考えずに話すほうが伝わる? そして「おもんなかった」の一言
番組冒頭、しもちゃんは準備なしでいきなり話し始め、いなけんに「こなれてる」と感心されます。しもちゃんは、頭で考えすぎるとかえって伝わらなくなるタイプだと話します。
考えて相手に伝わりやすいっていうのは何やっけ?っていうのを考えながら話してる時って一番伝わりにくいと思うんですよね。
だって結局考えてる軸、相手じゃなくて自分が想像してる相手になってるから、相手の反応見ようとしてないですもん、それ。
そこから本題へ移り、この回はNetflixドラマ『ダウンタイム』を見た感想回だと紹介されます。しもちゃんの第一声は、身も蓋もない一言でした。
おもんなかったっすね。
いなけんは、前回・前々回あたりでも『ヴィヴァン』や『Tシャツが乾くまで』を「おもんなかった」と言っていたため、しもちゃんが世の中のコンテンツを切りまくる人に見えないかと心配します。しもちゃんは、自分が面白いと思うものは自分で作るしかないという結論にたどり着いたと答え、コンテンツを受け取ることにもう飽きてきたと話します。
しもちゃんが見たのは第1話だけです。いなけんは「もう少し見てから判断してほしい」と思いつつ、このテンションなら2話以降を見ても評価は変わらなそうだと認めます。
しもちゃんが感じた「気持ち悪さ」の正体は何か
しもちゃんは『ダウンタイム』が合わなかった理由として、「気持ち悪い」ことと「ストーリーに共感できない」ことの2つを挙げます。
しもちゃんによると、手術のシーンが気持ち悪かったのは確かですが、それは氷山の一角にすぎません。本当にしんどかったのは、ドラマの中で前提とされている価値観のほうだといいます。
前提とされてる価値観がちょっとしんどい。あの、ドラマは。
いなけんは、しもちゃんが整形をあまり好ましく思っていないからこそ、ドラマの裏にあるメッセージにざわつくのだろうと推測します。ただ、しもちゃんは「こういうことはリアルにある」と感じたわけでもなく、周りに整形している人がいないため、作り物とわかっていても登場人物同士のやりとりそのものが気持ち悪かったと話します。
しもちゃんは途中で見るのをやめようかと思いながらも、いなけんが面白いと言っていたことを思い出し、1.25倍速から1.5倍速に上げてストーリーだけを最後まで追ったそうです。
いなけんの楽しみ方は、ドラマの裏メッセージを読むこと
一方のいなけんは、『ダウンタイム』を社会風刺的な裏メッセージがあるドラマとして、最初からメタ的に見ていたといいます。本当の意図はわからなくても、自分なりに考察する目線で見られることが、いなけんにとっての楽しみ方でした。
いなけんが例に挙げたのは、第1話の声優を目指す女の子が整形する話です。声優は本来、声で演じる職業のはずなのに、声優がアイドル化する流れの中で外見が勝負になっている点を、風刺としておもしろく感じたそうです。
声が商売道具で、外見は関係ない職業
アイドル化が進み、外見やルッキズムも勝負の変数になる
しもちゃんの受け止めは冷めたものでした。声優という仕事の定義や、なるための条件が昔と今で変わってきているだけで、「それで?」と思いながら見ていたといいます。
いや、あれもだから要は声優っていう、そもそもその仕事自体の定義が別に昔と今で違うっていうだけで、昔も固まってなかっただけじゃないですか。
いなけんが「価値観がかけ離れていて、おもんなかった以上の話にならない気がしてきた」とこぼすと、しもちゃんは、休みの日を削ってやっているPodcastで嘘はつきたくないと返します。
共感できないと没入できない、しもちゃんの見方
しもちゃんは、気持ち悪さも含めて、結局は「共感できなかった」に尽きると説明します。たとえば、第1話に出てくる闇金の取り立て役は、言動のテンションの切り替わりがよくわからず、本筋に関係なさすぎて蛇足に感じたそうです。
いなけんは、しもちゃんがこの先を見ないだろうという前提で、その闇金のキャラクターは後に重要な役になると明かします。しもちゃんはさらに、ストーリーの展開が早すぎて、そのスピード感にも共感できなかったと話します。
いなけんが「しもちゃんはコンテンツを楽しむうえで共感が大事なのか」と尋ねると、しもちゃんは、共感できないと没入できないと答えます。
そうですね。じゃないと没入できないんで。
いなけんは、フィクションだとわかったうえで自己投影でき、その世界に自分がいるかのように感じられる作品が、しもちゃんにとって面白い作品なのだと整理します。しもちゃんにとって『ダウンタイム』は、日本語を話しているのに何人が出ているのかもわからないような、不思議な価値観の世界に見えたといいます。
インターステラーと比べてしまう? 高すぎる基準値
いなけんは、では最近しもちゃんが没入できた作品は何かと問いかけます。しもちゃんがまず挙げたのは、配信者の加藤純一(うんこちゃん)でした。どの切り抜きを見ても面白いといいます。
いなけんが「ドラマや映画で答えてほしかった」と言い直すと、しもちゃんは、前にも話したかもしれないとしつつ『インターステラー』を挙げます。ただ、それと比較するのはさすがにずるいと自分でも認めます。
このやりとりから、いなけんは、しもちゃんが「面白い」と感じるために超えなければならない基準値が高いのだろうと分析します。しもちゃん自身も、良い作品はつい『インターステラー』と比較してしまうと認めます。
いいものを、そのやっぱインターステラーとかと比較しちゃうんですよ、全部。
いなけんのほうは、ながら見で流しているため、ドラマがつまらなくてもそれなりに受け流せるといいます。しもちゃんはその話を聞いて、改めて自分の『ダウンタイム』への嫌悪感の強さに気づきます。
整形への違和感、唇のタトゥーの話
いなけんは、しもちゃんの根っこには整形への強いアレルギーがあると感じています。これまでも番組では、マンジャロや整形を扱った回が何度かありました。
しもちゃんは、ドラマの冒頭に出てくる胸のシーンを見て、整形は自然の摂理に反する行為だと感じたと話します。
しもちゃんは最近の家族の食事会で聞いた話も紹介します。妹の友人が唇に色のついたタトゥーを入れ、血色を足す施術を受けていたそうで、家族で「恐ろしい時代よな」と笑い合ったといいます。
なんかその目線が短すぎるというか、今の価値観で良いとされてるものを、このね、体に刻み込んで。
しもちゃんは、その違和感の正体を「怖い」という感情だと言葉にします。いなけんが、手術でメスを入れられること自体が怖いのかと確認すると、しもちゃんは、そうではなく思い切ってそれを行動に移せてしまう人が怖いのだと答えます。
野呂佳代のキャラクターが見せた、別軸の整形
いなけんは、しもちゃんがもう見ないという前提で、その先のストーリーを紹介します。野呂佳代が演じる専業主婦のキャラクターの話です。
いなけんによると、そのキャラクターはDVを受けているわけではないものの、夫から「女は家でつつましくいろ」というような扱いを受け、自我を出さずに鬱屈した女性として描かれています。そして、整形をしたそうな気配が伏線として少しずつ張られていきます。
やがて彼女は、仲里依紗らの美容クリニックを訪れます。視聴者は豊胸や二重のように外見のパーツをいじる話を想像しますが、実際には女性器の形を変える手術で、自分のコンプレックスを直すための整形でした。
なんかちょっとそこだけなんか使ってるなんかテーマがちょっとなんかまた別軸だった感を俺は感じたというか。
いなけんにとって、この展開は「そういうパターンもあるのか」という純粋な学びだったといいます。
入り込む人と、動物園のように眺める人
いなけんの話を聞いたしもちゃんは、いなけんはドラマをドキュメンタリーのように見ているのではないかと指摘します。
ニュースみたいなもんやん、それ見方が。
こんなんあるんやって。もう動物園で動物見てるみたいな感じでしょ。
いなけんもそれを認め、自分はコンテンツに没入感や臨場感をあまり求めていないかもしれないと話します。ここで二人は、コンテンツの楽しみ方が根本的に違うことに気づきます。
いなけんがつまらない作品も許容できるのは、流行っているものがなぜ大衆に受けているのかを、職業柄メタ的に分析してしまうからだといいます。そのため、面白いかどうかは二の次になるそうです。
共感して世界観に没入できるかを重視。合わない作品には強い嫌悪感を抱く
一歩引いて裏メッセージや流行の理由を考察。つまらなくても受け流せる
しもちゃんが「なぜ『ダウンタイム』は流行っていると思うか」と聞くと、いなけんの答えは「金をかけているから」でした。メタ分析を期待していたしもちゃんは、思わず強くツッコみます。
メタ的な分析するとか言って、分析結果金かけてるから。
最初がつまらない作品は、どんでん返しに賭けない?
しもちゃんは、つまらないと感じた作品はすごく嫌いになり、時間がもったいないと話します。いなけんは、最後にどんでん返しがある可能性に賭けることはないのかと尋ねます。
しもちゃんによると、冒頭がつまらなくても、何も起きていない日常パートとして描かれているなら見られるといいます。日常パートとしての完成度がわかるからです。見られないのは、そうではない作品です。
しもちゃんはこの感覚を、仕事のPowerPoint資料にたとえます。最初の5ページほどで定義されていない言葉が出てきて、説明もないまま話が進んでいく状態だといいます。
え、じゃあそれってどういうことなん?っていう、もう疑問が頭から出てきて、これ以上進んでこなくなる。
引っかかり
説明のないまま、よくわからない要素が出てくる
疑問が積もる
「それはなんなん?」と頭の中で処理できない
離脱
作り手が気づかずに進めるため、この先も同じことが起きると感じる
いなけんは、しもちゃんは脚本家や監督、俳優と対等以上の熱量でコンテンツに向き合っているからこそ、裏切られるとつまらなく感じるのだろうと分析します。いなけん自身は、松岡茉優の演技がうまいと感じる程度で遠巻きに見ているといいます。
映画館でも途中で帰る? Netflixの話題性は信用しない
いなけんは、お金を払った映画館でも、つまらなければ途中で帰るのかと問いかけます。しもちゃんの答えは「一人なら全然帰る」でした。
というか、別に面白くないことに時間を使いたくない。
ただし、しもちゃんは、大まかな展開が読めても、どう表現するのかが見たいほど面白い作品なら最後まで見るといいます。いなけんはここで、払ったお金はしもちゃんの「見る・やめる」の判断に関係ないと確認します。
いなけんの次の問いは、それならハードルが高すぎて、面白いと予測できないと映画館に足が向かないのではないか、というものです。しもちゃんは、だから映画館には基本的にあまり行かないと答えます。一方で、YouTubeショートはよく見ると付け加えます。
しもちゃんは、Netflixで流行っているという評判は、自分の中では指標としてかなり弱いと話します。X(旧Twitter)では、伸びそうだから投稿する人もいると考えているからです。
いなけんはここで、さっきの「金をかけているから」の真意を補足します。言いたかったのは制作費ではなく、作品を話題にするためのプロモーションにお金がかかっている、という意味でした。しもちゃんもそれには「確かに」と同意します。
整形の行き着く先と、加藤純一を見てしまう理由
話は整形に戻ります。しもちゃんは、どれだけ整形を重ねても、最後に自分の素の姿を受け入れなければ、死ぬまで整形し続けることになると話します。
受け入れるっていうフェーズが遅かれ早かれ絶対来るんだから。
いなけんによると、ドラマの中盤から後半には、整形を重ねても自分のここがダメだと思い続ける「整形モンスター」のようなキャラクターが登場するそうです。しもちゃんは、整形した顔のビジュアル自体を見るのも苦手だと付け加えます。
整形を重ねる
見た目を変えても自分のどこかがダメだと感じる
終わらない
受け入れなければ死ぬまで続く
受け入れ
遅かれ早かれ、素の自分と向き合うフェーズが来る
最後に、いなけんは、しもちゃんが加藤純一を見るのは面白さが約束されているからではないかと問いかけます。しもちゃんの答えは少し違い、加藤純一はつまらなそうにしている時がほとんどないから、だといいます。
しもちゃんにとっては、共感できるかどうかよりも、面白そうにしているという前提があるだけで見てしまう理由になるそうです。人間関係でも、いつも楽しそうに話す人のほうに会いたくなると話し、いなけんも「ツンケンしてる人は逆だよね」とうなずきます。
締めの一言を振られたいなけんは、加藤純一を「二郎ラーメンのように期待値を超えてくる」とたとえますが、しもちゃんに「二郎は期待値を超えてこない」とツッコまれ、ミームを軸にしたたとえだったと釈明して回が終わります。
まとめ
『ダウンタイム』の感想が噛み合わなかった二人の違いは、作品の評価以前に、物語に入り込みたいか、一歩引いて眺めたいかという楽しみ方の違いにありました。しもちゃんの「面白い」は共感と没入に、いなけんの「面白い」は考察と観察に支えられていることが見えてきます。
- しもちゃんは共感できないと没入できず、合わない作品には強い嫌悪感を抱く
- いなけんはドラマを動物園のように眺め、裏メッセージや流行の理由を考察して楽しむ
- しもちゃんの整形への違和感の根っこには、それを行動に移せる人への「怖さ」がある
- お金を払った映画でも、つまらなければ途中で帰るほど、しもちゃんは時間を重視している
- 加藤純一を見てしまうのは、共感よりも「楽しそうにしている」ことに惹かれるから





