ニンニクを牛乳に漬け込む「極み夜餃子」
今回のお取り寄せ餃子は、北浦和駅近くにある餃子専門丸虎さんの「極み夜餃子」です。
もともと丸虎さんは、オーナーである吉田さんの奥様がニンニクアレルギーということから、ニンニクを使わない餃子をベーシックにしているそうです。
ただ、それでもニンニクを食べたいという声に応える形で、ニンニクをもりもり入れた「極み夜餃子」が作られたと紹介されています。
特徴は、ニンニクをたっぷり入れているわりに匂いがあまり香らないこと。調理前にニンニクを牛乳に漬け込むなど、匂いが出にくい処理をしてから餃子に入れているためだと説明されています。
この気遣いの技は、吉田さんがイタリアンやフレンチのホテルシェフだった経験から来ているそうです。
ニンニクの匂いはいつ生まれるのか
小野寺さんはまず、ニンニクは丸ごとの状態ではほとんど匂わないと指摘します。
ニンニクってね、丸ごとの時って実はほとんど匂わないんですよね。スーパーとか行って、ニンニクを鼻に近づけてみてほしいんですけど、匂わないですね。
では、あの香りはいつ生まれるのか。答えは、包丁で刻んだ瞬間だといいます。
ニンニクの細胞の中には、アリインという無臭のアミノ酸成分と、アリイナーゼという酵素が別々の場所に蓄えられています。
刻んだり潰したりして細胞が壊れると、この2つが接触して酵素反応が起き、アリシンという物質が生成されます。これがニンニク特有の強烈な香りの正体です。
すりおろすとわずか数秒でアリシンが生成される一方で、アリシンは非常に不安定な物質でもあります。
時間が経ったり熱が加わったりすると、スルフィド類と呼ばれる硫黄化合物へとどんどん変化していきます。
つまり焼き餃子のように加熱する料理ではアリシン自体は減りますが、スルフィド類に変わることで健康効果は別の形で引き継がれる、という流れです。
丸ごとの状態
ほとんど無臭。アリインとアリイナーゼが細胞内で別々に存在
刻む・潰す
細胞が壊れ、2つが接触して酵素反応が起きる
アリシン生成
強い香りの正体。ただし不安定な物質
加熱
アリシンが減り、スルフィド類へ変化して効果を引き継ぐ
焼き餃子に残るニンニクの4つの健康効果
加熱後のニンニクには、大きく4つの健康効果が期待できると言われています。
1つ目はスタミナ補給効果です。アリシンは豚肉などに含まれるビタミンB1と結合してアリチアミンという物質になります。
ビタミンB1はもともと水に溶けやすく腸で吸収されにくい性質がありますが、アリチアミンになると油に溶けやすくなり、腸での吸収効率が大きく上がります。
体に吸収されるとビタミンB1に戻り、エネルギーを生み出すクエン酸回路の代謝を上げ、疲労回復を促すと説明されています。
2つ目は血液サラサラ効果です。アリシンやスルフィド類は、血小板が固まりすぎるのを防ぐ働きがあるといいます。
血が固まりすぎてできる血栓ができにくくなることで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げ、コレステロール値の上昇を抑える効果もあるそうです。
この効果は加熱後のスルフィド類でも一定程度保たれ、特に先にみじん切りにして加熱した場合に効果が大きく残るとされています。
3つ目は抗菌効果です。アリシンはタンパク質の中のシステインと結合し、カビや細菌のタンパク質を破壊します。
ピロリ菌や、抗生剤が効きにくいMRSAと呼ばれる耐性菌にも効果を示すという研究があるといいます。
この効果は高温で失われやすいものの、餃子は皮に包んで蒸し焼きにするため内部温度が上がりすぎず、ある程度残ると考えられています。
4つ目は抗酸化作用、老化防止効果です。アリシンやスルフィド類には、細胞を錆びつかせる活性酸素を除去する働きがあります。
さらにニンニクを熟成させると生成されるS-アリルシステインは抗酸化力が特に強く、がん予防の可能性についても研究が進んでいるそうです。
これが黒ニンニクが注目される理由の一つで、宮崎の八十三さんが作る黒ニンニク餃子は、甘みや旨味が普通より強く美味しかったと小野寺さんは話しています。
| 効果 | 仕組み | ポイント |
|---|---|---|
| スタミナ補給 | アリシンがビタミンB1と結合しアリチアミンになる | 豚肉との食べ合わせで吸収を最大化 |
| 血液サラサラ | 血小板が固まりすぎるのを防ぐ | 加熱後も一定程度残る |
| 抗菌 | システインと結合し細菌のタンパク質を破壊 | ピロリ菌やMRSAにも効果の研究 |
| 抗酸化・老化防止 | 活性酸素を除去する | S-アリルシステインは特に強い |
ニンニク効果を引き出す4つの調理のコツ
ここからは、ニンニクの効果を餃子で最大限に活かすための具体的なコツが4つ紹介されます。
1つ目は、みじん切りかすりおろしにすること。細胞をしっかり壊すほどアリシンがたくさん生成されるためです。
スライスよりみじん切り、みじん切りよりすりおろしのほうが、酵素と成分が合体してアリシンが多く生成されます。
2つ目は、切ってから10分から15分置いてから使うこと。アリイナーゼは熱に弱い酵素で、切ってすぐ加熱すると酵素が十分に働かず、アリシンが生成されきらないためです。
冷蔵庫で保存していた場合は、一度常温に戻してから切るとよいそうです。常温で10分から15分置くと酵素反応がしっかり進み、アリシンが最大限出てきます。
3つ目は、油と一緒に加熱すること。アリシンやスルフィド類は水や油に溶け出しやすく、茹でると成分が水に逃げてしまいます。
豚の脂やごま油と一緒に混ぜて餃子に閉じ込めると、油の膜が成分を守り、酸化も抑えてくれると説明されています。
4つ目は、高温で炒めすぎないこと。アリシンは熱に敏感で、内部温度が80度を超えるとアリイナーゼ酵素も完全に働かなくなります。
焼き餃子は皮に餡を包むため、皮の外は100度を超えても、中は70度から90度ほどで100度までは達しません。ぎりぎりの温度帯でアリシンやスルフィド類が残ってくれるといいます。
ニンニク臭の正体と2種類の臭い
いい効果があるとはいえ、気になるのが臭いです。ニンニクの臭いには2種類あると説明されます。
1つは口の中に残ったニンニクによる口臭。もう1つは、体内に吸収されてから血液を通り、肺などから排出される臭いです。
後者の正体はアリルメチルスルフィドという物質です。アリシンが体内で代謝される過程で生成され、血液に乗って全身を巡り、息や汗として外に出てきます。
血液を巡るのは非常にゆっくりで、ニンニクを食べてから完全に臭いが消えるまでは最大で48時間かかると言われています。
口に残ったニンニクによる口臭。6時間程度で落ち着き、歯磨きで対処できる
アリルメチルスルフィドが血液を巡り息や汗として排出。16〜48時間残る
牛乳・リンゴジュース・パセリで臭いを封じる
体から出るアリルメチルスルフィドの臭いに効くのが牛乳です。牛乳に含まれるタンパク質がアリシンと結合し、臭いの発生を抑えてくれます。豆乳でも効果があるそうです。
重要なのはタイミングで、餃子を食べる前に飲むのが最も効果的だといいます。食べた後に飲んでもあまり効果はありません。
これ私、ずっと知らずに餃子を食ってから牛乳を飲んでました。
理想は、食べる30分前から食事中にかけてコップ一杯程度を飲むこと。小野寺さんは牛乳を飲んでから餃子を食べる朝ごはんを勧めています。
食後にはリンゴジュースや緑茶が効果的です。リンゴのリンゴポリフェノールや緑茶のカテキンがアリシンと結合し、臭いを軽減します。
特にリンゴジュースは食べてすぐ飲むと、口に残ったアリシンをポリフェノールが吸着します。果汁100パーセントのものが最も効果的だそうです。
パセリを食べるのもよいといいます。含まれるクロロフィルやフラボノイドがアリシンと結合して臭いを中和し、口の中のアリシンの分解を抑えます。バジルなど他のハーブ類でも同様の効果が期待できます。
そもそも臭いの原因になるアリシンは加熱するとスルフィド類に変化し、臭いが弱まります。餃子は加熱する料理なので、その分アリシンやアリルメチルスルフィドが減ることも期待できると補足されています。
適量なら恐れず朝ごはんに
餃子はニンニク臭いイメージがあるかもしれませんが、それはアリシン効果を狙ってニンニクをたっぷり刻み、時間を置いて包んだ場合だと小野寺さんは整理します。
一般的な適量であればそこまで臭うものでもないため、朝ごはんにも勧めています。
それでも気になる場合は、食べる前に牛乳、食事中はパセリやハーブ、食後はリンゴジュースや緑茶、そして歯磨きという流れで、胃・体・口それぞれの臭いを抑えられると話されています。
一言本音では、スーパーマーケットトレードショーの試食で、焼いている時は臭わないのに食べた人からすぐ臭ってきた経験や、サイエントークのレンさんがリンゴジュースが口のクチャクチャ音を減らすとXで書いていたことが、今回の回のきっかけになったと語られました。
ちなみにニンニクの日は2月29日で、うるう年にしか訪れない4年に一度の記念日だと紹介されています。
まとめ
ニンニクの香りと健康効果の正体はアリシンで、加熱するとスルフィド類に変化して効果が引き継がれます。効果を引き出すにはみじん切りにして時間を置き油と包むこと、臭い対策には食前の牛乳と食後のリンゴジュースが有効だと整理された回でした。
- ニンニクの香りは刻んで生まれるアリシンで、加熱するとスルフィド類に変化して効果を引き継ぐ
- 焼き餃子には疲労回復・血液サラサラ・抗菌・抗酸化の4つの効果が期待できる
- 効果を引き出すコツは、みじん切り、10〜15分置く、油と混ぜる、炒めすぎない
- 臭いは口の中と体内の2種類。体からの臭いは最大48時間残る
- 臭い対策は食べる前に牛乳、食後にリンゴジュースや緑茶、そして歯磨き

