込むそうです。
春休みも牛乳です。皆さん、春休みの牛乳消費が落ちた時に牛乳を飲んでいただきたい。
若者に大ヒット、明治のミルクコーヒーとは
ここから今日のニュースです。取り上げるのは、日本経済新聞のウェブ版の記事。明治の「おいしいミルクコーヒー」が若年層にヒットし、計画比で倍の売れ行きになっているという内容です。
この商品は生乳を50%以上使い、牛乳のコクを前面に押し出しているのが特徴。甘さ控えめで、コーヒーの風味はほんのり。市販の甘いカフェオレとは一線を画す味わいだと紹介されています。
開発の背景にあるのは、牛乳の消費量が減っている現実です。明治は新たな需要を生み出すために、この商品を作ったとされています。
ターゲットは20代から40代のリラックスタイム。なかでも30代以下の若年層から支持を得ているそうです。
味づくり
生乳50%以上で甘さ控えめ、牛乳のコクを前面に
売り方
コンビニでの積極展開とSNSのティザー広告で若者にリーチ
見せ方
白を基調にし、牛乳の延長線上とわかるパッケージ
値づけ
希望小売価格213円、やや高めでもブランド価値を維持
これらが見事に融合した結果がヒットにつながった、というのが記事のまとめです。今後は新しいフレーバーの開発も視野に入れているとのこと。なお、このニュースの整理はAIによるものだと川上さんは断っています。
ミルクコーヒー流行と、白バラの思い出
川上さんはこのニュースを受けて、いま意外とミルクコーヒーが流行っているのかもしれない、と話します。関東の乳業会社が出しているミルクコーヒーもSNSで話題になっているそうです。
意外とミルクコーヒーっていうのは飲まれてなかったんだなっていうのは、ちょっと再発見した。
川上さん自身が思い浮かべるのは、鳥取県の大山乳業大山乳業/白バラ牛乳 ── 鳥取県の乳業。「白バラ」ブランドで牛乳や乳製品を展開しており、地域で親しまれています。の「白バラミルクコーヒー」。ちいさい頃から飲んでいて、たまに無性に飲みたくなるほどの一杯だといいます。
一方で、明治のミルクコーヒーはこのあたりではあまり見かけない気がする、と話し、改めて牛乳コーナーをのぞいてみようかな、とゆるく締めています。
「牛乳が売れる」と「加工に回る」のちがい
ここから話は、酪農家ならではの視点に入ります。記事には「牛乳の需要増加は酪農家の経営安定につながる」とありました。ただ、川上さんはここに少しだけ引っかかりがあると言います。
ポイントは「加工」です。ミルクコーヒーにすると加工が入るため、生乳としてではなく加工向けの入荷として引き取られる。すると単価が安くなってしまうのだそうです。
牛乳を飲む、なおさら牛乳をそのまま飲むっていうのが一番ありがたいんですけど。
ここでヤマさんも会話に加わり、しくみをかみ砕きます。
安く酪農家から安く買って、普通の販売する価格はまあそこそこにできるという。
そうですね。加工入荷になると思うので。
そのうえで川上さんは、明治さんはいろいろ努力してくれているのでこう大々的には言えない、と前置きしつつ、こんな言葉を残しています。
それでも、このミルクコーヒーが牛乳を飲む習慣のきっかけになり、そこから成分無調整牛乳にも手が伸びてくれたら嬉しい、というのが川上さんの願いです。
乳価って何?加工に回ると単価が下がるしくみ
コメントでは「乳価って何ですか」という質問が寄せられました。川上さんはここをていねいに解説していきます。
酪農家が牛乳を出荷するとき、その値段は全国や地域ごとにおおよそ決まっています。そして、同じ生乳でも用途によって単価が変わるのがポイントです。
成分無調整などそのまま飲む牛乳向けは単価が高く、バター、生クリーム、脱脂粉乳、練乳などの加工に回ると単価が下がってしまうのだそうです。
そのまま飲む牛乳向けで単価が高い
加工に回ると単価が下がる
だからメーカーとしては、単価の低い加工向けで買って、加工して売るほうが利益が出やすい。牛乳が売れなければ「じゃあ加工にしますね」という流れになりがちだといいます。
皆さんの牛乳の消費が伸びれば牛乳販売しますんで、メーカーさんもね。
メーカーもいろいろ努力してくれているのでなかなか言いにくいところ、と断りつつ、なるべくならば成分無調整の牛乳で売れると嬉しいというのが酪農家の本心だと語られています。
牛乳の歴史から、次回への宿題
もうひとつ、深いコメントも届きました。「牛乳の消費を考える前に、牛乳の歴史を知りたい」「どの商品なら伸びているのか」「食べなくなったのに不健康になっているのか」といった、次々と疑問が広がる内容です。
川上さんはこれを次回の宿題として受け止めます。牛乳の歴史は過去の配信でも触れてきたテーマで、かなり奥が深いといいます。
エジプトの壁画にも描かれていたほど古く、『ミルクの一万年の歴史』ミルクの一万年の歴史 ── 牛乳・乳製品の長い歴史を扱った書籍。番組内では牛乳の歴史の長さを示す例として紹介されています。という書籍や、それを扱う学会もあるほど。そうした背景に触れながら、改めて配信で話したいと約束しています。
最後は、酪農や農業のことに限らず「最近こんな悩みがある」といった相談も気軽に寄せてほしい、酪農家目線でズバッと答えます、と呼びかけて締めくくられました。共進会の結果もまた報告したいとのことです。
まとめ
若者にヒットした明治のミルクコーヒーを入り口に、牛乳がなぜ売れているのか、そして酪農家から見た「加工乳と生乳のちがい」まで語られた回でした。消費が伸びること自体はうれしい、けれど本心は「そのまま飲む牛乳」で届いてほしい、という酪農家のリアルな声が印象的です。
- 明治のミルクコーヒーは生乳50%以上・甘さ控えめで、30代以下の若者にヒットしている
- ヒットの要因は味づくり・コンビニ展開・SNS広告・パッケージ・値づけの融合とされる
- 同じ生乳でも、飲用は単価が高く、加工に回ると単価が下がるしくみがある
- 酪農家の本音は「加工より成分無調整の牛乳で売れてほしい」というもの
- 次回は牛乳の歴史をテーマに掘り下げる予定で、質問や相談も広く募集中




