「普通」を当たり前に使えるようにする本
僕の師匠である大西泰斗先生の『普通の英単語』が、本当に好きなんです。
まずタイトルがいい。普通なんですよ。要は、当たり前に使えなくてはならない単語、ということです。
大西先生は「はじめに」で、こう書いています。
「この単語集は実用のための単語集です。ここに取り上げた中学校から高校初級レベルの英単語は、ネイティブスピーカーにとっても最も基本的な単語。彼らが手足のように使う単語です。こうした単語の多くは、日本語訳の暗記で学習を終わることはできません。多くの日本語訳に対応していたり、日本語には現れないニュアンスがあるためです」
あとがきでも、ダメ押しのように書かれています。「この中の単語に見覚えがなければ、英語は全く話せないだろう」「見覚えがある程度では、英語はいつまでも自分の言葉になってくれないだろう」と。
普通の英単語を、聞く・話す・読む・書くのどれでも自由自在に使えるようにする。それがこの本のコンセプトなわけです。
授業を始めて気づいた「まだ使い切れていない」
改めてハマった理由があります。新しいところで、英語を使って英語を教える授業をやり始めたんです。
レベルは英検準2級くらい、TOEICもまだ受けたことがない、という方たちです。そこで4技能の力を高める授業をしています。
そういう場で、TOEICにバンバン出てくる単語や、英検1級・準1級レベルの単語を使うと、英語が苦手な人にはやっぱりしんどいんですね。
だからこそ、普通の英単語を自由自在に使えるようにならなければと改めて思ったわけです。正直、僕自身もまだまだ使い切れていないなと感じ始めました。
以前は、自分が共著で携わった『毎日の英単語』も勧めていました。ただ、あれには正直、弱点もあるんです。
フレーズなので、自分で文を作らなきゃいけない。自分でカスタマイズできるから身につきやすい、という考え方もあります。
でも文がある方が、状況や感情をイメージできて、パッと出せるんですよね。文法的なミスも当然ありません。それで今は『普通の英単語』に時間を使っています。
僕は飽き性でコロコロ変わるので、1週間後にはやっていない、なんてこともあるんですけど。
一見出し語に一文、一行の例文を回す
やっていて思うのは、とにかく例文がコンパクトだということです。
本のサイズは「ラジオ英会話」のテキストより一回り小さいくらい。厚さはありますが、非常に読みやすく作られています。
例文は必ず一見出し語に対して一文。その一文は基本的に一行に収まっています。これは絶対こだわっているはずです。長いと覚えるのも読むのも大変ですから。
僕の最近の使い方はシンプルです。例文を1回口ずさみ、単語のイメージや意味の広がりの解説に目を通して、もう一回英文を読んで終わり。これでずっと進めています。
ちなみに、例文は全部の意味についているわけではありません。たとえば mild には「穏やかな」「温厚な」「程度が軽い」「温かい」などの意味がありますが、例文は「軽い」の意味にしかついていないんです。
そこが気になる人は多いと思います、正直。全部の意味に使い方があった方がいいのは間違いありません。
情報量も多くて、類義語や反対語、熟語まで細かく見ると全部覚えるのはしんどい。だから例文をひたすら読んでいくんです。
どういう状況で言うか?
相手や場所、時間など
どういう感情で言うか?
喜怒哀楽
英語の型は?
文型や説明ルール、指定ルール
意味は?
理解100%に
最初が大変なら、ひたすら読むだけでもいいと思います。何周かするうちに、「これは説明型だな」「目的語説明型だな」とわかってくる部分もあるはずです。
単語帳は「触れる回数」を増やすショートカット
「ラジオ英会話」は絶対に欠かせない、マストだと思っています。いろんな単語が出てきて勉強になります。
ただ、単語帳ってある種のショートカットなんですよね。普段触れない単語にも、強制的に触れられる。
ラジオ英会話だけだと3ヶ月前にしか触れていない単語も、『普通の英単語』を3日で1周すれば、3日前に触れた単語になります。
触れる回数が増えれば身近になり、身近になればパッと出せる。使える、書けるようになる訳です。だから、ぐるぐる回していくといいと僕は思います。
優先順位のつけ方もあります。覚えるべき度合いが星で評価されていて、星3は頻度が高いもの。星を基準に進めるのも手です。
イラストがついている見出し語もあって、星との関係はちょっと揺らぎがあるのですが、イラストがある方がやっぱりイメージしやすい。イラスト付きを優先的にやるのもいいと思います。
僕は文法書などと同じく、例文を色分けしています。
- 青:誰でも言える一般的な内容
- 緑:癖があるもの
- 赤:自分がそのまま使いたいもの
パラパラ見たときに色で目に留まるので、そこから読み返すようにしています。
コンパクトなので、「ラジオ英会話」と一緒に持ち歩くのもおすすめです。「ラジオ英会話」に出てきた単語のイメージや使い方を、後ろの索引から調べて例文までつなげると、学びがさらに深くなると思います。
知っている単語を「手足のように」使えるか
見直していると、まだすぐには使えない単語もあります。たとえば eventually。「結局」「ついに」という意味ですが、僕は普段の会話であまり使っていません。
critical もそうです。「その指摘は critical だね」のようには使いますが、自分が発話するときに使っているかというと、あまり使っていないなと。
でも、知ってはいるんです。パラパラ見たら、中学・高校で見た単語だらけ。それを手足のように自由自在に使えるかは別の話なんですよね。
ひとつ要望もあります。レビューを見ると、音声が例文だけになっていないという声がありました。単語の読み上げなど、余計なところも入っているんです。
もし東進ブックスさんに要望を出せるなら、例文だけの音源を出してほしい。1000語それぞれの例文を、一文ずつパッパッと流すものです。英語は音で記憶する部分が大きいので、それだけでも使い方がさらに広がると思います。
コンパクトさとインパクトのバランスがうまい本なので、例文に注目して見てみてください。コアイメージから意味が広がってつながっていくのがわかった瞬間は、めっちゃ楽しいです。
正直、ラジオ英会話リスナーの方は持っていた方がいいでしょう。音声講義付きの『英単語基本イメージ集中講義』もいいですが、きちっとまとまったレイアウトが好きならこちら。どちらかを手元に置いて、いつも調べるようにするといいと思いました。
寒くなってきて、寒いのが苦手な僕はいろいろ嫌になりますが、英語学習は続けていればいいこともあります。あの時やっててよかったと思えるように、お互い頑張っていきましょう。読んでくださってありがとうございました。それではまた。
まとめ
僕は授業をきっかけに、『普通の英単語』で基本語を使い切る練習をし直しています。一見出し語一文の短い例文を、意味と形を理解したうえで何周も読むのが軸です。
- 基本語は「見覚えがある」程度では自分の言葉にならない
- 一行の例文を口ずさみ、解説を読み、もう一度読む流れで回す
- 単語帳は触れる回数を増やすショートカットで、ラジオ英会話と組み合わせると効く
- 星やイラスト、自分なりの色分けで優先順位をつけるとよい



