なぜ「水やエアコンの会社」がAI銘柄の本命なのか
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冒頭、ホストはたった1つのサーバラックが桁違いの熱を放つ現場を想像するよう呼びかけます。今回のテーマは、熱いAI市場を冷やす液冷・空調システムセクターです。
皆さんこんにちは。米国株投資の耳寄りな話へようこそ。想像してみてほしいんですけど。たった1つのサーバラックがですよ、一般的な家庭の百軒分以上の電力をガンガン消費して、もう凄まじい熱を放ち続ける空間。
いや、恐ろしい熱量ですよね。
実は今、AIの最前線では、そういう熱との過酷な闘いが起きてるんですよね。
AIの進化がまさに物理的な壁、つまり熱力学の限界に激突しているっていう、非常にエキサイティングな瞬間なんですよね、今は。
ということで、今回は全5回にわたってお送りしているデータセンター銘柄特集、その第2回となります。今日のテーマはズバリ、液冷空調システムセクターです。
私たち投資家って、普段AIチップの計算能力とか、Tフロップスとかメモリーとか、そういう数値ばかりに注目しがちじゃないですか。
でもなぜか今、株式市場では、水とかエアコンを扱っているような、パッと見ちょっと地味に思えちゃうインフラ企業の株価がですね、もう爆発的に上がってるんですよ。
一見するとAIっていう最先端テクノロジーと、配管とか空調設備っていう古くからある産業って、ちょっと結びつきにくいかもしれないですよね。
チップを「買う段階」から「動かす段階」へ
なぜ周辺インフラがこれほど買われているのか。ホストの疑問に、解説者は市場の構造変化を挙げます。
そもそも、なぜ今このデータセンターの周辺ビジネスが、これほどまでに投資銘柄として熱狂的に買われているんですか?主役はやっぱりNVIDIAとかのAIチップなんじゃないの?って普通は思っちゃうんですけど。
そこがまさに今の株式市場で起きている、ものすごく大きな構造変化なんですよ。市場の関心はすでにAI半導体、つまりGPUを買う段階から、それを動かすためのインフラを構築する段階へと完全にシフトしてきているんです。
でもちょっと待ってください。GPUを買うのも一種の設備投資ですよね。チップは飛ぶように売れてるのに、なぜインフラへの投資が、より確実な投資先として見られてるんですか?
長期的な設備投資、いわゆるCAPEXの確実性と可視性の違いなんですよ。今、Microsoft、Alphabet、Amazon、Metaといったハイパースケーラーと呼ばれる巨大IT企業が、AIインフラの主導権を握るために年間数十兆円っていう投資を行っているんです。
数十兆円、それ一企業の予算っていうか、もはや国家予算レベルじゃないですか。
半導体の売れ行きにはシリコンサイクルって呼ばれる波があって、需要が急減するリスクを常に孕んでるんですよ。でも建物の建設とか変電設備の設置、空調の整備といった物理的なインフラは、一度プロジェクトが始まっちゃえば数年がかりの長期計画になるんです。
複数年にわたる受注残、バックログが形成されるわけですよ。投資家から見れば、来年も再来年もこれだけの仕事と売り上げが確定しているっていう、業績の見通しの立てやすさがある。
つまりこれって、あの有名なゴールドラッシュの時の話と全く同じですよね。金そのものを掘り当てようとした人よりも、金を掘るためのツルハシとか丈夫なジーンズを売った人の方が確実に大儲けしたように。
今はAIっていう金を掘るためのインフラっていうツルハシを売っている企業に、確実なお金が流れてるってことですよね。
いや、もう完璧なアナロジーですね。今はまさにAIゴールドラッシュにおけるツルハシとジーンズの、巨大な建設ラッシュが起きている状態なんです。
空冷の破綻。1ラック120kWをどう冷やすか
数あるインフラの中で、なぜ冷却・空調が最重要視されているのか。解説者はデータセンターにおける空冷の破綻を理由に挙げます。
電力とか通信とか、いろいろなインフラがあるのに、なぜ今、その中で冷却とか空調が最も重要視されてて、株価上昇の原動力になっているんですか?
結論から言っちゃうと、データセンターにおいて空冷の完全な破綻が起きたからなんです。従来のデータセンターって、巨大なファンで風を吹きつけてサーバーを冷やす空冷が主流だったんですよ。
でもAI用のGPUが登場したことで、発熱量がもう桁違いになっちゃったんです。従来の一般的なサーバーラックって、ラックあたりどれくらいの熱を出すかご存知ですか?
うーん、ガンガンに空調の効いた部屋なら問題ないレベルですよね。
従来はだいたい5kWから、多くて10kW程度だったんです。でも例えばNVIDIAの最新AIラックGB20などのアーキテクチャになると、1ラックでなんと120kW以上の熱を放出するんですよ。
え?10kWから一気に120kW超えですか。10倍以上じゃないですか。それはもうコンピューターっていうより、巨大なヒーターですよね、もはや。
まさにヒーターです。物理的な壁として、空気を吹き付けて冷やせる限界は、おおむね30kWから50kWまでだと言われているんです。
120kWの熱を出してるものを、50kWまでしか冷やせない風で無理やり冷やそうとしてるってことですか?それ、例えるならグツグツ沸騰してる鍋を、一生懸命ふうふうと息かけて冷まそうとしてるようなもんですよね。
いや、本当にその通りで、もし強引に風だけで冷やそうとすれば、巨大なファンを猛烈な勢いで回し続ける必要があって、ファンを回すためだけの電力消費が膨大になるんです。
さらにものすごい騒音と振動が発生して、設備自体が壊れちゃうんですよ。最悪の場合、風が奥まで届く前にチップが熱暴走を起こして焼き切れてしまいます。
水は空気の3500倍。液冷が「標準装備」になる理由
空冷の限界を受けて、話は液冷への移行に進みます。解説者は水の熱容量と電力効率の両面から、液冷が事実上の標準になっている理由を説明します。
そこで強制的に移行せざるを得なくなったのが、液冷っていうわけですね。
はい。チップに直接液体を循環させるダイレクトトゥーチップと呼ばれる方式なんかが、今の主流になりつつあります。
さっきの沸騰した鍋の例えで言えば、息を吹きかけるのをやめて、氷を直接投げ込むとか、冷たい水が通るパイプを鍋の中に通しちゃうみたいなことですか?
まさにそれです。水などの液体って、空気の約3500倍の熱容量、つまり熱を吸収して運ぶ能力を持ってるんですよ。
3500倍ですか。それはもう根本的に効率が違いますね。
さらに重要なのが電力効率なんです。データセンターの消費電力って、実はこれまで全体の30%から40%が冷却用に使われていたんですよ。
え、サーバーに計算させるための電気じゃなくて、ファンを回して冷やすためだけに、そんなに電気を使ってたんですか?それは非常に無駄が多いというか、もったいないですね。
これを液冷にシフトすれば、冷却にかかる電力を大幅に削減できるんです。データセンター全体の電力利用効率、PUEと呼ばれる指標があるんですが、これが劇的に改善するんです。
今ビッグテック企業はどこも厳しい脱炭素目標、いわゆるESGを掲げていますから、電力を浪費する空冷なんてもう許されないわけです。だから液冷はもはや選択肢じゃなくて、事実上の標準装備になっているんです。
一滴の水漏れが数十億円。液冷企業の参入障壁
ただの配管工事なら価格競争が起きるのでは、というホストの意地悪な質問に、解説者は失敗の許されなさそのものが参入障壁になっていると答えます。
ちょっと意地悪な質問をしていいですか?水で冷やすって、要するに金属の板をチップにくっつけて、そこにパイプで水を回すだけですよね。言ってしまえば、ただの配管工事じゃないですか。
もし液冷がそれほど標準的になってるんなら、そのうち安い部品メーカーがパイプの構造をリバースエンジニアリングして、うちもっと安く作れますよって価格競争が起きて利益率が下がるんじゃないですか?なんで特定の企業の株価だけが上がり続けて、高い参入障壁、いわゆるモートが維持されてるんですか?
ただの配管に見えるかもしれないんですけど、そこには決定的な違いがあるんですよ。想像してみてください。もしデータセンターの内部を走っているそのパイプから、たった一滴でも水漏れが起きたらどうなると思いますか?
下に置いてあるのは、さっきおっしゃったNVIDIAの最新AIサーバーですよね。1台で数千万円、ラック単位なら数十億円する超精密機器の塊で、それがたった一滴でも水漏れでショートして全損します。
さらに、そのサーバー上で動かしている重要なAIの学習データとか、サービス自体がダウンしちゃうんです。
想像しただけで背筋が凍りました。たかが配管のコストを10%ケチったせいで、数十億円のサーバーがパーになるんなら、それは絶対に安い無名メーカーには頼めないですね。
単にパイプを作る技術があるかどうかじゃなくて、数年間にわたって高温と高圧の中で絶対に腐食せず、100%水漏れを起こさないっていう、過去の確かな実績と信頼が求められるんです。
AIチップの覇権争いって、今は特定の企業が強いですけど、将来別のチップに代替されるリスクってゼロではないじゃないですか。でも、発生した凄まじい熱を冷やすっていう熱力学の法則からは、誰がどんなチップを作ろうが絶対に逃げられないんです。
逃げられない物理現象、マストハブ、に対処できて、しかも失敗が許されない。そりゃ価格決定力も維持できるし、株価も上がりますね。
熱の通り道でわかる注目3銘柄
ここから本題の注目3銘柄です。解説者は、熱がチップから出て建物の外へ逃げるまでの通り道に沿って、各社の役割を見ていきます。
熱対策から逃げられないこと、そして信頼性がすべての世界だということはよくわかりました。では、具体的にその絶対不可欠な冷却インフラを牛耳っているのはどんな企業なのか。
単にリストとして紹介するんじゃなくて、熱がチップから出て行って外に逃げるまでの、熱の通り道に沿って彼らの役割を見ていきたいですね。
1社目:Vertiv Holdings(VRT)
ここで主役になる1社目がVertiv Holdings、ティッカーシンボルはVRTです。データセンター内部のインフラに特化した、純粋培養のトップメーカーなんです。
チップに密着させて熱を奪う液冷のコンポーネントから、莫大な電力を安定供給する受変電設備までをトータルで提供できるんです。でも、彼らは単に部品を売ってるわけじゃないんですよ。
最大の強みは、NVIDIAなどの次世代AIアーキテクチャーの設計段階から深く連携している点なんです。
えっと、設計図の段階から一緒に入り込んでるんですか?
次のチップはこれだけ熱を出すから、最初からこういう冷却機構と電力供給システムを組み込もうって、二人三脚で開発してるんです。だからこそ、業界の標準化をリードする立場にいる、まさに内部インフラの最高本命ですね。
2社目:Super Micro Computer(SMCI)
そもそもこの複雑な液冷の配管が張り巡らされたラックを、現場に何千台も設置するのってめちゃくちゃ大変じゃないですか。現場に配管工を呼んで一から組み立てるんですか?それだと水漏れのリスクも上がりそうですけど。
そこで登場するのが、現場への導入のボトルネックを解消する2社目、スーパーマイクロコンピューター、ティッカーシンボルSMCIです。
スーパーマイクロは、自社の工場でサーバーと液冷設備を最初から合体させてテストまで終わらせた液冷一体型ラック、これDLCって呼ぶんですけど、これを完成させてしまうんです。
なるほど。工場で完璧に組み上がった完成品を、モジュールとして現場にポンと届けるわけですね。
その通りです。現場では文字通り、もうプラグを挿すだけに近い状態にできるんです。このモジュール型設計のおかげで、競合他社よりもいち早くハイパースケーラーに納品できるんです。AI開発って一分一秒を争う軍拡競争ですからね。
3社目:Trane Technologies(TT)
これでチップの熱は液冷システムに移って、ラックの設置も終わりました。でも、ラックから奪った熱を含んだ熱いお湯が、今度はデータセンターの建物内に大量に発生することになりますよね。この熱はどうやって建物の外に逃がすんですか?
それが最後の仕上げです。建物全体に溜まったメガ廃熱を外に逃がす重鎮、3社目がトレインテクノロジーズ、ティッカーシンボルTTです。大型の水冷チラー、つまり冷凍機ですね。この世界トップクラスの企業なんです。
サーバーから回収された高熱を、最終的に建物の外へ逃がす役割を担っています。ここで重要な視点が、先ほども出たESG、脱炭素なんです。
従来のデータセンターの冷却塔、クーリングタワーって、熱いお湯を外にさらして蒸発させることで熱を逃がしてたんです。でもこれだと、毎日とんでもない量の水を消費しちゃうんですよ。
水不足を引き起こしたら、そもそもデータセンターの運営が止まっちゃう。
そこでトレインの出番です。彼らの最大の強みは、クローズドループと呼ばれる密閉循環型の冷却技術なんですよ。
これは冷媒とか熱交換器を使って、水そのものを蒸発させずに、同じ水を何度もぐるぐると循環させながら、熱だけを外に逃がす仕組みなんです。
つまり、水を使い捨てにしないでリサイクルしながら、熱だけを捨てるんですね。
この技術によって水の消費量を劇的に減らして、厳しい環境基準をクリアしながら、建物全体の巨額の廃熱をコントロールできるんです。だからこそ、環境配慮を最優先するビッグテックからの信頼が非常に厚いんですよね。
3社の役割を聞き終えて、ホストは点と点が線につながったと整理します。
熱の発生源であるラックの内部を、設計から丸ごと面倒を見るバーティブ。その複雑なシステムを工場で完成させて、最速で現場に届けるスーパーマイクロ。
そして、回収した膨大な熱を、水資源を守りながら建物の外に逃がすトレイン。見事にバリューチェーンの中で役割分担ができてるんですね。
本当にその通りです。それぞれが全く別のレイヤーで、不可欠なインフラとして機能しているんですよ。だからこそ、特定の企業が価格競争で潰し合うんじゃなくて、業界全体のエコシステムとして巨額の資金が流れ込んでいるんです。
ラック内部(Vertiv)
チップから熱を奪う液冷部品と電力供給を、設計段階から一体で提供する
現場への導入(Super Micro)
工場でサーバーと液冷を合体させた一体型ラックを完成させ、最速で納品する
建物の外(Trane)
回収した廃熱を、水を蒸発させないクローズドループで外へ逃がす
水すら限界に。AIは宇宙へ向かうのか
まとめのあと、解説者は視点を変えて、水冷すら限界を迎えるかもしれない未来を投げかけます。
AIの進化っていうのは、結局のところ、地球の物理法則との戦いでもあるわけですよ。
今回は、地球上のデータセンターにおける水を使った高度な熱対策をお話ししましたよね。でも、AIの進化と電力とか廃熱の増加がこのままのペースで進んでいったら、いずれ水で冷やすことすら限界を迎える日が来るかもしれないんですよ。
水ですら限界に。じゃあどうするんですか?
実際、送電網とか冷却の限界を見据えて、すでにスペースXが極寒の宇宙空間にデータセンターを作る構想を進めていたり、アルファベットが次世代の小型原子炉SMRを使って、極限環境に分散型のインフラを作る計画を始めてるんです。
宇宙空間とか小型原子炉、スケールが違いすぎますね。
地球上の水で冷やしきれなくなった時、AIはついに地球の枠を飛び出ていくのかもしれません。AIが宇宙や極限環境へ進出する未来、あなたはどう思いますか?
うわぁ、鳥肌が立ちました。エアコンとか配管の泥臭い話から始まったと思ったら、最後は宇宙につながるとは。
次回の予告です。データセンター銘柄特集の第3回は、高速通信コネクターセクターを取り上げます。
熱を冷ました後は、今度はAIサーバー同士をどうやって超高速でつなぐのか、その神経網の秘密に迫りますので、絶対にお聞き逃さなく。
次回も非常に重要なボトルネックの解消についてですね。私も楽しみにしています。
まとめ
今回は、データセンター銘柄特集の第2回として、液冷・空調システムを掘り下げました。投資の主戦場はチップを買う段階から、長期的に収益が見通せる物理インフラを構築する段階へと移っています。1ラック120kWにもなる熱は空冷では冷やしきれず、液冷への移行が必須です。そして一滴の水漏れが数十億円の損失を生むという失敗の許されなさこそが、実績ある企業の強い参入障壁になっているというお話でした。
- 市場の関心はGPUを買う段階から、それを動かすインフラを構築する段階へシフトしている
- AIラックは120kW超の発熱で空冷が破綻し、水の熱容量を使う液冷が事実上の標準になった
- 注目3社は、ラック内部のVertiv、一体型ラックのSuper Micro、廃熱処理のTraneと役割が分かれている
- 一滴の水漏れも許されない信頼性が、価格競争に巻き込まれにくいモート(参入障壁)を生んでいる





