わたあめ職人は誰も定義していない?
香川県三豊市でわたあめを作るごうさんは、第16回にしてようやく「わたあめ職人とは何か」というテーマを取り上げました。これまで「僕わたあめ職人なんすよ」という肩書きで話してきたものの、わたあめ職人はみんなが知っている仕事ではない、と気づいたのがきっかけです。
ごうさんによれば、わたあめ職人はまだ誰もきちんと定義していないようです。そこでこの回では、わたあめを仕事にする場面を並べながら、職人っぽいか、ぽくないかを考えていきます。
ごうさんが最初に示した結論は、わたあめ職人とは、味や形状、作る様子といった要素で、独自の技術やこだわりを持ってわたあめを作り提供する人だというものです。
自販機や工場の作り手は職人なのか
わたあめの成り立ちについて、ごうさんは1897年のアメリカで、歯医者とお菓子職人のコンビがわたあめの機械を作ったと言われている、と紹介します。
現代では、ショッピングモールなどにわたあめの自動販売機があり、お金を入れると機械の中でわたあめができる様子が見られます。ただ、自販機は人ではないので、わたあめ職人とは言えません。自販機を作る職人はいるかもしれない、とごうさんは付け加えています。
次にごうさんが挙げたのが、パック入りのわたあめを工場で作る人です。工場には決まった手順があるため、一人ひとりが独自のこだわりを持ち込むと工場として成り立たなくなる、というのがごうさんの見方です。
(工場で)一人一人が独自のこだわりとか技術とか持ち込んじゃったら、ちょっともうそれはね、工場としては崩壊してしまう
ただし例外として、ごうさん自身のように一人でやっている工場であれば、職人的な要素は十分含まれるかもしれないとしています。
屋台、京綿菓子、レインボーわたあめの違い
お祭りの屋台で、キャラクターの袋やカップに詰めてわたあめを売る人について、ごうさんは他店との違いが特にない場合は職人とは違うのかもしれないと話します。違いが「100円安いかどうか」程度なら、という条件付きです。
一方で、ものすごくスピーディーに作る人や大量に作り続ける人など、他とは違う何かを持つ店なら職人かもしれない、とごうさんは見ています。
具体例として挙がったのが、京都のわたあめ店「ザラメザラメ(店名表記)」です。京綿菓子というコンセプトで展開しているため、他と違うという意味で職人的な要素があるかもしれない、とごうさんは語ります。
原宿の店が有名なレインボーわたあめも、技術が必要で、特徴的な三角形の形もあることから、ごうさんは職人と言ってよさそうだと評価しています。
キャラクターや花柄のわたあめを作らない理由
SNSでよく見かける、わたあめをキャラクターの形や花柄にする人についても、ごうさんは難易度が高いので職人と言っていいと話します。海外にも多く、無表情でかわいいわたあめを作り続ける、中国の方らしき有名な人もいるそうです。
元企業法務のごうさんは、キャラクターのライセンスや権利まわりが気になる部分もなくはない、と本音ものぞかせています。
ごうさん自身は、このタイプの職人ではありません。できなくはないものの、日本の屋外では湿度が高く、わたあめがすぐにベタついたり硬くなったり手にくっついたりするため、形を出せる条件が狭すぎるのだといいます。
外でやっている海外の方っていうのは、あのね、湿度が低い地域、国でやられている人が多いんじゃないかな
わたあめの「黄金比」とはどんな形?
ごうさんが自分の職人性として挙げるのが、わたあめの形状へのこだわりです。持論として、わたあめには誰が見ても綺麗だと思える形がある、と考えています。
その形は、カプセル状の薬を少し短くしたようなもので、上下が球体、真ん中が少し伸び、左右対称です。ごうさんはこれを、わたあめにおける黄金比だと考えています。
その形で渡すと、大人も子どもも「すごい綺麗」と喜び、感動してくれるそうです。行列が何時間も続くイベントでも、ごうさんは何十個、ひょっとしたら100個以上の黄金比のわたあめを作り続けています。
さらにごうさんは、2色のザラメで黄金比を作ることもあります。これは非常に難しく、自分たち以外で作っている人はなかなか見かけないため、注文が通常の倍ほど入ると気合いを入れて作っているそうです。
トルネード式の機械で形を整える難しさ
黄金比の難しさを説明するため、ごうさんはわたあめ機の種類から話し始めます。機械には、横から出たわたあめが受け皿に溜まるタイプと、下から上に出るタイプがあり、ごうさんは後者のトルネードタイプを使っています。
作り方は、40センチほどの割り箸のような棒に、下から上がってくる綿を絡め取っていくものです。そのとき棒をろくろのように、中心の軸をぶらさずに回し続けます。
綿を絡め取る
トルネード式の機械から下から上に出る綿を、40センチほどの棒に絡め取る
軸をぶらさず回す
ろくろのように中心の軸を保つ。ぶれると変な陶芸のようにグニャグニャになる
条件を読む
周囲の気温、湿度、風を読みながら作る
手で微修正する
出る綿のランダムな要素を、1個ずつ手で直して黄金比に整える
上の流れのように、わたあめの形は機械任せではなく、手と判断で整えられています。大きくなるほど遠心力が増して制御が難しくなり、2色の場合は大変な要素が何倍にも増えるそうです。
三豊のフルーツと紀昇糖へのこだわり
ごうさんが職人と言える最後の要素として挙げたのが、わたあめの味や素材へのこだわりです。ごうさんのわたあめには、香川県三豊市で採れた本物のフルーツが使われています。
他の店では人工のフルーツフレーバーで味付けすることもある中、ごうさんの店は三豊産のフルーツを使い、形が不揃いな規格外のロスフルーツも活用しています。味にこだわりながら、生産者にもうれしい形を目指しているそうです。
商品ラインナップの「三豊ふわりと」は、大人のクラフトわたあめというジャンルで作られています。高級和菓子に使われるような、国内最高水準と思われる純度のザラメに、香川で研究開発された紀昇糖 ── 香川で研究開発された砂糖としてごうさんが紹介しているもの。表記は音声からの聞き取りで、正式名は確認が必要です紀昇糖を独自にブレンドしています。
素の味を引き出し、すっきりとした味わいにする
しっとりふわふわの口溶けにする。焦げやすく、わたあめ化が難しいとされていた
紀昇糖は他の砂糖より焦げやすく、わたあめにするのが難しいとされていました。ごうさんは独自の製法でわたあめ化に成功したのは、おそらく自分が初めてではないかと話しています。
味と形にこだわって作っていることから、ごうさんは自分をわたあめ職人と名乗っています。ゆくゆくは、カフェで働く人と同じくらいかっこいい職業になったら面白い、とも語りました。
おにぎり屋は値上げか、小さくするか
後半のお便りコーナーは、基本的にAIが作った質問に答える形式です。ただし番組説明によると、実際のお便りも混ぜられており、ごうさんはどれが人間からの質問か知らないまま答えています。
駅の近くで小さなおにぎり(屋)をやっています。お米の仕入れ値が上がって、今の値段のままだと利益がほとんど残らなくなりました。値上げをするか、値段はそのままでおにぎりを少し小さくするかで迷っています。常連さんの顔が浮かんでどちらも言い出しにくいです。GOさんならどうやって決めますか?
しおむすび さんから
ごうさんの答えは値上げです。値段そのままで小さくするのは、お客さんが気づくのでやめたほうがいい、と話します。
カントリーマアムだってね、どんどんどんどん小さくなって、いつかマイナスの概念になるんじゃないかっていう風なね、ネタまで出るぐらい
ごうさんは、こっそり小さくすることはお客さんを裏切るようで好きではないとし、仕入れ値が上がったことを正直に伝えて値上げすればいいと考えています。
あなたのお店が、のファンだったら、要は一番困るのはあなたのお店がなくなることなんですよ。
さらにごうさんは、値上げと同時に提供できる価値を増やすことも提案します。こだわりを伝える文章を店に掲示する、一人ひとりとの会話の時間を少し長めに取るなど、量や豪華さ以外の方法も挙げています。
内定2社、大企業か10人の会社か
転職活動をして内定を2つもらいました。1つは今より給料が上がる大きな会社、もう1つは給料は今と同じぐらいで社員が10人ほどの会社です。小さい会社の方は入ってすぐ新しい商品の企画から任せてもらえそうです。GOさんなら何を決め手にしますか?
二枚の封筒 さんから
ごうさんはまず、転職活動をした理由を満たせるほうを選べばいいと答えます。そのうえで気になったのが、小さい会社で入社直後から新商品の企画を任せてもらえる、という点でした。
ちょっと危険な香りがします。
ごうさんの見立てでは、10人ほどの会社は一般に余力が大きくなく、新商品の企画から収益確保までに残された期間はシビアなはずです。新商品や新企画がうまくいく確率は、1割から2割ほどだと感じているそうです。
失敗すれば少人数の中で肩身が狭くなり、成功しても利益は会社に入るため、給料はほとんど変わらないはずだとごうさんは指摘します。
失敗すると肩身が狭くなり、成功しても利益は会社に入り給料はほぼ変わらない
上がった給料を副業の開発資金に回せる。失敗しても会社で働き続けられ、当たれば利益を自分のものにできる
新しい商品を作りたいなら、給料の上がる大きな会社に入り、副業や個人事業として挑戦するほうが持続可能で筋が良さそうだ、というのがごうさんの考えです。
タイトルは先に決める?香川のうどん屋の選び方
この番組のタイトルって短く言い切る形が多いですね。聞く前から何の話か分かって助かっています。ゴーさんはタイトルを話す前に決めていますか?それとも話し終わってからつけていますか?
見出しの付箋 さんから
ごうさんは、タイトルは話す前に決めていると即答します。冒頭で「今回のテーマは〇〇です」と言っているからだそうです。
香川ってうどん屋さんが多すぎて、住んだら逆に選べなくなりそうです。観光で行った時、もうどこに入るか30分ぐらい迷いました。ゴーさんは移住してからよく行くお店をどうやって見つけていきましたか?
うどんの湯気 さんから
ごうさんの答えは「片っ端から行く」です。香川に来て、うどん屋にこれほどバリエーションがあるのかと気づき、移住後1年ほどは自分好みの店を探して回ったといいます。今は好みに合いそうなタイプの店を中心に通っているそうです。
スマホゲームをやめられた理由
やめたことって意外と人に話さないんですよね。私は去年朝のニュースチェックをやめたら、朝が少し静かになりました。ゴーさんが移住や起業のきっかけに辞めたことで辞めてよかったと感じることはありますか?
静かな朝 さんから
ごうさんは、移住前はスマホゲームにハマっていた時期があり、それをやめたと明かします。無理にやめたのではなく、今の生活や仕事のほうが楽しくなり、自然にやめていたそうです。空いた時間は仕事や家族との時間に使っています。
ごうさんは、嫌な習慣を北風のように無理にやめようとするとリバウンドが来ると話します。ダイエットと同じで、我慢を一生続けるのは難しいという考えです。
いやゲームより現実の方を楽しくすりゃいいじゃんっていう感じ
大切なのは、自然とやめられる状態をどう作るかだとごうさんは言います。どうすればそうした状況にできるか、AIと壁打ちしてみるのもいいと勧めていました。
エンディングでは、有楽町駅前広場で11月22日11時から16時に開かれる「瀬戸内かがわみどりのマルシェ」に、別のスタッフが「三豊ふわりと」を数量限定で持って出店することが告知されました。
まとめ
ごうさんは、わたあめ職人を「味や形状、作る様子で独自の技術やこだわりを持つ人」と定義し、自身の黄金比の形と三豊の素材へのこだわりを語りました。お便りへの答えでも、正直さや持続可能性を重んじる考えが一貫しています。
- 自販機や一般的な工場の作り手は、独自のこだわりを持ち込めないため職人とは言いにくい
- ごうさんは、カプセル状で左右対称の形をわたあめの黄金比と考え、湿度や風を読みながら手で整えている
- 三豊のフルーツやロスフルーツ、高純度ザラメと紀昇糖のブレンドで味にもこだわっている
- 値上げは正直に伝え、価値を足すことでお客さんとの関係を保つという考えを示した
- 習慣は我慢でやめるより、自然とやめられる状態を作るほうがいいと話した




