五十周年の節目に発表された「休止」という決断
2025年はスーパー戦隊シリーズの五十周年記念イヤーです。
しかし、現在放送中のナンバーワン戦隊ゴジュウジャーをもって、一区切りとなることが発表されました。
津田さんはこの発表について、「衝撃でした」と話しています。
今回のテーマは、昭和、平成、令和と続いたスーパー戦隊に何があったのか、なぜ休止するのかという点です。
話は二つの軸で進みます。一つ目は、朝日新聞のインタビューで東映の役員が語った事実ベースの話。二つ目は、スーパー戦隊とパワーレンジャーの関係から語る津田さんの推測ベースの話です。
平成をまるっと駆け抜けたスーパー戦隊に、一体何があったのか。なぜ終わるのか、なぜ休止になるのかというところをメインに話していこうと思います。
フォーマットの限界という核心
このインタビューで語っているのは、平成以降の特撮を語る上で欠かせない名プロデューサー、白倉伸一郎さんです。
白倉さんは仮面ライダーアギトやファイズなど、平成ライダーのほとんどをプロデュースしてきた人物です。
白倉さんはまず「終了」ではなく「休止」だと語っています。いずれ復活するだろうと考えており、そのためには少なくとも十年は空けた方がいいという話もしています。
なんか嵐みたいな。解散じゃないですみたいな。
では、なぜ休止するのか。視聴率や少子化の影響もあるかもしれませんが、それがクリティカルな理由ではないと津田さんは話します。
白倉さんが挙げた核心は「戦隊の限界が見えてきた」という言葉です。五十年続いたフォーマットそのものが限界を迎えた、という意味です。
五人ほどのカラフルなヒーローが出て、巨大ロボットに乗る。その枠組みの中でできることは、ほぼやり尽くしたと考えられています。
仮面ライダーって結構自由だもんね。ライダーが一人でもいいし、いっぱい出てきてもいいし、味方でも敵同士になってもいい。戦隊ものは味方五人、追加ヒーロー、巨大化ロボットみたいなフォーマットに縛りがあるのか。
人数や敵味方の設定が自由で、一人でも複数でも作りやすい
複数人のヒーロー、追加戦士、巨大ロボットという枠組みが固まっている
配信時代とアメコミヒーローという二つの苦境
白倉さんは、戦隊が現在二つの苦境に立たされているとも語っています。
一つ目は配信時代の到来です。サブスクの普及で、新作と旧作が横並びで見られるようになりました。
その結果、過去の戦隊作品自体もライバルになったと考えられています。
フォーマットが決まったシリーズを毎年リセットして新作を出しても、作品同士に繋がりがなく、一定の評価がある旧作に新作が勝ちにくくなってきたのです。
もし現在の方が良くなかった場合、じゃあこれだけ良かったのかなみたいなことになって、継続して見られないみたいなことも起こってくるわけ。
佐々木さんは、この配信の影響が特撮に限らない話だと指摘します。音楽業界やバラエティ番組でも同じような構造の変化が起きていると話しました。
ちっちゃい声で言ったら炎上しないんじゃないかっていう設定のもと、いろんなタレントが芸能界の文句とか言うみたいな。ピリつくやつがどうしても伸びるから、バラエティも作りづらくなって、同じようなフォーマットになってるみたいな話してた。
二つ目の苦境は、マーベルのアベンジャーズを代表とするアメコミヒーローの台頭です。
コンテンツが溢れ、時間の使い方が重要になった時代に、同じヒーロー作品というジャンルでお客さんの取り合いが起きているのです。
なぜアメコミヒーローは強いのか
戦隊もアベンジャーズも、集団のヒーローという点は同じです。しかし、決定的な違いがあると津田さんは説明します。
アメコミヒーローは、キャプテンアメリカやアイアンマンなど、元々それぞれが独立した作品と濃いキャラ付けを持ち、長年出続けます。だから個々にファンがつきます。
一方、スーパー戦隊は個性がその年のメンバー全体につけられがちです。今年は恐竜、今年は車、今年は虫、という形です。
さらに戦隊は一年で交代するため、たとえその年に人気が出ても、次の年からはほぼ登場しません。長く深いファンがつきにくい構造なのです。
たとえある年の戦隊がめちゃめちゃ人気になったとしても、もうその次の年からはほぼ出ないんですよ。
佐々木さんは、この「深いファンを作る」という考え方が音楽業界でも起きていると重ねます。CDが売れれば人気という時代ではなくなり、長く深く応援してくれるファンとの繋がりが重視されるようになったと話しました。
アベンジャーズには、まずここから見ようというきっかけや、好きなキャラクターから入って全体にハマる流れがあります。戦隊は一年で話が完結するため、次の作品に繋がりにくいのです。
一年で交代し話も完結するため、個々のキャラに長期のファンがつきにくい
個々のキャラが長年登場し、作品同士も繋がるため深いファンが育ちやすい
ここまでが一つ目の軸のまとめです。戦隊のイメージが固まりすぎ、配信メインでアメコミヒーローが台頭する現状では勝ちにくくなった。だから東映は休止という大きな決断をしたと考えられます。
五十年続いた伝統をやめようって、言えねえ。めっちゃ怖い。攻めてるね。その決断ができたことがすごいね。
パワーレンジャーとの関係から読み解く推測
ここからは津田さんの推測ベースの話です。海外の前提が必要なため、インタビューでは語られていないだろうと津田さんは考えています。
鍵になるのが、スーパー戦隊のアメリカローカライズ版であるパワーレンジャーです。
パワーレンジャーは、変身後はマスクで顔が隠れる特徴を利用し、変身前のドラマだけアメリカで撮り、変身後は日本の戦隊映像を流用して吹き替える手法で作られました。
変身前はめっちゃアメリカなんだけど、変身後は急に日本になるみたいなことが起こるわけ。
この手法はアメリカ人に受け入れやすく、制作費も抑えられる一石二鳥のやり方でした。人種の多様なヒーローを配置できる点もアメリカにフィットし、おもちゃも爆売れしてシリーズが続きました。
当初の希望
スーパー戦隊を英語吹き替えでそのまま放送したかった
現地の判断
日本人ばかりの作品は受け入れられないと予想された
採用された手法
変身前は現地制作、変身後は日本の戦隊映像を流用して吹き替え
権利の移動と方針転換がもたらしたもの
三十年の間に制作体制は変化しました。2018年2月、アメリカの老舗おもちゃ会社ハズブロが、パワーレンジャーの番組制作とおもちゃ制作の権利をまるごと買い取ります。
これにより、パワーレンジャーが海外でいくら人気になっても、東映やバンダイにはそれほど利益が入らない状態になりました。
さらにハズブロは大きな方針転換を行います。変身後の映像も自分たちで制作し、日本のスーパー戦隊に依存しない作品作りをするようになったのです。
もっと自由な作品作りをしたいってことで、もう日本のスーパー戦隊には依存しない作品作りをするようになっていくわけですね。
2023年放送のパワーレンジャーコズミックフューリーからは、スーツも戦闘シーンもオリジナルで本格的に作り始めました。これにより東映側も、パワーレンジャー用に戦隊を作るしがらみがなくなったと津田さんは推測します。
限界が見えたフォーマット、海外での利益減少、パワーレンジャーへの映像提供が不要になったこと、そして五十周年という区切りの良さ。すべてのタイミングが合致したのが今だったのではないか、という見立てです。
全てのタイミングが奇跡的に合ったんじゃないかっていう。
フォーマットの限界
五十年続いた枠組みでできることをやり尽くした
海外の利益減少
権利がハズブロに移り、東映側の海外での儲けが減った
依存関係の解消
パワーレンジャーが独自制作に移り、映像提供が不要になった
区切りの良さ
五十周年というキリの良いタイミングが重なった
戦隊の未来と、休止という前向きな決断
未来の話として、すでに超次元英雄譚プロジェクトレッドが始動しています。決まったフォーマットではなく、「赤い」という縛りだけを持つ作品群です。
その第一弾が宇宙刑事ギャバンインフィニティです。全く新規ではなく、あえて過去の名作を持ってくることで、入り口を広げたかったのではないかと話されています。
どう、その五十年の伝統を得た特撮界が今何をしてくれるのかっていうのは、なんかかなりワクワクな話だね。
津田さんは、型が決まって時代にフィットしなくなった作品を、数年越しに新作として作り大成功した例があると指摘します。それが仮面ライダークウガです。
クウガはお決まりを排除し、その時代に合った形で作り直して大成功しました。休止して時間を空けることには、こうした意味やメリットがあると考えられます。
白倉さんは「休止」であり「いつかまた帰ってくる」と語っています。時代に合わせて変わっていかなければ生き残れない、という話でもあります。
佐々木さんは、ニュースだけでは人気がなかったのかと受け取っていたと振り返ります。しかし話を聞き、終わりではなく今後を見据えた決断だと納得したと話しました。
全然その終わりじゃなくて、今後を見据えた上でのってことだもんね。
まとめ
スーパー戦隊の休止は、フォーマットの限界と配信時代、アメコミヒーローの台頭という背景に加え、パワーレンジャーとの関係の変化や五十周年という区切りが重なった、前向きな決断だと考えられます。終わりではなく、時代に合わせて帰ってくるための休止だと話されています。
- 白倉伸一郎さんは「終了」ではなく「休止」であり、いずれ復活するだろうと語っている
- 戦隊はフォーマットの限界に加え、配信時代とアメコミヒーローの台頭という二つの苦境に立たされている
- 一年で完結する戦隊は深いファンがつきにくく、長く続くアメコミヒーローとの差が生まれた
- パワーレンジャーの権利がハズブロに移り独自制作に転じたことも、休止のタイミングに関わると推測される
- 仮面ライダークウガのように、時間を空けて時代に合わせ作り直し成功した前例がある
