「おすすめ何選」ではない発信は、なぜ増えてきたのか?
ボドゲ制作者のマナさんは、Xやnote、ポッドキャストを通じて、ボードゲーム関係の情報発信に力を入れてきました。今回のテーマは「ボドゲ界隈の情報発信者が増えて嬉しい」というものです。
マナさんによると、おすすめボードゲームを紹介する発信は、昔からインフルエンサーが手がけてきました。一方で、実際にボードゲームを作る人やボードゲームのビジネスに携わる人が、ゲーム作りの考え方を発信する例は少ないと感じていたそうです。
マナさんが比べているのは海外の状況です。海外ではボドゲ作家が、ボードゲームの作り方や売り方をYouTubeなどで熱心に発信しているといいます。
でも日本ってなかなか少ないなっていうふうには思っていたんですが、最近ちょっとずつそういった発信者の人が増えていってるなっていうふうに肌で感じております。
マナさんがその変化を特に感じたのは、直近のゲムマ ── ボードゲームの即売会「ゲームマーケット」の略称。個人や小規模サークルの制作者が自作ゲームを出展・頒布する国内最大級のイベントですでした。出展後の事後レポートをnoteで公開する人が、これまでに比べてかなり多かったそうです。
ゲムマのレポートには、初出展してみてどうだったかというリアルな体験や考えをつづったものがありました。ほかにも、Xで話題になったことを自分なりの考えとしてまとめたnoteも見られたといいます。
マナさんは、文章だけでなく映像や音声でも、ボードゲーム作りやボードゲームビジネスを扱うコンテンツが増えてきたと話します。例として挙げたのは、ポッドキャスト的な配信をYouTubeでも展開しているHEY!さんです。また、ジェリカフェの白坂さんが社長としてボドゲ界隈をどう見ているかを語るYouTubeも、よく見かけたそうです。
顔出しで語るか、ロゴで覚えてもらうか
マナさんは、最近立ち上がった「いせごん」さんのYouTubeも紹介しています。「いせごん」さんはボドゲ専業で活動している人で、マナさんはそのコンテンツを順番に見ているところだといいます。
ボドゲを専業として活動している人が、ボドゲに対してどういう考えで活動しているのかであったりだとか、どういうふうにしていったらいいよだとか、そういったものとかを発信されています。
マナさんの目を引いたのは、「いせごん」さんが顔出しで、しっかり語りかける形で配信している点でした。マナさんは改めて、顔出しには親近感があり、ちゃんと話してくれている感覚もあるとして、魅力を感じたそうです。
一方で、マナさん自身は、顔を前面に出して活動しているわけではありません。たまに顔が出ることはあるものの、メインに据えているのは星のマークのようなロゴです。
自分の顔っていうよりも、そのロゴを覚えてほしいなっていうような思いがあります。
マナさんは、顔を出したほうが説得力や本気度、親近感が高まることはわかっていると話します。それでも、Xの投稿のたびに顔写真を出すのは現実的ではありません。すでにアイコンを星マークにしていたため、そのアイコンで覚えてもらうことに力を入れているそうです。
説得力・本気度・親近感が高まる。「いせごん」さんのようにカメラ目線で語るスタイルはYouTube向き
Xやnoteで最も目に触れるアイコンとして覚えてもらいやすい。投稿のたびに顔写真を出す必要がない
でも今話してて思ったんですけども、初めから顔出しのアイコンにしておけばよかったってちょっと思いますね。
マナさんは、「いせごん」さんの余計な装飾のないカメラ目線のスタイルを評価しています。白坂さんの、カメラマンの質問に答えていく形式も聞きやすいと話しています。
マナさん自身はポッドキャストをYouTubeに連携しているものの、YouTubeの扱いは難しいと感じているそうです。YouTubeは認知が取れ、レコメンドも強いメディアだと考えている一方で、まだ活用しきれていないと話しています。
noteの多言語化と、アウトプットで考えが整理される効果
マナさんは最近noteを始め、すでにかなりの量の記事を投稿しています。そのなかで気づいたのが、noteの記事が韓国語版や英語版などに多言語化されるらしい、ということでした。
マナさんがこの機能に気づいたのは、海外の友人から「マナさん最近note頑張ってますね。しっかり読ませていただきました」という感想が届いたからです。よく読めたなと思って調べたところ、noteには多言語版を作る仕組みがあると書かれていたそうです。ただ、実際にどう展開されるのかまでは確認できていないとしています。
マナさんは、いつか海外で爆発的なヒットを飛ばしたいとも考えています。マナさん自身が海外のYouTubeを参考にしているように、海外の人にも自分の記事を参考にしてもらえたら面白いと話しています。日本のボードゲームを世界に発信する機会にもなると考えているそうです。
こうした変化を踏まえて、マナさんは情報発信の価値は今まで以上に高まっていると話します。業界のためだけでなく、自分の活動ログを残す目的でもいいので、どんどん発信したほうがいいという考えです。
マナさんがもう一つ挙げる発信のメリットは、頭の中が整理されることです。モヤモヤと思っているだけでは、考えは考えたまま終わってしまいます。文字に起こしたり声で説明したりすると、誰かに説明する形でまとめることになり、自分の考えが明確になっていくといいます。
なんとなく行き当たりばったりでゲームを作ったり、なんとなく行き当たりばったりで宣伝してみたりとかではなくてですね。
考えを整理しておくことには、もう一つ利点があるとマナさんは話します。整理された考えがあれば迷わず活動でき、結果を振り返ることもできます。モヤモヤした段階では失敗の原因をつかめませんが、考えが明確なら「この考えのこの部分がダメだった」と特定し、次の改善を試せるといいます。
市場規模70億円の界隈は、協力ゲームで広げる
マナさんは、アウトプットが公開・共有されることで界隈全体にもよい循環が生まれると考えています。マナさんが語る流れを整理すると、次のようになります。
発信・共有
活動の知見をnoteやYouTubeなどで公開する
参考にした人が活動
読んだ人がよりよいものを作り、新たな知見を公表する
界隈が盛り上がる
作り手と遊び手が増え、市場規模が高まる
食べていける人が増える
ボードゲームで生計を立てられる人が自然と増えていく
マナさんは、ボードゲームの市場規模を「確か今70億ぐらい」と述べたうえで、この規模ではビジネスにしにくいと話します。ビジネスをしようと考える人が、あえて選ぶ市場ではないという見方です。
マナさんの考えでは、市場規模が大きくなれば面白いゲームが増え、一緒に遊ぶ人も気軽に見つかるようになります。ただ、個人一人の力で市場規模を高めることは難しいとも話しています。
マナさんは、市場がもっと大きくなれば競合同士が争う敵対ゲームのような話も出てくると考えています。しかし今の規模では、競合であってもよいライバルとして高め合う関係でいい、というのがマナさんの考えです。そのなかで、情報発信は界隈を盛り上げるうえで重要なポジションを担うと話しています。
マナさんは、まだ情報発信をしていない人にはぜひ発信してほしいと呼びかけます。これからボドゲ活動を始める人には、まず先人の発信を参考にしてやってみることを勧めています。
そういった情報がない時はですね、みんな自分で考えて自分でなんとかしていたので、ほんとこれから始めようとか、今活動してる人ってかなり恵まれていると思います。
マナさんは、誰かが失敗したことは避ければよく、自分は同じ失敗をせずに済むと話します。さまざまな人の発信を巡って吸収していくことを勧め、マナさん自身の過去回もぜひ聞いてほしいと締めくくっています。
まとめ
日本でも、ボドゲ作家による創作論や活動記録の発信が増えてきました。マナさんはこの変化を喜びつつ、情報発信には個人の考えを整理する効果と、界隈全体を協力ゲームのように育てる効果の両方があると語っています。
- ゲムマの事後レポートや、HEY!さん・白坂さん・「いせごん」さんの動画など、作り手側の発信が増えている
- 顔出しには親近感や説得力があり、マナさんはロゴアイコンで覚えてもらう戦略をとっている
- noteの多言語化によって、日本の発信が海外に届く可能性が広がっている
- アウトプットすることで考えが明確になり、活動の迷いが減り、失敗の振り返りもしやすくなる
- 市場規模が約70億円とされる今は、競合よりも協力して界隈を広げる段階だとマナさんは考えている

