なぜ「ケーブルが遅い」だけでAIが止まるのか
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冒頭、ホストは「数千億円かけた最速のAIスパコンが、ケーブルが遅すぎて動かない」という状況を投げかけます。
皆さんこんにちは。米国株投資の耳よりの話へようこそ。
よろしくお願いします。
ある巨大IT企業が世界最速のAIスーパーコンピューターを作るために、数千億円もの資金を投じたとしますよね。
とんでもない額ですよね。まあ、現実によくある話ですが。
ところがですね、いざスイッチを入れると、その最新鋭のシステムが完全に沈黙して全く機能しないんです。
で、その理由が、それらを繋いでいるケーブルが遅すぎるからだとしたらどうでしょう。
いや、まさにそれが今のテクノロジー業界が直面している一番深刻で、かつ最も投資資金が流れ込んでいる課題なんですよね。
ということで、現在全5回でお送りしているデータセンター銘柄特集ですが、第3回となる今回のテーマは、高速通信コネクターセクターです。
この領域への投資って、単なるトレンドの波乗りじゃないんですよ。物理的な法則の限界に挑むっていう、非常にエキサイティングな技術革新の最前線ですからね。
GPU一色から「インフラ構築」への構造変化
これまでAI投資はGPUばかりが注目されてきましたが、解説者は投資のフェーズ自体が変わってきていると指摘します。
今までAI投資っていうと、とにかくAI半導体、高性能なGPUを作ってるメーカーばっかり注目されてたじゃないですか。
でも、どうやら潮目が変わってきているみたいなんですが。
おっしゃる通りです。AI投資のフェーズって完全に構造変化を起こしてるんですよ。
AI半導体をひたすら買い集めるっていう段階から、それをフル稼働させるための巨大なインフラを構築する段階へとシフトしてるんです。
MicrosoftとかGoogleとか、いわゆるハイパースケーラーと呼ばれる巨大IT企業たちは、向こう数年間にわたる数十兆円規模の設備投資を確約してるんです。
数十兆円って、ちょっと想像つかない規模ですね。でも、インフラを建てるとか、物理的に配備するってなると、もっと長期的な視点が必要になるじゃないですか。
まさにそこなんですよ。投資家から見れば、数年先まで業績の見通しが立てやすいっていう、ものすごく大きなメリットがあるわけです。
ただですね、この巨大なインフラを構築するにあたって、彼らは物理的な三大ボトルネックっていうものに直面してるんです。
一つ目が電力不足。二つ目が発熱と冷却の問題。そして三つ目が今回のメインテーマであるデータ伝送、つまり通信速度の限界なんです。
GPUは脳細胞、通信ケーブルは神経回路
通信速度の限界とは何なのか。解説者は、現在のAIが数万個のGPUをつないで動く仕組みから説明します。
通信速度の限界って言っても、私たちのスマホの回線が遅いとか、そういうのとは次元が違う話ですよね。データセンターの中で一体何が起きてるんでしょうか。
例えばChatGPTみたいな巨大な生成AIって、一つの超高性能なGPUだけで動いてるわけじゃないんですよ。
数千とか、場合によっては数万個のGPUを並列につなげて、一つの巨大な脳として計算させてるんです。
巨大な脳ですか。ってことは、一つ一つのGPUが脳細胞、ニューロンだとしたら、それらを繋ぐための神経回路、シナプスみたいなものが必要になるってことですか。
素晴らしい例えですね。まさにその神経回路こそが、データセンターの中に張り巡らされた通信ケーブルとかネットワークなんです。
AIのモデルが巨大化すればするほど、この脳細胞同士がやりとりするデータ量がもう爆発的に増えちゃったんですよね。
今や800ギガビット毎秒とか、さらには1.6テラビット毎秒っていう、昔じゃ想像もできなかった桁違いのデータが飛び交ってるんです。
でも、もしその神経回路でのデータ伝送が追いつかなくなったらどうなっちゃうんですか?
どんなに賢い脳細胞、つまりGPUを何万個並べたとしても、神経回路の伝達が遅ければ、GPUはデータ待ち状態になっちゃって計算を止めちゃうんですよ。
稼働してないGPUは、ただ莫大な電力を消費して熱を出すだけの、ただの鉄の箱になっちゃうわけですね。
そういうことです。何千億円もかけて最高峰の脳を作ったのに、神経が遅いせいでAIがフリーズしちゃう。
銅線はもう限界。「乗数効果」というカラクリ
ホストは分かりやすい例えでボトルネックを整理します。ここで解説者が、部材メーカーが儲かる仕組みを明かします。
数千億円かけてフェラーリのエンジンを買ったのに、タイヤがママチャリのままじゃ走れないってことですよね。
ええ、まさに。しかもですね、そのタイヤメーカーが儲かる仕組みがちゃんとあるんですよ。株価急騰の裏には乗数効果っていう強烈なカラクリがありまして。
乗数効果ですか。
GPUが一個増えたからってケーブルが一本増えるだけじゃないんですよ。数万のGPUを相互に、しかも遅延なくつなぐためには、ものすごく複雑な網の目のようなネットワークが必要になるんです。
つまり、GPUが一個増えるごとに、それをつなぐためのポートとかコネクター、ケーブルの需要が数倍から十数倍へと跳ね上がるんです。
一対一じゃないんだ。フェラーリ一台分にスペアタイヤが何十個も売れるみたいな状態ですか。そりゃ配線部材メーカーは儲かりますね。
しかも今、従来の銅線ケーブルからAECっていうアクティブケーブルとか、光通信への移行がものすごいスピードで進んでるんです。
銅線じゃダメなんですか。今までずっと銅線でしたよね。
もう物理的な限界を迎えているんです。銅線で1.6テラビットみたいな超高速データを送ろうとすると、信号の劣化を防ぐためにケーブルを極太にしなきゃいけないですし。
しかも距離も数メートルしか届かないんですよ。おまけに尋常じゃない熱を出します。
だからこそ、ケーブルの内部に信号補正チップを組み込んだAECとか、電気信号を光に変えて伝送する技術がどうしても必須になってくるんです。
光の心臓部を握る「ルメンタム」
ここからは、サプライチェーンの川上から順に注目銘柄を見ていきます。まずは光通信の光源を作る企業です。
最初はですね、ルメンタムホールディングス、ティッカーシンボルはLITEですね。彼らは光通信の中で実際に光を放つレーザー光源というものを提供する世界的なトップメーカーなんです。
AIインフラ構築における、まさにツルハシとショベルを提供している企業ですね。でも、レーザー光源って具体的に何をしてるんですか?
光通信では、1と0を光の点滅に変換して、細いガラスの繊維、つまり光ファイバーの中を通すんです。
ただ、この時に1秒間に何十億回っていう途方もないスピードで、極めて正確に点滅を繰り返す極小のレーザーが必要になるんですよ。
1秒間に何十億回ですか?もしその点滅のリズムがほんの少しでも狂ったら、もうデータが壊れちゃうわけですよね。
ルメンタムは、EMLとかVCSELと呼ばれる超高速通信に絶対不可欠な特殊なレーザーデバイスの製造において、もう圧倒的な技術力を持ってるんです。
彼らの作る高品質な光源がなければ、最新のAIデータセンターはそもそも光を通すことすらできないんですよ。
つまり、ルメンタムっていう会社は絶対に壊れなくて、信じられない速さで正確に点滅できる最高品質の電球を作ってるようなものなんですね。
すごくいい例えですね。その通りです。
素材から一貫生産する「コヒレント」
次は川下で、ルメンタムの光源を組み込んで製品を完成させる企業です。ここでは製造プロセスの強みが語られます。
次に登場するのがコヒレントコープ、ティッカーシンボルCOHRです。彼らは、レーザー光源を組み込んで、実際にサーバー間を光でつなぐための光トランシーバーっていう光モジュールを完成させる巨人なんです。
光トランシーバー、つまり電気信号を受け取って光に変えて送り出して、また向こうで電気に戻す変換器ですね。
ただ、コヒレントの真の強みっていうのは、その製造プロセスにあるんですよ。彼らはただ単にいろんなところから部品を集めて組み立ててるだけじゃないんです。
インジウムリンっていう特殊な化合物半導体ウェハーの素材開発から、自社で手がけてるんです。
インジウムリン、半導体って言ったら普通はシリコンじゃないんですか?なんでわざわざそんな別の素材を使うんですか?
シリコンって計算処理には非常に優れてるんですけど、物理的な性質上、光を発するっていうのが極めて苦手なんです。
一方で、インジウムリンみたいな化合物半導体は効率よく光を放出したり増幅したりする性質を持ってるんですよ。
素材の化学的な性質からアプローチしてるんですか。それは他の会社が新規参入しようと思っても、そう簡単に真似できるもんじゃないですよね。
絶対無理ですね。彼らは素材から光チップ、そして最終製品であるトランシーバーまでを一貫して自社で製造できる垂直統合の強みを持ってるんです。
だからこそ、MicrosoftとかGoogleみたいなハイパースケーラーから直接巨大な受注を獲得できてるんですよ。
すべての黒幕「ブロードコム」がネットワークを統括する
物理的な道ができても、それを誰かが交通整理しないとネットワークは動きません。ここで解説者は「すべての黒幕」を紹介します。
物理的な光の通り道ができても、それを誰かが統括して交通整理しないとネットワークは機能しないんです。
ここで、この高速通信コネクターセクターにおけるすべての黒幕をご紹介しましょう。それがブロードコム、ティッカーシンボルAVGOです。
ブロードコム。あのゴリゴリの半導体メーカーじゃないですか。今コネクターとか配線の特集をしてるのに、なんで彼らが出てくるんですか?
ブロードコムは、数万個のGPU同士をつないでデータを行き来させるためのイーサネットスイッチICっていう分野で、業界シェアのなんと約80パーセントを独占する絶対王者なんです。
彼らのトマホークっていうチップシリーズがないと、現代のAIデータセンターはそもそも構築できないんですよ。
業界シェア80パーセントって、いくらなんでも独占しすぎじゃないですか。Googleとかメタからすれば、一つの企業にそこまで依存するのってものすごいリスクですよね。
彼らならブロードコムのチップは高いし、自分たちでネットワークチップも作っちゃおうぜってならないんですか?
非常に鋭いご指摘ですね。実際、彼らは独自のAI計算チップ、いわゆるカスタムシリコンの開発は急ピッチで進めてるんです。
でも、ネットワークのスイッチングに関しては、自社開発が極めて困難なんですよ。
そうなんですか?なんでですか?
ネットワークっていうのはいろんなメーカーの機器が複雑に絡み合うエコシステムなんですね。業界全体の標準規格に完全に準拠しつつ、極限まで遅延を減らすっていう、ものすごく高度な設計ノウハウが必要になるんです。
ブロードコムが何十年もかけて蓄積してきたソフトウェアの資産とかエコシステムっていうのは、いくら巨大IT企業でも資金力だけで崩せるような掘りじゃないんですよ。
光モジュールの中にもブロードコムがいる
ブロードコムが支配しているのはスイッチだけではありません。コヒレントの光トランシーバーの中にも、そのコア技術が組み込まれています。
さらに驚くべきことがあるんですよ。ブロードコムが支配しているのは、その交差点、つまりスイッチだけじゃないんです。
さっきコヒレントが光トランシーバーの話をしましたよね。実はあのモジュールの中にもブロードコムのコア技術が組み込まれてるんです。
えー、マジですか?
光通信って、いくら光の束をまっすぐ飛ばしても、距離が伸びたり速度が上がったりすると、どうしても波形が崩れてノイズが混ざっちゃうんですよ。
そこで必要になるのがDSP、つまりデジタル信号処理プロセッサーっていう半導体なんです。
このDSPは、ぼやけて不規則になっちゃった光の波形を瞬時に解析して、綺麗な1と0のデジタル信号に復元するっていう、ものすごく重要な役割を持ってるんです。
で、なんとこのDSPの技術においても、ブロードコムは世界トップなんですよ。
つまり、物理的な部材メーカーに信号を整えるチップを提供して、さらにネットワーク全体を上から統括するチップも独占している。まさにサプライチェーンの頂点に君臨する支配者ですね、ブロードコム。
だからこそ、AI投資を考えるときは、目立つ主役であるGPUばっかり見るんじゃなくて、それを機能させるための神経も、その神経を制御する本当の脳を誰が握ってるのか、そこを理解することが長期的な投資戦略においてものすごく重要になるんです。
光の速度は超えられるのか、次回予告
最後に解説者は、AIの進化と光速の限界というSFのような思考実験を投げかけます。そして次回予告が語られます。
最後にですね、リスナーのあなたに一つちょっと面白い思考実験を投げかけてみたいと思うんですが。AIの進化とGPUの計算速度って、今もものすごい指数関数的に向上してますよね。
でも、データを送る光の速度には、アインシュタインが証明した物理的な限界があるわけですよ。
光の速さには上限があるってやつですね。
もしこのままAIが進化し続けて、処理速度が光の伝送速度の限界すら超えちゃった時。一体どうなるんでしょうか。
その時人類は全く新しい通信インフラ、例えば量子もつれを利用したような未知のネットワークを発明しなきゃいけないんでしょうか。
光の速度がボトルネックになる時代ですか。そんな未来を想像すると、技術の進化を追うのは本当にワクワクしますね。
次回、全5回シリーズの第4回では、いよいよそれらを物理的に収容する不動産、つまりデータセンターリートを取り上げます。
物理的な箱の部分ですね。
巨大な建屋と莫大な電力を握る企業は、一体どうやって利益を生み出しているのか、こちらも楽しみに。
まとめ
今回は、AI投資が「チップの購入」から「巨大なインフラ構築」へと移行し、数万個のGPUをつなぐ高速通信が最大のボトルネックになっている、という話でした。その解決の鍵を握るのが、光源のルメンタム、光トランシーバーのコヒレント、そしてネットワーク全体を支配するブロードコムの3社です。GPUの数が増えるほど需要が何倍にも膨らむ「乗数効果」も、投資を考えるうえでの核心として語られました。
- AI投資は「AI半導体の購入」から「フル稼働させるインフラ構築」の段階へ移行している
- 数万個のGPUを一つの脳としてつなぐ通信速度が、最大のボトルネックになっている
- ルメンタムが光源、コヒレントが素材から一貫生産する光トランシーバーを担う
- ブロードコムはスイッチICも光モジュール内のDSPも握る「すべての黒幕」
- GPUが1個増えると通信部材の需要は数倍〜十数倍に跳ね上がる「乗数効果」が働く





