「物売りには使えない」というレビューにどう応えるか
厚利少売ラジオの冒頭で、すがけんさんは前回の「付加価値と本質価値」の話を振り返りました。そのうえで、書籍『厚利少売』に「サービス業には使えるけど物売りには使えない」というレビューが付いたことに触れています。
すがけんさんの反論は、物を買う人がみな「物として」買いたいわけではない、というものです。同じ物なら安く早く届きポイントが付く方がいいはずなのに、実際には「あなたから買いたい」という買い物がたくさんあると話しています。
値引きされなくてもいい、つくのが後でもいい、ポイントなんかいらない。でもあなたから買いたいっていうものっていっぱいあると思うんですよ。
このことから、すがけんさんは本質価値は商品そのものだけでなく、売り手と買い手のやりとりや手続きにも含まれると考えています。身近なGtoCやモノづくり、ECの人たちも書籍を参考にしているそうです。
嫌だって言って終わっちゃうんじゃなくて、どういうふうに考えたらそれが応用できるかで考えてもらえると、著者の我々じゃなくて読者のあなたが変わると思う。
すがけんさんは、本で「提供価値に責任を持つ」と書いている以上、2000円の本で評価3を付けられるのは申し訳ないと語り、レビューを書いた人に向けて「お便りください、挽回させてください」と呼びかけました。川原さんも、具体的な相談をもらえればどう使えるかまで話せると応じています。
顧客満足度を「定点観測」で終わらせていないか
本編のテーマは顧客満足度の調査です。川原さんは、番組でよく出てくる「お役に立ちましたでしょうか」という問いや、相手にどんな変化を生めたかを知る重要性を改めて挙げ、実際にどう聞き、どう活かすかを尋ねました。
すがけんさんによると、顧客満足度の「調査」と言うと身構えてしまい、1ヶ月に1回や3ヶ月に1回の定点観測をイメージしがちです。期間を区切れば「8人中5人は」と集計できるので、それ自体は有効だとしています。
一方で、厚利少売型の商売はもともと顧客数が少ないため、来てくれたお客さんに常に聞くことが基本になる、というのがすがけんさんの考えです。
(顧客満足度の)調査っていうと大げさなんですけど、これの根源的な発想って相手に興味を持つことだと思うんですよ。
月1回などスタッフ総出でシートを配り、集計して数字で把握する
来てくれたお客さんに常に聞き、接客や薦める商品をその場で変えていく
買ったあとに「満足してくれました?」と聞けているか
すがけんさんは、物を売るお店を例に具体的な聞き方を挙げます。なぜこの店に来たのか、なぜこの商品を選んだのか、自分用なのかプレゼントなのか、といった問いです。
大事なのは買い終わった後に今日のお買い物満足してくれました?ってちゃんと聞くことですよね。
すがけんさんによれば、お客さんは満足していても、自分が満足していると意識していないことがあります。普段そんなことは聞かれず、お金を払って立ち去るのが当たり前で、購入後のアフタートークがないからです。
購入後の会話では、プレゼントなら相手が喜んでくれそうか、自分用ならいつから使うか、他の店で迷わなかったか、品揃えに満足できたかなどを聞けると、すがけんさんは話しています。
要はおしゃべりを楽しむし、相手に興味を持つってことだと思うんですよね。対象は相手で、おまけは自分。
2度目に来てくれたお客さんには「この前のはどうでしたか」「どうしてまた来ようと思ってくれたんですか」と聞き、嬉しい気持ちを直接伝えればいい、とすがけんさんは続けました。
気恥ずかしさの正体は「矢印の向き」
川原さんは、日本人がこうした会話をしているイメージはないと指摘します。すがけんさんは、気恥ずかしさが生まれるのは「自分に関心を持ってほしい」という動機で聞くときだと答えました。
私のことをどうして好きになったんですかは気恥ずかしいですけど。
あなたはなんでここを二度目選んだんですか?の相手側への興味なんですよね、これ単純に。
川原さんはこれを「矢印の向き」と表現しました。大事なのは自分ではなく相手に興味を持つことであり、それこそが顧客満足度調査と呼ばれるものだ、とすがけんさんは話しています。
すがけんさんにとって調査の目的は、接客やおすすめする商品を変えることです。前回話した本質価値は相手によって違うため、何を価値と感じてもらっているかによって会話も出すものも変えていく、という考え方です。
相手に興味を持つ
なぜ来たのか、なぜ選んだのかを聞く
価値を知る
その人が何に価値を感じているかがわかる
提供を変える
会話や薦める商品を相手に合わせる
自分の話をしない人ほど、自分が伝わる理由
すがけんさんは、川原さんこそ常に相手に興味を持っている人だと例に挙げます。「それ面白い、どうしてそんなこと思いついたんですか」と聞かれると、聞かれた側は川原さんを面白い人だと感じる、という話です。
自分のこと喋んなくても自分のことって伝わるんですよね。
川原さんも、自分のことを出そうとしないほど、実は自分の良さが出ているのかもしれないと応じました。すがけんさんは、お金を払う側は主人公でありたいものであり、丁寧に扱われて初めて「あなたは何者なんですか」と聞き返してくれると説明しています。
ところが多くの人は、せっかくの機会だからと自分のターンから始めてしまいます。すがけんさんは、いいお客さんほどこちらをリスペクトしてくれるので、マイターンではなくユアターンから始めるべきだと話しました。
マイターン: 自分の紹介や商品説明から始め、相手を帰さない
ユアターン: 相手への質問から始め、関心を持たれてから自分の話をする
提案の場でも「60分のうち10分しか話さない」
川原さんは、この話が提案の場面ともつながると指摘します。すがけんさんが60分の打ち合わせで10分話したらあとはニコニコ待つ、という番組内で話題になったエピソードです。
相手の方が自分より優秀だったら、相手に喋ってもらった方が当然いいわけで。
すがけんさんは、要点だけ伝えればわかる優秀な人と取引しているつもりなので、55分話す必要はないと説明しました。川原さんは、この信頼とリスペクトが顧客とのコミュニケーションの土台だとまとめています。
喋ると聞くは同じことなんですけど、全然意味が変わっちゃう。自分のことしか喋れないし、聞くは相手のことだから。
すがけんさんは、聞くことで自分たちのことが伝わるように質問するのも大事だと加えました。川原さんは、相手への興味から始まるにしても、どう聞くかの引き出しの数が重要だと感じたといいます。
聞く力はいいお店で学べる
聞き方の引き出しを増やす方法として、すがけんさんは、いいお店に行き、いいお金の使い方をすることを勧めます。一流の店では「めっちゃ聞いてくれる」「めっちゃ尊重してくれる」と実感できるからです。
自分が心地よく、高いお金を払いたくなった店がどこだったかをメモしていくと、商売やサービスに触れながら自分も学べる、とすがけんさんは話しています。
反対に、すがけんさんと川原さんは、売るまで帰さない店員の例も挙げました。洋服店で「今日は何用で来たんですか」と聞かれれば答えられるのに、先にブランドのこだわりを語られると困る、という話です。
いや、これはどこどこのブランドでこういうこだわりがあってって先に言われると、いやいや見とんねん、こっちは今感じとんねんってなるもんね。
すがけんさんは、デジタルでいえばクリックする前に話しかけてくるようなものだと例えます。川原さんも、すぐ「カートに入れますか」と出るポップアップに重ね、相手を知らないから全部言わなければならなくなる、という指摘で本編は締めくくられました。
副業禁止サラリーマンは今から何ができるか
後半のお悩み相談のコーナーでは、川原さんがリスナーのリーナイさんから届いた相談を読み上げました。
副業禁止サラリーマンが厚利少売ビジネスを自分で始めるために今からできることを教えてください。私は現在金融、次にコンサル業界で働くサラリーマン7年目です。母親が薄利多売の中小企業経営者をやっているので、昔からビジネスに興味がありましたが、私自身はMBAの案内資料を見て難しそうだから無理なのではないかとやる前から諦めていました。
今年7月からビジネスと向き合おうと決めて、SNSの毎日発信を続けたり、無料のモニター1on1を実施したり、個人事業主としてすでにビジネスをされている方とつながり、お話を聞いている状況です。私が始めたいビジネスの目的は、情熱的に働く人を増やすためです。スガケンさんが私の立場なら副業禁止サラリーマンの間何をしますか?どのタイミングで現在勤めている会社を辞めますか?
すがけんさんはまず、副業禁止ならルールを破る必要はないと前置きしました。そのうえで、副業はお金をもらうから副業になるのであって、お金をもらわずに本気でやれば仕事の経験はできる、と話しています。
(お金は)本業になった時に、その時のお客さんからもらえばいいことだから。
川原さん自身も、会社員で副業禁止だった頃、近藤麻理恵さんの手伝いをボランティアとして始め、それが今のキャリアにつながったと振り返ります。お金をもらわずにスキルを試せたことが、経営者としての下積みになったそうです。
副業禁止あんま関係ないなスタンスです。僕はだからお金もらわなければ副業ではないので。
情報で悩みを増やしていないか
すがけんさんは、リーナイさんが独立したいのか、何をしたいのかが一番重要だと話します。番組の副業回を聞いて副業しなければと思い込み、できないことで悩む人も多いはずだと指摘しました。
みんないろんな情報聞いて勝手に悩んで勝手に困ってるっていうだけだと思ってて。
すがけんさんは、何も変えずに満足して生きた人と、踏み出せずに悔しく過ごした人のどちらが幸せかと問いかけます。
川原さんは、厚利少売も満足した人生を生きるための手段だと受け止めました。すがけんさんも、売上が桁違いの前澤さんと比べて悔しがるより、おいしいご飯や仲のいい人との時間、旅を楽しむほうが幸せだと感じていると語っています。
すがけんさんは、厚利少売は誰かと比べてはいけないものであり、副業できる人と自分を比べる必要はないと話しました。
一方で本当に独立したい場合は、会社から給料をもらえる状態のまま、余暇で独立時につまずきそうなことを始めて経験値を増やすよう勧めています。1〜2年で準備が終わるならそのまま続け、もっと時間が必要なら本業で偉くなることも経験値として考える、というバランスです。
「情熱的に働く人を増やす」には何が必要か
川原さんは、リーナイさんのビジネスの目的が「情熱的に働く人を増やすため」と決まっているなら、まず自分自身が情熱的に働いてみてはどうかと提案しました。
どうしてそんな情熱的なんですか?って聞かれ始めたら、それってもうビジネスの種じゃないですか。
すがけんさんは、増やしたいという思いと同じくらい、相手が増やされたいのかが大事だと付け加えます。商売は相手あってのものなので、お節介なのか本当にニーズがあるのかを見極める必要がある、という指摘です。
踏み出せない人や課題を抱えた人を解決できるなら、厚利少売の少ない数でも成り立つ人数がいればビジネスチャンスかもしれない、とすがけんさんは話しました。
川原さんは最後に、副業禁止の期間をただのボーナスタイムと捉え、勤めながら経験値を積み上げてほしいとエールを送りました。
Kindle版と出版記念イベントのお知らせ
お知らせのコーナーでは、すがけんさんが書籍『厚利少売』のKindle版が出たことを伝え、海外の読者にも購入と感想の投稿を呼びかけました。
11月24日の出版記念イベントでは、20数万円のVIPチケット限定8枠が、ポッドキャストでの告知をきっかけに24時間ほどで完売したそうです。収録時点で会場の参加チケットも売り切れ、アーカイブ付きのオンラインチケットが案内されています。
すがけんさんは、2人そろってのイベントは年に1回あるかどうかだとして参加を呼びかけました。
地域こそ厚利少売をインストールすべき理由
すがけんさんは前日の11月23日、地域図鑑のイベントにソロで登壇することも告知しました。元NewsPicksの坂本さんが手がける、地方と首都圏の人材をつなぐ取り組みで、坂本さん、編集者の箕輪さんと3人で締めくくりのセッションに出るそうです。
登壇は、すがけんさんが「厚利少売をインストールできていないとまずい」と坂本さんにオファーして決まったといいます。
東京よりマーケットがちっちゃい地方で、あと10倍数を売りましょうなんかやったらとんでもないことになるので、これ逆で絞って絞って単価を上げていって。
すがけんさんは、インバウンドも活用する戦略に置き換えるには、首都圏の人材が厚利少売を理解し、地域の人もそれを理解する必要があると話します。川原さんも、キャッシュや信頼、歴史のある地域こそ厚利少売や海外への接続が重要だと応じました。
まとめ
この回では、顧客満足度の調査を形式的な集計ではなく、相手に興味を持って聞くコミュニケーションとして捉え直しました。後半の相談では、副業禁止の期間もお金をもらわずに経験値を積む時間として使える、という視点が示されています。
- 厚利少売型の顧客満足度調査は、来てくれたお客さんに常に聞くこと
- 購入後に「満足してくれましたか」と聞くアフタートークが大切
- マイターンではなくユアターンから会話を始めると、自分のことも伝わる
- 副業禁止でも、お金をもらわなければ経験を積むことはできる
- やるならやる、やらないならやらない自分を認め、今に満足する




