ウォーキングは続けているのに、なぜ走れなかったのか
この回の収録は10月4日の日曜日の朝、川崎ひでとさんの自宅近くの公園で行われました。前夜の雨で野球場には水たまりがあり、いつもは少年野球の子どもたちがウォーミングアップしている時間帯にもかかわらず、この日は試合がなさそうだったといいます。
一方で、公園で散歩している人の数は夏よりも明らかに増えたように見えるそうです。涼しく過ごしやすい季節になってきた、と川崎さんは話しています。
川崎さんは毎朝ウォーキングを続けています。主な目的はダイエットで、もっと言えば「ちゃんと動ける体にしておきたい」という思いから、ウォーキングと筋トレを組み合わせているそうです。
平日に東京にいるときは、朝6時ごろから赤坂や六本木のあたりを歩きます。週末に地元へ戻ると、土日のどちらかはウォーキング、もう一方はジムでの筋トレというスケジュールが多いといいます。
ところがこの日は朝の目覚めが良かったため、川崎さんはウォーキングではなく走ってみることにしました。その結果を、川崎さん自身は「悲劇」と表現しています。
走ってみたらもう悲劇でしたね。本当に走れない。
体力的には全然大丈夫なんだけれども、とにかく足が動かないですよね。
川崎さんによると、ランニング中はふくらはぎや足首に明らかな負荷がかかり、このまま走り続ければ足や膝を壊してしまうという感覚があったそうです。原因の一つとして、体重が重いことも挙げています。
川崎さんが気づいたのは、歩いているだけでは走るための足の筋肉はつかないということでした。ウォーキングならほぼ無制限に歩けるのに、いざ走るとふくらはぎや足首に負荷が集中したといいます。
ほぼ無制限に、ずっと歩き続けられる
ふくらはぎと足首に強い負荷がかかり、膝や足を壊しそうな感覚になる
この体験から、川崎さんは走るトレーニングをしていかなければならないと感じたそうです。そして、政治家に求められる能力の一つとして、体力、つまり「動ける体」があるのではないかという話へとつながっていきます。
なぜ小選挙区制では「マルチプレイヤー」が必要なのか
川崎さんは、政治家を5年間務めてきた実感として、政治家に必要な能力を挙げていきます。その1つ目が知識、つまりインプットです。
インプットが重要になる背景として、川崎さんは選挙制度の変化を説明します。小選挙区制度 ── 1つの選挙区から1人だけが当選する選挙制度。日本の衆議院では1990年代の制度改革で導入され、比例代表と組み合わせた形で実施されていますが始まってから、自民党に限らず選挙の候補者は、どちらが政権を取るかという野党との戦いが多くなったといいます。
かつての中選挙区 ── 1つの選挙区から複数人(おおむね3〜5人)が当選する選挙制度。同じ政党の候補者同士が同じ選挙区で争うこともありましたの時代には、川崎さんの地元の三重県で、1つの選挙区から自民党の国会議員が3人当選していたこともあったそうです。
中選挙区時代の三重県では、建設業に詳しい政治家、農業に詳しい政治家、厚生労働分野に詳しい政治家というように、議員ごとの専門分野がある程度はっきりしていたといいます。そのため、建設業に携わる人は建設業に詳しい議員を応援する、という形が多かったそうです。
ところが小選挙区制度では、野党との一騎打ちになります。すべての業界団体の人々から応援してもらうためには、どの分野にも詳しい「マルチプレイヤー」が必要になる、と川崎さんは説明しています。
中選挙区制:1選挙区で複数の自民党議員が当選し、建設業・農業・厚生労働など議員ごとに専門分野が分かれていた
小選挙区制:野党との一騎打ちになり、すべての業界から支持を得るため幅広い分野に詳しいマルチプレイヤーが必要に
このマルチプレイヤーとしてやっていくためには、とにかくいろんなジャンルの知識を詰め込まなきゃいけないと。
マルチプレイヤーが求められる状況は今も変わっていないため、川崎さんはインプットをとても重要な能力だと考えています。そのために時間も使うといいます。
インプットのスピードややり方は人によって異なる、と川崎さんは話します。ノートに書いて勉強する人もいれば、ひたすら本を読む人もいて、耳から情報を入れる人もいます。勉強の仕方はまちまちでも、自分のやり方でインプットを増やすことが欠かせないというのが、川崎さんの1つ目の結論です。
良質なアウトプットは場数からしか生まれない
政治家に必要な能力の2つ目として、川崎さんはアウトプットを挙げます。入れた知識を自分の言葉で発信できなければ、信頼される政治家にはなれないという考えです。
入れた知識をしっかりと自分の言葉でアウトプットすることによって、やっぱりこの人信用できるなっていう信頼感のある政治家じゃないとダメだと思うんです。
川崎さんは、インプットとアウトプットの関係を「アウトプットのためのインプット」とも言い換えています。よく言われる「良質なアウトプットは良質なインプットから」という言葉のとおり、しっかり発信するためには、知識を自分の中で咀嚼して理解する力を高める必要があるといいます。
インプット
自分に合った方法で幅広い分野の知識を入れ、咀嚼して理解する
アウトプット
頭の中をクリアにし、伝わりやすい言葉で人前で話す
信頼
「この人は信用できる」と思われる政治家になる
そのうえで川崎さんは、アウトプットの能力を伸ばすのは場数だと話します。どれだけ人前で話せるか、どれだけ頭の中を整理して伝わりやすい言葉で伝えられるかが、アウトプット能力の最たるものだといいます。
川崎さんがVoicyや当時のstand.fmといった音声配信を始めた理由も、まさに自分のアウトプット能力を高めるためでした。国政報告会 ── 国会議員が地元の支援者や有権者に向けて、国会での活動や政策を報告する集会を毎日開ければよいものの、それは現実的に難しいため、少しでも話せるように音声配信を続けているそうです。
地方議員に足りないのはアウトプットの場?
ここで川崎さんは、「本当に辛辣な話になるんだけれども」と前置きしたうえで、周りの地方議員について語ります。川崎さんの周りの市議会議員や県議会議員には、こうしたアウトプットをしている人が圧倒的に少ない気がする、というのです。
(自治会の総会など)こうしたものがあるのであれば、やっぱりそこでアウトプットをするというようなことは結構必要なんじゃないかなと思うんですけども、どうもね、この部分をやらない方々が多いんですよね。
川崎さんは、アウトプットをしない地方議員が多い状況を「非常にもったいない」と表現しています。発信する場があれば、そのためにインプットも増やそうという意識が働きますが、場がなければその意識も生まれないからです。
そのため川崎さんは、地方議員がもう少しアウトプットの場を作ったほうがいいのではないかと提案しています。
一方で、地元の四日市市については評価しています。四日市の県議会議員や市議会議員は市政報告会や県政報告会をよく開いているので、四日市の人たちは結構いいのではないか、と川崎さんは話しています。
選挙の「桃太郎」で求められるダッシュ力
政治家に必要な能力の3つ目として、川崎さんは「動ける体」を挙げます。特に体力が試されるのが選挙のときで、例として「桃太郎」と呼ばれる選挙活動を紹介しています。
「桃太郎」は選挙用語で、商店街や住宅街の中を練り歩く活動を指すそうです。家をノックして訪ねる戸別訪問 ── 選挙運動のために有権者の家を一軒ずつ訪ねること。日本では公職選挙法で禁止されていますは公職選挙法違反になるため、街宣車を引き連れて街中を歩くといいます。
街宣車の音が聞こえると、家から出てきてくれる人たちがいます。川崎さんは、その人たちのもとへ全力でダッシュしていくそうです。
さらに、前方の家の人のもとへ走っている最中に、街宣車がすでに通り過ぎた後ろの家から笑顔で出てきてくれる人もいます。そのときは後ろまで猛ダッシュで戻り、握手をして、また前までダッシュするといいます。
(後ろの家まで)戻って「ありがとうございます。よろしくお願いします」って言って握手して、で、再び前までダッシュするんです。もうダッシュの量半端ないんですよ。
川崎さんによると、選挙中はアドレナリンが出まくっているので、無尽蔵に走れるそうです。「疲れた」という言葉が頭から抜けるほどで、肺も「人工心肺でも入れてるんか」というくらい疲れない状態だといいます。
ただし、足の筋肉だけは別です。選挙が進むにつれて足には疲労がたまり、気持ちや肺の状態とは関係なく、足だけはどうにもならないと川崎さんは話しています。
走るための筋肉は、走ってしか鍛えられない
選挙で走る筋肉が必要になることを考えると、この日の朝にふくらはぎが悲鳴を上げて走れなかったことは、川崎さんにとって衝撃的なショックだったそうです。川崎さんは、政治家としての能力を高めるうえでの大きな改善点として、走る力を改めて認識したと話しています。
これからは走るよ、走って足の筋肉鍛える。
川崎さんはスクワットもしていますが、実際に走ってみて、走るための筋肉は走って身につけなければならないと分かったといいます。スクワットで鍛えられる筋肉とは別物だという実感です。
これ多分僕スクワットとかもやるんだけど、スクワットの筋肉じゃないんだな、これ。
ただし、無理をして走ると足や膝を壊してしまうため、ランニングとは上手に付き合っていく必要があるとも川崎さんは話しています。
川崎さんがもう一つ求めているのは、正しい走り方です。足の運び方やストライドの取り方、かかととつま先のどちらから着地するのか、腿をどのくらい上げればいいのかといった、走るための技術を勉強したいといいます。
川崎さんの同期の国会議員には陸上部出身の人が多いそうです。自民党の青年局長になった高見康裕さんや、デジタル政策を一緒に進めてきた神田潤一さんは、陸上で青春時代を過ごしてきた人たちで、川崎さんは彼らに走り方を教えてほしいと話しています。
川崎さんはリスナーにも、自分なりの体力のつけ方があればコメント欄で教えてほしいと呼びかけ、この回を「政治家にとって走る能力も必要だ」という内容として締めくくりました。
最後に川崎さんは、翌週の月曜日から国会が始まることに触れています。翌日の月曜日はアップデート・ログではなく、Voicy限定の有料配信「ヒデとの裏話」を届けると告知しました。
Voicyは10月後半からアプリを大幅にアップデートする予定だそうです。川崎さんは、緒方社長がバージョンアップをするのであれば自分も貢献したいと話し、アプリのダウンロードと番組の登録を呼びかけています。
まとめ
川崎ひでとさんは、朝のランニングで足が動かなかった体験をきっかけに、政治家に必要な能力として知識のインプット、発信のアウトプット、そして現場へ駆けつける足を挙げました。どれも日頃から積み重ねなければ身につかない力として語られています。
- 小選挙区制では幅広い分野に詳しいマルチプレイヤーが求められ、自分に合った方法でのインプットが欠かせない
- アウトプットの力は場数で伸び、音声配信や報告会がその訓練の場になる
- 発信の場があるからこそインプットも増えるため、地方議員にもアウトプットの場が必要だと川崎さんは考えている
- 選挙の「桃太郎」では有権者のもとへダッシュし続けるため、走るための足の筋肉が欠かせない
- 走る筋肉はウォーキングやスクワットでは鍛えにくく、正しい走り方を学びながら走って鍛える必要がある


