なぜ「AIに正解を聞かない」アプリを作ったのか
物と価値のリベラルアーツのkinoこと竹野きのさんが、この回で紹介するのは、自身が制作しているアプリ「BAS(Brand Agent Studio、ブランドエージェントスタジオ)」です。
出発点にあるのは、AIの進化そのものへの実感です。ChatGPTやClaude、Gemini、Grokなどが次々に進化し、ついていくのが必死なほどだと語ります。
AIは文章も画像も動画も作れるようになり、企画や事業のアイデアまで出してくれます。ただ竹野さんは、そこで逆に問われるものが増えたと考えています。
自分は何がしたいんだっけ?っていうところをね、考えることっていうのがね、増えたんじゃないかなって思うんですよね。
自分が本当に大切にしたいことや、自分・自分の商品の強みは、AIが一発生成して終わるものではない、というのが竹野さんの見立てです。
育ててきた歴史や、自分が育ってきた環境。そうした積み重ねを活かせないかと考えたことが、BASを作った経緯だと説明します。
Mia・Ray・ドクター、それぞれ違う目線を持つ3人のエージェント
BASには、Mia(ミア)・Ray(レイ)・ドクターという3人のエージェントがいます。それぞれが違った目線を持つように設計されています。
問いながら言葉にする役割
別の角度から、いろいろな角度で分析する役割
根拠や情報を調べる、研究者のような役割
ただし竹野さんが大事だと言うのは、キャラクターがいること自体ではありません。相談したときに強みや課題の仮説が見えて、実際にやってみて、結果を持ち帰り、また考える。この一連のサイクルを回すことに主眼があります。
自転車と同じで、乗ってみないとわからない
竹野さんは、このサイクルの意味を自転車の運転にたとえます。ペダルを漕いでハンドルでバランスをとる、という理屈は先にわかっていても、それだけでは足りないと言います。
理屈はわかっているんだけども、でも実際にね、乗ってやってみないとわかんないことってありますよね。
AIが出す答えも同じで、「こうすればいい」と言われて理解した気になっても、実際にやってみて、なぜ失敗したのかを自分で理解していくことが大切だ、というのが竹野さんの考えです。
一般的な診断アプリなら「あなたの強みは○○です」で終わりがちだと竹野さんは指摘します。本人が「私ってこうなんだ」と受け取って行動まで進めばよいほうで、多くは「そうなんだ」で止まってしまうと見ています。
BASでは、診断結果はあくまで「その時点でのその人」だととらえます。そこからどんな人間になりたいか、どんな事業をしたいかという理想に向けて、一緒に考えていく設計です。
こういう考えなんですって言ったら、それって本当にやりたいことに近づいてますか?みたいなところを問いながら。
相談する
強みや課題の仮説が見える
やってみる
現実で実際に試す
持ち帰る
結果を持ち帰る
また考える
振り返って、また考える
対話と、自分でまとめたログを残せることが売り
BASでは、AIとの対話と、自分の考えを整理してまとめた部分の両方を、ログとしてしっかり残していけると竹野さんは説明します。しかも、何を残すかを自分で選べる点を売りにしています。
商品をどう伝えるか、価格をどう考えるかには、世間の相場もありますが、そこに自分の考えが入るからこそ個性や特性が生まれる、と竹野さんは話します。
そうして1本筋の通ったサービスや生き方ができれば、AIをうまく使って幸せになっていけるのではないか、というのがBASに込めた期待です。
かずみん×BAS、白玉美容液で実際に使ってみる
「本当にうまく相談できるの?」という疑問はもっともだ、と竹野さんも認めます。そこで、実際に人が使っている様子を見てもらう企画を進めているそうです。
題材になるのは、美容液を販売し、セルフブランディングにも取り組むかずみんさんの商品です。すでに自分の強みを言葉にしている経営者に、BASを使ってもらいます。
ちょっと面白そうだなっていうので、一回一緒にやってみませんか?っていうところで。
使う商品は「白玉美容液」。ブランディングの先生でもある人が、AIの仮説と本人の感覚をぶつけることで、どんな解像度の上がり方や新しい目線が見つかるのかを配信で伝えたい、という狙いです。
「マッチョなやり方」をファンタジーの世界観で
正解を出さないという方針は、竹野さん自身「マッチョでストイック」だと言います。その分、BASのサイトはかなり可愛く作っているそうです。
世界観はファンタジー。中世など過酷な時代を舞台にすることが多いファンタジーの登場人物はマッチョだ、という見立てから、過酷なやり方も、没入できる世界観の中でなら楽しく続けられるという発想でデザインしていると語ります。
何を相談すればいいかわからなくても大丈夫
使ってみたくても「何を相談すればいいのかわからない」という人は多いだろう、と竹野さんは想定します。BASを初めて知った人が一番困るのは、自分が何を聞けばいいのかという点だと言います。
相談の入り口として想定されているのは、たとえば次のような状態です。
- 自分自身の強みがわからない
- 副業を始めたいが何をすればいいかわからない
- 商品はあるが、違いを説明できない
- SNSを頑張っているが、これでいいのか迷っている
- なんとなく自分のやり方に違和感がある
BASには個人用と事業用が分けて用意されています。そのくらい曖昧な状態のほうが、むしろBASは生きてくると竹野さんは話します。
サイトの中身と、無料体験からの料金プラン
最後に、竹野さんはサイトの中身を紹介します。チャットで話してログを取ることに力を入れつつ、背景にはブランドの歴史や理論のデータベースがあります。
そのデータベースをもとに、3人のエージェントがそれぞれの目線で「これは強みになるのでは」と伝えたり、研究の結果を見せたりします。同じデータベースを使って、企業やブランドを分析した記事も作成しているそうです。
気になった人向けに無料体験も用意されています。料金は、個人用が500円、事業用が3000円、継続する場合は3900円という設定です。
| プラン | 料金 | 補足 |
|---|---|---|
| 個人用 | 500円 | 自分自身について考える向け |
| 事業用 | 3000円 | 売り上げにつながる自信があると説明 |
| 事業用(継続) | 3900円 | 継続して使う場合 |
竹野さんは、まず4週間のサイクルを試してほしいと呼びかけます。事業用については、売り上げにしっかりつながるだろうという自信があると話しています。
AIができることが増えるほど残る「自分は何を選ぶか」
これからAIはもっといろいろなことができるようになる、と竹野さんは見ています。ただ、できることが増えるほど「自分は何を選ぶのか」という問いは残っていくと考えています。
BASはその答えを決めてくれるサービスではありません。竹野さん自身、それは商売としては一番伝わりにくいベネフィットだと認めます。
BASはその答えを本当に決めるサービスじゃないんですよ。
自分の軸がないと、ChatGPTなどを使うにしても、AIの回答に左右されるだけになってしまう。だからこそ、実際に試して自分の解像度を上げてほしい、というのが竹野さんの結びです。
まとめ
BASは、AIに正解を出させるのではなく、AIと対話しながら自分や自分の商品の答えを探し、試して振り返るサイクルを回すためのアプリとして紹介されました。
- BASは「AIと一緒に自分の答えを探す」ことを目的に作られた
- Mia・Ray・ドクターの3人が、問い・分析・調査という違う目線を担う
- 相談→やってみる→持ち帰る→また考える、というサイクルを重視している
- かずみんさんの白玉美容液を題材に、実際に使う様子を配信で見せていく
- 無料体験のあと、個人用500円・事業用3000円・継続3900円で利用できる






