探究の土台は「感じたことを言葉にする」
小野寺さんは宮崎県高鍋町で小学生に餃子の授業をしています。話をするだけでなく、生徒自身が考えて手を動かす探究型の授業が活気づくと感じているそうです。
そこで自由研究も、子供が自分で探究できるテーマとして考えられました。学年ごとにゴールが設定されています。
低学年向けのゴールは、身近なものをよく見て、感じたことを自分の言葉にすることです。
正しい言葉じゃなくてもいいので、感じたことを言葉にしてみる。これはすごく大事なことだと思うんですね。
餃子を通して感じたことを言葉にし、書いてみて、誰かに伝える。この流れがゴールとされています。
小学1・2年生:五感で餃子を観察する
まず保護者への注意点として、生肉には菌があるため、焼く前の肉や餃子に触れた後は必ず石鹸で手を洗うことが挙げられています。
生肉を触った手で口に触れたり、あちこち触れたりしないよう、どこに触れたかを把握しながら進めるよう促されています。
準備としては、スーパーで冷蔵の生餃子を買ってくるのがおすすめです。冷凍でもよいものの、すぐに中身を開けられる冷蔵の方が扱いやすいそうです。
皿に乗せた餃子をじっと見ると、上にヒダヒダがあり、底面は平らになっていることが多いと気づきます。
ヒダの形は手で包んだものと機械で包んだもので違います。ヒダが何個あるかや、周りに粉がついているかも観察のポイントです。
次に餃子を触ってみます。凍っていない皮はプルンプルン、ツルンツルンとしていて、周りの粉はサラサラしているかもしれません。
手に取ると温度が冷たくひんやりしていること、押すとプチッと破れそうな柔らかさがあることも、言葉にする対象になります。
家の人と一緒に餃子を1つ開けると、緑の野菜やピンク・白の肉の色が見えてきます。顔を近づけて匂いを嗅ぐと、野菜の香りがするかもしれません。
肉を触ってみるとネバッとすることがあります。なぜネバネバするのかを問いにしつつ、一度手を洗って焼く工程に進みます。
焼き方は焼き餃子協会のホームページにある小野寺式を保護者にお願いし、餃子を並べる作業などを手伝います。
焼く間には、油を入れる音、湯を入れたときのジューという音、グツグツ、パチパチという音など、いろいろな音がします。
餃子ってね、いろんな音がするんですね。
焼き上がったら、焼き目の色や湯気を観察します。熱いうちは触らず、冷ましてから観察を続けます。
皿に置いたときは平らな面が下でしたが、焼き上がると平らな面が上になり、餃子によっては羽のようなものができています。
焼き目は茶色く、下は白い。この色の違いに加え、焼く前と焼いた後を比べると、皮が透き通った白に変わっていることに気づきます。
冷めたら焼き目を箸でツンツン突くと、カチカチと硬い音がしそうなほど硬くなっています。焼いた後の肉はネバネバが減っていることにも注目です。
匂いも焼く前と変わり、油っぽさや焼いた香りが混ざります。口に入れると、パリパリの面とモチモチの面、肉や野菜の食感など、いろいろな感覚が生まれます。
噛むと鼻で嗅いだ匂いとは違う香りが口の中から立ちます。味、香り、温度、音、色を、焼く前と焼いた後の違いとして感じ、言葉にすることが目標です。
さらに、味の素や大阪王将のような水なし油なしで焼ける大手メーカーの餃子でも焼いてみると、餃子ごとの違いが見えてきます。
小学3・4年生:材料の産地をたどって地図にする
中学年になると社会科で地域の生産と販売や都道府県を習います。そこで、餃子の材料がどこから来ているのか、餃子の出身地をたどる課題が提案されます。
餃子は肉と野菜が中心で、皮は小麦粉です。何が使われているか分からないときは、スーパーでパッケージ裏を見ると確認できます。
多く使われるのは小麦粉、キャベツ、豚肉、にんにく、生姜、ニラなどです。これらの食材がどこで作られたものかをスーパーで調べます。
遠出をする人は、旅先の地元スーパーも見てみると、家の近くとどう違うかが分かります。大阪と東京を比べるだけでも産地が変わることがあります。
同じスーパーでも夏と冬で産地が違うことがあります。夏にメモしたものを冬に見直すと、季節による変化に気づけます。
どうして同じものでもいろんなところから送られてくるんだろうか。
豚肉は一言で言ってもいろいろな部位があります。餃子にどの部位を使うのかは、店の人に聞くと教えてもらえるかもしれません。
肉は赤身と脂身に分かれ、筋肉の部分と脂の部分のバランスをよく入れると美味しい餃子になりやすいそうです。切る大きさも味に関わります。
産地は日本のものも海外のものもあります。ただ、海外のキャベツは見つけにくい。なぜ肉や小麦粉、にんにくには海外産があるのにキャベツにはないのかも調べどころです。
畑のキャベツがスーパーに来るまで何日かかるかを調べると、キャベツの特徴が見えてきます。集めた情報は地図に書き起こすと分かりやすくなります。
さらに、普段売っている餃子がどこで作られているかも地図に加えます。大手メーカーとして味の素冷凍食品と、大阪王将ブランドのイートアンドが挙げられます。
味の素冷凍食品には関東・中部・四国工場があり、イートアンドには関東・関西・岡山工場があります。工場の場所を地図で開くと、共通するものが近くにあると分かります。
全ての工場に共通する近くにある何か、これも調べてみると面白いかと思います。
材料を確認
パッケージ裏で小麦粉・キャベツ・豚肉などを書き出す
産地を調べる
食材がどこ産かをスーパーで調べる
比較する
近所と旅先、夏と冬で産地の違いを見る
地図にする
材料と工場の場所を地図に書き起こす
小学5・6年生:原材料表示の謎を解く
高学年向けには、原材料をさらに深掘りする課題が提案されます。冷凍餃子の原材料を見ると、基本の食材以外にもいろいろなものが入っています。
原材料の欄には量が多い順に書くルールがあります。味の素冷凍食品の餃子では最初に野菜(キャベツ、玉ねぎ、ニラ、にんにく)が書かれています。
そういう意味でいうと、この味の素さんの餃子の主役は野菜なんだな。
その後には豚肉だけでなく鶏肉も入り、聞き慣れない材料も多く出てきます。それが何で、なぜ餃子に入っているのかを一緒に調べるよう促されています。
例えば粒状大豆たんぱくは大豆ミートと呼ばれるもので、肉汁を吸わせて食感や旨味を出すスポンジのような役割です。卵白は肉のふわふわ感を出すために使われます。
味の素の餃子にはカゼインナトリウムも入っています。これは牛乳のタンパク質で、油なしで焼ける魔法の正体だと説明されています。
ライバルの大阪王将の羽根つき餃子と比べると、同じ水なし油なしなのに使っている材料が違うことに気づきます。
同じ油なしで水なしで羽根つき餃子なのに使ってるものが違う。これは何なんだろうか。
一方にあってもう一方にない材料は、メーカーの特殊な技術で、特許が取られているかもしれません。特許を調べると工夫が見えてきます。
特許は見た目が難しいものの、大人と相談しながらAIを使うと分かりやすく説明してもらえることがあります。家の人や先生に相談して解説してもらうとよいそうです。
原材料にカゼインナトリウム(牛乳のたんぱく質)が入っている
同じ水なし油なしでも使っている材料が違う
自由研究は大人も続けられる
今回の自由研究は子供だけのものではないと小野寺さんは話します。大人も生きている限り続けられるテーマだといいます。
もうこの聴く餃子自体がですね、まさに私の自由研究の成果発表のような感じになっています。
餃子を美味しく食べる飲み物や調味料、餃子の美味しさの魅力を話してきたこと自体が、小野寺さんの自由研究だと位置づけられています。
すべてを網羅できているわけではなく、知らないことも多いといいます。だからこそ、まず自分から知っていることを話すのが番組の姿勢だと語られます。
美味しい餃子を考えるきっかけとして、餃子の味を五味で分解した回が紹介されます。餃子に足りないのは酸味と苦味ではないかという話です。
酸味はお酢やヨーグルト、苦味はビールやお茶、餃子の焼き目のパリパリ、苦味系のスパイスなどで補えるかもしれないと考えられています。
まとめ
餃子を1個分解するだけで、五感の観察から産地の探究、原材料や特許の深掘りまで、学年に応じた自由研究が組み立てられます。大人にとっても続けられるテーマだと語られました。
- 低学年は餃子を五感で観察し、焼く前と焼いた後の違いを言葉にする
- 中学年は材料の産地を調べ、季節や地域の違いも含めて地図にまとめる
- 高学年は原材料表示のルールや聞き慣れない材料、メーカーの特許を調べる
- 味の素のカゼインナトリウムは油なしで焼けるための材料で、大阪王将とは工夫が異なる
- 餃子を五味で分解し、足りない酸味と苦味を補う視点は大人の自由研究にもつながる




