科学系ポッドキャスターのレンさんを迎えて
聞き手は焼き餃子協会代表理事で餃子ジョッキーの小野寺力さん。ゲストは「サイエントーク」「サイエンマニア」「ポッドキャスト研究室」などを配信するレンさんです。
レンさんは夫婦で「サイエントーク」を配信しており、本業は研究者。2021年4月からポッドキャストを続けています。
本業は僕、研究者をやっていて、いろいろ実験とかしたりする人ではあるんですけど、なんかポッドキャスト始めたらポッドキャスター愛がどんどん強くなっちゃって。ポッドキャストもっと広めたいなみたいなのもありますね。
今回の出演は、「アテクシの屍を越えてって♡」のすみれ子さんが橋渡しをしたことがきっかけでした。小野寺さんが作った応援サイトのフォーマットを、レンさんが投票ページの参考に借りたことから縁がつながったといいます。
餃子は家庭の味、そして研究の原体験
小野寺さんが「レンさんにとって餃子とは何か」と問うと、レンさんは実家で母親と一緒に作っていた記憶を語りました。
家でも母親と結構餃子作ってて、それすごい覚えてるんですよね。だから子供の頃からの味、馴染みが深い料理だなとは思ってますね、餃子。
小野寺さんは、家で餃子を作る人こそ一番おいしい餃子を食べているのではないかと話します。作る工程そのものに楽しさがあるからです。
レンさんは、包む工程の面白さや、うまく作るための試行錯誤に注目しました。それはまさに研究のプロセスに似ているというのです。
もっと真ん中に寄せないとやっぱはみ出ちゃうなみたいなのをやってるのって、いや、これめっちゃ研究っぽいな。仮説立てて検証してみたいな。
一人暮らしを始めてからは、味の素の冷凍餃子にお世話になっていたそうです。
冷凍餃子の「羽根」に見える研究の痕跡
研究者として大手メーカーの餃子をどう見るか尋ねると、レンさんは冷凍餃子に研究の痕跡を強く感じると答えました。
僕はめっちゃその研究してるなあっていう痕跡が見えるのは冷凍餃子だなって思いますね。ただ並べて焼くだけで、めっちゃ最近のやつ綺麗に羽つけれたりするじゃないですか。
家庭できれいに羽根をつけて焼くのは難しいのに、それを手軽に、しかも高い再現性で実現している点にレンさんは感動すると語ります。
話はフライパンの素材にも及びました。レンさんはフッ素加工を分子構造の視点で捉えているといいます。
これはあのフッ素が、炭素鎖にフッ素がわーっとついてて、そこの相互作用が起きにくいんで、焦げつきにくいみたいなのあるんですけど。
餃子の羽根には乳製品由来のカゼインが使われることがあり、これが皮を剥がれやすくしていると小野寺さんは補足しました。
「フッ素は怖い」という誤解をどう伝えるか
焼き餃子協会には入会テストがあり、その問題の一つがフライパンのフッ素加工に関するものだといいます。フッ素加工を空焚きすると体に良くないガスが出るという内容です。
レンさんは、フッ素という名前だけで怖がる人がいることを指摘し、正しい知識を伝える大切さを語りました。
もうやっぱフッ素って名前だけで怖がっちゃう人もいたりするんすよ。
小野寺さんは、危険視される「フッ化水素(HF)」と、大きな分子に結びついたフッ素原子は性質がまったく違うと説明します。
フッ素っていう一言で言っても、何にフッ素がついてるかで性質全然違うよとかって。なんか分かりにくいんすよね。だけど伝えなきゃいけないと僕は思ってて。
餃子の話の流れから化学の話題が飛び出したことに、二人とも面白さを感じていました。
料理は実験、そして「義務餃育」という構想
レンさんは、大学の教授に料理上手が多いという実感を語りました。料理と実験には共通する面白さがあるからだといいます。
料理と実験がめっちゃ似てるよねっていうのもあるから、結構ホームパーティーとかで料理作る教授多いよねみたいな。
一方、ウェブエンジニアでもある小野寺さんは、料理をプログラミングになぞらえます。レシピのどこに変数があるかを考えながら焼いているそうです。
餃子焼く時にも、一つのフライパンに餃子の数を多くした場合と少なくした場合と、入れるお湯の量って増やした方がいいのか、減らした方がいいのかとか、そういったことを考えたりとかするんすよ。
小野寺さんは、餃子を通じて義務教育の内容を学べるという「義務餃育」という構想を語りました。
餃子は蒸す・焼く・茹でるが同時に起きる料理であり、沸騰の温度や焼き目の付き方など理科の題材になります。産地や工場の立地からは社会科の学びにもつながります。
餃子は蒸しと焼きと茹でが入ってる、すごい食べ物だみたいなこと言ってて。料理の8割って理科だよねみたいな話してて。
ポッドキャストは人と知が交わる交差点
話題は、ポッドキャストが持つ学びの場としての価値に移りました。科学から人文学まで、多様な専門家が毎週無料で語り合っています。
レンさんは、人と人の会話こそが科学を発展させてきたと語り、ポッドキャストをその交差点になぞらえました。
科学的なこともここまで発展させてきたのって、やっぱ人間と人間がちゃんと会話してきたからだと僕は思ってて。その交差点になり得るじゃないですか、ポッドキャストみたいなこと。
さらにレンさんは、研究のルーツをたどると台所にたどり着くと話します。錬金術師やゴムの発明者は、台所を改造して実験していたというのです。
ずっと家の台所で妻にちょっと怒られながら実験させてもらって、いろんなものとゴムの樹脂といろんなもん混ぜて、どうやったらゴム強くなるかなっていうのを発明したから、今僕たちの社会にこんだけゴムってありふれてるんですよ。
そう考えると料理と実験に区別はなく、根底にあるのは共通する好奇心だと二人は語り合いました。
ロンドンから日本の餃子へ、そして今後の交差
現在ロンドンに住むレンさんは、現地で買える餃子に物足りなさを感じているといいます。
いや、今ちょっとロンドンに住んでるので、ちょっとあんまり美味しくないんですよね。スーパーで買える餃子は。
小野寺さんは、日本の餃子はこの数年でさらに進化していると伝え、2026年の帰国時にはぜひ味わってほしいと語りました。焼き餃子協会には失敗しない焼き方の漫画もあるといいます。
最後に二人は、餃子を研究する専門家とレンさんを引き合わせたいという構想で盛り上がりました。異なる業種の視点が交わることで、新しいものが生まれると考えているからです。
全然違うところの業種の違う視点を持ってる人たちが交差することで、なんか新しいものがボンボン生まれてくる世界が今ここにあるんだなと思うと。
レンさんは、番組「サイエンマニア」に小野寺さんが出演した回や、ゴム・ねるねるねるねの回などを紹介しました。ものづくりに携わる人に響く内容だといいます。
まとめ
餃子作りと科学研究には「仮説と検証」という共通点があり、料理は身近な学びの入り口になりうる、という発見が語られた対談回でした。ポッドキャストという交差点で、餃子愛好家と研究者の視点が交わっています。
- レンさんは餃子作りの試行錯誤を「仮説立てて検証する研究のプロセス」と重ね合わせた
- 冷凍餃子の羽根やフライパンのフッ素加工には、研究の成果が反映されている
- 「フッ素」は何に結びついているかで性質が異なり、正しい知識を伝える必要がある
- 小野寺さんは餃子を通じて義務教育の内容に触れる「義務餃育」を構想している
- 料理と実験は根底で好奇心を共有し、ポッドキャストは異なる知が交わる交差点になりうる

