牛って本当は暑さに弱い?夏バテのリアル
夏になると人間もバテますが、実は牛も同じ。研修生さんは、毛皮を着ているような牛の様子を見て「暑そう」と気づきます。
川上さんによると、この牛の夏バテ、専門用語で「暑熱対策」と呼ばれるものは、酪農家にとって夏の一番の課題なんだそう。
体が大きいから暑さに強そうなイメージもありますが、川上さんはそこを否定します。牛が一番快適に過ごせるのは、意外にも4度から24度くらいなんだとか。
特に日本の夏は、ただ暑いだけでなくジメジメする高温多湿。牛にとっては本当に厳しい環境で、ご飯を食べなくなったり、牛乳の量が減ったり、病気になりやすくなったりするといいます。
人間よりずっと大変そう。何かいい対策はあるんですか?
なぜ50℃の砂漠の国が牛乳生産で世界トップなのか
ここで川上さんからクイズが出されます。夏には50度近くになる砂漠のような気候なのに、牛1頭あたりの牛乳生産量が世界トップクラスの国はどこか、という問いです。
クイズ:50℃近くになる砂漠のような気候なのに、牛1頭あたりの牛乳生産量が世界トップクラスの国はどこ?
答えはイスラエルです。砂漠のイメージが強い国ですが、徹底した科学的アプローチで過酷な環境でも高い生産量を実現しています。
その秘密は、暑熱対策が国家レベルの戦略になっていること。主に5つの柱があると川上さんは説明します。
川上さんが特に驚いたのは、冷たい飲み水の効果。10度から15度の冷たい水をあげるだけで、牛乳の量が1日に2リットルも増えることがあるといいます。
冷たいお水を飲むだけでそんなに変わるんですか?人間と一緒ですね。すごい。
高そうな設備、日本の牧場でもできる?
最先端の設備と聞くと、お金がかかりそうで気になりますよね。研修生さんも「日本の牧場でもできるんですか?」と尋ねます。
川上さんは、イスラエルのすべてを真似するのは難しいとしつつ、日本でも応用できることはたくさんあると答えます。
例えば、牛にミストをかけて風を送るソーカーシステム。ある牧場では設置後、牛1頭あたりの牛乳が4キロも増えて、たった1ヶ月で元が取れたという計算もあるそうです。
つまりこれは、単なる出費ではなく収益を改善するための投資だという考え方です。
知らないと損?使える制度と学ぶべき姿勢
人手不足を助けてくれるロボットやAIの技術もあり、国も農林水産省の補助金制度で暑熱対策の機械を買うのを応援してくれているそうです。
ただ、そうした制度があることを知らずに、暑い夏に苦労している酪農家さんも多いのが実情だと川上さんは話します。
だからこそ、イスラエルの事例から学ぶべき一番大事なことは、技術そのものだけでなく、その「姿勢」なんだといいます。
夏だから乳が出ないのは当たり前と諦めるのではなく、暑さを前提としてどうすれば牛も人も快適な経営ができるかと科学的に考えること。
そして、使える制度や技術はどんどん活用していくこと。
研修生さんはこれを「暑さと戦うんじゃなくて、暑さとうまく付き合っていく感じですね」とまとめ、日本の酪農の未来が明るく見えてきたと話します。
まとめ
牛は意外と暑さに弱く、夏の暑熱対策は酪農家にとって大きな課題。砂漠の国イスラエルの科学的なアプローチには、日本の牧場でも活かせるヒントがたくさんありました。牛が快適になれば健康になり、私たちの飲む美味しい牛乳にもつながっていくんですね。
- 牛が快適なのは4〜24度。日本の高温多湿な夏は牛にとって厳しい
- イスラエルは暑熱対策を国家戦略にし、5つの柱で世界トップの牛乳生産を実現
- 10〜15度の冷たい水で牛乳量が1日2リットル増えることもある
- ソーカーシステムは1ヶ月で元が取れた例もあり、出費ではなく投資
- 国の補助金など使える制度を知り、暑さと上手に付き合う姿勢が大切




