アンチAIが多い中、なぜ3人はAIを「味方」にできたのか
番外編のきっかけは、しゅうへいさんの問題提起です。AIを使って発信していると、アンチAIのコメントが思った以上に多いと感じるといいます。
しゅうへいさんは、ドラクエを作った堀井さんが謎解きゲームを作った際に、アンチAIのコメントが押し寄せて炎上した例を挙げました。そのうえで、3人はAIを完全に味方にしているから、どう使っているかを話そうと切り出します。
まあね。(AIが)ないと生きていけない。
イケハヤさんがまず挙げたのは、120万円で買ったMacBook Proです。寝ている間に動画を作り、ゲームやシステムの改善まで進めてくれるといいます。
この日の朝も、寝る前に新しいミニゲームの試作を「動くところまで作っといて」と頼んだら、起きた時にはできていたそうです。帰りの運転中にも指示を出しておけば、家に着く頃には作業が終わっているといいます。
Webライターも動画編集も厳しい、では誰がどう食べていくのか
しゅうへいさんによると、3人にとっては当たり前の使い方でも、世の中には「AIに仕事を奪われる」という見方が根強くあります。最近は、AIで案件が減ったWebライターの声が話題になっているそうです。
イケハヤさんは「Webライターってまだあるの?」と驚きます。しゅうへいさんは、テレビ番組でフリーランスが「AIが憎い」と語っていた例を挙げ、隔世の感があると話しました。
しゅうへいさんが「動画編集もなくなる」と発言すると、かなり怒られるといいます。動画編集で食べている人に失礼だ、という反応です。
動画編集で食ってる人はどうすればいいんですかみたいな。なんかちょっと食い気味に怒ってくる人が確かにコメント欄でついてきた。
しゅうへいさんの見立てでは、フリーランス領域ではWebライター、オンライン秘書、Webデザイナーが厳しく、イケハヤさんはエンジニアも挙げました。動画編集も厳しくなるだろうという点で、2人の見方は一致しています。
しゅうへいさんは、AIでできる作業をあえて外注に出すクライアントは、あまり良いクライアントではないかもしれないと指摘します。そうした世界から見ればAIを敵とみなす物語が成り立つ一方、3人にとってAIは新しい従業員の形だといいます。
月3.9万円のMacが、外注25万円分の仕事を引き受ける
しゅうへいさんは、128GBのユニファイドメモリを積んだMacを4月に97万円で購入しました。当時は贅沢だと思ったものの、どうせ必要になると考えたそうです。
しゅうへいさんの計算では、Appleの24回無金利ローンを使えば月3万9000円です。人を雇うことを考えれば、アルバイト1人分にも満たない金額だといいます。
このMacで回しているのが、9月に11回、3日に1回開いたZoomのウェビナーです。以前は苦手だったウェビナーのリンク作成も、Claude Code ── Anthropic社のAI「Claude」を、パソコンのターミナル上で動かし、ファイル操作やプログラム実行まで任せられるツールに頼めば作ってもらえます。
しゅうへいさんによると、Claude Codeはリンクを作ったうえで、DiscordやメールでURLを流してくれます。当日のスライドを40〜50枚作り、アンケートを用意し、終了後はフルテロップのアーカイブ動画を動画学習サイトに上げて案内まで済ませるそうです。
今までそれをやってもらうってなったら、動画編集者、オンライン秘書、コミュニティマネージャー、動画学習サイト作るエンジニア、LPとかも作るからデザイナーの人たちに、多分1人5万払ってもちょっと足りないぐらいだから。
しゅうへいさんの比較では、外注なら5職種で月25万円です。一方、AIなら月4万円のパソコンと月3万円のClaude Max ── Claudeの上位の定額プラン。利用量の上限が大きく、Claude Codeを長時間使う人に選ばれやすいで済み、それ以外の作業までこなせるといいます。
動画編集者、オンライン秘書、コミュニティマネージャー、エンジニア、デザイナーに各5万円程度で月25万円
月4万円のMac(分割)と月3万円のClaude Maxで、リンク作成から動画公開まで回る
AIなら「違うんだよな」と遠慮なく言える
幸あれこさんが挙げたAIの良さは、発注時の気まずさがなくなることです。相手がAIなら、何でも言えるといいます。
しゅうへいさんも、ここが大きく変わった点だと同意しました。5万円ほど払って頼んだ仕事でも、出てきたクオリティに対して言いたいことを言い切れない場面があったそうです。イケハヤさんも、発注者側がみんな抱えていたストレスだと話します。
しゅうへいさんは、幸あれこさんが最近までAIに丁寧な言葉で返していたのを見て、しっかり厳しく言ったほうがいいと助言しました。その結果、幸あれこさんのAIへの指示は大きく変わったといいます。
もう同じことするんだったらあなたと金輪際話しませんよみたいな。もう二度とミスをするんじゃねえ、すっとこどっこいみたいなぐらい言えるようになった。
いいんだか悪いんだか。
1つのAIに作らせ、別のAIに叩かせる
イケハヤさんの会社が作るゲームは、コードが何十万行にもなる複雑なシステムです。機能を追加していくと、最先端のAIモデルでも穴が出やすいといいます。
そこでイケハヤさんの会社では、優秀なOpus 5.5をメインの開発役にしています。Opus 5.5が作ったものを、ChatGPT系のAstraとFableにレビューさせ、この日からはアルゴンアルゴンも加わったそうです。
開発
Opus 5.5がメインで機能を実装する
点検1
Astraがレビューし、問題があれば差し戻す
点検2
Fable、この日からはアルゴンもレビューに加わる
出力
大きなずれのない成果物が自走で上がってくる
イケハヤさんによると、Astraは特に点検能力が高く、「出荷できません」という最重要の指摘を頻繁に出します。この日は15回ほど修正が繰り返され、Opus 5.5が少しかわいそうになったと笑います。
僕らからあんまりもう指示して(いなくて)、アストラとフェイブルとアルゴンに全部見せといてぐらいで済んでますね。
幸あれこさんは、AIが人格を持っているかのように会議をさせ、フィードバックし合う様子が面白いと受け止めていました。時間とトークンは多く使うものの、自走してくれるのが利点だとイケハヤさんは話します。
特別なことはしていない、AIへの依頼は意外と雑
しゅうへいさんは、AIセミナーで「どうやって連携させているのか」「特殊なことをしているのではないか」とよく聞かれるといいます。
イケハヤさんによると、Claude CodeからGeminiなど別の会社のモデルを呼び出せることを、意外と多くの人が知らないそうです。新しく出たアルゴンも、Claude CodeからCLIでつないで使っているといいます。
GeminiをCLI ── コマンドを文字で打ち込んでコンピューターを操作する方式。Claude Codeのようなツールから他のAIを呼び出す際にも使われるで呼び出すことは規約的にグレーだという指摘もXでよく受けるそうです。イケハヤさんは解釈の問題もあるとしつつ、Claude Codeから呼び出す分には大丈夫だろうという考えを示しました。
しゅうへいさんは、動画編集についても「アプリをつなぐのか」とよく聞かれるといいます。DaVinciやPremiere Proをつなぐ方法もありますが、Claude Code自体が生成、テロップ入れ、編集までこなすそうです。幸あれこさんも、編集ソフトを立ち上げずにClaude Code内で完結させたと話します。
いいプロンプトもらってきて、Xからそれ貼り付けてこれできるらしいからやっといてとか、割と雑にAIに依頼してるのがなんか割と内部事情じゃないですかね。
イケハヤさんも同意し、動画生成に使っているのがHyperframesかRemotionかすら、よくわかっていないと明かしました。発注者としてはアウトプットが良ければいいという感覚だといいます。
「これは頼めない」という思い込みが、AIの使い道を狭めている
幸あれこさんは、2人ほどAIを使えていない立場から、ある気づきを語りました。「これはAIにはできないだろう」と無意識に思い込んでいる仕事が多すぎるというのです。
それを真横の周平氏見てると、そんなことも簡単に頼んでいいの?みたいな。
イケハヤさんも、周りを見ていて同じことを感じるといいます。AIにブラウザ操作をさせられることを知らない人もいて、操作させる感覚がないため、自分でやらなければならないと思っているのではないかと話します。
その例がイケハヤさんの商標登録です。知り合いの弁理士に頼むつもりでしたが、ふとFableでいけると思って任せたところ、申請は通り、現在は審査中だそうです。しゅうへいさんも、わかりにくい入力欄が並ぶETC関連の申請をAIに任せて楽になったといいます。
コンテンツ販売も変わりました。イケハヤさんはBrain ── 個人がノウハウなどの文章コンテンツを販売できる国内のプラットフォームで販売する原稿を、ほとんど自分では書いていないといいます。
イケハヤさんのやり方は、AIに原稿を書かせ、「わかりにくい」といった修正指示を20回ほど出し、最後に通し読みするというものです。入稿やサムネイル作りもAIが担います。それでも売上は1000万〜2000万円ほどになっているそうです。
イケハヤさんは、これが成り立つのは、もともと書いてきた蓄積があるからだと説明します。貯めてきた情報がある人ほど、高速に自分のコンテンツを作れるという見方です。
自分でも気づかない「こだわり」が売り物になる
幸あれこさんは、同じAIでも使う人によって成果物がまったく違うと感じたといいます。他人のAIを時間単位で借りるようなビジネスもできそうだ、という発想です。しゅうへいさんは、それがスキル販売にあたると応じました。
イケハヤさんのAIは、スマホで動くゲーム作りが得意だそうです。何度も繰り返してパイプラインができているため、寝る前に指示すれば朝にはゲームができています。ゼロから始めた場合はそこまで届かないだろうと話します。
しゅうへいさんは、入出力の履歴から自分しか持っていないドメイン知識や、自分でも気づいていないこだわりを洗い出させる手法を紹介しました。イケハヤさんも実際に試し、2人とも面白かったといいます。
A地点からB地点の間にものすごいその個人のこだわりとか、知識とか、自分としては当たり前に思ってるようなことがあって。で、それが実は他の人から見たらめっちゃ資産で。
しゅうへいさんによると、以前はこうした仕事をチームで受けたり、外注として請けたりする必要がありました。今は自分のパイプラインを磨いておけば、それをまるごと販売できるといいます。
実際にしゅうへいさんが一文字も書かずにチェックだけで作ったYouTube編集のスキルは、2980円で600〜700部売れ、売上は150万〜200万円近くになったそうです。イケハヤさんはこれを、しゅうへいさんの会社の動画編集スタッフがあちこちで働いているようなものだと表現しました。
動画編集者は、値下げして業務を巻き取ればまだ生き残れる
では、今動画編集をしている人はどうすればいいのか。イケハヤさんは、むしろ今ならチャンスがあると考えています。
イケハヤさんの提案は、料金を10分の1ほどに下げることです。1本1万円だった編集を1000円で受ければ、クライアントは「この人に頼んだほうが早い」と感じる可能性があります。そのうえで、打ち合わせをしてほかの業務を巻き取り、新規事業の手伝いなどに領域を広げていけばいいといいます。
クライアント繋がりがせっかくあるんだからね、嫌われる前にもう値段自分でも下げていって、そっからもう特攻していろいろ手広くやっていく。
しゅうへいさんがすすめるのは、クライアントが内製化できるようにツールを売り、保守で関わる方法です。クラウドワークスなどで動画を安く即日納品して驚かせ、カスタマイズなしなら5万円、カスタマイズして3ヶ月で社内スタッフが使えるようにするなら30万円、と提案する流れだそうです。
しゅうへいさんは、アウトソーシングされる側ではなく、相手の社内に仕組みを作るインソーシングまでできるフリーランスなら、売上も伸びると話します。イケハヤさんも、どちらの道でもあらゆる業務をパソコン1つでこなせることが大前提になるとまとめました。
幸あれこさんが「動画編集だけでやるのは難しい」と整理すると、しゅうへいさんは、決まった形でつないだりカットしたりするだけでは価値を出せず、企画から入る必要があると付け加えました。
パソコン仕事は難しくなり、農業がイージーになる時代
しゅうへいさんは、文字起こし、Webライティング、Webデザイン、動画編集だけで食べていけた時代は牧歌的だったと振り返ります。幸あれこさんも、会社員を辞めてフリーランスになりやすい時代だったと応じました。
もうね、もう戻ってこない時代だからね。
一方でしゅうへいさんは、今もある意味ではイージーだと見ています。100万円のMacでなくても、40〜50万円のものを分割で月2万円ほどで買えばほとんど対応できます。店を開くより初期コストが安く、だめなら売ることもできるといいます。
イケハヤさんは、昔がイージーすぎたと話します。そのうえで、今からフリーランスのWebデザイナーを目指すより、高知の山奥で農業を始めるほうが良さそうに思える感覚になっていると語りました。
イケハヤさんによると、農業には販路も文化もあり、人手不足なので50〜60代でも歓迎されます。むしろその年代からパソコンでWebの仕事を始めるほうが厳しいのではないか、という見方です。
パソコンの仕事は楽だから、そちらへ逃げようという時代
パソコンの仕事は難しくなり、農業や漁業のほうが相対的にイージーに見える時代
幸あれこさんから、未経験で独立するなら何をすすめるかと聞かれると、イケハヤさんは農業だと即答しました。体が元気なら、ネットの仕事より稼ぎやすいといいます。
イケハヤさんは、農閑期と農繁期の差を生かせば両立もしやすいと話します。リスナーには、農閑期にAIでゲームを作り、収穫期はポッドキャストだけ聴いている農家もいるそうです。2〜3年前ならクラウドワークスで稼げばよかったが、今は大きく変わったという点で3人の見方は一致しました。
AI導入支援で喜ばれるのは、スライド・請求書・文字起こし
しゅうへいさんがすすめるのはAI導入支援です。今はとても稼ぎやすいものの、みんながAIを使うようになるため、日本は遅いことを考えても長くて2〜3年だろうと見ています。
しゅうへいさんのコミュニティでは、ゼロから月額10万円と初期費用で80万円ほどを稼いだ人もいるそうです。本人の才能以上に、ニーズが高いことが理由だといいます。
どこ行ったらいいですか?いや、それ知り合いとかさ、もう商工会とか行けるとこ行くしかないし。
しゅうへいさんによると、多くの人は提案に行く手前で止まってしまいます。ただ、実際に行けば喜ばれるそうです。静岡商工会議所が主催するAIセミナーでは、PDFや文字起こしができただけで「すごい」という声が上がっていたといいます。
イケハヤさんも、AIで文字起こしができること自体を知らず、お金がかかると思い込んでいる人が多いと話します。実際にはWhisper ── OpenAIが公開している音声認識モデル。自分のパソコン上でも動かせ、無料で文字起こしに使えるを使えばローカルで十分できるそうです。
しゅうへいさんは、Xで見かける自動化や高額売上の話とは違い、現場で求められているものは身近な作業だと指摘しました。
- スライド作り
- 請求書やPDFの作成
- 文字起こし
イケハヤさんも、現状はまさにそうしたイージーゲームだと同意しました。幸あれこさんは、未経験からでもできることは嬉しい話だと受け止め、「イージーな時代ではないと言いつつ、実はイージーでもある」とまとめます。
120万円のMacプレゼントは、ゲーム広告より効く
話は、イケハヤさんが実施中の、120万円の128GB MacBook Proと同じスペックの機種が当たるプレゼントキャンペーンに移ります。イケハヤさんは、これをマーケティングとして説明しました。
イケハヤさんによると、ゲームの広告はとても高く、7日後も遊んでくれるアクティブなプレイヤーを1人獲得するのに5000円〜1万円ほどかかります。5000円でも安いくらいの水準だといいます。
キャンペーンにはすでに1000人ほどが登録しています。話題にもなるため、イケハヤさんは広告に出すより、Macをプレゼントしたほうが効果があると見ています。
しゅうへいさんも、Claudeの200ドルプランのプレゼントキャンペーンを計画中だと明かしました。イケハヤさんは、集まるのはアーリーアダプターなので質も良いと評価し、自分も追加しようと乗り気になります。幸あれこさんは、リアルなマーケ会議が聞けて面白いと締めくくりました。
まとめ
この番外編で3人が描いたのは、AIを高度な技術としてではなく、雑に頼める従業員として使う姿です。そのうえで、単一スキルで食べていけた時代が終わり、業務の巻き取りや導入支援、さらには農業まで含めて、次の生き方を考える必要が示されました。
- イケハヤさんは120万円のMacとClaude Codeで、寝ている間にもゲームや動画を作らせている
- しゅうへいさんの試算では、外注なら月25万円かかる業務が、Macの分割代とClaude Maxで月7万円ほどに収まる
- 複数のAIに相互レビューさせると、大規模なゲーム開発でも大きなずれが出にくい
- 動画編集者は値下げしてでも業務を巻き取り、内製化支援などに広げれば生き残れる可能性がある
- 地方のAI導入支援ではスライド・請求書・文字起こしが喜ばれるが、稼ぎやすい期間は長くて2〜3年と見られている




