リスナー急増で「初心者回」 2人はどんな経歴でAIにたどり着いたのか
この回は、直近でリスナーが増えたことを受けて企画された初心者向けの回です。前半で自己紹介とAIの基礎解説、後半で今週のニュースを扱う構成になっています。
ハヤカワ五味さんは、大学在学中から10年ほどアパレルとフェムテックの2社を起業してきた経歴を持ちます。アパレルの下着事業は事業譲渡、フェムテックはM&Aでユーグレナグループにジョインしたのが2022年です。
そのユーグレナ在籍中のロックアップ期間にロックアップ ── M&Aや上場後、経営者や株主が一定期間、株式売却や退職を制限される取り決め。買い手側が事業の引き継ぎを安定させる狙いがある、ちょうどChatGPTが登場します。ゲームクリエイターを目指していた過去もあり、AIに可能性を感じたと話します。
これ(ChatGPT)はすごいぞ、これはちょっとAIやった方がいいなとその時に思って。
その後、たまたま採用の話が来たメルカリに入社し、社内のAI推進を1年ほど担当。現在はAIのストラテジーチームで、ツールを社内にどう浸透させるかを考える仕事をしています。
一方のusutakuさんは、この放送の2日前に27歳になったばかり。高校時代から起業への関心があり、大学ではまずベンチャーキャピタルのインターンを探したと振り返ります。
きっかけは、サマトアンリさんの著書『僕は君の熱意を投資しよう』でした。起業家になれなくても、起業家を支える投資家ならなれるかもしれないと考えたそうです。
そのインターン先が、たまたまPKSHA Technologyのファンド、PKSHA Capitalでした。PKSHA Technology ── 機械学習・自然言語処理などのAI技術を核とする日本のテクノロジー企業。AI関連の投資ファンドも手がける 当時はまだAIに興味がなかったといいます。
AmazonでChatGPTに衝撃 「仕事なくなる」から起業、AIも協会へ
usutakuさんは令和トラベルを経て、新卒でAmazon Japanに入社します。当時はエンジニアではなく、Google Apps ScriptでAPIを叩いてはエラーに詰まる作業をしていました。
そのエラーをChatGPTに直させたら一発で解決したことが、大きな転機になります。
これはもう仕事なくなるやんけと思って。それで友人とすぐに起業をしまして。
最初は受託開発の会社でしたが、友人と揉めて一人で抜けることに。開発ができないため、24歳で研修会社のMichikusa株式会社を起業します。
当初は営業案件が取れず、興味のある人に届けようと始めたSNSがバズり、そこから仕事が広がりました。現在は法人研修、個人向けAI講座、そしてコミュニティ「AIも協会」の運営を軸にしています。
AIも協会は、直近のClaude Code講座が好評で会員が2000人ほど増え、5000人超の規模になったと話します。Claude Code ── Anthropic社のAIモデルClaudeを使い、開発作業などを自律的に進めさせるツール。この回では初心者にはやや難しいツールとして扱われている
もともとは有料講座のアーカイブを載せる場でしたが、本屋で開いたオフ会に人が集まり、交流の場へと育っていきました。今では月に15〜16回の対面イベントを開いているといいます。
3分で語る「生成AIとLLM」 予測変換の強力版という捉え方
ハヤカワ五味さんが、ノー台本で「3分で分かる生成AI・LLM」の説明に挑戦します。まず、生成AIとこれまでのAIの違いを整理します。
従来のAIは株価予測やヒヨコのオス・メス判別のような分類・予測が中心でした。これに対し生成AIは、ゼロから新しいコンテンツを作れる点が特徴だと説明します。
その生成AIを支える技術の一つが、LLM(大規模言語モデル)です。LLM ── Large Language Modelの略。大量のテキストを学習し、文脈から次に続く言葉を予測する仕組みで自然な文章を生成するAIモデル
(LLMの)イメージとして言うと、スマホの予測変換をめっちゃ強くしたようなものなんですね。
文脈から最も確からしい言葉を出すのがLLMの特徴で、だからこそ事実と異なる出力、いわゆるハルシネーションも起きると話します。ハルシネーション ── AIが事実に基づかない、もっともらしい誤った情報を生成してしまう現象。LLMが確率で言葉を選ぶ仕組みに由来する
このLLMのおかげで、専門家でなくても普段の言葉でAIとやり取りできるようになったことが、ChatGPTなどが広まった理由だとまとめます。
さらに直近ではAIエージェントが登場しています。自律的に判断し作業をこなすもので、「計画を立てる」「ツールを使う」という多段階の動きが特徴だと解説します。
生成AI
分類や予測にとどまらず、ゼロから新しいコンテンツを作れる
LLM
予測変換の強力版。自然言語でAIとやり取りできるようにした基盤
AIエージェント
計画を立ててツールを使い、多段階で自律的に実行する
説明はちょうど2分55秒で着地。会社で「LLMって何?」と聞かれたときに、この内容を話せば十分だと勧めています。
初心者はどこから始める? 「まず無料でGemini」に落ち着いた理由
続いてusutakuさんが、初心者から必ず受ける「AIはどこから始めればいい?」という質問に答えます。
以前は「とにかく課金しろ」という立場でしたが、実際に無料版でできることを調べ直したところ、考えが変わったと話します。
無課金でできること増えてる、結構。だってちょっと前まではChatGPTとか、課金しないと話になんなかったけど。
その上でおすすめするのがGeminiです。Googleアカウントで手軽に始められ、課金してもGoogleドライブやGmailと連携して使える点を評価しています。
ただし、いきなり課金を勧めるのではなく、まず無料で一通り触ることが先だと補足します。試すべきは大きく分けて3種類だと整理しました。
- テキスト系(文章作成・要約・翻訳)
- 別メディア系(画像生成・動画生成)
- ファイル系(PDFなどの読み込み・生成)
初心者はそもそも回数を多く使わないため、機能が数回しか試せない無料版でも十分に体験できる、という判断です。
一問一答 スライド生成、Claude Code、Co-Workの使い分け
ここからは、よくある質問への一問一答です。まずスライド生成について、usutakuさんはNotebookLMを最初の選択肢に挙げます。作りたい内容を貼れば、いい感じにスライドを作ってくれるといいます。
もっと編集したい人にはManusやGenSpark、本格的にやりたい人にはClaude系がおすすめだと段階的に紹介しました。
次に「Claude Codeは誰が使うべきか」という質問に、ハヤカワ五味さんが答えます。基本はエンジニア向けで、それ以外の人にはCo-Workを勧めます。
(Claude Codeを使うべきなのは)まあエンジニアっすね。一般の人というか、エンジニアじゃない人は(Co-Workでいい)。
Co-Workの活用例として、子どもが学校や保育園から持ち帰る手紙を写真でアップし、文字起こしからタスク化して管理する、といった人生の管理への利用を挙げています。
2人は、Co-WorkとClaude Codeを厳密に切り分けて悩むのはナンセンスだという点で一致します。ほぼ同じ機能で得意不得意が少し違うだけだとし、会社利用はCo-Workに集約されていくと見ています。
さまざまなツールと連携させて使える。会社利用や非エンジニア向け。会社利用は今後こちらに集約される見込み
開発や大量ファイルの処理・書き換え向け。権限周りでPCの情報を消してしまうリスクを気にする人は避けたほうがよい
AI起業は「身近な負」から 東大生なら松尾研ルートも
「AI分野で起業したい」という質問に、usutakuさんは近くの人の困りごとをAIで解決し、対価をもらうところから始めることを勧めます。
近くの人の困りごとをどうにか全部AIにやらせて、自動化する方法で助けてあげて、それに対してお金をもらうところから始めましょう。
例として、母親の料理教室がインスタしかないのでウェブサイトを作る、といった身近な課題解決を挙げます。いきなりToC向けのマッチングサイトやアプリを狙うのは最高難易度だと注意します。
まず身近な負を自分が介在せずAIで解決し、低賃金でもお金をもらう。その中でスケールできると感じたら起業する、という順序を提案しました。
なお、質問者が東大生なら松尾研に入り、先輩の会社でインターンを経験してから同業種で起業する、という別ルートも「つまらないアドバイス」として付け加えています。松尾研 ── 東京大学の松尾豊研究室。AI・機械学習分野で知られ、多くのAI起業家や関連企業を輩出していることで有名
「AIでバズって集客」の落とし穴 稼ぎ方より社会の仕組みを理解する
「AIを使えばバズって集客できる」という相談に、2人はまず現実を突きつけます。美容師の集客相談を例に、ハヤカワ五味さんは踏み込んで注意します。
美容師さんとかネイリストさんとかは、生成AIで広告写真作っちゃダメだからね。(実際とは違う仕上がりの)虚偽(情報)だからさ。
usutakuさんは、AIを使えば集客できるわけではないと補足します。うまくいっている人は、そもそもマーケティングが上手い人だと指摘します。
さらに、AI副業で「何も残らなかった」という投稿を例に挙げます。生成した画像を素材サイトに、Sunoで作った曲を配信サービスにアップしても1円も稼げなかったケースです。Suno ── テキストの指示から楽曲を生成するAIサービス。歌入りの曲も作れることで注目された
その労力を本業でのキャリアアップに使っていれば、本業でのAI活用の解像度が上がったはずだ、というのがusutakuさんの見方です。
ハヤカワ五味さんは、YouTuberやTikTokerの収益構造を例に、フォロワー数そのものの価値は小さいと語ります。再生数やインプレッションではなく、案件で収益が立つ仕組みだと説明します。
生成AIでなんかおもろい動画ちょっと上げて伸びても案件来ないんで儲かんないんですよ。
だからこそ、稼ぎ方を探す前に社会構造を理解することが先だと繰り返します。目の前のお金がない場合は、本業にコミットして評価を上げたり転職で収入を増やし、投資できる余白を作ることを勧めました。
なぜ「ながらAI」なのか AIの学びをもっと開くために
番組の背景も語られます。「ながら聞き」を掲げたのは、女性の生成AIユーザーが少なかった時期に、もっと女性に使ってほしいという思いがあったからだといいます。
usutakuさんは、AIの勉強会が男性ばかりになりがちな現状に触れます。会場に100人いて女性が5人ということもざらで、その写真が出回ること自体がステレオタイプの醸成につながると懸念します。
だからこそ、抵抗のある人でも気軽に学べる手段としてポッドキャストを選んだと話します。usutakuさん自身は、大学でジェンダー・セクシュアリティ研究を専攻し、女性起業家をどう増やすかをテーマに卒論を書いたと明かしました。
ハヤカワ五味さんは、ポッドキャストは更新しても収益にならず赤字だと打ち明けつつ、応援の気持ちだけで続けている部分があると語ります。唯一の有料コンテンツとしてnoteを挙げ、その課金は「ロボ代」になると冗談めかして話しました。
ついに開いたAdobe連携 ClaudeがPhotoshopや3Dツールとつながる
今週のニュースの1つ目は、ClaudeとAdobeの連携です。Claudeのコネクター ── ClaudeにPhotoshopなどの外部ツールをつなぎ、Claudeがそれらのツールを操作できるようにする仕組み Adobeに加え、BlenderやAutodesk Fusionといった3Dツールとの連携も始まりました。
美大出身でAdobeを長年使ってきたハヤカワ五味さんにとっては大きなニュースです。Adobeはこれまで自社でAIツールを開発し、他社と組む気配を見せてこなかったと振り返ります。
(Adobeは)ちょっとこういうの遅いというか、すごいその独占しがちなんで、なんかついに開けたかという印象がありますね。
Adobe製品が使われ続ける理由として、入稿形式にPSDやAI形式が指定される場面が多いことを挙げます。これらの形式は外部にほぼ開かれておらず、開けるのはPDFくらいだったといいます。
ただし、これまでAdobeを使ってこなかった人がわざわざ登録するメリットはあるか、というusutakuさんの問いには「ない」と即答します。多くの一般的なニーズはCanvaで足りるという立場です。
本命はBlender連携? AIと3Dプリンターがつなぐ現実世界
ハヤカワ五味さんが本当に注目しているのは、BlenderやAutodeskとの連携のほうです。3Dデータをある程度サクサク作れるようになれば、3Dプリンターと連携し、AIが作ったものを現実世界にプリントできるようになるからです。
3Dプリンター自体が安く精度も高くなっており、セール中なら3万円ほどで買えると紹介します。今年に入ってからテキストや画像から3Dデータを作るAIが実用的になったといいます。
コツとして、作りたいものを画像生成で作り、一度グレースケールに変換してから渡すと、ほぼそのまま3Dデータになると説明します。使っているモデルはMeshだと挙げました。
初心者向けの活用例も具体的です。IKEAの有孔ボードは世界共通規格で、対応パーツのデータが多く出回っているため、自分だけの壁掛け収納を作れるといいます。
導入のハードルについても、セール中に買えばメルカリでほぼ同じ値段で売れるため、痛手になりにくいとアドバイスします。機種はまずBambu Labの一番シンプルなA1 Miniで十分だとしています。Bambu Lab ── 家庭用3Dプリンターのメーカー。ユーザーが多く、初心者が困ったときに情報を得やすいことから番組内で勧められている
この話を聞いたusutakuさんは、その場でA1を購入。ハヤカワ五味さんに「ムーブファーストすぎる」と驚かれていました。
7月7日は「呑みながらAI」 チケット販売開始のお知らせ
最後に、オフ会イベント「呑みながらAI」の告知です。開催は7月7日の七夕、会場は過去2回と同じ渋谷の東京カルチャーカルチャーです。
チケットはこの回のオンエア日から販売されています。会場のキャパの都合で販売上限があり、リスナーも増えているため、早めの購入が勧められています。
ハヤカワ五味さんは、話を聞きながら3DプリンターでながらAIのキーチェーンを作ろうかと思いついた、と語っていました。番組は毎週月曜の朝に配信されています。
まとめ
初心者に向けて、AIの基礎から学び方、副業の考え方、そしてClaude×Adobe連携までを一気に整理した回です。共通するメッセージは、AIを目的化せず、価値と仕組みから考えることでした。
- LLMは「予測変換の強力版」、AIエージェントは計画とツール使用で多段階に動くもの、と押さえると理解しやすい
- 初心者はまず無料で一通り触るのが先。課金するならGoogleサービスと連携できるGeminiがおすすめ
- AI起業は身近な人の困りごとをAIで解決するところから。ToC向けアプリはいきなり狙わない
- 「AIでバズって稼ぐ」を目的にせず、社会の仕組みを理解し、本業や価値創出に活かすことが優先
- ClaudeがAdobeや3Dツールと連携。特にBlender×3DプリンターはAIと現実世界をつなぐ点で注目





