Claude Fable5とは何か、そしてなぜ「6月22日まで」なのか
この回の中心は、登場したばかりのClaude Fable5です。ハヤカワ五味さんは収録前の2日間、使用上限を最大まで使い込むほど触っていたと話します。
Claudeはこれまで4系で細かくアップデートを刻んできましたが、今回は整数のナンバリングが5に上がりました。usutakuさんによれば、これは元々軍事的パートナーにしか提供されていなかった強力なモデルと同等の性能を、一般公開したものだといいます。
元々ClaudeがMuthosというモデルを出していて、これが軍事的に使うともう危ないと。(性能が)強すぎるから、信頼している軍事的なパートナーシップのところにしか提供しないよねって話があったんですよ。
それと同等の性能を持ったモデルがついに一般公開されたっていうことで、今話題になってますね。
ただし、この回で最も繰り返し強調されたのが、利用条件のシビアさです。アプリのサブスク料金でFable5を使えるのは6月22日まで。それ以降はAPIでの従量課金となり、料金が非常に高いといいます。
(Fable5を)使ってください、サブスクで使えるうちに。それ以降はもう従量課金怖いよね、本当に。1万円ぐらい飛ぶ可能性あるから。
「LLMはサチった」派の五味が、それでもFableに驚いた点
一方でハヤカワ五味さんは、話題の広がり方には冷静な視点を向けます。Twitterのタイムラインでは全員がFableの話をしているものの、それはごく一部の偏った層だと指摘します。
(Fable5は)話題になっているけど、ごく一部でしか話題になってないですね。
五味さんはかねてから、LLMの性能は頭打ち(サチった)に近づいていると話してきました。実務では業務フローやコンテキストの整理が大半を占め、モデル自体の向上はそこまで影響しないという感覚です。そのため、感度の高い人でも今回そこまで驚けていないと周囲を見て感じたといいます。
usutakuさんも、開発をする人ならすぐ恩恵を受けられるが、そうでない人にとっては画像性能の向上やアプリ連携のほうが分かりやすい、と補足します。
それでも五味さんは、Fableで明確に良くなった領域があると語ります。3Dや2Dといった空間把握・ビジュアライズの分野、そしてデザイン力です。
(3Dなど)空間を把握するとか、ビジュアルとして理解するみたいなところが極めて特化しているような印象を(Fableから)受けていて。
デザインのバックグラウンドを持つ五味さんは、指示への再現性や、人間が見て見づらい色の組み合わせを避けるといった感覚的な部分でのトンチンカンさが減ったと評価します。ただし高度な戦略や創薬などの領域は自分の認識を超えており、評価できないと率直に話しました。
「主従逆転」。AIに謝りながらタスクを引き取る五味
Fableの賢さと利用コストの高さから、五味さんは自分とAIの関係が逆転したと語ります。挨拶させるだけでコストがかかるほど高価なため、しょうもないタスクは人間である自分がやる、という発想です。
usutakuさんは、Fableのブランディングが虫や森のイラストとともに登場したことで、どこか「Fable様」と敬いたくなる雰囲気があると笑います。
今までは(Opusに)「なんでこんなことも調べないで発言すんねん」って聞いてたけど、Fableに対しては「ちょっと私の知識が少なくてすいません」みたいな感じで謝罪してる。
「(このタスクは)時給の高い皆様にやらせるようなことではないのでございますよ」っていう風にね。
五味さんは、会社でCTOや上長の30分のミーティングをもらうのが忍びない感覚に近いと例えます。貴重な利用上限を挨拶やソフトのダウンロードに使わせるより、人間の権限で数分で終わらせるほうが早いという理屈です。
SaaSならぬ「HaaS」。AIが人間を雇う未来のリアリティ
この主従逆転の話から、二人はより大きなテーマへ入っていきます。それが、人間がサービスとして呼び出される「HaaS(Human as a Service)」という概念です。
usutakuさんは具体的な例を挙げます。極めて賢い人間がFableでビジネスモデルを動かし、実際に手を動かす部分だけ人間をスポットで派遣する、いわば「AIエージェント版Timee」のような世界です。
Timeeの権限をFableに与えてあげて、「あなたはお金を稼ぐ必要があります。1000万稼いでください。必要であればTimeeとかに求人出しても構いません」ってやったらめっちゃ怖くない?
五味さんは、自分はすでにFableのアップデートから自主的にHaaSを始めている、と応じます。AIに「しょうもないタスクは切り出して私に指示をください」と、部下のような立ち回りをしているという話です。
そして二人は、この状況が今後の格差を象徴していると指摘します。高いFableを使ってより高い金額を生み出せる人と、それを知らずに時給で働き続ける人との差が広がるのではないか、という懸念です。
usutakuさんは、これはわかりやすい縮図だと語ります。2027、28年ごろまでは一般の人がAIで稼げても、その先は資本を持つ人が強力なAIを使い、人間はコスパの安い労働生命体のように扱われる時代が来るのではないか、という見立てです。
ただし五味さんは、健康面の注意も添えます。ドーパミンが出て元気だと話しつつ、睡眠を削ってまで使うのは終わりだと戒め、22日までとはいえよく寝るべきだと呼びかけました。
五味とusutakuの具体ユースケース。3D・立体・ショート動画
ここからは、二人が実際にFableで試した具体的なユースケースが語られます。
usutakuさんは、自身のコミュニティ「AI木曜会」のウェブサイトを既存情報を渡した上で作らせたところ、違和感のないものが完成したと話します。さらに自社のデューデリジェンス(企業価値評価)を試したり、AI活用度を判定する検定問題を作らせたりしたといいます。
usutakuさんは航空シミュレーションゲームの制作も挙げます。加速や上昇、旋回といった複雑な3D処理は以前バグが起きやすかったものの、今回は一瞬でできたと驚いていました。
五味さんのユースケースは立体系が中心です。CADソフトのAutodesk FusionやBlenderを接続して触らせると、1か月前よりクオリティが上がっていたと話します。
身近な例として、無印良品の棚の引き出しの内寸に合う仕切りを、名刺と領収書を入れる形で設計させた話も。以前は「うーん」という出来だったものが、印刷してみようと思えるレベルになったといいます。
(無印の引き出しに合わせて)仕切りのデザインして立体のデータ作ってくれるとか、全然綺麗にできて。「あ、普通にいいな、印刷してみようかな」って思えるような感じにはなってますね。
ClaudeでショートAI動画。デザイン視点だから見える進化
五味さんがもう一つ力を入れたのが、動画制作です。忘れていたというClaude Designを久々に触ったところ、デザイン力が相当高くなっていたと語ります。
以前はコントロールを重ねてやっと良くなる程度でしたが、今は軽く指示するだけでデザイナー級の出来になり、一発二発でほぼ仕上がりまで持っていけるといいます。
五味さんはこれを使い、ショート動画の自動生成の仕組みを構築しました。ベースはローカルで動き、指示やまとめの作業だけをLLMにやらせる形のため、Fableのお得な期間が終わっても使えるといいます。
usutakuさんは、実際にショート動画を作る立場から、そのクオリティに驚いたと話します。
ゴミさんのショート動画、Fableで作ったの見させてもらったんですけど、まあクオリティ高くてすごいですね。「うお、ここまでできるんや」と思いましたね。
五味さんは、これまでのAI生成動画は破綻していなくても「見づらい」と感じていたと率直に語ります。しかし今回は実用に耐えそうだと手応えを口にしました。
なぜ五味さんに進化が見えたのか。usutakuさんは、自動化にこだわる人はデザインやショート動画のバズ経験がないことが多く、これまで議論されてこなかった領域に五味さんが参入したことでイノベーションが起きていると分析します。
五味さんが自動化したい理由も具体的です。ロボットの動画は組み立ての手元撮影に時間を割きたい一方、顔を映すと化粧やライティングに別の体力を使う。そこだけ生成で補いたい、というものです。
Apple WWDCとSiri、そしてGemini統合
話題はAppleの開発者向けイベント、WWDCに移ります。開発者向けの大きな変化として、自分のアプリをSiriやApple Intelligenceから操作可能にできるようになった点が紹介されます。
(アプリ)こっち側でAIを持たせるんじゃなくて、ユーザーのiPhone側上でAIを持たせるみたいなことはできるようになりましたね。
もう一つの大ニュースが、SiriへのGemini統合です。usutakuさんは、AppleのAIというより「iPhoneにGeminiが載る」という感覚だと語ります。
五味さんは、勝手なイメージではAppleとOpenAIが組むと思っていたため、Geminiという組み合わせは意外だったと話しました。
usutakuさんは、現状のApple Intelligenceはタイマー起動くらいにしか使えていないと率直に明かし、今後の使い勝手向上に期待を寄せました。
OpenAIもIPO申請。ソフトバンクの含み益が示す規模感
最後の大きなニュースが、OpenAIのIPO申請です。SpaceXの上場抽選が盛り上がる中、OpenAIも上場に向けた書類を非公開で提出したと報じられています。
usutakuさんは、これによりOpenAI、Anthropic、SpaceXがほぼ同時期に上場するような状況だと整理します。OpenAIの企業価値は約136兆円というニュースが出ているといいます。
注目点として挙げられたのが、ソフトバンクの保有比率です。
OpenAIの評価額が138兆に対して、ソフトバンクが今13パー持ってるらしいんですよ。10兆円投資して18兆円になって、約8兆円儲けたみたいな感じの世界らしくて、なんかよくわからない。
五味さんは、これほど一気に各社が上場すると逆に不安になると本音を漏らします。上場は必須ではないため、ここからさらに競争が過熱していく想定なのかと受け止めていました。
こんなに一気に上場されるとなんか逆にちょっと不安になっちゃうね。「どうしたんすか?」みたいな。
なお、五味さんはSpaceXのIPO抽選には落選したと報告。X(旧Twitter)がSpaceXに含まれることを勘違いしていたと明かし、「Twitterer」として株を持ちたかったと悔しがりました。
初のiOSアプリ公開。「作れないから作りたいものがない」
後半のusutaku雑談は、人生で初めてiOSアプリを作って公開できたという話です。
昔からアプリ開発に憧れていたものの、ChatGPTが出てもすぐできるわけではなかったといいます。今回はManusでほぼ作成し、Apple Developer Programに年間1万5000円ほど払って登録、書類を出して公開まで漕ぎ着けました。
この体験から、二人は「やりたいことがない人」への具体的な助言に話を広げます。五味さんは、Fableで焦っている人はまずiOSアプリを一つ出してみるなど、よくあるものを端からやってみるといいと勧めます。
usutakuさんは、やりたいことがない人は「自分のできる範囲が狭い」だけだと指摘します。一度アプリ開発をやってみると、できることが増え、やりたいこと(Will)も広がっていくという考えです。
作れないような人間に作りたいアプリなんてあるわけないんだから、まずね、作ってみることが大事ですね。
usutakuさんは、できること(Can)を増やした結果、大きなWillを持てた例としてイーロン・マスクを挙げます。物理の知識や資金といったCanが大きいからこそ、人類移住のような巨大なWillを持てるのだと語りました。
Canを増やす
まずアプリ開発など、実際に手を動かして自分にできることを増やす
できる実感を得る
「自分こういうこともできるんだ」と、次に挑戦できる範囲が見えてくる
Willが広がる
できることが増えた結果、やりたいこと(Will)そのものが大きくなる
まとめ
Claude Fable5の登場は、AIの賢さそのものより「AIをどう使う立場に立てるか」を突きつける出来事として語られました。3Dやデザイン、動画といった具体的な進化の一方で、AIが人間を雇う「HaaS」の予感や、まず手を動かすことの大切さまで、AIと人間の関係を考えさせる回でした。
- Claude Fable5をアプリのサブスク料金で使えるのは6月22日まで。それ以降は従量課金で高額になる
- 五味さんは3D・立体・デザイン・ショート動画の領域で明確な進化を実感。デザイン視点だからこそ見える進化がある
- AIが賢く高価になるほど、人間がスポットで働く「HaaS」的な構図と格差が現実味を帯びるという見立て
- Apple WWDCではSiriへのGemini統合が発表。OpenAIもIPOを申請し、AI各社の上場が相次ぐ
- やりたいことがないのはCanが狭いから。まず手を動かしてできることを増やすとWillも広がる


