そもそも「上半期ベストバイ」とは何か
冒頭でまず問題になったのが、「上半期ベストバイ」の定義でした。
一般的には1月から6月に買ったものを指しますが、去年オーダーして今年届いたもの、まだ届いていないもの、買ったけれどアウターでまだ着ていないものをどう扱うかが議論になります。
使ってこそベストバイだと感じるところもありますからね
横山さんは、今オーダー中のものは5カ月後の年間ベストバイに食い込む可能性があると指摘します。今が7月だからです。
そこで2人は、手元に届いたものは上半期の対象とし、まだ届いていないものは外すことに決めました。
ただし、トップ3にすると明石さんの選ぶものが金属と革ばかりになってしまうという別の問題が浮上します。
トップスリーにすると、金属と革しか入ってこないです
部門賞にする案も出ましたが、最終的にはシンプルにベストファイブへ。ガジェットは除外し、ファッションアイテムに限定するというルールが固まりました。
明石ガクトの5位・4位、シュプリームとキャピタル
明石さんの5位はシュプリームのアラビックボックスロゴTシャツでした。今年の春夏のシュプリームが全体的に良かったと話します。
明石さんはTシャツだけでなく、懸垂バー、シュプリーム仕様のマイク、金庫まで買っていました。
普通に買うとこのマイク5万ぐらいなんですけど、10万だから、シュプ代が
現在のシュプリームはイタリアの眼鏡会社(Ray-Banなどを持つ会社)の傘下にあります。明石さんは、ノースフェイスの親会社時代よりも今の方が、買収前の自分たちでやっていた頃の空気感に近いと感じているそうです。
4位はキャピタルのカントリーラインのワーキングジャケットです。ラッパーやK-POPアーティスト、フランス代表選手なども着ているラインだと紹介します。
明石さんはこのジャケットを1月に一度スルーしていましたが、後日、恵比寿の店でたまたま再入荷に出会い、買えたそうです。
キャピタルは自社工場(岡山)で生産しているため、過去のモデルがふいに店頭に舞い戻ることがあると言います。
リリース日とか関係なく、足を運んだ者のみわかる面白さがキャピタルにはめっちゃあって
一方で、このジャケットはまだ暑くて着られていないという「ビクティムあるある」も明かされました。
横山昴の5位・4位、ラルフローレンとクロムハーツ
横山さんの5位は、収録前日に買ったばかりのラルフローレンのリネンシャツ「ブレイク」でした。
横山さんは今年リネンシャツを集中的に買っており、中目黒のショップでデッドストックを1万円ほどで見つけたそうです。
我々体が変わってきて、サイジングも変わってくるじゃないですか。ちょっとこれからお互いに腹をへっこめていくという時がある中で
Mサイズでタイトめですが、体を鍛えている今だからこそこのサイズ感が合うと横山さんは話します。柄はウィンドウペンチェックでした。
横山さんの4位は、明石さんと一緒に買ったクロムハーツのサングラス「チャープチャープ」のダークオリーブです。
黒だとシルバーが目立ちますが、この半透けのカーキだと一見クロムハーツと分かりにくく、老眼鏡として長く使うことも見据えて選んだと言います。
定番つけるよりも、意外とこれクロムハーツなんだねみたいな方が多分それでいいんじゃないの
明石さんは、クロムハーツで商品を案内してもらいにくい人は、まずサングラスから買うと喜ばれるかもしれないと補足しました。
明石ガクトの3位・2位、ウエスコのブーツとゴローズのフェザーリング
明石さんの3位は、去年オーダーして今年届いたウエスコのボス(リンチシルバースミス仕様)でした。週3ペースで履いているそうです。
エンジニアブーツのヘリが脛に当たるのを防ぐため、CEP(ドイツのブランド)の薄手で通気性のある着圧の脛当てを組み合わせて履いていると紹介します。
ただしシルバー付きで非常に重く、片足で1キロ近くありそうだといいます。会社の評価面談で階段を上ると、社員に足音だけで存在を察知されるほどだと笑いを交えて語りました。
あいつら俺のウエスコ履いてる足音で私の存在を把握してる
2位はゴローズのフェザーリングです。ゴールデンウィークはゴローズにとって重要な時期で、5月4日に560人が並んだ日に買えたそうです。
ネックレスがつけにくい仕事の日でも、平打ちブレスとフェザーリングだけは身につけると話します。
Goro'sっていうとみんなネックレスばっかり。指輪はみんな注目しないと思うんですけど、フェザーリングという非常に重要なアイテム
横山昴の3位・2位、クロムハーツのトートとウエスコのロメオ
横山さんの3位は、クロムハーツとユナイテッドアローズが25周年で作ったデニムとレザーのトートバッグでした。
当時20万円ほどで、顧客に優先販売されたものの人気がなく、一般販売までしても売れ残ったアイテムだと言います。
それが今では某古着屋で50万円ほどに。横山さんはメリンゲという古着屋でたまたま半額になっているところに立ち会い、当時の販売価格ほどで買えたそうです。
当時から20万ぐらいだったらしいんですけど、そしたら片っ端からその顧客の皆さんが、断るわ断るわ、全然売れないみたいな
横山さんの2位は、ウエスコのロメオブーツです。ほぼこれしか履いていないというほどの着用率でした。
重いスリッポンのような履き心地で、ローカットのサイドゴアという珍しい形。ヒールカウンターに細長いプレートが1つ付いています。
ただしゴム部分の修理ができない点が難点で、収録中に見せた実物はすでに破けていました。明石さんは、修理できるならクロムロメオを買いたいと語ります。
なんでウエスコジャパン頑張れよっていう気はするけど
ラープと「自分自身」、ファストな人間にならないために
2位の発表の流れで、横山さんが「ラープ(LARP)」という言葉を紹介します。
富の象徴を金さえあればできる形で誇示し、そこに自分なりのストーリーがない状態を指すとされます。
ラープに踊らされそうになったら心の中で唱えてほしい。自分自身
明石さんは、fashionsnap.comのポッドキャストで聞いた話も紹介します。40代のリスナーが「安い服がダサく感じるが、養育費で服にお金をかけられない」と相談した回です。
その回答は、気に入った高くていいものを長く大切に着ること。ジーパンは色落ちを味として着るのに、シャツは擦り切れると捨ててしまう、それが違うのだという指摘に納得したと話します。
シャルベのシャツ愛好家がほつれても着続けたり、チャールズ皇太子が革靴を独自のパッチで修理したりする例も挙げられました。
ファストファッションばっか着てるとファストな人間になっちゃうってのはそういうことだよね
防水性能やパワーリザーブの長さ、時間のずれのなさに優れる。現行モデルの完成度は非常に高いと評価。
ブレスレット一つひとつの磨き方や、肌に吸い付くような着け心地が特徴。つけた時の感覚がまったく違うと語る。
明石さんは、リペアする覚悟を持てるのは愛着のあるいいものだからこそだと締めくくりました。
明石ガクトの1位、オーデマピゲ・ロイヤルオーク
明石さんの1位は、オーデマピゲのロイヤルオークでした。ファッション人生で最も高額な買い物だと言います。
ウェイティングリストに入ってから届くまで2年近くかかり、その間に2〜3回値上げされ、定価が50万円ほど上がったそうです。しかも支払うのは届いた時の価格です。
俺がウェイティングリストに入った時から届くまでの間に、50万ぐらい値上がりしてんですよね、定価が
2025年はロイヤルオーク50周年で特別仕様でしたが、明石さんに届いたのは50の数字が入らない通常版でした。納品時には店でシャンパンを開けて乾杯するなど、体験そのものが特別だったと振り返ります。
コーティングもせずガシガシ使い、傷だらけにしながら自分のものにしていると話します。ロイヤルオークをおしゃれに着けている人はまだ少ないため、「自分自身」になり得ると考えているそうです。
ゴローズの平打ちブレスとフェザーリングを合わせると、シルバーの色合いが調和すると語ります。明石さんはこれをマンダロリアンのアーマーに例えました。
石川遼さんから「ロイヤルオークを買うとロレックスをつけなくなる」と言われた話も紹介されました。取引相場は600万〜998万円ほどですが、明石さんは「売りませんよ」と繰り返しました。
横山昴の1位と、揺れ続ける順位
横山さんの1位は、ラルフローレンのコールドウェルのシルクリネンシャツでした。1950年代の古着をサンプルにしたデザインで、洗ってもトロッとした雰囲気が良いと話します。
しかし2人はここで、この選出には「思い」が足りないと感じます。
なんか足んないっす。怨念めいたものがないというか
明石さんは、前半戦の予算をブレゲに使ってしまい、上半期は熱いものが少なかったと明かします。オーダーしたウエスコをまだ取りに行っていないという告白も飛び出しました。
さらに収録が1時間半に及んだところで、2人は次々と順位を修正し始めます。横山さんはキャピタルのジャケットを外し、KOMORIのサマーコーデュロイのパンツを入れると宣言しました。
明石さんも5位のシャツを、クロムハーツのKSデニムジャケットに差し替えます。長く着ていけそうだという理由でした。
我々使い倒した時に初めてやっぱり納得した自分自身を持ってベストバイと言えないと
結局、上半期ベストバイは「暫定」ということで落ち着きます。値上げやウェイティング、そして使い込んでこそ名品になるという実感が、順位を最後まで揺らし続けた回でした。
まとめ
明石ガクトさんと横山昴さんが上半期ベストバイを発表しつつ、値上げやリペア、「ラープ」への抵抗を語った回です。決めきれずに順位を修正し続けたこと自体が、2人のファッションへの向き合い方を映していました。
- 上半期ベストバイの定義から議論が始まり、手元に届いたものを対象にベスト5で選ぶことになった
- 明石さんの1位はオーデマピゲのロイヤルオーク。2年待つ間に定価が50万円ほど上がり、届いた時の価格を支払うことになった
- 見栄だけで高級品を誇示する「ラープ」に対し、2人は「自分自身」という言葉で抵抗すると語った
- 高くていいものを長く大切に着て、リペアしながら自分のものにしていくことがファストな消費への答えだと共感した
- 収録中に何度も順位が修正され、上半期ベストバイはあくまで「暫定」として締めくくられた




