桜島での新生活と餃子による地域おこし
今年4月に桜島へ移住したカタオカマナミさんは、移住から3か月が経ってもまだ新鮮なことが多いと話します。
鹿児島には何度も通っていたものの、一年を通して暮らすのは初めて。豪雨のときの心配や、火山灰の洗礼など、首都圏とは違う感覚があると言います。
雨が降ってる中でボーンって爆発すると、灰色の雨が降ってきてドロドロになるんですよね。
それでも桜島の生活は面白いと語ります。現在は桜島でカヤックのガイドの仕事をしながら、観光の底上げや、餃子を軸にした地域おこしを模索しています。
餃子でもうちょっと町おこしというか、地域おこしができたらいいなというので、餃子をきっかけにいろんなイベントを企画していこうかなと、今活動を始めたところです。
鹿児島は持ち帰り文化、餃子屋が増えた背景
鹿児島の餃子は、東京のように店舗が多いというより、持ち帰り文化が大きいとカタオカさんは見ています。
近くのローカルスーパー「ニシムタ」には、東京では見かけないような餃子が何種類も並び、仲間と食べ比べをすることもあるそうです。
ここ3年ほどで鹿児島の餃子屋が増えた印象があるといいます。他業態からの参入も多く、コロナ禍だからこそ持ち帰り餃子が受け入れられた可能性を指摘します。
生餃子を持って帰って、家でみんなで家族で焼いて食べるっていうのが、鹿児島の人たちに話を聞いてるとすごく多い気がして。
一番メジャーなのは餃子の丸岡です。鹿児島の会社だと思い込んでいる人も多いそうですが、実際は宮崎の会社です。
家計調査では生餃子の持ち帰りが多い地域が上位に来やすいものの、鹿児島は店舗が街に集中しており、近くに住んでいないと買いにくいという事情もあると話されています。
一パックを分けて食べる人たち
話題は、餃子を一度にどれくらい食べるかという生活感覚に移ります。
カタオカさんの周りには、味の素の冷凍餃子のような一パックを、何日かに分けて食べる人がいて驚いたと言います。
一回で一パック焼かないんだって、私はちょっと思って。
小分けにできる商品は、一人二人暮らしの人にとって便利なのだと気づいたそうです。これは鹿児島に限らない話かもしれないと二人は話します。
でも自分では全然実感がない話だってわかんない。全然わかんない。
餃子カフェという場づくり
カタオカさんは、桜島のカフェの夜の時間を間借りして「餃子カフェ」という営業を始めました。これまでに3回開催しています。
餃子カフェとはどういうものですか
桜島のカフェの空いている夜の時間を間借りし、餃子を使ってコミュニティ作りをする場です。住民も市内から渡ってくる人も巻き込み、餃子をきっかけに人が集まり出会える場所を目指しています。
メニューは餃子だけ。飲み物は一部を用意し、持ち込みも自由にしました。最初にお通しとして餃子を出すと「ウェルカム餃子」と喜ばれたそうです。
コースは1000円と2000円の2種類。4〜6種類の食べ比べセットで、ゆっくり食べると10個も食べないうちに満足して帰る人が多かったといいます。
今後は鹿児島の餃子だけのプレートと、県外の餃子を混ぜたプレートを分けていく構想があります。月ごとに地域を変えて出すアイデアも語られました。
鹿児島でやるからには鹿児島の餃子を知ってほしいのはあるんですけど、それって意外と自分たちで買えるじゃないですか。
海外の餃子っぽいものを集めた日もやりたいそうです。エンパナーダのパラティさんやウクライナのヴァレニキなど、鹿児島にはインターナショナルな作り手もいると話します。
桜島の食材と海産物餃子
鹿児島は南北約600キロと広く、屋久島や奄美大島など世界遺産の島が有名です。そのため空港経由で島へ向かい、鹿児島市内に立ち寄らない観光客も多いといいます。
カタオカさんは、せっかくなら桜島にも足を運んでほしいと考えています。桜島へはフェリーで渡れることを知らない人も多いそうです。
桜島って渡れるかどうかを、そもそも知らない人がいるから。
桜島は噴火する島でありながら農業が盛んです。火山灰がミネラルとなって作物を育てる一方、灰で傷つかないよう袋をかける工夫もされています。
世界一大きい桜島大根や、世界一小さい桜島小みかんなど、小さな島の中で多彩なものが作られています。
世界一大きい大根としてギネスに登録されている
世界一小さいみかんとされる小さな柑橘
カタオカさんが最近推しているのが桜島産のヒジキです。カヤックで海に出ると生えているのが見え、プリッとコキコキした食感で、これまで食べたヒジキとは別物だと言います。
そのヒジキを餃子にする発想をくれたのが、埼玉の餃子専門「まるこ」さんでした。桜島産の食材を送ったところ、ヒジキ餃子にして返してくれたそうです。
どういう風に作ったんですか、レシピをって言ったら、いや普通に煮たもの混ぜただけですって言われて。めっちゃ美味しくできましたって。
鹿児島には海産物餃子を作る店が多いのも特徴です。餃子のあかりの貝を使った餃子、照照のタカエビ餃子、枕崎方面の鰹節を使ったものなどが挙げられました。
豚肉のブランドによっても餃子は変わると言います。お茶のカスを食べさせて育てる茶美豚は、鹿児島で餃子に一番向いているのではと話されています。
鹿児島の人にこそ、まず魅力を届けたい
カタオカさんが県外から来たことは、良くも悪くも武器になり得ます。違う文化を持つ人として刺激を取り入れ、県外へ発信する役割も担えるからです。
一方で、鹿児島の人は今を変えずに生きる傾向があり、新しいことには探り探りになると感じているそうです。地元を深く愛する人も多いと話します。
その中で餃子は、嫌いな人が少なく、新しい挑戦のきっかけになりやすい食べ物だと二人は考えます。
新しいものにチャレンジしたくないっていう人でも、餃子ちょっとこの味試してみない?って言ったらちょっと試してくれそうな気がする。
農家の食材を餃子に生かせないかという相談も来るそうで、餃子カフェを人と人がつながる場にしたいとカタオカさんは語ります。
宮崎のチーム感と、鹿児島のこれから
話題は宮崎と鹿児島の違いに移ります。カタオカさんは、祭事で見た宮崎のチーム感の強さが印象的だったと言います。
宮崎って宮崎で固まって宮崎の餃子を売りに来てる。もうひと塊になった宮崎、強いってすごい感じたんですよね。
小野寺さんは、宮崎はスクラム力が強く、ノウハウの横展開がうまいと補足します。宇都宮も長年淡々と施策を積み重ねてきた底力があると話します。
鹿児島市餃子協議会の会長が餃子専門丸虎の女将になったことは、大きな変化だと二人は見ています。パワフルな女将が神輿に乗り、周囲が同じ方向を向けば鹿児島は強くなると期待します。
チームで固まり、ノウハウを共有しながら一体で売り込む
店舗がそれぞれ独立して動く傾向があり、今は各自が神輿を作っている段階
カタオカさんは、鹿児島の餃子情報は協議会に任せ、自身は消費者側の立場をキープしながら応援したいと考えています。
買って食べて、みんなと一緒に食べるみたいなのが、一番いい応援なのかなと思っている。
餃子は皮の中に野菜も肉も入った食べ物で、鹿児島の食の良さを表してくれるとカタオカさんは語ります。
まずは県内の人に自分たちの土地の良さを知ってもらうことが、今一番やりたいことだと締めくくります。その先に県外、さらには海外への発信を見据えています。
まとめ
桜島に移住したカタオカマナミさんは、餃子を軸に鹿児島の食と地域の魅力を掘り起こそうとしています。協議会とは違う消費者目線の立場から、まず県内の人に足元の良さを届けることを目指しています。
- 鹿児島の餃子は持ち帰り文化が強く、ここ3年で餃子屋が増えている
- 桜島は農業や海産物が豊かで、ヒジキや茶美豚など餃子に生かせる食材が多い
- 餃子カフェは、餃子をきっかけに人がつながる場づくりの試み
- 宮崎のチーム感に対し、鹿児島は各店が独立気味で、これから連携が鍵になる
- まず県内の人に地元の魅力を知ってもらい、その先に県外・海外への発信を見据えている

