そもそも「言葉デュエル」とは何を競う遊びなのか
今回のコテンラジオ番外編は、いつもの歴史解説とは趣が違う遊びの回です。作家の政光さんからの企画提案で始まりました。
テーマは「口に出して面白い言葉デュエル」です。3人が響きの面白い言葉を持ち寄り、発表し合います。
ルールはシンプルで、単純に口に出したくなってしまう言葉を出した方が勝ちというものです。意味の有無は問いません。
今回は面白い言葉を持ち寄って発表し合います。単純に口に出したくなってしまう言葉を出した方が勝ちというゲームですと。
そもそもこの3人には、イエニチェリのような響きの面白い言葉を、収録中に何度も連呼してしまう癖があるといいます。
確かに人の名前とかを、怒られるくらい言ってる時ありますね。
対戦は1対1のデュエル形式で進めます。戦っていない残りの1人が勝敗を判定する、という取り決めになりました。
樋口「ヒルヒホッフ」対 深井「オポチュニティ」の初戦
じゃんけんで先攻後攻を決め、樋口さんと深井さんの初戦が始まりました。言い方も勝負のうちだと3人は確認します。
先攻の樋口さんが繰り出したのは「ヒルヒホッフ」でした。深井さんは即座に反応します。
ヒルヒホッフ。
言い方うまいな。ヒルヒホッフな。
後攻の深井さんが出したのは「オポチュニティ」です。深井さんによれば、15年ほど言い続けている思い入れのある言葉だといいます。
俺もうずっと、もうこれ15年ぐらい言ってるやつあるんですよ。
深井さんは、ハウルの動く城に出てくる炎のキャラクターのような声で言いたいと語ります。ハウルの動く城 ── スタジオジブリの長編アニメ映画。作中に登場する炎の悪魔「カルシファー」を指していると思われる。
判定を任されたのは戦っていない楊さんです。楊さんは樋口さんの「ヒルヒホッフ」に軍配を上げました。理由は新規性でした。
理由は新規性。
深井さんは、オポチュニティを社内チャットで日頃から使っているため、聞き慣れてしまっていると納得します。
半角カタカナでSlackでずっとオポチュニティっていう。
「ホロン」対「チャプチェ」に見えた"ホ流派"という共通点
続く対戦は楊さんと樋口さんです。楊さんが先攻で「ホロン」を出しました。特に意味はない言葉だといいます。
ホロンって何?特に意味はない。
この回では、意味のない言葉でもエントリーしてよいというルールが確認されました。純粋に響きだけを競うわけです。
樋口さんが返したのは「チャプチェ」でした。チャプチェ ── 春雨を野菜や肉と炒めた韓国料理。日本でも広く知られている。
チャプチェ。
判定した深井さんは、樋口さんの勝ちとしました。理由は、既出の「ヒルヒホッフ」と語感が被っている点にありました。
やっぱその、被ってるよね。ヒルヒホッフと。
ここで3人は、樋口さんの言葉が「ハヒフヘホ」を多く含む"「ホ」の流派"としてまとまっていることに気づきます。
「ホ」流派だったよね、今。
「ファンダルボボッソ」対「ブリブリザエモン」——野良か既製品か
次は深井さんと楊さんの対戦です。深井さんが出したのは「ファンダルボボッソ」でした。
ファンダルボボッソ。
この言葉は、かつてのスタッフである浮田さんが言い出した造語だと深井さんは説明します。実在する言葉ではありません。
深井さんは、意味のない語感だけの言葉があっていいのだと、当時新鮮な驚きを覚えたと振り返ります。
こんなに何て言うんだろうな。語感の言葉ってあっていいんだっていう、新鮮な驚きがありましたよね。
対する楊さんは「ブリブリザエモン」を挙げました。漫画に登場するキャラクターの名前です。ブリブリザエモン ── 漫画『クレヨンしんちゃん』などに登場する、しんのすけが描いたキャラクター。「狂人」的な言動で知られる。
なんかもうワードとしてはまりすぎてて。
判定した樋口さんは、深井さんの「ファンダルボボッソ」を選びました。理由は、両者の"作られ方"の違いにあります。
樋口さんによれば、ブリブリザエモンは面白いワードとしてすでに世の中に認められた「パッケージ感」のある言葉です。一方のファンダルボボッソには、まだ誰にも整えられていない野良の魅力があるといいます。
やっぱり野良の感じがファンダルボボッソ。
面白いワードとして世の中に認められた「パッケージ感」のある言葉
まだ整えられていない、野良の語感が残った言葉
「チポポタマス」対「ムニエル」、ポポの破壊力
第2回戦は再び深井さんと樋口さんです。深井さんが出したのは「チポポタマス」でした。カバを意味する実在の言葉だといいます。チポポタマス ── カバを意味する英単語 hippopotamus(ヒポポタマス)を指していると思われる。
チポポタマス。
あ、いいな。やばい。これはいいな。
樋口さんは「ムニエル」で応じましたが、勢いは深井さんに及びませんでした。ムニエル ── 魚に小麦粉をまぶしてバターで焼く調理法、またはその料理。
判定した楊さんは深井さんの勝ちとしました。深井さんは、樋口さんの返しに勝てる感じがしなかったと嬉しそうに語ります。
攻撃力がやっぱ高かった。
樋口さんも、勝敗の鍵は「ポポ」という音の響きにあったと分析します。
やっぱポポ、ポポがいいですよね。
「オニャンコポン」対「ペペロンチーノ」で見えた"そのまんま"の弱さ
続いて樋口さんと楊さんの対戦です。深井さんが出したのは「オニャンコポン」でした。
オニャンコポン。
樋口さんによれば、これは漫画『進撃の巨人』に登場する黒人キャラクターの名前で、アフリカの神様の名前が由来だといいます。オニャンコポン ── 『進撃の巨人』に登場するキャラクター。アカン人(ガーナ周辺)の最高神の名に由来するとされる。
『進撃の巨人』に出てくる黒人のキャラクターの名前がオニャンコポンなんだよ。
3人は「ニャン」と「ポン」の両方が強い音だと盛り上がります。さらに深井さんは、甘えず圧力をかける言い方でオニャンコポンの強度を上げられると提案します。
対する樋口さんは「ペペロンチーノ」を出しました。しかし深井さんは、これはそのまますぎると即座に判定しました。
あ、それそのまんまだな。
この一戦で、既存の料理名などをそのまま出すと、語感の遊びとしては弱く見えることが浮かび上がりました。
「五反田」も苦戦、オリジナルの語感がなぜ強いのか
樋口さんの希望で、深井さんとの追加戦が組まれます。ここで3人は、なかなか言葉が出てこず、長い沈黙に陥りました。
放送事故級の沈黙だよ。
3人は、キャラクターの名前づくりも結局は音から考えているのではないか、と語感の作られ方に思いをめぐらせます。
なんかキャラとかすごいですよね。もう多分、だから音なんでしょうね。音で最初考えて。
深井さんが出したのは、意味のない「ポリポリボンボン」でした。樋口さんは、意味のない言葉を出す勇気に感心します。
勇気あるな。勇気があるわ。
樋口さんが返したのは「五反田」でしたが、深井さんはこれをお笑いのネタを連想させるとして退けました。
どんどん弱くなってって、二人とも。
一連の勝負を通して、既存の言葉よりも、意味のないオリジナルの造語のほうが評価されやすいという傾向が見えてきます。
オリジナルなのはすごいですよ。
最終戦「ンデゲウブントゥ」対「ポチャンポ」と締めくくり
まだ直接対戦していなかった深井さんと楊さんの一戦が、最後の勝負になりました。
深井さんが出したのは「ンデゲウブントゥ」です。スワヒリ語とズールー語に由来する、ちゃんと意味のある言葉だといいます。ウブントゥ ── 南部アフリカの思想・概念。「人は他者を通じて人になる」という相互依存の考え方を表す。
ンデゲ、ウブントゥ。
深井さんによれば、「ンデゲ」は鳥を意味し、「ウブントゥ」は人は他者のおかげで人になれるという深い意味を持つといいます。番外編の遊びの中に、思いがけず相互理解の思想が顔を出しました。
そして人は他者のおかげで人になれるっていう意味です。
楊さんが返したのは、意味のないオリジナルの「ポチャンポ」でした。自身も「ポ」を使う"宗派"だと語ります。
ポチャンポ。
判定した深井さんは、この最終戦を「ポチャンポ」の勝ちとしました。3人は良い戦いだったと互いをたたえます。
結構良かったな。これいい戦いやったな。
勝敗を数え直すと、樋口さんと深井さんがともに2勝で並び、いい勝負だったと締めくくられました。深井さんは、普段使わない脳の部位を使ったと笑います。
最後は樋口さんが「バイバイピョン」と語感の余韻を残し、また企画をやろうと約束して番外編を終えました。
まとめ
この番外編は、意味ではなく響きだけで言葉を競う、コテンラジオらしい脱線企画でした。オリジナルの造語が評価されやすいことや、遊びの果てに相互理解の思想が顔を出す様子が印象的な回です。
- 作家の政光さんの提案で始まった「口に出して面白い言葉」を競う遊びの回
- 戦っていない1人が判定し、深井さんと樋口さんが2勝で並ぶ接戦になった
- 既存の料理名やキャラ名より、意味のないオリジナル造語が高く評価される傾向が見えた
- 「ポポ」「ニャン」「ポン」など、特定の音の強さが勝敗の鍵として語られた
- 最終戦の「ンデゲウブントゥ」を通じ、遊びの中に相互理解の思想が顔を出した






