なぜ淡々とした緊縛は「作業」になってしまうのか
緊縛の手順をある程度覚えてくると、次は「緩急をつけましょう」と言われる段階に入るとたかせさんは話します。
同じ一定の速度で淡々と進めてしまうと、どうしても作業っぽくなってしまうためです。
緊縛をコミュニケーションの手段として捉えたとき、淡々とした緊縛は相手をモノのように扱っている印象を与えてしまいます。
そのため緩急が必要になります。言葉で話すときにも自然と緩急があるように、コミュニケーションにおいては緩急が大事だという考え方です。
緩急で「急」を意識すると、なぜ失敗するのか
緩急をつけようとしたときに、やられがちなミスがあるとたかせさんは指摘します。それは、緩急のうち「急」の方に意識を向けてしまうことです。
急に意識を向けると、多くの人は雑になってしまいます。早く縛る、早く動くことに意識を割いた結果、動きが雑になるためです。
本来は受け手とのコミュニケーションを取るために緩急をつけるはずが、早く動こうとすることで、かえって受け手から意識を奪ってしまうことになります。
そこでたかせさんは、緩急に向き合うときは基本的に「緩」の方に意識を置く必要があると話します。
スピード感は実は相対的なものだといいます。大事なのは早いところで早く動くことではなく、緩と急のギャップの大きさの方だという考え方です。
急のスピードを上げようとすると雑になってしまうため、緩の方をしっかり緩める方が効果が高いと考えられます。
早く動こうとして雑になり、かえって受け手から意識を奪ってしまう
しっかり緩めることで緩急のギャップが生まれ、急の効果も自然と高まる
相手の呼吸を見ると、なぜ自然に速度が落ちるのか
では緩に意識を置くとき、具体的にどうすればいいのか。たかせさんがよく言う方法の一つが、相手の呼吸を見ることです。
相手が息を吸って吐いてという呼吸のリズムを感じながら縄を運んでいきます。
早く動こうとすると、相手の呼吸を意識するのはかなり難しくなります。呼吸を感じながら早く動くのは難易度が高いため、呼吸を感じながら縄を運ぶと自然と速度が落ちるという仕組みです。
さらに、相手の呼吸を見ることは受け手に意識を置くことそのものです。だから受け手に意識を置いていることが、相手にも伝わります。
たかせさんは、これをするだけで緩急の「緩」がしっかりつくと話します。急の部分は普通にやっているだけで急になるという考え方です。
麻縄の凹凸を指先で感じる縛り方
もう一つの方法が、縄の凹凸を感じるように縄を運ぶことです。
普段使われている麻縄は、いわゆる三つ打ちといって、3本の紐をねじって固めたものになっています。
その作りの性質上、縄は平たい面ではなく、出っ張りと凹みが連続した凹凸の状態になっています。
意識して縄を運べば、この凹凸が指先に伝わってきます。そしてこの感触は、受け手の体にも伝わっているといいます。
ところが、縄を早くさばいてしまうと凹凸が感じられず、すごく一定のものとして伝わってしまいます。自分自身も一定のものとして感じてしまうためです。
そこで、凹凸が指先に伝わってくるくらいのスピードで縄を運びます。よほど感度のいい指先でない限り、かなりゆっくりになるはずだといいます。
あえて「急」に取り組むなら、速さより正確さ
この緩がしっかり効いていることで、普通に縄をさばくスピードが「急」として成立します。だから基本はまず緩を意識することだとたかせさんは繰り返します。
そのうえで、あえて急の方に取り組みたいのであれば、ポイントは体を早く動かすことではなく、正確に動かすことだといいます。
つまり無駄な動きをしないこと。緊縛でいえば、無駄な摩擦をかけないことです。
筋肉を使って速く素早く動こうとすると、必ず雑になります。そうではなく、無駄のない動きをすればめちゃくちゃ速くなると話します。
緩急に向き合うなら、まずは相手の呼吸を見て、受け手の体にかかる縄の凹凸を感じる。それによって緩が生まれ、無駄なく縄をかけていく部分が急になるという流れです。
この2つを意識するだけと言うと簡単そうに聞こえますが、どちらも簡単なことではないとたかせさんは付け加えます。それでも意識して取り組めば、自然と緩急が生まれてくるといいます。
まとめ
緊縛の緩急は「急」ではなく「緩」から作る、というのがこの回の中心です。呼吸と縄の凹凸を感じることで速度は自然に落ち、その緩があるからこそ急が引き立つと解説されました。
- 緩急のうち「急」を意識すると雑になり、かえって受け手から意識を奪ってしまう
- 大事なのはスピードそのものより、緩と急のギャップの大きさ
- 相手の呼吸を感じながら縄を運ぶと、自然に速度が落ち、受け手に意識が向く
- 麻縄の凹凸を指先で感じる速度で運ぶと、緩がしっかりつく
- あえて急に取り組むなら、速く動くのではなく無駄なく正確に動くことが結果的に速い




